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第43回復興推進委員会議事録

第43回復興推進委員会 議事録

 

1.日 時:  令和5年11月22日(水) 10時29分から11時46分まで

 

2.場 所:  中央合同庁舎第4号館4階共用第2特別会議室(オンライン会議併用)

 

3.議 事  

 (1) 令和5年度・現地調査の報告について
 (2) 令和5年版「東⽇本⼤震災からの復興の状況に関する報告」(国会報告) について
 (3) 帰還困難区域の避難指⽰解除に向けた取組について
 (4) 3県からの報告

 

4.出席委員等(敬称略)

 今村 文彦   東北大学災害科学国際研究所教授 【委員長】
 白波瀬 佐和子 東京大学大学院人文社会系研究科教授 【委員長代理】
 浅野 雅己   浅野撚糸株式会社代表取締役社長
 内堀 雅雄   福島県知事
 奥野 雅子   岩手大学人文社会科学部教授
 奥山 修司   福島大学経済経営学類教授
 小林 味愛   株式会社陽と人(ひとびと)代表取締役
 関 奈央子   ななくさ農園・ななくさナノブルワリー
 戸塚 絵梨子  株式会社パソナ東北創生代表取締役社長
 藤沢 烈    一般社団法人RCF代表理事
 山﨑 登    国士舘大学防災・救急救助総合研究所教授
 山名 元    原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長
 佐藤 隆浩   岩手県復興防災部長 ※達増拓也岩手県知事代理出席者
 千葉 章    宮城県復興・危機管理部長 ※村井嘉浩宮城県知事代理出席者

5.議事録
○今村委員長
 皆さん、おはようございます。ただいまより、第43回「復興推進委員会」を開催いたします。委員長の今村でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様、また、高木副大臣、平木副大臣、平沼政務官、本田政務官、吉田政務官、加藤政務官におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして大変ありがとうございます。
 まずは会議の開会に先立ちまして、高木副大臣より御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○高木副大臣
 どうも皆さん、おはようございます。9月に副大臣を拝命しました高木でございます。着座にて御挨拶させていただきます。
 令和5年度2回目の復興推進委員会で、委員の皆様には本当にお忙しい中、御出席をいただき、本当にありがとうございます。また、今村委員長をはじめ委員の皆様には、日頃から復興に多大なる御尽力をいただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。
 発災から12年と8か月。今、土屋大臣を筆頭に政務三役も頻繁に被災地に入らせていただいて、現場の生の声を聞かせていただいております。復興の状況を一言で言いますと複雑多様。例えば、同じ町でも避難指示が早期に解除された地区とそうでない地区で大きな差がございます。特に、原子力災害からの復興・再生はようやく本格的に始まったばかりということで、国が前面に立って中長期的に取り組んでいかなければいけないと考えております。
 今年の8月にはALPS処理水の放出がございました。また、先般の法改正で、特定帰還居住区域の制度に基づいて大熊町と双葉町の一部の区域において計画が認定になるなど、前回の会議から新しい動きもございます。今日はその辺も含めて、国会報告の案についても御報告がありますし、委員の皆様が被災地を御視察されたことも報告されると伺っております。復興施策全般について、忌憚のない御意見をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○今村委員長
 高木副大臣、大変ありがとうございました。それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道機関の方は退室をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 本日は2名の方が代理でございます。岩手県の佐藤復興防災部長が達増委員の代理で、また宮城県の千葉復興危機管理部長が村井委員の代理で出席されております。本委員会の運営要領第3条第1項に基づきまして、委員の代理として本委員会に出席されることを承認したいと思います。よろしくお願いいたします。
 なお、本日の会議もライブ配信で一般の方、また報道機関の方に、同時に視聴していただいております。また、報道機関の方には会議の撮影及び報道の使用を許可しておりますので、御了解、御承知いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。先ほど高木副大臣から御紹介がありましたとおり、本日は3つの議事がございまして、4つ目が3県からの報告でございます。
 まずは、先般実施しました3県の現地調査について、3名の委員からそれぞれ御報告をいただきたいと思います。また、国会報告になりますが「東日本大震災からの復興の状況に関する報告」、この案について事務局から説明をいただきます。また、帰還困難区域における避難指示解除に向けた取組ということで、本日までの状況を事務局から御報告をいただく予定でございます。最後が3県における復興の取組ということで、3県の出席者からそれぞれ報告をいただきます。
 御説明、御報告の後、まとめて委員の皆様から意見交換をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日も限られた時間でございますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議事の1に移ります。本委員会では、今年の10月及び11月にかけて被災3県の現地調査を実施いたしました。その結果について参加いただきました委員を代表して、浅野委員、戸塚委員、藤沢委員より、順次報告をお願いしたいと思います。
 なお、手前にマイクがございますが、できるだけ近づいてお話しいただくと記録等が正確になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 浅野委員、お願いいたします。

