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第41回復興推進委員会議事録

1 日時 令和5年2月27日(月曜日) 10時28分から11時47分まで

2 場所 中央合同庁舎第4号館 共用第1特別会議室

    (上記会議室を拠点としたオンライン会議)

3 議事

 (1)福島国際研究教育機構の中期目標(案)について

 (2)3県からの報告

4 出席委員(敬称略)

 伊藤 元重(委員長) 東京大学名誉教授

 白波瀬 佐和子(委員長代理)  東京大学大学院人文社会系研究科教授

 今村 文彦 東北大学災害科学国際研究所長

 内堀 雅雄 福島県知事

 奥野 雅子 岩手大学人文社会科学部教授

 奥山 修司 福島大学経済経営学類教授

 小林 味愛 株式会社陽と人(ひとびと)代表取締役

 関 奈央子 ななくさ農園・ななくさナノブルワリー

 山﨑 登  国士舘大学防災・救急救助総合研究所教授

 山名 元  原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長

 若菜 千穂 特定非営利活動法人いわて地域づくり支援センター常務理事

 平井 省三 岩手県東京事務所長(達増委員代理)

 千葉 伸  宮城県復興・危機管理部理事(村井委員代理)

 

 

【伊藤委員長】 それでは、ただいまより第41回復興推進委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。

 今回も会場での御参加のほか、オンラインでの参加の委員がいらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、岩手県の平井東京事務所長が達増委員の代理で、また、宮城県の千葉復興・危機管理部理事が村井委員の代理で御出席いただいております。本委員会運営要領第3条第1項に基づきまして、委員の代理人として本委員会に御出席されることを承認いたしたいと思います。

 その他、本日の御出席者につきましては、事務局から御説明をお願いします。

【復興庁角田統括官】 本日は、荒川委員、渡邉委員が御欠席となっております。

 また、オンラインで御出席の内堀委員は、他の御公務の都合上、11時20分頃に御退席の予定でございます。

 それでは、本日出席の大臣、副大臣及び政務官を紹介申し上げます。

 渡辺復興大臣です。

 小島復興副大臣です。

 竹谷復興副大臣です。

 中野復興大臣政務官です。

 山本復興大臣政務官です。

 西田復興大臣政務官です。

 なお、本日もこの会議の模様は、ライブ配信によりまして一般の方、報道機関の方に同時視聴いただいております。御出席の皆様には御了承いただきますよう、お願い申し上げます。

 御紹介は以上です。

【伊藤委員長】 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日は、F-REI(福島国際研究教育機構)の中期目標につきまして、ワーキンググループで御議論をいただきましたので、その結果を御報告いただき、本委員会としての意見を決定したいと思います。

 また、県の復興の取組につきまして3県の知事等から御報告いただき、委員の皆様との意見交換を行います。

 では、早速、議題1に入ります。

 本委員会は、F-REI(福島国際研究教育機構)の中期目標に対しまして、あらかじめ意見を述べる役割を担います。前回、昨年11月の会議では、中期目標に対して集中的・専門的に審議を行うため、本委員会の下にワーキンググループを開くことにしました。本日は示されている中期目標につきまして、まずは事務局からの説明を伺い、続きまして、ワーキンググループの座長を務めていただいた奥山委員から、ワーキンググループの御報告をお聞きしたいと思います。その後、本委員会としての中期目標案に対する意見を審議し、決定したいと思います。

 まずは、事務局より説明をお願いいたします。

【復興庁寺﨑審議官】 F-REI担当審議官の寺﨑でございます。

 それでは、お手元の資料1-1から1-4まで私から御説明申し上げます。説明の都合上、資料1-4からお開きいただきたいと存じます。まず、F-REIの設立に向けた準備状況、前回の委員会からの進捗について御報告申し上げます。

 2ページ目は概要でございます。

 3ページ目をお開きください。こちらは年末に決定いたしました概算要求、F-REIの関連事業予算といたしまして146億円、うち法人運営に17億円、研究開発等が126億円、施設整備に向けた取組が3億円と、このような形で確保されているところでございまして、現在国会において御審議を賜っております。

