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第47回復興推進委員会 議事録

1 日時

  令和7年6月13日(金)9時59分から11時30分まで

 

2 場所

  中央合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室(オンライン会議併用)

 

3 議事

 (1) 現地調査報告

 (2) 2025 年大阪・関西万博における復興庁の取組結果

 (3) 原子力災害被災地域に係る復興施策の現状と課題(総括)

 (4) 「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針(案)

 (5) 3県からの報告

 

4 出席委員

 今村文彦委員長、浅野雅己委員、内堀雅雄委員、奥野雅子委員、小林味愛委員、

佐野孝治委員、勢一智子委員、関奈央子委員、戸塚絵梨子委員、藤沢烈委員、山﨑登委員

及び山名元委員並びに八重樫幸治岩手県副知事(達増拓也委員代理人)及び伊藤哲也宮城県副知事(村井嘉浩委員代理人)

 

5.議事録

○今村委員長 皆様、おはようございます。ただ今から、第47回復興推進委員会を開催させていただきたいと思います。

 委員の皆様、伊藤大臣、鈴木副大臣、輿水副大臣におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。

 本日は、今年3月の委員改選により、今期から新たな委員として就任された2名を紹介させていただきたいと思います。福島大学理事・副学長であられる佐野委員でございます。

○佐野委員 こんにちは。今回、初参加になりますけれども、よろしくお願いいたします。

○今村委員長 よろしくお願いいたします。

 続きまして、西南学院大学法学部教授でいらっしゃる勢一委員でございます。

○勢一委員 勢一です。よろしくお願いいたします。

○今村委員長 また、本日は、岩手県の八重樫副知事が達増委員の代理として、宮城県の伊藤副知事が村井委員の代理として出席をいただいております。本委員会運営要領第3条第1項に基づき承認したいと思います。よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○今村委員長 ありがとうございます。

 これにより、出席者は13名ということで、定足数を満たしてございます。

 それでは、議事に入りたいと思いますが、まず伊藤大臣から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○伊藤大臣 改めまして、おはようございます。復興大臣の伊藤忠彦でございます。

 今村委員長を始め委員の皆様方におかれましては、東日本大震災からの復興に関しまして、日頃より多大な御尽力を賜り、誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。

 また、本日も、御多忙の中にもかかわらず、遠方の方も含めまして、多くの方に御出席をいただき、誠にありがとうございます。

 内堀委員におかれましては、県議会の6月定例会の直前ということにもかかわらず、こうしてわざわざお出ましをいただきまして、本当にありがとうございます。また、岩手県、宮城県からは、副知事に代理出席をいただきまして、ありがとうございます。

 私自身、就任直後から、でき得る限り被災地を訪問させていただき、地元の首長の皆様方を始め多くの皆さんから直接お話を伺ってまいりました。

 その中で、震災からの復興は、被災地の方々の御努力、また、関係者の御尽力により、全体として着実に進んでいる一方で、地域によって状況は様々でございまして、それぞれの状況に応じたきめの細かい対応が必要であるということも強く実感をしてまいったところでございます。

 震災や原子力発電所事故を乗り越え、この地域に生まれてよかった、この地域に住んでよかったと思える未来をつくっていくことが、本当に大切であると考えております。

 福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしという強い決意の下に、引き続き、現場主義を徹底させていただき、被災地の方々に寄り添いながら、復興に向けて総力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 本日の復興推進委員会では、昨年4月から、復興推進委員会の下で開催されておりました総括ワーキンググループから、原子力災害被災地域に係る復興施策の現状と課題について、座長でもある今村先生から御報告をいただくこととなっております。これまでの間、今村先生を始めこうした関係の皆様方に御尽力をいただいたことに、改めて心から感謝を申し上げます。

 また、第2期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針の案について、復興庁より御説明をさせていただきます。さらに、被災3県からは、各県における復興の進捗につきましても、御報告を賜りたいと存じます。

 議事は多岐にわたりますが、委員の皆様からは、忌憚のない御意見を頂戴できればと思っております。どうぞ本日もよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

○今村委員長 伊藤大臣、大変ありがとうございました。本日の会議の模様は、インターネットのライブ配信によって、一般の方、また、報道機関の方に視聴いただいております。

 また、報道機関の方には、会議映像の撮影や報道での使用を可としておりますので、御理解、御承知置きいただきたいと思います。

 それでは、お手元の議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。最初に、議事1について復興庁から報告をお願いしたいと思います。

○山野統括官 復興庁統括官の山野でございます。

 議事1は「現地調査報告」でございまして、私の方から報告させていただきます。資料1でございます。復興推進委員会におかれましては、昨年9月に引き続きまして、本年2月26日でございますが、復興推進委員会の下で開催されております第2期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループの構成員の皆様と共に福島県を訪れていただき、現地の状況を改めて確認をいただいたところでございます。

 昨年9月の現地調査では、福島第一原子力発電所における廃炉に向けた取組、あるいはJR双葉駅周辺の特定復興再生拠点区域の状況を御確認いただいた後、内堀知事と県内の復興状況などについて意見交換をしていただきました。

 他方で、県内の原子力災害の被災地域につきましては、地域によってその状況が様々でございまして、昨年の12市町村との意見交換会におきましても、市町村長の皆様から、是非現地をもっと見てほしいという御意見もいただきました。

 このため、原子力災害被災地域における復興施策について御議論を進めていただくに当たり、帰還困難区域などの状況、また、産業創出に取り組む現場など様々な地域の現況を改めて御確認いただくため、福島県を再度御視察いただいたものでございます。

 2月の視察では、富岡町、大熊町、双葉町、そして南相馬市を中心に、行程の中で現地の状況を確認いただくとともに、関係の方々との意見交換をしていただきました。

 まず2ページにございますように、初めに、とみおかアーカイブ・ミュージアムを御視察いただきました。地域の成り立ち、かつての姿を見ていただいた上で、それが原子力災害によってどのように変わってしまったかを理解いただくため、「複合災害を地域の歴史に位置づける」をテーマとする本施設におきまして、山本町長から同町の現状と課題についての説明を伺い、学芸員の方に御案内いただいて、展示資料について専門的な説明をいただきました。また、資料の収蔵庫なども視察いただいたところでございます。被災地から収集・保管された資料等を通じて、発災直後の状況や避難生活、東日本大震災を境に生じた町の変化等の震災の影響を改めて御確認いただきました。

 続きまして、大熊町では、吉田町長に御参加いただきまして、帰還困難区域の状況などについて町長から御説明をいただきながら視察するとともに、JR大野駅周辺の産業交流施設でございますCREVAおおくま内を視察しながら意見交換をしていただきました。その意見交換の中では、まず帰還・移住の促進に向けた住宅、商業施設、医療の体制、こうした整備に係る取組と課題、それから町立の学び舎ゆめの森といった魅力ある教育施設がもたらす移住促進への好影響、こういったことが話題になりました。

 最後の3ページでございます。双葉町では、伊沢町長に御参加をいただきまして、帰還困難区域において、農地が除去土壌の仮置き場となっている状況、あるいは分譲住宅地が荒廃した状況を視察いただきながら、町長と意見交換をしていただきました。また、復興推進委員会がここ数年にわたって定点観測的に視察を行って、進捗を把握されておりますJR双葉駅前周辺を中心とした特定復興再生拠点区域における復興の状況についても御視察をいただいたところでございます。意見交換の中では、避難指示の解除時期によって地域の状況が大きく異なること、雇用創出、町内での居住を可能とする住宅確保の重要性といったことが話題になったところでございます。

 4つ目が小高パイオニアヴィレッジであります。南相馬市にございますが、ここは避難指示の解除後に、住民の帰還を促し、復興に向けて活動する場を提供することを目的として整備されたもので、地元発のベンチャー企業による産業創出、あるいはコミュニティー形成の取組について伺いますとともに、意見交換をしていただきました。意見交換の中では、地域の自立性・持続性の確保のために、公的主体や特定の大企業への依存から脱し、地域活動を解決する事業を創出することの重要性、起業時の課題や再チャレンジを支援することの重要性、こういったことが話題になったところでございます。