○浅野委員
 おはようございます。浅野でございます。よろしくお願いいたします。
 現地調査は10月5日に宮城県に行ってまいりました。資料の1-1の1ページから説明をさせていただきます。調査には今村委員長をはじめ、計6名の委員で行ってまいりました。松島町、塩竈市、仙台市を訪問し、行程を①~⑤の順で計5か所の視察を行いました。
 2ページ、まず、松島町では観光協会の方の案内で瑞巌寺から松島海岸までを徒歩で視察した後、観瀾亭において観光の現状等について説明をお聞きし、意見交換を行いました。意見交換では、団体旅行が減少する一方で個人旅行が増加するなど、コロナ禍後、観光形態が変化していることや、インバウンドのアジア系への偏りや冬季の観光客減少など、今後に向けた課題も聞くことができました。印象的だったのは、松島エリアは津波の被害が非常に少なかったという島が点在していて、これもう一つの大きな観光の要素になるのかなと感じました。
 続いて、塩釜水産物仲卸市場というところに行ってまいりました。市場内を視察しつつ、復興庁の新ハンズオン支援事業により開始された「朝勝」の取組等について説明をお聞きしました。その後、会議室に移動し、塩竈市長及び水産関係者と意見交換を行いました。意見では、ALPS処理水についての情報発信の在り方や販路開拓等のきめ細かな支援をいただきたい、また、「三陸・常磐もの」について地域・県域が一体となったブランディングが必要ではないかというお話もいただきました。また、外部から来た若者による新たな視点でのアドバイス・チャレンジの重要性など、非常に活発な意見交換がなされました。主要魚種の不漁など厳しい状況の中にあっても、明るく前向きに取組を進められておられる市場関係者の姿が非常に印象的でしたが、片や、やはり漁業の後継者問題も非常に深刻であることもお伺いできました。
 次に、震災遺構である仙台市立荒浜小学校です。学校内を視察しつつ、語り部のお話や仙台市の震災伝承の取組についての説明をお聞きし、意見交換を行いました。意見交換では、丁寧な意向調査や合意形成など震災遺構を残す際のプロセス、中長期的に伝承を継承していく上での課題、語り部などの人材確保・育成などが話題に上がりました。荒浜小学校が単なる震災遺構でなく、荒浜地区で育った方々が定期的に集まり、当時の思い出などを語り合う拠点にもなっているという点が非常に印象的でした。
 3ページ、次に移転元地を活用して開設された大規模観光農園であるJRフルーツパーク仙台あらはまを視察しました。ジョイント栽培など新たな技術を取り入れたナシの栽培状況を視察するとともに、事業者の方からこれまでの成果と課題について説明をお聞きし、意見交換を行いました。意見交換では、インバウンド増加のための工夫、福島の原子力災害被災地地域における同様の取組の可能性、教育旅行等で市外・県外の子供たちを呼び込むための取組などが話題に上がりました。
 次に、宮城復興局仙台支所において、心のケアを中心として被災者支援の取組について説明をお聞きし、意見交換を行いました。意見交換では、震災から12年以上が経過する中で、相談内容の変化、震災特有の悩みと現代社会一般の悩みとの線引きが必要ではないかというお話もいただきました。一般施策への移行等に向けた取組状況、受け皿となる市町村等の保健師などの人材育成などが話題に上がりました。
 以上、5か所について視察を行いました。限られた時間ではありましたが、観光、水産業、震災伝承、移転元地の活用農業、被災者支援といった重要なテーマについて、現場で努力をされている方々のお話を直接お伺いすることができ、大変貴重な経験をさせていただきました。
 ここからは浅野個人の感想というか意見を述べさせていただきます。災害から12年以上の時間を経て、宮城、岩手両県への国としての復興支援の役割を意欲的に継続する難しさを感じました。唯一というとちょっと語弊がありますが、私が感じた大きな可能性としてはやはり交流人口拡大です。今、インバウンドでオーバーツーリズムという言葉がありますけれども、次はどこが手を挙げていくかというところで、5つのポイントでこのエリアに呼び込む可能性があるのではないのかなというのを感じております。
 1つ目は連携です。地域3県、常磐・三陸ラインの連携が今のところうまくいっていないなと思います。やはりこの3県が一つになることと、もう一つは、国、県、市町村、各種民間団体の「連携」がキーワードになってくると思います。
 それから、リーダーです。今の言葉でいうクリエイティブディレクターというのか、組織というのか、こういうところを戦略的に引っ張れるリーダー組織が必要かなと思っています。
 あとは民間活力です。もう既にJR東日本さんが復興ツーリズムというのを立ち上げておられますので、観光会社、ホテル、イベント会社、そういったところへの国としての支援が必要ではないのかなと思っています。
 4つ目は、もともとこのエリアは観光資源がありました。そこに未曾有の津波の被災という、これも観光資源です。さらに世界が一番見たいのは復興していく姿です。これは日本の一つの魂というのか、この3つをしっかりとアピールしていくことによって、日本屈指の観光地というのか、インバウンドの可能性を秘めているなと思っています。宮城県単独ではちょっと遅れるかなと思っています。
 最後にお願いしたいのは、やはりこういうところに大胆な予算をつけていいただくことが、3県が今後、新しいフェーズに入っていますので、大きく変わっていくのではないのかなということを感じさせていただきました。
 以上でございます。

○今村委員長
 浅野委員、ありがとうございました。特に、最後に5つのコメントをいただきまして、交流人口につきましては前回の第1回の委員会でも非常に重要な項目として挙がってございます。ありがとうございました。
 それでは、福島県視察に関して戸塚委員からお願いいたします。

○戸塚委員
 よろしくお願いいたします。福島県の現地調査について報告をさせていただきます。福島県の現地調査は10月25日水曜日に実施し、今村委員長をはじめ、計8名の委員が参加いたしました。大熊町、双葉町、浪江町を訪問し、行程の①~⑦の順で計7か所の視察を行いました。
 2ページ目、まず、大熊町では今年の4月に町内での学校再開を果たした学び舎ゆめの森を視察いたしました。ここは認定こども園を併設した小中一貫校で、2学期から新校舎での授業が開始されています。自然と学びたくなるような仕掛けが施された空間で、子供たちが伸び伸び活動している姿が印象的でした。校長先生との意見交換では、特徴的な校舎や少人数制であることなどを生かした特色ある教育についてお伺いしました。この学校に入るために転入者も増えているということも伺いました。また、子供たちが地域コミュニティーづくりを担う大きな存在であること、学校の教育活動を通じた地域全体の復興への貢献についてお話を伺ってまいりました。
 次に、先般の法改正に基づき、9月に計画の認定が行われた双葉町の特定帰還居住区域を視察いたしました。12年前、3月から時が止まったかのような荒廃した家屋ですとか、鬱蒼と生い茂る雑草などを目の当たりにしまして、いまだ帰還や居住を行うことができない地域が依然として存在しており、引き続き避難指示解除に向けた取組を早急に進めていかなければならないと改めて実感いたしました。
 その後、双葉駅に移動しまして、駅の西側に建設されている災害公営住宅など街の様子を視察いたしました。住宅の整備及び入居が進み、本年2月には新たに診療所も開所するなど、拠点区域における復興が着実に進展していることを感じることができました。特に、入居者のうち6割を移住者が占めているという点が印象に残っております。
 次に、浅野委員が社長を務めておられる浅野撚糸が本年4月に双葉町にオープンした工場を視察いたしました。タオルショップやカフェが併設されており、各種イベントの実施などを通じて、地域内外から人々が集う拠点となる施設であることを肌で感じました。浅野委員からは、世界に誇れる特許技術による撚糸の製造などについて、熱意のこもった説明をいただきました。特に双葉町から世界へと、町の復興とともに自社の躍進を目指していらっしゃる浅野委員の言葉には大変感銘を受けました。また、人口の少ないこのエリアにおいては、人材採用についての課題も大きいと伺っております。地元の人材や移住人材の採用促進、そして今後、双葉町の復興を目指す中での交流人口というのは非常に重要なものであると思いましたし、拡大を牽引していかれる企業であることを強く実感いたしました。
 3ページ、次に浪江町に移動しまして、有限会社柴栄水産を視察いたしました。活魚が飼育されている生けすやオーダーメードで製造された加工設備を見学しながら、社長から震災後の施設復旧や水産業の現状、柴栄水産の取組などについてお話をお伺いしました。
 続いて、震災遺構の請戸小学校の視察を行いました。請戸小学校は、津波被害の痕跡が色濃く残る福島県内唯一の震災遺構で、震災時には素早く機転を利かせた避難により全員が無事に助かったというところでもあります。町の担当者の御案内で、津波被害を受けた校舎を見学しつつ、震災時の避難の様子や防災教育・訓練の重要性についてお話を伺ってまいりました。
 最後に、福島国際研究教育機構の仮事務所に訪問し、本施設予定地についての説明や研究開発の取組状況についての説明をお聞きし、山崎理事長と意見交換を行いました。意見交換では、サイエンスコミュニケーターなどによる分かりやすい情報発信、地域の現場が抱える課題の積極的な把握と対応、農業をはじめ地域に根差した研究開発の推進、F-REIが交流人口拡大等にも寄与することへの期待、学校教育、子供たちの学びへの関与・貢献、福島だけでなく岩手・宮城との連携の必要性などが話題に上がりました。
 以上、7か所について視察を行いました。限られた時間ではありましたが、原子力災害被災地域における復興の進展と今後の課題等について幅広く把握することができ、大変貴重な経験となりました。
 最後に、私自身が個人的に感じたところも述べさせていただくと、特に福島県は人口がゼロになった町の復興というのを生で拝見させていただきまして、率直な感想としては、活力というか、これから始まっていくのだというようなエネルギーをすごく感じた場所でした。世界的に類を見ない被害だったところでもありますが、一方で、大熊町の学び舎もそうですし、浅野撚糸さんもそうですし、教育・産業面で世界に注目されるような、これまでにない取組をしていくところ、あとはF-REIのような研究機関がこれからどんどん飛躍していく場所なのではないかという希望も感じるような場所でした。
 一方で、帰還や居住ができない場所も依然としてあって、正直、その差には逆にどうしていいのか分からないような感情になった場所でもあります。帰還や居住を開始した場所においても、新しいコミュニティーをつくるところでの移住者と帰還者の分断があるということも知りましたし、また、水産会社では、復興の推進のさなかでALPS処理水の問題があって、また大きな課題に直面しているという話も伺いました。
 こういった希望と、対応していかないといけない厳しい現実があるという両面を見ながら感じたことは、先ほど浅野委員もおっしゃられていましたけれども、交流人口や移住人口もそうですけれども、復興を遂げていく姿ですとか、様々な取組・新しい取組をここから始めているという福島の姿を世界の人に見てもらうこと、日本国内だけではなく世界に発信していくことが改めて重要なのではないかと感じました。
 また、私が岩手にいる身として感じるところとしては、福島県のエネルギーをすごく感じておりまして、これから宮城と岩手、被災3県の連携とかオール東北という観点で、逆に宮城や岩手を引っ張ってもらうような形で、復興の中心となりながらオール東北で世界の人たちを呼び込むことにつなげていけないかなということを強く感じた視察でございました。
 以上です。ありがとうございます。