 4ページ目が、このうちの研究開発の予算に関する126億円の内訳をお示ししたリストでございます。

 続きまして5ページでございます。こちらは年末の復興推進会議におきまして御報告を申し上げました資料でございますが、ロードマップということで、この第1期中期計画の期間におきまして、徐々に外部委託等による研究実施から直接雇用・クロスアポイントメントによる研究開発を進めまして、最終的には50PI程度を目指すという姿が描かれております。

 さらに、第1期中期計画の下にコメ印で書いておりますように、この期間の事業規模として、1,000億円程度を想定ということで記載がされているところでございます。

 続きまして6ページ、本施設の整備の進め方のイメージでございますが、建物関連といたしまして、来年度(令和6年3月まで)にかけまして、施設基本計画を取りまとめ、敷地調査、そして、令和6年度以降に基本設計等に着手するという形で、竣工後順次供用開始を目指しております。敷地関連は、既に測量手続に入っておりますが、今後、都市計画手続を経まして、用地取得、造成工事に進んでまいると、このような本施設整備の進め方でございます。

 7ページをお開きいただきまして、こちらも昨年末の復興推進会議で決定した、関係閣僚会議の開催についての決定内容を掲載させていただいております。

 8ページをお開きいただきますと、F-REIのマネジメント組織と政府の関係、さらに、当復興推進委員会との関係を一覧表にしたものでございます。

 9ページは、現在想定している、令和5年当初におけるF-REIの組織体制でございます。理事長の下に2名の理事、さらに執行役2名、その下に運営管理部門と研究開発部門がぶら下がるというような形でございまして、さらには監事が2名任命される予定となっております。

 10ページは、今年1月13日に開催いたしましたF-REI産学官ネットワーク・セミナーでございます。多くの関係者の御参画を得まして、この第1回のセミナーが開催されたことについて御報告申し上げます。

 11ページは今後の予定でございますが、まず、F-REIの開所式を4月初旬にこの仮事務所、浪江町ふれあい福祉センターにおいて予定しております。さらに、4月15日にはF-REI設立記念シンポジウムをいわきワシントンホテルにおいて開催を予定しております。これに併せまして、ICRU(国際放射線単位測定委員会)の年次会合も同会場において開催される予定となっております。

 12ページは、F-REIが地域における司令塔機能を果たすために不可欠な組織である、F-REI協議会の一覧表でございます。それぞれ準備会合を開催し、このような構成員の案として現在準備を進めさせていただいているところでございます。5月上旬には第1回の協議会が開催できるように所要の準備を進めてまいりたいと考えております。

 13ページはF-REI協議会における組織です。協議会の総会のほかに研究開発等のワーキンググループ、さらには広域連携のワーキンググループを設置する予定ということで御説明を申し上げております。

 14ページはF-REIのトップセミナーについてです。これは、各高校等を山崎理事長予定者ほかのトップ陣が回って人材育成に努めていく事業を、令和5年度において予定しているものでございます。

 かいつまんでではございましたが、以上が準備状況についての御報告です。

資料1-1を御覧いただきたいと思います。これは、各関係大臣から当委員会に対しまして中期目標についての諮問文となってございます。

 資料1-2をお開きください。こちらが中期目標についての説明資料となっております。このスケジュールのところを御覧いただきますと、昨年8月に新産業創出等研究開発基本計画が内閣総理大臣において決定されております。本日御議論いただく中期目標は、この基本計画に即して作成するということになっております。その下に計画体系を書いておりますが、この中期目標に即して、さらに中期計画をF-REIがつくっていくという形になっております。

 2ページ目をお開きいただきまして、これが中期目標の骨子となっております。上の箱書きの部分には、政策体系における法人の位置づけや役割、既にいろいろなところで御案内の文章が並んでおりますけれども、重要なところは一番下のマルでございます。読ませていただきますと、「第一期中期目標期間においては、『基盤作りと存在感の提示』に重点を置くこととし、機構の施設が整備されるまでの間も、たゆむことなく復興に貢献できるよう、取組を進めるものとする」と書かれているところでございます。