 以上、福島県の現地調査の結果について御報告申し上げました。改めまして、朝早くから夜まで長時間御参加いただいた皆様に御礼を申し上げます。以上でございます。

○今村委員長 山野統括官、ありがとうございました。現地調査、常に現場の状況、また活動を目の当たりで拝見し、意見交換もさせていただいて、大変有意義でございました。

 それでは、議事2に移りたいと思いますが、御報告の方はできるだけマイクに近づいて御発言をいただければと思います。議事2は先日の2025年大阪・関西万博における復興庁の取組でございます。大沢審議官、お願いいたします。

○大沢審議官 復興庁審議官、大沢でございます。

 資料2の「2025年大阪・関西万博における復興庁の取組結果」という資料に基づきまして御説明を申し上げます。

 1枚めくっていただきまして、我々復興庁といたしまして、5月19日から24日までの6日間、「東日本大震災からのよりよい復興」をコンセプトにいたしまして、万博に出展をいたしました。なるべく幅広く3県のことを知っていただくという趣旨で、2番目の○にございますように、震災伝承・災害対応、食・水産、3県それぞれ出てきておりますスタートアップを始めとする最新技術、それから福島国際研究教育機構(F-REI)といったテーマで、映像やデータ等を用いまして復興のストーリーを展示いたしました。

 また、三陸常磐物を始めとする6種類の試食を提供いたしまして、これが非常に大人気だったわけでございますけれども、力強く復興しつつある被災地の姿、地域の魅力を世界に向けて発信をいたしました。

 結果として、我々の想像をかなり超える延べ約4万8000人の方々が国内外から来場いただきました。さらに、デジタルモニュメント「成長する『奇跡の一本松』」、下に写真がございます。一番右側の写真でございまして、万博期間中を通じて設置をされております。被災地へのエールなど、世界中から押されたメッセージを一個一個投影するというものでございます。

 5月19日にオープニングセレモニーがございまして、復興推進委員会、それから第2期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループを代表して、今村先生に御出席をいただきました。19日の写真が下3枚でございます。

 デジタルモニュメント「成長する『奇跡の一本松』」を中心にお写真がありますけれども、今村先生、それから荒川静香さんがアンバサダーとして御活躍をいただきました。達増知事、内堀知事、伊藤副知事、それぞれ写真に写っていただいております。

 我々正にこの復興庁の出展を機に、是非東北のことを知っていただき、東北に行ってみたいなと思えるきっかけになればと思いまして、復興庁延べ100名を超える職員がスタッフとして手伝わせていただきました。これが復興につながることを我々としても是非願っております。

 以上でございます。

○今村委員長 ありがとうございます。

 伊藤大臣におかれましては、オープニングを仕切っていただきまして、大変ありがとうございます。それでは、議事3に移りますけれども、議事4が終わりましたら皆さんに御意見をいただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 議事3は総括ワーキンググループの報告でございまして、資料3-1と3-2がございますが、3-1がその概要でございますので、それについて私の方で御説明をさせていただきたいと思います。

 改めまして、第2期復興・創生期間までの復興施策の総括ということで、非常に活発な議論をした上で、このワーキンググループの総括をまとめたところでございます。この資料の下のところにその概要の状況がございますが、特に今回の原子力災害被災地域中心の議論については、昨年の8月から今年の5月にかけて計8回、非常に回数を数えてございます。各県の御担当の方、また、各町の町長から直接説明もいただいたところでございます。また、先ほど御説明がありましたとおり、現地視察も2回重ねて現場での状況を拝見しました。また、市町村との意見交換も実は2回させていただいて、丁寧な議論ができたかなと思っております。

 それでは、真ん中に今後の課題ということでまとめさせていただきましたので、説明いたします。まずは概論が一番重要でございます。Ⅰに挙げてございますが、改めて原子力災害、その特性を理解することが第一で大切であります。したがいまして、現地に寄り添い、丁寧に耳を傾け、現場の実情を把握することが出発でございます。これを最初に挙げさせていただきました。

 また、各ワーキンググループでも議論がありましたが、地域ごとに復興のスピードや状況が違います。これを十分踏まえること。また、適用すべき施策をきめ細かく判断する。これを2つ目に重要なこととして挙げさせていただいたところでございます。

 また、特に発信力や魅力のある若手、また世界の課題解決を一緒にやる、特にリードするような人材の育成が非常に重要であるとまとめたところでございます。

 今回の総括では、施策に関しては不断の見直しが必要である、これを最後にまとめさせていただいたところでございます。

 各分野においては、6つの項目に分けさせていただきました。

 まずは事故収束でございます。これに関しては、廃炉作業、非常に活発に行われておりますけれども、その技術開発や人材育成、こちらも地元企業との連携を実施していただきたい、これをまとめてございます。また、現在、福島第一原子力発電所の状況は、視察等、大分積極的な受入れがされてございます。これに関しては、交流人口の増加も含めて、海外の方にも来ていただきながら、そちらに向けての積極的な情報発信が重要であろうとまとめたところでございます。

 2つ目が、環境再生に向けた取組ということで、除去土壌等の問題は非常に重要でございまして、具体的な取組を今検討していただいているところでございます。それをその都度、国民に示していくことが重要でございます。

 3番が帰還・移住の促進、生活の再建でございます。これも非常に重要な課題でございまして、実は多くの提言をさせていただきました。帰還の促進に加えて、移住・定住の促進、特にホープツーリズムはこの委員会でも報告、議論させていただいたとおりに非常に重要であり、交流、また関係人口の拡大を図るべき役割を持っているというところでございます。今、帰還・移住が進んでおりますが、実はそこでは住宅の確保や医療機関の存在、こういうものが重要であると指摘いただいております。そのほか心のケア、被災された子供たちの支援、コミュニティー形成の取組、こういうことを丁寧に継続することが必要でございます。また、森林の扱いということで、産業も含めて地域にとって非常に重要な課題でございますので、これに関しても継続的に検討が必要だというところでございます。

 4番が産業・なりわいでございます。これに関しては、福島イノベーション・コースト構想の役割は非常に重要であると。改めて、産業発展において、特に構成員からは、社会の持続性と収益力を持った事業者の持続性の2つが重要であるということを指摘いただいたところでございます。特に第一次産業である農業に関しては、広域な産地形成を促すこと、またロットを大きくするというようなアドバイスもいただいております。水産業に関しては、震災の影響だけではなく、地球温暖化、気候変動の影響を受けますので、日本全体の課題として取り組む必要があるということでございます。

 5番はF-REIということで、創造的復興の正に代表的な事例でございます。改めて福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となることを目指していただきたい。ここでの成果が、福島県浜通り地域はもちろん、日本全体、また世界にも貢献いただきたいというところでございます。今現在、①のロボットから⑤の原子力災害に関するデータ、また知見の収集まで、5つの分野を基本として活動いただいているところでございます。このF-REIの取組は、2年がたちましたが、多様な媒体を用いて分かりやすく定期的に発信することが重要、ここが指摘いただいたところでございます。また、改めて学術分野における国際連携はますます必要であろうということでございます。

 最後が6番、風評払拭・リスクコミュニケーションでございます。これは全ての分野において重要でございますが、改めてこの払拭のためには、現地に来てもらう、これは非常に先ほどの視察も含めて重要でございます。また、地元の産品を食べていただく。先ほど、万博でも紹介がありました。こういうことを通じて理解を深めていただきたいというところでございます。また、発信も重要でございまして、各省庁、また、政府一体となって、効果的に発信をいただきたい、ここも指摘されております。今現在、輸入規制の撤廃が議論されております。少しずつ進んでいると聞いておりますけれども、更にこの取組が重要であり、販路拡大の取組も指摘いただいたところでございます。

 最後が、震災から14年がたち、来年で15年でございますが、そこでの経験教訓をつなぐということで、今現在、福島だけではない宮城、岩手、また周辺でも震災遺構や伝承施設がございます。そこで是非連携を深めていただきたい。風評払拭に加えて、風化防止についても非常に重要であり、引き続き情報発信に取り組んでいただきたいというところをまとめさせていただきました。

 改めて、合計8回にわたり、また現地視察も2回にわたってまとめさせていただきました。その具体的なものは資料3-2にまとめてございますので、本日は概要だけを紹介させていただいたところでございます。よろしいでしょうか。