○今村委員長
 戸塚委員、ありがとうございます。1日で7か所ということで盛りだくさんだったのですけれども、今、報告いただいたとおりでございます。特に教育のための移住というのは、今回の視察で初めて拝見させていただきました。ありがとうございます。
 それでは、3県目でございまして、岩手県の視察は1泊2日ということでございます。藤沢委員から報告をお願いいたします。

○藤沢委員
 委員の藤沢でございます。まず、視察に当たりまして、受入れ自治体と事務局には多大な御協力いただいたことを感謝申し上げます。それでは、岩手県の現地調査について、資料に沿って報告をさせていただきます。
 岩手県では、11月8日~9日に視察を実施いたしまして、今村委員長をはじめ、6名の委員が参加しております。資料のように陸前高田、大船渡、釜石、大槌を順に訪問しておりまして、2日にわたって視察を行っております。
 3ページ、まず高田松原津波復興祈念公園で献花・黙祷をした後に、東日本大震災津波伝承館を視察しております。その後、県・市の担当者を交えて、震災伝承活動や観光・交流人口拡大に関しての意見交換を行っております。その中では、交流人口から移住・定住につなげていくための方策、防災教育・防災コミュニティーの重要性について話題に上がっております。
 2番目、3.11仮設住宅体験館を訪問しまして、仮設住宅の様子を視察させていただきまして、どのような生活をされていたのか、また避難所の状況についての説明を伺っております。
 3番目、鎌田水産大船渡工場を訪問しまして、漁業・水産加工業の課題について意見交換を行っております。意見交換の中では、やはり処理水の放出による輸出への影響でしたり、販路開拓、人材確保の対応などの御苦労などについてお話を伺っております。
 ページをおめくりいただき、4番目、リアスターファーム浦浜農場さんを視察しております。こちらは環境整備技術を活用しながら夏イチゴを栽培しておりまして、担い手の育成に取り組んでいる様子なども伺っております。
 5番目は2日目になりますけれども、最初に岩手県釜石地区合同庁舎で、震災での経験を基に導入された水門・陸こう自動閉鎖システムについて説明いただきまして、システム操作や遠隔で陸こうの様子が見える様子なども見学をさせていただいております。
 6番目、平田地区生活応援センターに伺いまして、釜石における被災者支援の取組について説明を伺い、意見交換を行っております。そうした中で、令和8年以降の一般施策に移ったときの被災者支援の事業の在り方について御意見をいただいたり、あるいは移住者・短期滞在者の果たす役割、地元コミュニティーとの連携などについてお話を伺っております。
 5ページ、うのすまい・トモスを訪問しております。こちらでは、先週17日に退任された野田市長に御案内いただきまして、釜石祈りのパークで献花・黙祷した後、震災当時は中学生で災害を経験された語り部の方の説明を伺って、いのちをつなぐ未来館について視察を行っております。
 8番目、釜石市立双葉小学校を訪問しまして、防災教育の取組について説明をいただいた上で意見交換をしておりまして、津波や地震を恐れる子供への防災教育の在り方、伝承施設を訪れることへの教育的な意義といった点をお話ししております。
 ページをおめくりいただき、大槌町旧民宿あかぶ跡地及び旧大槌町役場跡地を訪問しまして、こちらでは写真もありますけれども、ARアプリを使った被災状況の再現について見させていただいております。また、大槌町では、被災者感情や維持管理費などを踏まえて震災遺構を全て解体したけれども、このアプリを通じて見ることができるという様子を伺いました。
 最後に11番目になりますが、大津町文化交流センターおしゃっちを訪問しまして、町担当者と震災伝承についての意見交換を行っております。そうした中で、伝承活動を通じて外部から人を呼び込む工夫や課題、またデジタル技術の活用の重要性などについてお話をいただいております。
 以上、1泊2日で11か所について視察を行っております。
 ここから私の所感を3点申し上げますと、1点はALPS処理水の影響についての対応が課題なのであろうと思います。やはり宮城もそうだと思いますが、輸出されているというところで事業者さんが影響を感じておられて、こういった水産事業者さんは災害から復興されて事業をされていますので、この処理水の影響でダメージがないようにサポートを継続することが大事だろうと感じました。
 2点目は、岩手沿岸は軒並み人口減が大きな課題になっておりまして、震災前から比べると全体で2割減っている地域です。そうした中で人口減少に対応するために、交流人口の話もありましたけれども、やはり実際に移住する方の呼び込みがこの地域の復興のためには大変大事だろうと感じております。
 3番目が、岩手であっても震災の風化、あるいは防災意識の低下が課題になっております。そうした中で、伝承施設が教育上も非常に有効になっていることを感じましたので、複数ある伝承施設に連携いただきながら、さらに発展し、有効活用することが大変大事だろうと感じました。
 以上、現地報告とさせていただきます。