 Ⅰ.中期目標の期間は、令和5年4月から令和12年3月までの7年間でございます。

 Ⅱ.新産業創出等研究開発の成果の最大化その他の研究開発等業務の質の向上に関する事項ということで、まず1番、研究開発に関する事項といたしましては、5分野の基礎・応用研究を進め、あわせて機構ならではの分野融合研究に取り組むということが書かれておりますし、2つ目のところでは、先ほど触れましたように、50程度のPI、これは研究グループでございますが、研究グループによる研究体制を目指して、魅力的な研究開発環境の整備を図ることを書いております。

 2番が、産業化に関する事項でございます。企業が積極的かつ柔軟に機構の活動に参画できる産学連携体制を構築すること、さらには機構の活動や研究成果等について国民に向けて分かりやすく広報活動を行うことなどが書かれているところでございます。

 3番、人材育成・確保に関する事項でございます。まず人材育成は、機構において研究者や技術者を長期にわたって連続的に養成する観点から、大学院生等や地域の未来を担う若者世代、企業人材等の人材育成を進めること、さらには人材確保といたしまして、国内外の優れた研究人材の確保を図ることが記されております。

 右のほうでございますが、Ⅲ.運営の効率化に関する事項といたしまして、大学や他の研究機関との連携、さらには効果的・効率的なマネジメント体制の確立、そして、経費等の合理化・効率化に関する事項を書いております。

 Ⅳ.は財務内容の改善に関する事項でございまして、必要な研究資金をしっかり取っていくということについて書かれております。

 Ⅴ.はその他研究開発等業務の運営に関する重要事項としまして、1.が施設及び設備に関する事項でございます。2.が人事に関する事項で、若手や女性などの多様な人材の確保を図るとともに、成果や能力に応じた柔軟な給与水準等を設定することが書かれております。3.認知度の向上や多様なパートナーシップの構築に関する事項でございます。4.が規制緩和に向けた取組に関する事項。5.といたしまして情報システムの整備及び管理に関する事項となっております。

 もう一枚おめくりいただきまして、こちらは機構が実施する研究開発の5分野の目標についてそれぞれ書いております。詳細は割愛いたしますが、ロボット、農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用、そして、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信につきまして、それぞれ基本計画に基づく記載がなされているところでございます。

 重要なのは下の箱書きにございます。これが評価に関する事項でございまして、まず評価軸といたしまして、福島における新たな産業創出及び我が国の科学技術力・産業競争力の強化に資する観点から、研究テーマの立案・検討・マネジメントが適切に進められているかどうか。2つ目といたしまして、実証フィールドの活用など福島における優位性を生かし、福島をはじめ東北の被災地、ひいては日本や世界の課題の解決に資する研究開発成果を創出できているかといったことが、評価軸となっております。

 これに関連します関連指標といたしまして、右のほうでございますが、研究開発成果の内容や、研究開発成果の分かりやすい普及及び活用促進に関する取組の実績、さらに下から2つ目にあるような大学、研究機関、教育機関、企業等との広域連携の実績、そして、県内での活動や実証フィールド等の活用等の実績、これらを関連指標として用いるということになっているところでございます。

 今御説明申し上げましたことの本体が資料1-3、縦置きになっている部分でございまして、中身を御覧いただきますと、この1ページから7ページまでが本文となっておりまして、それ以下についております別紙が先ほど最後に御報告いたしました評価軸及び関連指標となっております。このような構成で現在中期目標の案を策定し、ワーキング等にも御議論いただいたところでございます。

 雑駁でございますが、私からの説明は以上でございます。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、福島国際研究教育機構ワーキンググループの座長を務めていただきました奥山委員から、ワーキンググループの御議論につきまして、また、取りまとめていただいた意見案につきまして、御報告をお願いいたします。

【奥山委員】 それでは、ワーキンググループの議論の内容及びその結果について報告します。

 ワーキンググループは、復興推進委員の関奈央子さん、金沢工業大学の高橋真木子さん、東北大学の羽生貴弘さん、一般社団法人RCFの藤沢烈さん、及び私の5名が構成員として選任され、互選により私が座長を務めました。