 それでは、次に議事の4ということで、「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針(案)を御説明いただきたいと思います。

○山野統括官 それでは、私の方から御説明させていただきます。資料4-1と資料4-2とございます。資料4-2は、この基本方針の本文でございますが、大部にわたりますので、資料4-1の概要で御説明させていただければと存じます。A3一枚物の資料でございますが、第2期復興・創生期間の次の5年間、いわゆる第3期復興・創生期間、令和8年度から12年度ということでございますけれども、この期間における基本姿勢、各分野における取組、財源、組織等に関する方針を定めるものでございます。既に昨年末に、政府におきましては、復興推進会議で決定されました「「第2期復興・創生期間」以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向けた主な課題等」がございますが、これをベースにしまして、皆様にいただいた御議論、それから、これまでの経緯等も踏まえまして取りまとめたものでございます。

 具体的に言いますと、1つ目が原子力災害被災地域でございます。

 1つ目は事故収束でございますが、廃炉、それから処理水対策でございます。先ほどのワーキンググループの総括の中でも、地元企業等の連携についての御意見があったわけでございますが、廃炉につきましては、持続的な人的体制、資金の確保、廃炉を通じたイノベーション促進ということを掲げさせていただいておるところでございます。また、誇りを持てる廃炉現場とするための理解醸成、情報発信を行っていく必要があるであろうということを掲げさせていただいております。それから、ALPS処理水の処分につきましては、いまだ残ります輸入規制の即時撤廃、あるいは水産業支援に取り組むということを盛り込ませていただきました。

 2つ目が環境再生に向けた取組でございます。除去土壌等の扱い、これもワーキンググループでは今後の具体的な取組について御意見がございましたけれども、2045年3月までの県外最終処分に向け、国が責任を持って取り組むという原則を盛り込ませていただいております。さらに、官邸での利用検討を始め政府が率先して復興再生利用を推進すること、それから、福島県外での最終処分に向けた取組を政府一丸となって進めること、こういったことを盛り込ませていただいております。さらに、県内の指定廃棄物の最終処分に向けた取組を加速化させていくことも盛り込ませていただきました。

 大きな3つ目が、帰還・移住の促進、交流・関係人口の拡大、観光の振興といった点でございます。これはワーキンググループでは大変いろいろな御意見をいただいたところでございます。住宅環境を始め生活環境を整備するということ、これはハード・ソフト両面で生活環境の整備ということで盛り込ませていただきました。また、森林の取扱いについて非常に重要だというワーキンググループでの御指摘もございましたが、住民が里山の恵みを享受できるよう、森林整備の再開を始め今般、「区域から個人へ」の考え方の下で、当然、安全確保が大前提になりますが、活動の自由化等についても検討する必要があるのではないかということで盛り込ませていただいたところでございます。さらに、これもワーキンググループでも御意見がございました、福島第一原子力発電所、あるいは、中間貯蔵施設等の活用、これを見学していただく、視察をしていただくということ。こういったことを通じて、ホープツーリズムを始めとした観光振興策にも戦略的につなげていく必要があるのではないかということで、項目を挙げさせていただいたところでございます。

 4つ目が福島国際研究教育機構(F-REI)でございます。ロボット、農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信、こういった各分野につきまして、ワーキンググループでの指摘もございましたが、質の高い研究開発の推進が必要であろうということで盛り込ませていただいております。それから、施設整備につきましても、可能な限り前倒しをしていこうということで掲げさせていただきました。さらに、こうした研究を進めていくのに必要な国内外の優秀な研究者が定住するにふさわしい生活環境の整備が必要ではないかということで、掲げさせていただいたところでございます。

 5つ目が福島イノベーション・コースト構想を軸とした産業集積等でございます。F-REI等との連携を通じ、実証の聖地として、地域の稼ぎ・日々の暮らし・担い手の拡大をけん引していくということでございますが、ワーキングループでもございましたように、持続的な産業発展を実現していくことを目指していくということを盛り込ませていただいたところでございます。その中でも、ドローン・ロボット、宇宙・衛星関連の先進的な取組、スタートアップを誘致していこうということで盛り込ませていただきました。

 次の項目は農林水産業の再建でございます。令和12年度末までに、約1万1000ヘクタールを目標として地域の取組を支援し、営農再開の加速を図っていくこと。さらに、これはワーキンググループでも御意見がございました広域的な産地形成の推進をしていくことを盛り込ませていただいております。それから、先ほどもございましたけれども、森林整備につきましては、帰還困難区域内の森林整備再開に向けまして、条件整備の上で本格復旧に着手していくことを盛り込ませていただきました。さらに、今回、万博でもございましたけれども、福島県材の活用、これを中高層の公共建築物においてもできないか、環境省、省庁間で情報共有することを盛り込ませていただきました。水産業につきましては、水揚げ回復、あるいは養殖生産の取組、スマート水産業の推進といったことを盛り込ませていただいております。

 風評払拭・リスクコミュニケーションについては、ワーキンググループでかなりいろいろと情報発信の重要性について御意見をいただきました。その点を基本方針に盛り込んだ上で、ここにございますように食品規制等を科学的・合理的見地から検証すること、あるいは安全性を担保された自家消費食品の摂取制限の見直しといったことを盛り込ませていただいております。以上が原子力災害被災地域についてでございます。

 右に参りまして、地震・津波被災地域でございます。昨年夏に総括をいただいたもののおさらいでございますが、まず第2期復興・創生期間において、復興事業がその役割を全うすることを目指すとの方針に基づいて取り組む、これを盛り込ませていただきました。この間、様々なノウハウが蓄積されておりますので、地方公共団体等への継承、あるいは地方創生の施策を始めとする政府全体の施策との連携を促進することとしておるところでございます。

 特に心のケア、あるいは被災した子供に対する支援、こうした中長期的取組が必要な課題については、被災地の状況を丁寧に把握して、関係省庁で連携しながら、政府全体の施策を活用するようにするということ。ソフトランディングのために真に必要な範囲であれば、これは第2期復興・創生期間の後も復興施策によって対応することを明記させていただいているところでございます。

 大きな3つ目が教訓・記憶の後世への継承ということでございます。これまでの震災・復興の記録を収集、取りまとめしていくということはもちろんでありますけれども、これを幅広く普及・啓発していくことを盛り込ませていただきました。そして、総括ワーキンググループでも特に御意見がございましたが、様々な施設、震災遺構、伝承施設の間で連携しながら、東日本大震災の記憶と教訓を後世に継承することが重要であるということを盛り込ませていただきました。以上が各分野における取組でございます。

 右下にその復興を支える仕組みとしていくつか掲げさせていただきました。まず財源でございます。年末に政府として決定した「「第2期復興・創生期間」以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向けた主な課題等」の中で整理させていただきました。次の5年間が極めて重要な期間でございますので、今の5年間以上に力強く復興施策を推進していくための財源を確保するとしておるところでございます。

 ここにございますとおり、令和8年度から5年間の事業規模は1.9兆円程度の見込みでございます。端数処理がありますので合計数が一致しませんが、岩手、宮城はそれぞれ0.1兆円程度、福島県は1.6兆円程度と、昨年、事業の基本方針の見直しに向けた課題等にも言及したように、特に福島県につきましては、次の5年間の全体の事業規模は今の5年間を十分に超えるものと見込まれるところでございます。

 次に、自治体支援でございますが、引き続き人材確保等に係る支援、それから復旧・復興事業について震災復興特別交付税による支援を継続していくということにしておるところでございます。

 さらに、組織としましては、原子力災害被災地域の最前線の復興に必要な福島復興局内の体制を整備するとともに、地震・津波被災地域に残る中長期的課題の支援に必要な復興庁内の体制を整備することとしておるところでございます。

 次の5年間ということでございますが、第3期復興・創生期間の開始から3年後を目途に、必要な見直しをしていきたいと考えているところでございます。

 以上、政府としての決定に先立ち、基本方針案について御説明をさせていただきました。この案は、各所はもとより、被災地の自治体の皆様と、丁寧に文章の表現ぶりも含めて詳細にわたって調整を重ねてきたものでございます。また、これまでいただいたいろいろな意見も踏まえて、こうしたことでまとめさせていただきました。重ねて、これまで御意見を賜ってきたことを感謝申し上げたいと存じます。