○今村委員長
 藤沢委員、ありがとうございました。最後の震災遺構、また防災意識の対応は、連携という言葉も出まして、3県共通のキーワードになるかなと思っております。大変ありがとうございました。
 3名の委員からそれぞれ詳細に報告をいただきました。予定より少し押しているので、これからの報告は短めにお願いできれば幸いでございます。
 それでは、議事の2に移りたいと思います。こちらは国会報告でございまして「東日本大震災からの復興の状況に関する報告」ということで、宇野統括官から御説明をお願いいたします。

○宇野統括官
 資料の2-1を御覧ください。これは「東日本大震災復興基本法」に基づきまして、政府として毎年国会に報告することが義務づけられているものでございます。今回は、令和4年10月~令和5年9月の間の状況を中心に取りまとめております。あわせまして、閣議決定されております現在の基本方針のフォローアップも兼ねる形になってございます。
 5年版の特徴のところを御覧いただきますと、かなり構成を変えております。まず一般の白書に似たような形で特集ページを設けております。後で御説明しますが、今回、F-REIの設立がこの4月にありましたのでF-REIの関係、ALPS処理水の放出の関係を2つのテーマとして取り上げてトピックスという形でまとめております。あと、今まで復興の現状と復興の取組がごちゃごちゃとしていたところを整理いたしまして、分野・テーマごとに内容が把握できるような形にしております。最近1年間の主な動向の新設と、データ関係は巻末に集約したということでございます。今後、白書という形でネーミングを変えまして公表していきたいと思っております。
 3ページがトピックスの1つ目です。今回、F-REIについて書き込ませていただいております。設立の経緯のところを整理しまして、先ほど申し上げたように、この4月に設立・開始をしているところでございます。もう皆さん御存じだと思いますが、F-REIの概要は「F-REIの位置づけ及び役割」のところに書いてありますように、世界に冠たる創造的復興の中核拠点になることを目指しております。2つの目的というか方向性がありまして、1つは、福島をはじめとする東北の振興を実現するための夢や希望となるということと、あわせましてオールジャパンでのイノベーションの創出などの向上に貢献することが期待されている組織でございます。
 次のページ、F-REIは4つの機能を有していると考えておりまして、1つ目が研究開発、これは「ロボット」「農林水産業」「エネルギー」「放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用」「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」という5分野を基本に取り組むこととしております。2つ目の産業化は、緊密な産学官連携体制の構築を行うことによって、研究成果を社会実装していくことを目指しております。また、人材育成面でも期待をされておりまして、現在は福島県内の大学などにおけるF-REIトップセミナーという形で、理事長などが講演に行って教育に資するような取組をしているところでございます。あと、様々な教育機関というか研究機関を束ねる司令塔としての役割も期待されているところでございます。
 今後の取組といたしましては、第1期の目標期間の令和5年~11年度で事業規模として1,000億円程度を想定しておりまして、この間に50程度の研究グループによる研究体制を目指しているところでございます。施設につきましては、今、やっと都市計画決定が終わりまして、用地買収の交渉に入っているところでございます。復興庁設置期間内での順次供用を目指していきたいということで、これをできるだけ前倒しすることを目指しております。
 次のページ、もう一つのテーマがALPS処理水の海洋放出でございます。既に貯蔵タンクが1,000基を超えて敷地を圧迫しておりまして、廃炉を進める上ではALPS処理水の海洋放出は避けては通れない道だと考えております。2のところにありますように、今年の8月24日に海洋放出を開始しているところでございますが、安全確保のために、1つは原子力規制委員会による審査、これは事前に計画・設備の認可をしているところでございます。さらにモニタリングということで、東京電力や原子力規制庁だけではなく、様々な主体がモニタリングをしておりまして、透明性高く情報発信をしているところでございます。7月には、IAEAによる包括報告書が取りまとめられまして、国際的な安全基準に整合していること、人及び環境に与える影響は無視できるものであるという報告をいただいております。
 6ページ、先ほども委員から御報告があったように水産業に対する支援が必要だと考えておりまして、2つ目のポツにありますように、まず風評対策ということで、復興大臣をトップとする「風評対策タスクフォース」を開催しまして、大臣から各関係府省に対して指示をしていただいたところでございます。また、4つ目のポツにありますように、補正予算の中で需要対策基金300億円と漁業者支援基金500億円を設置しているところでございます。あわせまして、次のポツにありますように、この9月には5本柱の水産業を守る政策パッケージを取りまとめて、予備費の207億円を加えまして1,007億円の対策費を計上しているところでございます。この国会報告には時期の問題で書いておりませんが、その後、補正でも約90億円の追加対策を講じているところでございます。
 ただ、それでも損害が出る場合には東電のほうで賠償することになってございます。6のところに書いてありますが、まず汚染水が発生するのを抑制するということで、今は日に90立方メートル出ているところを50~70立方メートルを目指すことになっておりますし、トリチウムを分離して除却できれば海洋放出が要らなくなるということで、そういった実用化に向けた検討を東電のほうで進めております。いずれにしましても、ALPS処理水の処分が完了するまで政府が全責任を持って取り組むことを宣言しているところでございます。
 次のページ、あとはざっとですけれども、これまでの復興の歩みとか、この1年間の動向。この1年間も様々なことがございました。再生拠点における避難指示の解除とか、F-REIが設立される、先ほども少しお話がありましたが、特定帰還居住区域が制度として創設されるなどの動きについて整理をしているところでございます。
 8ページは全体に地域・分野ごとに整理したものを書かせていただいております。本文につきましては、本日、別添で資料2-2として配らせていただいておりますので御覧いただければと思います。
 説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○今村委員長
 宇野統括官、御説明ありがとうございます。今年から白書ということで、分かりやすくまとめていただく予定でございます。
 それでは、議事3に移りたいと思います。帰還困難区域における避難指示解除に向けた取組ということで、事務局の桜町統括官からお願いいたします。