 会議は1月27日及び2月10日の2回開催で、短期間での議論となりましたが、メールやオンラインを通じた意見交換をしっかり行い、F-REIの中期目標案に対し、集中的な審議を行いました。

 第1回の審議で構成員から次のような提示がなされました。

・地域との関係において、実態把握だけに終わらず、より地域との連携・協働を強調し、その成果の発信を重視する記述にすべきである。

・産業化においては、県内企業の参画が非常に重要となること。また、人材育成について、県内企業等の復興に関わる現役世代への教育機会提供とともに、小中高の児童生徒を早い段階から招き入れるための教育プログラム開発を進めることが重要である。

・日本が原子力災害をどのように扱い、福島の復興・再生に取り組んでいるかを発信し、世界の拠点となる観点から、原子力災害が与えた影響や地域の復興に貢献する研究開発についての記載を強調・充実すべきである。

・研究開発において地元の要望を取り入れるとともに、地域とのつながりを強めるアウトリーチや広報の取組を重視し、それに取り組む組織が必要であり、そうした評価軸を設定する工夫も必要である。

・F-REIの求心力を高めるため、福島復興に加えて、国レベルの安全保障といった問題ともしっかりと連携した研究開発事業とすべきである。

・縦割り排除をうたいながら、そのように見えないので、復興庁、また内閣府がしっかりと束ねて推進すべきである。

・産業化の定義や、どのようにして産業化を達成するのかを明確にすべきである。

・早期整備に向けた予算投入とともに、大きな成果の達成を期待する福島県にとって、望むアウトカムのイメージ像を提示し、得られる成果を積極的に情報発信していくことが重要ではないか。それを実施するためにも、主体的に独立した専門的な組織の立ち上げが必要ではないか

といった意見が出ました。

 これを踏まえて、事務局で中期目標案が修正され、修正内容等について、2月10日の第2回ワーキンググループで改めて審議を行いました。また、この過程で、復興推進委員会の委員の皆様にも中期目標案を御覧いただき、事務局から御意見をお伺いしたところであります。

 委員からは、指標の記載が抽象的であり、アウトカムを測定できるように設定すべきではないか。機構内の人事、組織運営において縦割り、年功序列の打破、若手・女性を含めたダイバーシティの担保といった面を評価する指標を立てるべきではないか。また、ワーキングでの議論とも重なりますが、福島の地元との連携などを評価する指標を充実すべきではないかといった御意見をいただきました。これらの意見も含めて、ワーキングでの審議で議論させていただきました。

 こうした御意見、御指摘を受け、中期目標案はかなりの箇所において修正が加えられた結果、御覧の資料、今説明をいただきましたけれども、資料1-2・1-3のとおりにまとまっています。ワーキンググループにおいて、F-REIが福島の復興にしっかりと主体的に貢献していくこと、魅力ある研究開発の実施や情報発信等により存在感、求心力を高めていくこと、組織の機能を十分発揮し、第1期期間においても一定の成果を目指すことといった観点から、この中期目標案を改めて審議し、構成員等の意見がおおむね取り入れられていることから、この中期目標案を妥当であると判断したところであります。

 その上で、中期目標案に挙げられている事項を集約的に方向づけ、F-REIの存在・活動をより実効あるものとしていただくため、資料1-5にあるとおり、3項目の意見を付すべきものとしてワーキンググループの議論を取りまとめたところであります。

 資料1-5を御覧ください。意見の1点目は、福島の課題や地域の行政、企業、民間団体等における取組・関心をしっかりと把握し、地域と協働しながら、機構の研究開発・産業化・人材育成の機能・成果が地域の幅広い層に還元され、さらに広域へと波及するよう努めること。

 2点目は、機構の行う研究開発等について様々な場面での効果的な情報発信、戦略的なアウトリーチ活動等を積極的に推進することで、地域レベルから国際レベルまでの機構の認知度向上や多様なパートナーシップの構築に努めること。