 説明は以上でございます。

○今村委員長 山野統括官、説明をありがとうございます。

 以上、議題1から4まで御説明いただきました。ただ今から、この説明に合った内容に関して、また全体に関して、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。御発言のある方は挙手をしていただきたいと思いますが、多数の場合はもしあれでしたら名前を立てていただいてもよろしいかなと思います。オンラインの戸塚さんにおいては、後でまた指示をいただければと思っております。

 時間が11時10分過ぎぐらいという限られた時間でございますが2~3分をめどに御発言をいただきたいと思います。

 まずは内堀委員からお願いいたします。

○内堀委員 ありがとうございます。

 今村委員長始め復興推進委員会の皆さんにおいては、幾度も福島県に足を運んでいただき、被災地の現状を直接御覧いただき、また、私も含めて現場の声を真剣に聞いていただきました。厚く御礼を申し上げます。

 また、2025年大阪・関西万博では、伊藤復興大臣のリーダーシップの下、復興庁及び経済産業省において、東日本大震災からの復興に関する展示を実施していただきました。先ほど大沢審議官からお話がありましたが、国内外の多くの方々が来場され、この復興の状況を実感していただいた非常に意義のある展示だったと思います。心から感謝申し上げます。

 本日から15日にかけて、東北6県が連携をして出展をしています。また、7月19日には、福島県が単独で出展をさせていただきます。県としても引き続き、本県の復興状況、様々な魅力、そしてこれまでいただいた御支援に対するありがとう、感謝の思いを国内外に向けて発信できるよう取り組んでまいります。

 今回、原子力災害被災地域に係る復興施策の現状と課題の総括及び第2期復興・創生期間以降の東日本大震災からの復興の基本方針の案をお示しいただきました。新たな復興の基本方針の取りまとめに当たっては、県や市町村の意見を丁寧に聞き取り、今後、復興を更に進める上で必要となる取組を盛り込んでいただきました。特に、事業規模及び財源については、全体として、次の5年間で1.9兆円程度、そのうち福島については1.6兆円程度と、今の5年間を大きく上回る額を確保していただくなど、本県が訴え続けてきた切実な思いに真摯に向き合い、福島の実情をしっかりと理解していただいたものと受け止めております。

 これまでの復興推進委員会の委員の皆さん、伊藤復興大臣を始め復興庁、関係省庁の皆さんの御尽力に改めて感謝申し上げます。

 引き続き、復興庁が復興の実現に向けた司令塔機能や予算を含めた総合調整機能をしっかり発揮をしていただき、福島の復興・再生に最後まで取り組んでいただくよう、お願いをいたします。

 ありがとうございます。

○今村委員長 ありがとうございました。内堀委員からでした。

 ほかいかがでしょうか。是非御意見を幅広くいただければと思います。

 もしよろしければ浅野委員から、ワーキンググループにも多数御参加いただきましたので、追加などありましたならばお願いいたします。

○浅野委員 浅野でございます。おはようございます。よろしくお願いをいたします。

 まとめることができていませんけれども、3点です。

 私が初めて2年前にこの委員会に参加させていただいたときには、交流人口という言葉がありませんでした。観光ということもなかなか使いづらい状況だったのが2年前で、この2年間の間にこうして明文化されたことというのは、大きな進歩だなと思っています。

 その中でずっと言い続けてきた福島第一原発をどういうふうに見ていくのか。私はやはりこれはイノベーションであり、世界中の方々に見ていただいて、日本の姿というか考え方を発信すべきだなということで、この部分についても書いていただいて、大きな進歩かなと思っています。あそこでは、世界で唯一無二の科学技術が醸成をされているということです。

 2点目ですけれども、交流関係定住、帰還・移住というところです。私も社員を抱えていて、やはり不安であったり、いろいろな部分で心配だったりという部分、もちろんコスト的な問題、会社として通うことができないエリアですので、そこの充実をということで、明文化していただいたのと、ソフトの充実ということです。以前、内堀知事も委員会で発言されたと思うのですけれども、あそこで働くことに憧れるとか、感動とか、うちも二十歳前後の子が十数人いますけれども、全員が働く、給料をもらいたいとかどうとかという前に、復興に携わりたいとか、日本の未来をつくっていきたいとかという面持ちで来てくれていますので、あそこで働くことがすてきなのだとかというブランド化、どんどんこれを醸成すべきかなということで、その部分も明文化していただいています。

 最後に、観光振興という文面もしっかり書かれているので、ここは非常に難しい問題があって、2つ、広域連携という問題と、それから、各省庁の縦割りに横串を刺していくという問題とあります。誰がグランドデザインをつくって前へ進めていくのかという部分で、これは委員会の方でも一度発言させていただいたのですけれども、やはりF-REIかなというふうに思っています。F-REIがどんどん活性化していくことが、おのずと交流人口にもつながっていきますし、世界唯一無二のこういう形で汚染をされた町が、こうして復活をしていくということは、日本の再生ということで自信につながるということですので、ここの強烈なイニシアチブを取れるところは、今日、最後に意見を言っていいかどうか分かりませんけれども、F-REIしかないのかなということを私は最後に述べさせていただいて、この2年間、私も現場にいた人間として、すごく前に進んだな、すごく将来に明かりが見えたなという実感でおります。

 以上です。

○今村委員長 浅野委員、ありがとうございます。

 では、小林委員、どうぞ。

○小林委員 ありがとうございます。

 私からは3点ございます。

 1点目がお金のことについてです。福島県の一事業者として、国にしっかりと最後まで責任を持って対応いただきたいという気持ちは変わらないのですが、民間のビジネスに関して、もちろん復興段階では必要なのですけれども、どうしても公金がないとビジネスが成り立たないという事例も出てきていることは否めないと思います。こうなってはいけないなという強い危機感がありまして、国の皆さんに対しては、公金を配るということだけではなくて、分配から投資へというこの制度の設計をしっかりとやっていただけたら大変ありがたいと思っております。

 2点目が、地方創生の基本構想との兼ね合いでございます。地方創生の基本構想の原案に関しては、1つ重要なKGIとして、若者と女性の意思決定プロセスへの参画というところが盛り込まれました。具体的な数字としては、人口比並みに参画をしていくということが盛り込まれております。この重要な意思決定のプロセスというものが何なのかというところにもよりますが、特に福島県においては、例えばF-REIだったり、極めて重要な意思決定の中において、しっかりと浜通りの頑張っている若者、女性の意見を盛り込んでいただきたいと思っております。

 3点目ですが、風評に関してでございます。東京ですとよくなったと思うのですが、我々も関西だったり、東京よりも西の方で福島県産の桃を販売していると、度々今でも心無い言葉を投げかけられることがございます。まだまだ東京との温度差が非常にあるなと感じているところでございまして、ここはどうしても事業者だけでは対応できない部分になってきます。

 また、桃については、日本において温暖化でこれから福島県産の生産量が日本の全体量に占める割合の中で増えていくと想定されておりまして、これからもっともっと首都圏のみでなく全国に、関西にというところも視野に入ってくると思いますので、関西での風評払拭の取組というところをもっと力を入れていただけたら非常にありがたいです。

 以上です。

○今村委員長 ありがとうございます。非常に具体的に3点御提言いただきました。万博の取組も更に継続できるといいですよね。

 ありがとうございました。

 では、山﨑委員、佐野委員。まずは山﨑委員、お願いいたします。

○山﨑委員 山﨑です。ありがとうございます。

 報告書を見せていただいて、東日本大震災の広い被災地の多様な課題に様々な形で取り組んでこられたということがよく分かりますし、方針を見ていましても、それをこれから継続させて発展させていくということはよく分かりましたので、この方針に沿って是非やっていただきたいと思うのですが、申し上げたいことはたくさんあるような気がするのですが、2つ。

 1つは、2月に福島の視察に連れて行っていただきまして、双葉町で除去土壌のフレコンを見せていただきました。そのときに町長からお話を伺った後に、環境省のアンケートとか各地のメディアが行っているアンケートの調査を見て、全くこの問題についての国民の共通理解というか周知がなされていない。ほとんどこの問題について知っている人がいないという現状を重く国としては受け止めていただく必要があると思うのです。2024年に、県外に最終処分するということは決まっていますけれども、そのための道筋も何もまだできていないですよね。しかも、放射性物質の濃度の低いものの再利用も、なかなか手を挙げてくれる他県がない。