○桜町統括官
 簡潔に御報告申し上げたいと思います。
 資料3の1ページ、避難指示解除につきましては、帰還困難区域を対象にということになったのが令和2年でございます。この帰還困難区域の避難指示を解除するために、まず特定復興再生拠点区域制度という制度を平成29年に創設いたしました。これに基づきまして、双葉、大熊、浪江、富岡、飯舘、葛尾の6町村につきまして、本年の5月までに避難指示の解除をしたところでございます。富岡町の小良ヶ浜・深谷地区にいわゆる点線拠点というものが一部残ってございましたけれども、これにつきましても解除することを昨日、原災本部で決定をいたしまして、来週の30日に避難指示を解除することといたしております。
 2ページでございますけれども、この拠点区域以外につきましても、自宅に帰りたい、あるいは元いた場所で生活を再開したいという声を大変強く伺ってきているところでございまして、これに対して特定帰還居住区域制度というものを創設いたしました。これに基づきまして、まず、本年の9月29日に大熊、双葉の2つの町におきまして帰還居住区域の計画を認定いたしました。これに基づきまして、本年度内に除染に着手をして、上下水道などのインフラ復旧を進めて、避難指示の解除に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。大熊、双葉両町も含めました本格的な除染につきましても、住民の方の帰還意向調査を実施した自治体はほかにもございますので、来年度に除染を開始することができるように、なるべく早期に計画の策定をしようということで、地元の自治体と調整をしているところでございます。
 以上でございます。

○今村委員長
 最新の情報の御報告ありがとうございました。
 続きまして、議事4に移りたいと思います。3県からの報告でございまして、岩手県、宮城県、福島県の順番にお願いしたいと思います。
 まずは、岩手県から佐藤部長、お願いいたします。

○佐藤代理
 東日本大震災津波からの復旧・復興に当たりましては、委員の皆様や復興庁、そして国内外の皆様から多くの御支援をいただきまして感謝申し上げます。また、委員の皆様には今月8日と9日に岩手県を訪問いただきまして、現地の状況を御視察いただきました。重ねて感謝申し上げます。それでは、岩手県の復興の取組状況について、資料4-1で御説明をさせていただきます。
 2ページ、岩手県の復興関連計画でございますが、右下の黄色で表示している部分は、今年度~令和8年度までの4年間を計画期間といたします第2期復興推進プランで、4つの柱「安全の確保」「暮らしの再建」「なりわいの再生」「未来のための伝承・発信」を掲げまして、誰一人取り残さないという理念の下、三陸のよりよい復興の実現のための取組を進めているところでございます。
 3ページ、まず、これまでの復興の取組につきまして、4つの柱ごとに御説明いたします。1つ目の柱は「安全の確保」でございます。左側、防災のまちづくりの下段でございますが、防潮堤等の海岸保全施設の復旧・整備を進めまして、昨年度までに計画した142か所中140か所完成いたしました。残る2か所の早期完成に向けて整備を進めてございます。
 右側の交通ネットワークでございますが、緑色で示しております三陸沿岸道路が全線開通をいたしまして、本年4月には、右上の写真でございますが、沿線の久慈市に道の駅いわて北三陸が新たにオープンしたところでございます。
 次のページ、2つ目の柱「暮らしの再建」でございます。右側の教育・文化・スポーツの下段、先ほど御報告ございましたけれども、先日の現地調査で釜石市の双葉小学校の取組を御視察いただきました。県内全ての公立の小中学校、県立高校、特別支援学校で震災の教訓から得た「いきる」「かかわる」「そなえる」という3つの教育的価値を育てるいわての復興教育を推進してございます。
 5ページ、3つ目の柱の「なりわいの再生」でございます。右側の商工業・観光の下段でございますが、復興の動きと連動いたしました観光キャンペーンの展開や教育旅行の誘致等の取組を進めてございまして、コロナによりまして非常に大きく落ち込んでいた県内の主要観光地の入り込み客数は回復傾向にございます。
 6ページ、最近のトピックということで御紹介させていただきます。震災後、仮設住宅が建てられましてキャンプ場としての利用を休止しておりました「陸前高田オートキャンプ場モビリア」が、本年9月に「スノーピーク陸前高田キャンプフィールド」としてリニューアルオープンいたしました。テントの大型化やグランピングなど、キャンプ場に対しますニーズの多様化に対応した施設として生まれ変わり、アウトドア事業を手がけます株式会社スノーピークが指定管理者として運営しており、非常に好評を博してございます。
 7ページ、4つ目の柱の「未来のための伝承・発信」でございます。左下の東日本大震災津波伝承館には非常に多くの方々にお越しいただいておりまして、来館者は間もなく90万人に達する見込みでございます。
 8ページ、最近のトピックでございますけれども、今月3日に岩手県立図書館に震災・防災等の学び合いのスペース「Iルーム」が開設されたところでございます。内陸部の防災・復興の学びの支援、情報拠点としての役割のほか、盛岡駅に隣接しております立地を生かしまして、県内沿岸の震災伝承施設等へのサテライトといたしまして、教育旅行を含め本県を訪れた方々を沿岸部へ誘導する機能を担うことが期待されているところでございます。
 9ページ、復興を担う個人・団体など多様な主体が復興につきまして幅広く学び合う「いわて復興未来塾」を平成27年度から継続して開催してございます。今年度は2回目の未来塾を来月17日に盛岡市で開催することとしてございます。参加申込み締切りは12月4日となっておりますし、また会議の様子はYouTubeでライブ配信をする予定でございますので、ぜひ御参加・御視聴をいただきたいと思ってございます。
 10ページ、復興に向けまして引き続き取り組む主な課題でございます。左上、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震・津波対策などのほか、右上、主要魚種の不漁対策の関係でございます。本県沿岸の主要産業であります水産業の再生に向けまして、新たな漁業・養殖業の導入など不漁対策に取り組んでございます。
 11ページ、新たな漁業・養殖業の取組といたしまして、サケ・マス類の海面養殖が進んできたところでございまして、真ん中の表にございますとおり、今年度の生産量は昨年度の約1.5倍の1,800トンを超える見込みとなっておりますほか、来年度は新たに2地区増の8地区で約1,900トンの生産が計画されているところでございます。
 引き続き復興に全力で取り組んでまいりたいと思ってございますので、委員の皆様、復興庁の皆様には、今後も変わらぬ御支援、御協力をお願いいたしたいと思ってございます。報告は以上でございます。