 3点目は、研究開発の実施・展開に当たっては、まずは、その実施において福島の優位性が発揮できる5分野を軸として福島の課題の解決に向けて取り組みつつ、国レベルの科学技術の進展、課題解決にしっかりと連結させることで、魅力的な研究開発を行う機関に成長させることが期待される。さらに、研究環境の整備も組み合わせつつ、求心力の向上に努めること。その際、関係省庁の専門性を発揮させながらも、縦割りの弊害に陥ることなく、機構の強みを生かして分野横断的に取り組んでいくこと。この3点でございます。

 いずれもワーキングの審議において出された重要な御指摘であり、F-REIが今後の7年間において特に注力いただくべき事項だと認識しております。

 実際にF-REIの活動が4月からスタートします。復興推進委員会では、今後もF-REIの各年度における研究開発等業務の業績評価を拝見し、意見を述べる役割を担っていきます。その際の重要な観点になるものとして、復興推進委員会意見が役立つことを期待しております。

 以上、ワーキンググループにおける議論の内容と復興推進委員会意見の案について報告させていただきました。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。中期目標案に関しまして、ワーキンググループの皆様に精力的な御議論をいただきまして、本当にありがとうございます。

 委員の皆様にも中期目標案は事前に届けられており、必要な御指摘・御意見をあらかじめお出しいただいた上で、それを含めてワーキンググループの御結論を取りまとめいただいたと御説明いただいたとおりでございます。

 ワーキンググループで取りまとめていただいた資料1-5の委員会意見案につきまして、あるいは中期目標案につきまして、さらに御意見がございましたら、どうぞ御発言をいただきたいと思います。御発言がある方は挙手をお願いいたします。

 では、今村委員、どうぞ。

【今村委員】 ただいま御紹介いただきまして、さらに2点お願いをさせていただければと思います。資料1-4での2点でございます。

 まず1点目は5ページでして、これがF-REIのロードマップということで、非常に重要だと思います。具体的な数値が書いてありますし、特に中央にPI(Principal Investigator)、主に実施担当中心者の数が書いてあります。段階的に増えているということで、基礎づくりに対応しているものと思いますが、恐らく専任の研究者の人事や施設・設備の状況によって、この数は変化するのではないかなと思っております。ぜひその計画をしっかり実施いただき柔軟に、このPIの充実化を検討いただければと思います。

 あと、同じ資料の12ページでございます。これがF-REI協議会ということで、より地元・関係機関の御意見を集約、また議論する、非常に重要な役割だと思っております。8ページにF-REIのマネジメント組織ということで案が書いてありまして、ここにF-REIと政府は明確に示しておりますが、この協議会の役割というのも、この図の中に例えば入れ込んでいただいて、どのような御意見、また対応をするのか、明確にされるとよろしいかなと思いました。

 以上でございます。

【伊藤委員長】 では内堀委員、お願いします。

【内堀委員】 伊藤委員長をはじめ、復興推進委員会の委員の皆さん、また、渡辺復興大臣をはじめ、復興庁、政府の皆さん、いつも福島の復興・再生のため、大変御尽力をいただいており、ありがとうございます。

 県としては、この委員会に先立ち、あらかじめ法定意見聴取として原子力災害からの福島の復興及び再生の推進を図る見地から意見を提出させていただきました。具体的には、基盤づくりと存在感の提示に重点を置く今回の中期目標が、地域とともに世界に誇る研究開発成果を実現し、福島の復興・再生に資するものとなるよう、3つの視点からお話をしました。

1点目は、「世界に誇る最先端の研究開発等の推進」として、福島の優位性を発揮できる5分野の横断的研究等の推進、世界に冠たる拠点としての魅力・知名度の向上。

2点目は、「地域に根差した取組の推進」として、本施設の整備前からの県内での研究活動や県内の実証フィールド等の活用。県内関係機関等との適切な連携、機構の設置効果の広域的な波及など。

そして、3点目としては、それらのために必要な土台となる「国の取組」として、施設の円滑な整備と可能な限りの前倒しや縦割りを廃した総合的かつ安定的な支援、中長期的な枠組みでの予算確保や適切な指標の設定及び評価などを意見させていただきました。