 私の周りで聞いていても、私の周りに防災関係者はたくさんいますけれども、この問題の本質がきちんと理解されていないですよね。国を挙げてこの問題をきちんと解決するということであれば、環境省だけではなくて、全ての省庁でこの問題についての問題意識をもっときちんと周知して、みんなで議論をしようではないかということをやっていただかないと、国がやるやると書いてあっても、絵に描いた餅でもって全く進まないですよね。これが進まないと、帰還の問題にも、それから風評の問題にも大きく影響すると思います。

 14年たっても、震災前に7,000人住んでいた人が、まだ200人しか帰っていないという自治体があるという実態を、もっともっとこの国として国民が共有するような取組をきちんとやっていただきたい。これが1つです。

 2つ目は、もっと大きな日本の防災に関わる問題ですけれども、防災庁がいよいよ来年設置の運びになりそうですけれども、当初、防災復興庁という話もありました。そういうことではなく防災庁ということになりそうですけれども、最近は様々な防災の研究者の研究で、事前復興というものがとても大事だと。災害が起こる前から復興について考えておくことが、復旧や復興をスムーズにするし、しかもそれは防災にも役立つのだということが明らかになってきました。

 そうなってくると、やはり復興庁の積み上げてきたノウハウをどれだけ防災庁に突っ込んでいくのかが、この国の防災と復興の在り方を非常に大きく左右する問題だと思います。大臣がこの場にいらっしゃいますので、是非石破さんに、復興庁が積み上げてきたノウハウを防災庁の取組の中に生かしてくれということを強く進言していただきたいと一委員としてお願いしたいと思います。

 以上です。

○今村委員長 ありがとうございます。2点いただきました。

 では、佐野委員、あと山名委員、次にお願いいたします。

 どうぞ。

○佐野委員 ありがとうございます。

 ワーキンググループの総括を読ませていただきまして、今後の課題の概論の3つ目に、発信力や魅力のある若手や世界の課題解決をリードする人材の育成が更に重要と書かれております。私も全く同感でありまして、人材の育成をどうやっていくのかということは、私も福島大学に属しておりますので、日々考えているところであります。

 特に福島県に関しましては、まず大学進学時にかなり首都圏等に流出してしまうということ、また、就職のときにも流出するということで、東北の中でもかなり高い流出率と流出人数を示しています。やはり人材の育成と定着を図らなければ復興というのはあり得ないのではないかと思っております。

 そういう意味で、復興の基本方針を読ませていただきますと、人材の育成とか確保に関しましては十数か所書かれておりますし、非常に重視されているということで、ありがたいと思っております。ただ、概要を御説明いただいている中では、人材育成や人材確保という文言、また、産業化という文言は出てきておりませんでした。若者が福島に残りたいとか、あるいは福島に来たいと思ってもらうためには、そこに未来や希望があるということを是非示していただきたいと思っております。F-REIや福島イノベーション・コースト構想をどんどん発信していただいて、ここに住みたいとか、あるいはここはまだ大変だけれどもやりがいがある場所だということを是非発信していただきたいと思います。

 以上です。

○今村委員長 佐野委員、ありがとうございます。人材についてコメントいただきました。

 それでは、山名委員、お願いいたします。

○山名委員 ありがとうございます。

 まず最初に、第3期で福島に1.6兆円程度、この数字は大変ありがたい話だと思います。特に福島について言えば、極めて特殊な原子力災害の影響を受けて、非常に根底部分でまだまだ困難を極めている地区がたくさんあるということでありまして、特別な支援が必要であることは間違いありません。

 中でも、今、第2期を終えて、ハードの補充から人の活動への補充にシフトしつつあると思うのです。やはり人的なところへの支援、教育、医療、あるいは自主的に様々な活動が進んでいて、いい成果を出しているものがたくさんあります。そういう活動を絶やさないようにするような支援、こちらに充てられていくことを強くお願いしたいと思います。

 それから、2点目は、資料4-1の帰還・移住の促進のところに、「区域から個人へ」というテーマが出てきます。これは極めて大事なことでありまして、事故直後は、突如出現した汚染状況に対して、ある地域の空間線量で立入りを規制するという空間線量オリエンテッドな規制を今まで取ってきたわけです。一方、14年たってみると、その放射能の汚染と付き合うすべが住民の皆様にもうある程度分かってきているし、一律に一定の高いマージンをかけて生活を規制するのが、合理性を欠く部分がやや見えてきているところがあります。そういう意味で、特定帰還居住区域の除染を進めるとともに、一部の帰還困難区域についても、個人の放射線管理をきちんとやった上で、より実質的・合理的な活動を促進するというのは大いにあっていいだろうと思います。

 ただし、ICRPで言うところの放射線管理、個人だけで自分の放射線安全を確保するということは非常に難しいということがあると思います。個人に委ねていく上は、必ずそれをサポートできるような仕組みや制度、あるいは線量計を貸与するというような物理的な仕組み、自治体や環境省が何らかの責任を持つといったものがペアである必要があると思いますので、そこのところは是非先ほどの1.6兆円程度の中からしっかりお金を充てていただきたい。

 最後にちょっと辛口なことを申し上げます。福島イノベーション・コースト構想のところです。先日、福島イノベーション・コースト構想推進分科会において、青写真の改定の議論が行われました。そのときに、地元で積極的に活動されておられます女性の委員の方から、福島イノベーション・コースト構想の効果はまだ地元にはっきりとは伝わっていない、むしろよく知られていないという指摘がありました。これは謙虚に受け止める必要があると思います。実際にこれが雇用をつくっているか、あるいは教育の過程でキャリアパスの提示をしているかというと、そこまでまだ行っていないというのが実情です。であれば、次の第3期は、これをもっと実際的に雇用創出、産業創出につなげるという臨戦状態だと思うのです。

 ここには、実証の聖地という美しい言葉が出てきますが、それはそれで結構です。ただし、やはり浜通りは産業創出の最前線といった臨場感のある、危機感のある地域に定義していくことが福島イノベーション・コースト構想においては非常に大事であって、そういう意味では、例えば私どもが担当しています廃炉産業に地元の企業に入っていただくということは大きな経済効果、雇用を生みます。そういう生々しい場に入っていくというメッセージを是非第3期の方針には入れていただきたいと。

 以上です。

○今村委員長 ありがとうございます。専門的なアドバイスもいただいたところでございます。

 それでは、藤沢委員、あと勢一委員、お願いいたします。

○藤沢委員 藤沢でございます。

 私も4年間、福島で、福島県12市町村移住支援センターという組織のセンター長を務めておりまして、移住に関して4年間向き合ってきました。今回も移住に関しての話も組まれておりますので、向き合っていた観点から3点ほどコメントをしたいと思います。

 まず1つ目が住宅です。一般に全国的には移住は仕事の方が課題なのですけれども、この地域は、福島イノベーション・コースト構想も含めて仕事は大分つくられてきているので、実は仕事はそこまで課題ではなく、むしろ住宅の方が課題になってきているというのが1つです。

 ただ、もう少し精査をすると、例えば今週、地元紙でも、子育て世帯の移住が12市町村でこの3年で最大になった、6割増えたという報道がありましたけれども、今ではおかげさまで子育て世帯にも関心を持ち始めていただいているのですが、単身住宅よりも家族世帯向けの住宅が足りないというところがございまして、住宅がないゆえに、せっかく移住して子育て世帯で住もうと思うのだけれども、家がないから諦めるという方がいらっしゃる大変もったいない状況がありますので、住宅は大事なのですけれども、とりわけ家族世帯の住宅が大事だということをコメントしておきます。

 2つ目がコミュニティー形成のことも言っていただいておりまして、これは非常に大事だと思っております。帰還者にとっても大事ですが移住者にとっても大事で、定着という言葉がありますが、今、非常に移住者は増えているのですけれども、4年、5年とたってきて次のステップに入ってくると、一般に移住する方が定着するかどうかというのはライフステージが変わるときに決まる。仕事が変わる、あるいは御結婚される、家族が増える、そういうタイミングで家を転居する方が多い傾向がありますので、ライフステージが変わっても12市町村に住み続けたいかということをサポートすることがとても重要で、そういう意味では、コミュニティー形成の部分をどう強化するかということがこれからの課題だろうと思っております。