○今村委員長
 大変ありがとうございました。
 続きまして、宮城県の千葉部長、お願いいたします。

○千葉代理
 宮城県復興危機管理部長の千葉でございます。よろしくお願いいたします。初めに、委員の皆様や復興庁の皆様には、復興の完遂に向けて御尽力いただいておりますことに深く感謝を申し上げます。また、先ほど報告がありましたように、先月5日に宮城県において復興推進委員会現地調査が行われまして、今村委員長をはじめ委員の皆様に仙台、松島、塩竈方面の復興の様子を御覧いただきました。誠にありがとうございました。それでは、宮城県の復興に向けた取組について御報告をさせていただきます。
 資料4-2の1ページ、本県では、令和3年度から計画期間を10か年とする「新・宮城の将来ビジョン」により県政を推進しております。被災地に残されている課題に対応するため、被災地の復興管理に向けたきめ細かなサポートを掲げまして、一つ一つの課題に応じた丁寧なサポートを実施しております。その主な取組を御説明いたします。
 4ページ、「みやぎ水産応援パッケージ」でございます。東京電力福島第一原子力発電所におきまして処理水の海洋放出が始まり、一部の国等の水産物輸入禁止措置などで本県の水産業をはじめ、関係事業者に影響が出ております。これに対して、県では相談窓口の設置、収入が減少した漁業者を支援するための無利子融資、県産水産物の安全性やモニタリング結果などの積極的な情報発信、販売会開催などによる販売促進の4本柱の支援により、宮城の水産物の消費拡大と関連産業の経営安定を図るための取組を進めております。
 5ページ、みやぎ東日本大震災津波伝承館での取組について御説明いたします。震災からの時間の経過とともに、震災の記憶や教訓への関心の低下が懸念されておりますことから、震災伝承の取組がますます重要となっております。伝承館では、令和3年6月6日の開館以来、来館する多くの方々に対して映像や展示物などにより震災の記憶、教訓をお伝えし、我が事としてその後の防災・減災につなげていただけるよう取り組んでおるところでございます。
 また本県では、伝承館を震災伝承における拠点施設と位置づけまして、その機能強化を図るため、今村先生もおります東北大学災害科学国際研究所との共同研究により、伝承館をフィールドとした多様な主体との連携に向けた語り部講話等の定期開催や、次世代の担い手育成を見据えたボランティアの解説員の養成、情報の蓄積とアーカイブ発信のためのYouTube発信などに取り組んでおるところでございます。
 本県といたしましては、復興庁や宮城復興局の皆様との連携の下、様々な支援制度の活用や情報発信をさせていただきながら被災地の復興を進めてまいりますので、引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げます。私からの報告は以上であります。

○今村委員長
 ありがとうございました。
 最後でございますが、福島県の内堀知事、よろしくお願いいたします。オンラインでございます。

○内堀委員
 ありがとうございます。10月の現地調査では、福島県の復興に向けた取組を直接御覧いただき、また、今ほど浅野委員、戸塚委員、藤沢委員から思いのこもった御報告をいただきました。委員の皆さん、そして復興庁をはじめ政府の皆さん、福島の復興への継続した御支援を本当にありがとうございます。本日は、福島の復興・再生に向けた現状と課題についてお話しします。
 資料4-3、1ページ目の主に赤い字の部分を御覧ください。今年9月に大熊町及び双葉町の特定帰還居住区域復興再生計画が国から認定を受けたところであり、早期の避難指示解除と帰還を希望される方々のふるさとでの生活再建に向け、しっかりと取り組む必要があります。また、避難指示の長期化等に伴う様々な課題に対して、国は地元自治体と真摯に協議を重ね、その意向を十分に踏まえながら帰還困難区域全てを避難指示解除し、復興・再生に最後まで責任を持って取り組む必要があります。避難指示が解除された自治体においても、地域によって復興の進捗は大きく異なることから、実情やニーズを踏まえてきめ細かく対応する必要があります。引き続き、国、県、市町村等が連携をし、生活環境整備などに全力で取り組んでいく必要があるとともに、多様な担い手を確保・育成していくことが不可欠です。
 2ページ目、55の国・地域で行われていた県産食品の輸入規制について、7に減少しました。根強く残る風評や年々進む風化への対応が不可欠です。引き続き、国内外に向けた正確な情報や魅力の発信、理解醸成に向けた対話を継続していく必要があります。ALPS処理水については、一部の国における輸入規制の強化などの影響が生じていることも含め、日本全体の問題であるとの認識をしっかり持ち、幅広い業種に対する万全な風評対策に政府一丸となって最後まで全責任を全うしていただきたいと思います。
 3ページ目、「福島イノベーション・コースト構想」については、産業集積や人材育成など幅広い取組を進めており、成果が着実に現れています。一方、浜通り地域等の産業基盤の再生はいまだ途上です。11月24日には、第4回「福島イノベーション・コースト構想推進分科会」を開催し、これまでの取組の成果や課題を確認するとともに、引き続き、国、市町村、関係機関等と一体となって構想の実現に向けて取り組んでまいります。また、イノベ構想をさらに発展させる役割が期待されるF-REIの研究開発、産業化、人材育成等の機能が最大限発揮されるよう取り組む必要があります。
 4ページ目、福島第一及び第二原子力発電所の廃炉について、県民や国民の理解の下、安全かつ着実に進められることが福島県の復興の大前提です。引き続き、国が総力を挙げて取り組むとともに、東京電力を繰り返し適切に指導・監督していただきたいと思います。ALPS処理水の海洋放出は長期間にわたる取組であり、今後も想定外の事態があってはならないことから、安全確保を徹底するとともに、正確で分かりやすい情報発信を継続的に行うなど、万全の対策を講じていただきたいと考えています。法律に定められた国の責務である除去土壌等の2045年までの県外最終処分の実現のため、最終処分地の選定等の具体的な方針・工程を速やかに明示し、県民及び国民の目に見える形で取組を進めていただきたいと思います。
 5ページ目、東日本大震災から12年8か月が経過した今もなお、福島の復興はいまだ途上であり、今後も長く厳しい戦いが続きます。令和2年7月の復興財源フレーム決定後、新たな取組にかかる経費が生じていることから、復興の基本方針において「必要に応じて見直しを行う」とされていることに基づき、第2期復興・創生期間における必要な事業執行に支障が生じないよう、財源フレームの見直しを行うことが極めて重要です。
 また、令和5年度税制改正の大綱において、「息の長い取組をしっかりと支援できるよう、復旧・復興に要する財源については責任を持って確実に確保する」とされたことを遵守し、政府として第2期復興・創生期間後における十分な財源と枠組み、復興を支える制度をしっかりと確保していただきたいと思います。
 引き続き、現場主義を徹底し、国、県、市町村、関係団体等が一体となって挑戦を続ける必要があります。今後とも、復興推進委員会、復興庁の皆さん、政府の皆さんの御尽力をどうぞよろしくお願いいたします。

○今村委員長
 内堀知事、御報告ありがとうございました。今までの議題で、今日までの状況をかなり共有化いただいたと思います。
これからは御説明また報告についての御質疑、御意見をいただきたいと思いますが、めどが20分弱ということで大変限られた時間でございます。ぜひ、御意見をできるだけ短く簡潔にいただければと思っております。いかがでしょうか。
 特に奥山委員、小林委員などから、何か追加とかございますか。まず、奥山委員、どうぞ。

○奥山委員
 御報告の中でも「連携」というキーワードで御説明がありました。当然のことながら復興に多くの予算を入れていただいておりますので、その成果を示していかなければならないと思うのですけれども、観光とか研究に関しても他の地域との差別性がどうなのかという視点、また、日本人だけではなくて海外の人たちにとってその成果がどうなのかという視点からの情報発信をできるだけ工夫してやっていく必要があるのではないかと思ったところであります。