 本日示された復興推進委員会意見は、本県の意見とも方向性が同じであり、F-REIの取組をより強化、実効性あるものにする意見であると受け止めています。原子力災害の被害を最も大きく受けた福島県において、F-REIが中核となって行う取組を新しい日本を創るリーディングプロジェクトとして、国の総力を挙げて推進していただくことを改めて強くお願いいたします。

 県としても、F-REIはもとより、国、県内の市町村、関係機関等と力を合わせ、新たな課題や多様なニーズを把握し、共有しながら連携を一層強化し、F-REIの取組を支えていきます。よろしくお願いします。

【伊藤委員長】 ほかに御意見は。では、山﨑委員。

【山﨑委員】 ワーキンググループの皆さんには大変御苦労をいただいて、とても良い案をつくっていただいたのではないかと、感謝したいと思います。

 私が少し感じますのは、今の奥山委員の御発言や、内堀知事の御発言を伺っていて、資料1-5の中期目標の復興推進委員会の案には一つ一つの留意点について3つ書かれていますが、これとは別に、やはり壮大な夢を描いて、このプロジェクトは福島県と東北の復興に寄与していくのだということを一行書いていただいたほうがいいかなと思います。これだけの被害を受けた福島とか東北の復興を考えると、中途半端な夢を描くことは被災地の皆さんに失礼ですから、やはりきちんと壮大な夢を描いて、希望を持ってこのプロジェクトを進めて、復興を進めていってほしいという、このプロジェクトの全体の希望みたいなものを一行追加していただけると、私たちが議論したり、ワーキンググループが議論したりしていることの意味がもっとはっきりストレートに伝わるのではないかと思います。

 以上です。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、小林委員、お願いします。

【小林委員】 4点ございます。1点目が人材育成のところでして、小中高生等と書いてあるのですが、ぜひ幼児教育の部分も御検討いただきたいなと思っております。幼稚園と小学校の連携は今でも全国的に課題になっていると思うのですが、それをここでできる可能性があるので、幼児教育からぜひ御検討いただきたいなと思っております。

 2点目が一番気になっている部分なのですが、研究者の生活の部分でして、若い人材や女性を登用すると書いてありまして、若いというのが何歳かによるのですが、私の感覚だと20代・30代も含まれるとなると、ひょっとしたらこれから子育てをするかもしれない、ひょっとしたら既に子育てをしているかもしれないという家庭が入ってこられると思うのです。そうなったときに保育園の受入れ体制は大丈夫なのか。また、医療は大丈夫なのか。そういった県内の医療提供体制や教育の体制をしっかりと御検討いただかないと、仕事だけが全てではないので、研究者の方が来ていただいても、本当にウェルビーイングを担保した形で研究いただけるのか、そこはとても不安に感じております。

 地域の体制を整えることで、今、福島県浜通りは移住の推進をされていると思いますが、鶏と卵ですけれども、ちゃんとそういった体制を整えることで、例えば移住センターとの連携で、もっと移住の部分でも促進できるですとか、この分野だけはない様々なセクターが連携することで相乗効果が発揮できるのではないかと思いました。

 3点目に研究内容の広報なのですけれども、多分、今、民間のサービスでも研究と一般市民との間が非常に遠いところで、このギャップを埋めようというような取組がいろいろされていて、サービスも様々あると思います。そういったサービスが高校の教育など学校教育にも採用され始めているかと思うので、そういった既存のサービスも御活用を検討されるといいのではないかと感じました。

 最後に、協議会のメンバーのところです。私が協議会をよく分かっていないからかもしれないのですが、協議会が高齢化しませんかというような疑問も持っておりまして、若い人材や女性の登用と書いてある中で、協議事項に人材育成に関する事項があったりもするので、悪いわけではないのですけれども、やはり同じような立場の方々が集まって、見えていない視点というのがかなり生まれてしまうのではないかというような懸念も少し感じております。やはりここの協議会のメンバーももっと民間の団体を入れるとか、民間ではないにしても地元の団体だとか、若い人だとか、多様なメンバーが確保できたほうが良いのではないかと感じました。