 最後に3点目、産業なのですけれども。今回中でもイノベ構想を始め地元企業や進出企業を更にサポートするという話も含まれておりますが、地元企業にせよ進出企業にせよ最大の課題は人手不足でして、そもそも雇用を増やすために来るわけなのですが、なかなか地域に担い手が不足しているということがございまして、せっかく工場を立地しても働き手がいなくて、12市町村にいないので福島とか仙台に募集をかけている企業もたくさんいらっしゃる状況があります。ですので、環境整備というところでハードも大事なのですけれども、移住ともつながりますけれども、同時にどうやって若い世代に関心を持っていただいて、この地域に来て働きたいと思っていただけるかと。これが産業の展開においても大事だと感じております。

 以上3点、コメントさせていただきました。

○今村委員長 ありがとうございます。住宅、コミュニティー、そして人材確保、いずれも重要です。

 ありがとうございました。

 では、勢一委員、お願いいたします。

○勢一委員 今回から委員に加えていただきました勢一です。

 私、福岡に住んでおりまして、福岡の大学に勤めています。そういう意味では、おそらく被災地から一番遠くにいる委員ですけれども、私、環境省の中央環境審議会で委員をしておりまして、実は復興再生利用の議論にも僅かながら関わらせていただいた経緯もございます。また、環境という枠組みから、福島を始め被災地に出向かせていただく機会もありましたので、少しは知っていることもあるというぐらいで、今回、報告書と基本方針案とを勉強させていただきまして、今どういう課題があって、次のステップをどうしなければいけないのかをしっかり見つめていく時期なのだというのを改めて感じました。その上で、私からは2点コメントをさせていただければと思います。

 1点目は基本方針など今後に向けての点で、かなり幅広い分野にわたる取組が示されておりまして、この取組を総体として進展させることが地域全体を向上させるために、非常に重要であるところを改めて認識をしました。

 その上で私が個人的に感じましたのは、ここで必要な取組と共通している取組は、実は人口減少対策の分野の政策にたくさんあります。日本は全国的に人口減少が進行しておりまして、地域で人やいろいろな資源が限られていく中で、どうやって地域を元気にしていくのかというところについては、ここと共通の課題なのだろうと感じました。そういう意味では、共通の対応策が使える部分もあって、全国の自治体が悩みながら創意工夫をしてきたような経験や知見であるとか、あとは人材育成、課題ですけれども、実は各地で地域を応援する人材はここ何年か増えてきていまして、例えば、他地域で地域おこし協力隊などの経験をした人たちに被災地にもお手伝いに来ていただくというような形で、人材の有効活用、共有はできるのかなと感じました。

 また、地域特性に応じた多様な支援というのも、各地人口減少していますけれども、地域は様々ですから、そうしたいろいろな地域で得られた知見や人材にこちらでも活躍していただくのは一ついい方法なのかなと感じました。

 もう一点ですけれども、改めて今回大事であると感じましたのは、国内外への発信の部分です。そういう意味では、大阪・関西万博への出展を御報告いただきましたけれども、いろいろな方に知ってもらうことがとても大事で、正しい理解が正しい評価と判断につながるという意味では、適切に発信をすることが必要です。そしてやはり風化させないことも、来年で15年というお話でしたけれども、正に今、本気で考えないといけないタイミングなのかなと感じました。

 私、福岡におりまして、福岡の大学生とこういう話をすると、無意識に知らないのです。本当に悲しいぐらい知らないのですけれども、今の二十歳ぐらいの若者がその当時何歳だったかと考えると、歴史に近い出来事に感じているところもあるようで、今の福島がどういう状況にあるのかとか、それまでに地域の人たちがどんな尽力をして、努力をしてきたのか。さらに、県外最終処分の国の責務というようなことも知らなかったのです。何度か自分の授業などでトライアルしましたけれども知らなくて、やはり全国の若い世代にしっかりアプローチをしていくこと、若い世代同士の交流も含めて、是非西日本の方にも目を向けて、いろいろ取組を進めていただけるとありがたいと思います。おそらくそれが環境再生を進める土台になると考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○今村委員長 ありがとうございます。広報に関しては御指摘いただきましたね。発信はかなり幅広くやっているのですけれども、どこまでそこを理解していただいて、周知いただくのか、広報戦略は見直す必要があるかなと思いました。

 それでは、奥野委員、お願いいたします。

○奥野委員 これまで委員の皆様方からたくさんのお話をいただいておりまして、私からは1点だけ、基本方針のところでのお願いがあります。

 それは教育について、やはり重点的に取り組んでいただけないかなと思うのです。私の専門は臨床心理学なので、心のケアが専門で、これまでいろいろな現地視察をして、今後も必要だということが分かったのですけれども、もう14年がたって、今、小学生とか中学生の子たちは経験していないのですよね。なので、やはりそういう子たちの教育、もちろん防災教育も含めて、環境問題であったりとか、そういうことをちゃんと教育していくということをこの被災地域に特化してのメリットとして、何かシステミックにできないかなと感じているのです。

 それは今まで委員の方々が人材育成ということを結構御指摘いただいているのですけれども、人材育成のためのベースというのは、教育をちゃんと行っていくというこつこつとした地道な長い努力というものの上にあると思うのです。だから、今すぐにその教育の成果がどうのというのは求めなくても私はいいと思っておりまして、でも、やはり被災地だからこその教育があるということを発信していければと思っております。

 福島とかでも、すごく素晴らしい教育をやっている学校とかも視察させていただいて、とても感動したのです。そして、教育移住ということで、いろいろな地域から福島に来ているというところはすばらしいなと思ったのです。そういうふうに教育が充実していくと、例えば人口減少であったりとか、少子化であったりとかに対応できると思います。皆さん教育がどうなのかとか医療がどうなのかというところを見て、この地域に住むかという選択があると思うので、是非防災を含めた環境問題、これからの日本、世界を背負っていく子供たちの教育ということに大きく心のケア以上、心のケアを超えたものを何かシステミックに企画していただけないかなというのは私からのお願いです。

 以上です。

○今村委員長 ありがとうございます。

 それでは、関委員。最後に戸塚委員でよろしいですか。よろしくお願いいたします。  では、関委員、どうぞ。

○関委員 ありがとうございます。

 私も福島に住んでいる人間として、そして中学生と小学生の子供がいるのですけれども、奥野委員がおっしゃったように本当に教育は大事だなと思っていまして、やはり子供たちを見ていると、被災した地域に住んでいるという意識とか、そういう県に住んでいるということとか、そういう意識はもうほとんど持っていないですし、もちろん中通りと浜通りの違いはあると思うのですけれども、全体的な教育が本当に大事だなと思っています。

 前回の復興推進委員会でも申し上げたように、それを教える先生方の育成ですとか、その先生方のケア、子供たちを見ているときは本当に大変な先生方が多いので、先生方のケアということも考えて支援していただけたらなと思います。

 ありがとうございます。

○今村委員長 ありがとうございました。

 では、戸塚委員、お願いいたします。

○戸塚委員 よろしくお願いいたします。

 まず本日、最後、大変大事な回ですのにオンラインの参加となってしまいまして大変申し訳ございませんでした。実は本日、復興庁様の被災者支援コーディネート事業が岩手の釜石の方で開催がありまして、現地の方にお伺いできないのですけれども、私自身、岩手の移住者という視点で、いくつか御意見を述べさせていただければと思います。

 正に被災者支援コーディネート事業にも代表されるように、岩手の方ですとソフトランディングといいますか、ソフト事業、心のケアをどういうふうに日常の中に落とし込んでいくかというのが重要な論点なのかなと思っております。実際この十数年の中で支援が入ったことでできたけれども、予算も含めて、人も含めて、なくなっていく事業、取組、地元のお祭りみたいなものも実際ある中で、先ほど委員の方が言及されていましたが、分配的なものではなくて、投資的な観点で地域の中で自主・自立していくことを見据えた形での予算の投資をしていければというふうな思いが1点ございます。