○今村委員長
 ありがとうございます。海外に関しては、例えば、トルコ地震であったり、先日はハワイの州知事が来られて、復興というのはもう世界のキーワードでございますので、重要な視点の御指摘ありがとうございました。
 では、小林委員、いかがでしょうか。

○小林委員
 ありがとうございます。現地調査の福島県大熊町のゆめの森について意見交換をされたと思うのですが、特色とかは書いていただいているのですが、どんな課題が出たかを教えていただけたらうれしいです。

○今村委員長
 ありがとうございます。私からでもよろしいでしょうか。
本当にすばらしい施設で、教員の方の数も恐らく標準よりも多いのです。それだけ手厚く、しかもゼロ歳児から中学生までということで幅広い活動をやっていただいています。我々が行ったときも、たしか500名以上の視察が来て、それの対応もされているということで、実はかなり人手が厳しい。あと、予算という面で、今はかなり御支援いただいているのですけれども、どこまで継続できるのかというところが課題であったかなと思います。
 戸塚委員、何か追加がありましたらお願いしたいと思います。

○戸塚委員
 まさにそのとおりだと思います。予算面をすごく御懸念というか、今の形をずっと継続していくための予算面の必要性をおっしゃっていたかなと思います。

○今村委員長
 どうぞ。

○小林委員
 ありがとうございます。これは本当に国内でもトップクラスの教育だと思っていて、私自身も子育て世帯なので全国のいろいろな学校を調べるのです。そこでの課題は、例えば公立でも小学校で特色のあることをやっているエリアとか地域もあるのですけれども、小学校が終わった後、中学校や高校はどうするのかといったときに、そこがなかなかつながっていないという課題が全国的にあります。でも、福島は、ここで幼児教育から中学校まで行けて、さらにふたば未来がある。これは福島としてとても強い要素になるのではないかなと思っていて、現に私の身の回りでも移住したいという人がいっぱいいたり、私自身も検討しています。
 そんな中で課題なのが、ではどこに住むのかといったときに今は住む場所がない。単身だとあるのですけれども、子育て世帯が住む場所がない。これだけいい教育をやっているにもかかわらず、移住したいのになかなかできない環境というのはもったいないなと思っています。さらに、住んだときに一番見るのはやはり医療です。小児科がない、婦人科がないというところで、医療と住宅というところをどう手当てされるのかということをぜひ御検討いただけたらありがたいです。

○今村委員長
 大変ありがとうございます。そうですね。その2つも当時課題として御報告いただきました。また、この施設が地域のコミュニティーの核にもなっている。子供たちが率先しているイベントの紹介とか声がけをされているというのも非常に印象的でした。ありがとうございます。
 それでは、関委員、山﨑委員、山名委員、それぞれありましたらば、一言ずつでもいただければと思います。

○関委員
 ありがとうございます。福島の現地調査に参加させていただきまして、視察でいろいろな取組をされているところを拝見させていただいてお話を聞けたことは本当に感謝しております。
 中でも、F-REIを訪問させていただいて、意見交換の場を設けていただいたことは本当に感謝しております。具体的な研究の公募を開始して、決まりつつある事業もあるということをお話しいただきました。最先端の研究ということで、何だか私たちのような庶民から遠い存在のように思えてしまうという危惧もありますので、地元福島や東北地域のニーズに応えた研究も取り入れられるようにお願いしていきたいと思っております。
 以上です。ありがとうございます。

○今村委員長
 ありがとうございます。F-REIに関しては山崎理事長からもかなり丁寧な御説明をいただいたところであります。ありがとうございます。
 山﨑委員、いかがでしょうか。

○山﨑委員
 ありがとうございます。今、皆さんからの御説明を伺って、復興が皆さんの様々な御努力で進んでいるなということをとてもうれしく思います。
 2つお願いしたいことがあって発言させていただきます。一つは、この報告です。今、見せていただいたのですけれども、最近、大学で若い学生とか若い研究者が東日本大震災について調べたり、その後の復興の取組を勉強したいというときに、断片的な情報はいっぱい出ているのです。ところが、やはり10年たってしまうと、その間にどういうことが行われてきて、今の断片的な情報が全体を俯瞰する中で一体どういう位置づけにあって、どういう方向に向かってどうなっているのかというところを読んでもらったり、知ってもらったりするのがなかなか難しくなってきていたのです。
これを見せていただいて、今までの報告書で現状と取組みたいなものが別途に書かれていて、それぞれ両方を読んでいかなくてはいけなかったところが一つにまとまって、私はまだ全部読んでないですけれども、これはとてもいいことだと思います。これからも復興の長い道筋がありますので、復興庁が今の取組だけではなくて過去の取組も含めて、今どういうふうに位置づけてどういう方向に向かって国が進もうとしているのかということは、こういう分かりやすい形で発信していっていただきたいと思います。
 2つ目はそれとも関係するのですけれども、やはり12年たつと小中学生はもう知らないのです。若い学生と話をしていても、被災地に近いところで生まれ育った学生は、震災のことを記憶していたり、親や周囲から聞いて身近なものとして捉えているのですけれども、被災地から離れれば離れるほど、もう日常生活が戻ってきていますから、震災のことを知ろうとか、12年たって今初めて復興の道筋が始まったような地域があるというところはなかなか分かってもらえないので、私は時間がたてばたつほど防災教育はますます重要になってくると思っています。
 内閣府の調査を見ると、防災教育に携わっている人たちは教材がないとよく言うのですけれども、教材は大分そろってきました。ところが、熱心な人がいるときは、その学校やその地域で防災教育は進むのだけれども、その人がいなくなると止まってしまうようなところがたくさんあるのです。ですから、継続的に防災教育を進めていくための取組や人材育成をぜひ考えていただきたいと思います。
 長くなりましてすみません。よろしくお願いします。