 2点目なのですけれども、私自身も移住者でして、今回、様々なところに移住・定住ですとか、あるいは交流人口、関係人口、二地域居住というような文言を入れていただきまして、すごく前向きに、すごくうれしく思っているのですけれども、実際過ごしてみると、よく言われるように、定住中には仕事ですとか暮らしですとかコミュニティー、これの全てが必要だよねというのは本当にそのとおりだというふうに実感しております。

 一方で、移住と定住も大分違いがあるなと思っておりまして、仕事だったりとかプロジェクト的に捉えて次のステップに進んでいく移住者も多いですし、一方で、その中で暮らしに魅力を感じて定住をしていく方もいらっしゃるという、移住・定住、関係人口、二地域居住、交流人口と、言葉としてはくくられがちなことですが、それぞれにとってどういう仕事あるいはどういう暮らしが必要なのか、そのターゲット設定ですとか、そのターゲットの方に来ていただいて、どういう働きをしていただくのか、そういった設計も細かいところでは必要になってくるのかなと感じております。

 最後なのですけれども、教訓・記憶の後世への継承というのが今後の基本方針(案)に記載していただいております。福島、宮城、岩手の3県でどういうふうに進めていけるのだろうかという連携が必要だなと思いますし、非常に私ごとなのですけれども、先日、大阪・関西万博へ行きまして、人類の未来に対してのすごく強いメッセージというか、未来の社会がこういうふうになったらいいんだろうなと自分自身すごくわくわくしまして、その感情が、先日、福島県でホープツーリズムを視察に行かせていただいたときの感情とすごく似ていて、見ているものはかなり違うものなはずなのですけれども、ただ、問いとして受け取るものが、例えば人間の在り方とか、人類が発展してきたその先とか、幸せとか、そういったすごく大きな哲学的なものを投げかけられているなという、本当に個人的な印象で大変恐縮なのですけれども、そういうことを感じました。

 福島県でも正に今、ホープツーリズムというものをやられていると思いますが、岩手、宮城に関しても、過去の出来事を伝承するのではなくて、未来に向けての問いですとか、現在、現時点でいろいろな課題がある中、試行錯誤しているそのプロセス自体を見ていただき、そこに関わっていただくというような、伝承だけではなく、それを拡張した交流人口、関係人口の創造というところを目指した伝承の取組が3県一緒に取り組んでいけるといいのかなと思いました。

 以上です。

○今村委員長 戸塚委員、ありがとうございました。

 全ての委員からコメントをいただいたわけでございます。今回も非常に貴重な御意見をいただきまして、この基本方針、賛同いただきながら、更にステップアップしなければいけない項目を具体的に挙げていただいたと思っております。人づくりであったり情報発信、最後キーワードで投資というのをいただいたのですけれども、我々はよく理解して、何が投資として値するのか、これは未来の投資ということだと思うのですけれども、こちらも議論していく必要があるかなと思いました。

 大変ありがとうございました。

 それでは、5番目ということで、3県から報告をいただきたいと思っております。順番としては、岩手、宮城、福島ということでお願いしたいと思います。

 まずは岩手県の報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○八重樫副知事 岩手県でございます。

 東日本大震災津波からの復旧・復興に当たりましては、委員の皆様や復興庁、そして国内外の皆様から多くの御支援をいただき、感謝を申し上げます。

 「岩手県の復興の現状と中長期的に取り組むべき課題」について報告させていただきます。

 資料5-1の2ページを御覧ください。

 まず復興の現状でありますが、本県では、復興を県政の最重要課題とし、誰一人として取り残さないという理念の下、復興推進プランに掲げる4本の柱に基づく復興の取組を進めています。

 一方で、下段に記載のとおり、支援の継続が必要とされる中長期的な課題もあり、本県としては、引き続き国と連携し、取組を進めていきたいと考えています。

 3ページを御覧ください。課題の1つ目、心のケア等の被災者支援であります。

 被災者の心のケアにつきましては、依然として、被災者の心の不調には震災の影響が認められるほか、本県の沿岸市町村は精神保健医療体制が極めて脆弱でありますことから、被災者の心のケアに特化した支援体制の継続が求められています。

 また、被災者の生活相談支援については、いわて被災者支援センターにおける相談対応回数が開設当初の2倍を超えており、債務整理や家族間の問題など、震災との因果関係が認められる相談が多数寄せられています。

 4ページを御覧ください。課題の2つ目、被災した子供たちへの支援であります。

 県が毎年実施しています心と体の健康観察では、サポートを必要とする児童・生徒の割合が内陸部に比べ沿岸部で高い状況が続いています。被災による心のダメージはもとより、震災に起因した家庭の経済環境、居住環境の変化等の影響を受けている児童・生徒もいることから、中長期的な対応が必要となっています。

 5ページを御覧ください。課題の3つ目、水産業の再生であります。

 サケやアワビなどの漁獲量は震災前と比べて大きく落ち込んでおり、いまだ震災前の水準まで回復していない状況であります。水産業は被災地の基幹産業であり、その基盤となる水産資源の回復に向けて、支援の継続が必要であります。

 6ページを御覧ください。課題の4つ目、移転元地等の活用に向けた地方創生施策等の活用であります。

 本県では、移転元地の活用が6割にとどまっており、さらなる活用促進により経済活性化を図る必要がありますが、近年、被災地では、国の交付金や補助金を活用した優良事例が生まれています。こうした移転元地の活用促進においては、復興庁による伴走支援機能の充実強化が重要と考えており、特に地方創生施策等の活用においては、国と沿岸市町村が直接情報共有や意見交換を行う場が必要と考えています。

 7ページを御覧ください。課題の5つ目、原発事故に伴う放射線影響対策であります。

 上段、廃棄物処理等については、農林業系副産物の保管や処分に当たり、長期に及ぶ支援が必要であります。

 下段、農林水産業被害等については、県南部の原木材が放射性物質の影響で使用ができず、原木価格の高騰が続いている状況でありますことから、原木シイタケの産地再生に向けて、原木の購入経費や原木材の再生、原木の供給体制の強化などへの支援の継続と検査体制の維持が必要であります。

 8ページを御覧ください。課題の6つ目、震災の伝承・発信についてであります。

 年月の経過により、震災の記憶や経験がない世代が増加しており、アンケート調査によれば、5割を超える回答者が、震災の風化が進んでいる、やや進んでいると回答しています。また、被災語り部ガイドの利用者数もピーク時と比較して大きく減少しており、情報発信の強化など、風化防止の取組が必要であります。

 9ページを御覧ください。

 岩手県では、今年3月に「IWATE TSUTAERU」というウェブサイトを公開しました。このウェブサイトでは、県内の伝承施設や団体、実施プログラム、教育活動での利活用モデルなどを広く紹介しています。委員の皆様、復興庁の皆様におかれましては、本ウェブサイトの活用が図られるよう、機会を捉えて広く周知していただければ幸いであります。

 以上で岩手県からの報告を終了いたします。

○今村委員長 大変参考になる報告でありました。ありがとうございました。

 それでは、宮城県、伊藤副知事、お願いいたします。

○伊藤副知事 宮城県の伊藤でございます。

 今村委員長始め委員の皆様、伊藤復興大臣始め国の皆様には、被災地の復興に御尽力いただきまして、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。

 本日は、宮城の現状の御報告と、第2期復興・創生期間以降も支援が必要である課題についてお話をさせていただきます。

 資料5-2を御覧いただきます。

 初めに、めくっていただきまして2ページです。被災者の心のケア、見守り・相談支援であります。

 被災者の心のケアについては、令和7年度、今年度でみやぎ心のケアセンターを閉所いたしまして、地域の精神保健福祉活動に移行することとしております。しかし、被災地域において心のケアの問題に取り組むためには、保健師や精神保健福祉士などの専門人材の確保と育成が必要であります。また、高齢化・孤立化が進む災害公営住宅では、見守り活動や生活、健康相談のニーズは引き続き高く、第2期復興・創生期間以降の支援体制について検討が必要な状況であります。

 心のケア、見守り・相談支援などは、各自治体の実情に合わせた一般施策へのスムーズな移行を図るための御支援が必要であります。

 次に3ページをお願いいたします。水産業の復興であります。

 本県の水産業については、処理水の海洋放出に伴う一部の国や地域からの輸入規制に加え、海洋環境の変化や事業コストの上昇など、様々な要因により依然として厳しい状況に置かれております。特にアワビ等については単価下落により収入が不安定なため、安定生産に向けた種苗の生産、放流体制の維持・強化が必要であります。

 私たち宮城県でも、沿岸被災地域の基幹産業であります水産業の復興は大変重要な課題であります。

 禁輸措置については、本県を含む10都県で、中国による輸入規制が継続されておりますことから、他の国・地域を含む輸入規制の全面撤廃に向けたさらなる働きかけや風評対策が必要でありますので、よろしくお願いいたします。

 また、基本方針(案)に記載されておりますとおり、廃炉及び処理水の処分が完了するまで、事業者が安心してなりわいを継続できるよう、政府全体として責任を持って取組をお願いいたします。

 4ページ、廃棄物の処理と除去土壌についてであります。

 8,000ベクレル以下の汚染廃棄物は、保管市町の実情に応じた処理を進めておりますが、処理主体である市町の負担軽減と取組推進のため、引き続き財政的・技術的支援が必要であります。

 また、指定廃棄物は、課題解決までの安全な保管管理の徹底や、減衰し処理可能となったものの処理先の確保等について、国が前面に立って実施していくことが望まれております。

 除去土壌等については、現在も7つの市町で保管を継続しておりますが、処分を進めるためにも、処分の必要性や安全性について、国民の理解醸成に向けた取組等を推進いただくことが重要であります。

 5ページ、災害援護資金です。

 災害援護資金については、昨年度から順次、借受人から市町への償還期限を迎えております。高齢化や生活困窮等を理由とする未償還案件が多数発生しておりまして、債権管理の長期化が見込まれます。4月の政令改正によりまして、履行期限の延長手続が緩和されましたが、債権の回収や未償還額の縮減に向け、延長期間の早期の提示、免除特例にある無資力等の定義の明確化、償還免除の対象拡大などが必要となっております。

 あわせて、市町の負担軽減のため、債権管理にかかるコストや償還免除に係る県負担に対する財政支援が求められております。

 最後に6ページであります。伝承活動の継続です。

 震災の記憶の風化とともに、伝承団体や施設の活動運営資金の確保、伝承活動の担い手となる人材の育成などが課題であります。今後起こり得る大きな災害に備えるため、震災を知らない若者世代に向けた防災教育や伝承活動は非常に重要なことでありますことから、取組継続のための財政的な支援が必要であります。

 結びに、発災からこれまでの間、国や関係機関の皆様から多大な御支援を賜り、復興の完了に向けて取り組んでまいりましたが、今後も、復興の完了に遅れが生じることのないよう、政府全体の施策の中での御支援をいただきますよう、お願いいたします。

 また、国の組織の見直しも図られるということで、具体的には基本方針(案)において復興庁内に整備するということであります。引き続き、被災地の声に耳を傾けていただきまして、迅速にワンストップで対応できる体制についてよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○今村委員長 伊藤副知事、ありがとうございました。

 最後の伝承の話も、若者、また人材確保、教育につながるかなと思いました。

 最後は内堀委員、お願いいたします。

○内堀委員 福島県です。

 初めに、先ほど復興推進委員会の委員の皆さんお一人お一人から非常に重要な御意見をいただきました。国の施策にとっても大切な意見でありますが、県の施策にとっても参考にすべき部分が多々含まれておりますので、是非皆さんの貴重な御意見を大切に、県の施策に反映していきたいと考えております。ありがとうございます。

 それでは、お手元の資料を1枚めくっていただきまして、右上にページがあります。1ページをお願いします。下段の方で赤い字になっている部分、こちらを追っていただければと思います。

 廃炉に向けた取組が、安全かつ着実に進められることは福島県復興の大前提です。廃炉と汚染水・処理水対策は、日本全体の問題であることから、国が前面に立ち、政府一丸となって万全な対策を徹底的に講じ、最後まで全責任を全うしていただくことが必要です。

 また、除去土壌等の県外最終処分は、法律に定められた国の責務であり、処分完了の期限である2045年3月まで20年を切っています。政府一丸となって、最後まで責任を持って取り組んでいただく必要があります。

 2ページをお開きください。

 避難地域の復興においては、帰還困難区域の再生のほか、避難指示が解除された地域の住宅環境や移住・定住の促進と、生活環境整備を充実させる必要があるとともに、これを支える人的支援の継続が重要です。特に福島再生加速化交付金や福島生活環境整備・帰還再生加速事業については、継続して事業を行うことが重要です。また、生活再建のステージに応じた支援が必要であり、心のケアなど被災者の実情を踏まえた柔軟な取組が重要です。

 3ページをお願いします。

 帰還困難区域の復興・再生に向けては、特定復興再生拠点区域の整備に取り組む必要があり、また、特定帰還居住区域の除染等の取組を進めることが重要です。また、道路ネットワークの強化や砂防施設、河川の整備等、インフラの整備・修繕が重要です。国は帰還困難区域全てを避難指示解除し、復興再生に最後まで責任を持って取り組んでいただく必要があります。

 4ページをお願いします。

 福島イノベーション・コースト構想を推進するためには、産業集積を図るとともに、「復興知」等の構想を支える人材育成に資する取組が重要です。加えて、今般改定された青写真に基づく取組をしっかりフォローアップし、本構想の効果を県全体に波及させることが重要です。F-REIについては、地域に根差し長期安定的に運営していくことが重要です。

 5ページをお願いします。

 産業集積及び働く場の確保が重要であり、企業立地補助金について、地域の実情を踏まえた運用とする必要があるほか、福島新エネ社会構想を実現するため、再エネのさらなる導入拡大などが重要です。

 農林水産業については、生産から消費に至る総合的な対策が重要であるとともに、水産業については、生産回復が大きく立ち後れている現状を踏まえた取組が必要です。

 避難地域の農業の復興・創生に向けては、令和8年度以降も営農再開と競争力のある産地化に向けた取組をハードとソフト両面から一体的に推進する必要があります。

 6ページをお願いします。

 県産品の価格差が震災前のポジションに戻らないまま固定化されているなど、いまだ根強い風評が残っており、継続して長期的な風評・風化対策に取り組む必要があります。

 このため、「福島ならでは」のブランドの確立や観光業への支援など、幅広い業種に対する風評対策が必要です。加えて、輸入規制撤廃等に向けた働きかけ、輸出促進の支援等が重要です。

 最後に7ページをお願いします。福島の復興・再生は中長期にわたる長い戦いであり、課題は現在進行形で生じています。福島の復興は内閣の最重要課題とされており、政府において決して震災を風化させることなく、国の社会的責任の下、国が前面に立って最後まで取り組むことが必要です。

 今後も中長期にわたる継続的な取組に加え、復興の進捗に伴って生じる新たな課題やニーズへも対応していかなければならない中で、次の5年間は、避難者の帰還等の取組を一層進めなければならない極めて重要な期間であり、これまで以上に力強い取組が必要です。

 令和8年度予算はもとより、今後も十分な財源と枠組み、復興を支える制度を確実に確保していただくようお願いします。その上で、新たな復興の基本方針に基づき、取組を着実に実行していくことが重要です。

 今後とも現場主義を徹底し、福島の復興・創生に向けた取組を一体的・中長期的に推進することが不可欠です。

○今村委員長 内堀知事、ありがとうございました。

 3県から現状を報告いただきました。大変ありがとうございます。

 本日の推進委員会では、改めて今の復興の状況を共有していただき、また、貴重な御意見をいただいたところでございます。改めて感謝申し上げたいと思います。

 復興庁におかれましては、本日いただいた意見を踏まえて、復興の政策に是非参考にしていただき、取り組んでいただきたいと思っております。

 本日、令和8年からの次の5年の基本方針、御説明いただき御議論もいただきました。第3期という言葉は、この委員会の中では初めて出てきた言葉だと思います。今後とも是非復興への御支援をいただきたいと思います。

 本日の議事要旨は速やかに公表させていただきたいと思います。議事録も公表となりますので、委員の皆様においては御確認の御協力をいただきたいと思います。

 それでは、以上をもちまして、第47回復興推進委員会を終了いたします。大変ありがとうございました。

 (以上)

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