○今村委員長
 恐縮です。
 山名委員、お願いいたします。

○山名委員
 手短に2点、申し上げます。
 まずF-REIですが、今、研究面で頑張っていただいているのは大変ありがたいことです。一方、F-REIは浪江町には設置されておりますが、そのF-REIを取り囲む近隣の町、浪江や大熊、双葉郡が面的にF-REIを中核として発展するという、面的発展イメージというのは極めて大事だと考えます。もちろんF-REIでそれをお考えいただいていますが、この話は当然、町のインフラの話とか教育とか医療とか交通とか様々なものに関わりますので、恐らくF-REIを中核とした面的な地域的発展を復興庁さんにはまた行政面で御支援いただくことは極めて重要になると考えておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 2点目は処理水の件です。今回、この報告書に処理水の様々な対応を書いていただいて大変ありがたいと思います。私ども東電の廃炉を監督している立場とすれば、廃炉の負の問題がこれだけ大きな問題になっていったという一つの深刻な事態は、もともと風評というのは比較的ローカルであったり、特定の業種であったり、限定的なもののようなイメージを今まで持っていた方も多いと思うのですが、実はこれが海外との外交の問題になる、あるいは国際機関の間での極めて大きな議論になるというすごく恐ろしいもので、風評をばかにできないことを我々は身にしみて感じたところでございます。
 そういう意味で、今回、政府が総力を挙げてこれに取り組んでいただいたおかげで、何とか今の状態で維持できていると理解しておりますので、これはまだ始まったばかりで、引き続き政府の力をお借りして、この問題が大きな社会的ダメージにならないように最大限の努力をする。もちろん私ども廃炉関係者は、東電にしっかりとやらせるということを継続的にやっていく必要があると思います。
 また、今後、日本で大きな災害が起こった場合に、こういった風評絡みの影響に対してどう対応していくかというのは、一種の国家の危機管理として十分政策的に考えるべきものであると感じました。
 以上です。

○今村委員長
 山名委員、ありがとうございます。
 それでは、奥野委員、内堀知事も一言いただければと思います。では、奥野委員、お願いします。

○奥野委員
 手短にお話しします。私は3県とも視察に行ってまいりましたので、3県の様々な被災の場所、被災に対するスタンスというか、地域でのマインドが本当に異なるのだなということが分かりました。去年やおととしも視察に行っているので、それを縦断的に考えたときに、この地域の被災への態度というのはやはり環境によって変動してくるというか変化してくると感じました。例えば、復興が始まったらずっとその流れで行くのではなくて、本当に3歩進んで2歩下がるみたいなことが起こっているなと思いました。なので、今すごく元気でやっているような被災地と、気候変動やコロナの影響や戦争の影響でエネルギー価格が沸騰していることやALPS処理水の課題でちょっと沈んでいるような方々もいらっしゃいました。
 先ほど高木副大臣のお話で、復興の状況は複雑多様だったということで現地に赴いてくださったことを、とても感謝を申し上げたいのですけれども、本当に行ってみないとその地域の人がどんな変化をしているのかということが分からないので、順風満帆な復興ではなくて、アップダウンしていることを私たちの感受性を働かせ、分かった上で対応していくことが必要なのだなと感じました。
 以上です。ありがとうございます。

○今村委員長
 重要な点、御指摘ありがとうございました。
 それでは、内堀知事、いかがでしょうか。

○内堀委員
 ありがとうございます。私は風化についてお話ししたいと思います。
 今日のこの復興推進委員会に参加している皆さん全員が福島、東北の復興に強い関心を持って実践していただいています。ありがとうございます。ただ、国の内外全体を見ますと、12年8か月を超えた日時によってどうしても風化が進みます。そのときに大切なことは、積極的に情報発信をしていくこと。また、特に経験していない若い世代も含めて災害についての教育を行っていくこと。この2点が重要だと思います。
 これまで以上に、国内外に福島をはじめ各地域の復興状況、課題を機会があるごとに発信をする。これが風化との戦いで重要です。また、特に海外の方は、実際に話を聞くとレジリエンスという言葉に非常に強い関心を持っています。世界中で苦しい国・地域もあります。あのFUKUSHIMAがこれだけ復興が進んでいるのだなということが彼らの勇気や希望にもつながりますので、今後とも国、県、市町村、またマスコミのお力も借りながら、情報発信に積極的に取り組んで風化と戦っていきたいと思います。

○今村委員長
 大変ありがとうございます。国内外への情報発信を継続するということですね。大変ありがとうございます。
 それでは、白波瀬委員長代理。

○白波瀬委員長代理
 ありがとうございます。本日は本当にありがとうございました。
皆様からありましたように、どれだけ進んでいるかということだったのですけれども、最初に高木副大臣からもありましたが、状況は複雑多様だという点が重要です。最初にお願いしたいのは、誰からどこでその情報を得たのかによって内容が異なりますので、できるだけ聞こえない、届かない声を引き上げるような努力を意識的に続けていただきたい。そのために、事例というのも現場というのも大切なのですけれども、広く浅くになるかもしれないのですが、広く網を張ってデータを取って実態をすくいあげ、そのデータの結果を分析することは非常に重要であろうと感じております。
 そして、今、風評ということがありました。いま、私は研究職にありますが、日本の中で科学の力をもう少しよい意味で捉え直し、積極的に社会的な役割を担うことが重要だと思います。事実は一つだけではないので、研究者からの一つの結果を臆することなく展開し、多様な意見と共に、多くの方々を巻き込んでコミュニケーションというか、情報発信することが大切ではないかと思います。その意味で、広報の力も最大限に活用して、全体を巻き込んだ復興が重要ではないかと感じました。
 被災というのはこの3県だけにとどまらないのですけれども、やはり様々なデータがありますので、既存の多様なデータを積極的に活用して情報交換する。いま委員長がなさっている伝承館でも、質的なデータを蓄積されていますが、それらを共有して、内外の研究者にアクセスしていただいて、研究成果を共有していただくような場を設定するのがよいのではないかと思います。
 以上です。

○今村委員長
 情報の発信のためには、きちんと収集をしなくてはいけない。重要な指摘だったと思います。ありがとうございました。
 残念ながら、もう予定の時間となってしまいまして、1分だけあるのですけれども、最後にこれはというところがもしありましたらば、御発言をいただきたいと思います。
 もしなければ、私からは、内堀知事から最後の資料で御指摘いただきました新たな様々な取組というのがありますので、それに対する御支援、財源のフレームの見直しをまさに検討する時期だと思っておりますので、また復興推進委員会でも大きな課題になるものと考えております。
 もし、何か追加の項目がありましたらば、後で事務局に御連絡いただければ、きちんと記録を取らせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、本日の議論を踏まえまして、高木副大臣から一言御発言をいただきたいと思います。

○高木副大臣
 ありがとうございました。各委員におかれましては、それぞれの専門的な御見地から貴重な意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
 今、第2期復興・創生期間でございますけれども、復興のステージが進む、復興が進捗すると、またそこで様々な課題が出てまいります。そうした課題にきめ細やかに対応していくことが必要であると考えております。復興庁としても引き続き、現場主義を徹底して、被災地に寄り添いながら総力を挙げて復興に取り組んでまいります。
 今日は本当に貴重な意見をいただきましてありがとうございました。引き続きの御助言、御協力をお願い申し上げまして、締めの挨拶とさせていただきます。今日はありがとうございました。

○今村委員長
 大変ありがとうございました。
本日の議事要旨は速やかに公表させていただきます。また、議事録におきましても1か月をめどに作成・公表いたしますので、委員の皆様は議事録の確認に御協力をいただきたいと思います。
 以上をもちまして、第43回「復興推進委員会」を終了したいと思います。大変ありがとうございました。




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