 以上です。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございます。

 山名委員、どうぞ。

【山名委員】 ありがとうございます。よくまとめていただいたと感じております。その上で、ある種、文面の解釈について申し上げたいと思います。

 まず、F-REIに国際という言葉が入っている上で、国際の具体性ということがやはり求められる。この意味は、最先端のサイエンスに取り組むという意味ではもう世界と互角である、世界という視点がないと成立しないという問題。それから、現在、私は福島第一原発の廃炉を担当しておりますが、ALPS処理水の問題のように、福島が世界的にネガティブな目で見られているという非常に許しがたい状況が存在しております。こういうものを打破するために、敢えて世界に打って出て、福島の安全性や技術力を出していくという意味で、国際というものの具体性の在り方というのは強く問われると思います。

 今回のワーキンググループの視点には、国際についての記載は「国際レベルまで」という記載がありますが、もっと国際色を入れていくということは主張したいところであると考えました。

 それから2点目は、今、小林委員がおっしゃったとおりです。有識者会議に参加させていただいて、私も再三申し上げましたが、研究タウンといいますが、ここに最先端のまちをつくると。これは面的に広いまちをつくって、そこに研究者が集まって、家族と一緒に来てくれるというイメージを持ちます。

 私ども原子力損害賠償・廃炉等支援機構では、理系を目指すという女子高校生を集めて意見交換をしているイベントをやっているのですが、女子高校生の中からよく出てくる意見が、やはり子育てと研究活動というもののワーク・ライフ・バランスに悩むという率直な意見が女性の生徒たちから出てきます。やはりこのワーク・ライフ・バランスをきちんと成立できるまちがある、したがって子育ても研究もできるという、女性がしっかりと活躍できるまちをつくっていくという思いを強く持ちたいと私は思っております。ぜひ今後、そのような取組をよろしくお願いします。

 以上です。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございます。

 白波瀬委員、どうぞ。

【白波瀬委員長代理】 ありがとうございます。ここまでおまとめいただきまして、ありがとうございました。

 少し山名委員と似ているのですけれども、国際という点ではかなりポテンシャルがあるといいますか、様々なことができると感じます。ただ、ここでの国際研究ということになりますと、日進月歩の分野ですから、かなりエッジの利いた研究人材をいかに惹きつけて、いかに人を集めるかということが重要になってきます。研究の内容、倫理等についても無視はできないと思いますけれども、今村委員からもありましたが、人事についての透明性の高い展開がここでは要求されると思います。また、小林委員からもありましたけれども、この新しい分野、5つの分野はジェンダーバランスがかなり悪いと思いますから、F-REIの中で、突破口になるような事例が少しでも増えるとすばらしいと思います。理想は高く、夢を掲げてということかもしれませんけれども、まず国際研究というコアのところをもう少し具体化していただいて、発信していただくとより説得的なものになるのではないかと感じました。

 最後に1点、この5つの分野が柱になることは了解しましたが、足元の分野ともいえる災害学とか、減災(Disaster Risk Reduction: DRR)研究は国連等におきましても非常に重要な課題です。SDGsの横串になるような分野については国際的な関心も高いので、この辺り、次に検討していただきますときに御配慮いただけるといいのではないかと思いました。

 以上です。

【伊藤委員長】 奥野委員、どうぞ。

【奥野委員】 ワーキンググループの皆様、本当に御尽力ありがとうございました。

 私は1点だけなのですが、国際的な研究をされるに当たって、エッジの利いた研究者が集まってきて、最先端のまちをつくるという中で、本当に地元の方との関係性といいますか、もちろんワーキンググループの中で地域との関係を大事にしていくということは打ち出されてはいるのですけれども、その最先端の方たちが来たときに、地元の方がどんなふうにそれを捉えるのかというところはやはりとても大事にしなければいけないことかなと思っております。

 例えば、県内企業の参画を募るということですが、それは具体的にはどのように募っていくのか。参加しますかとこちらから言うのか、それともこちらから指名して行くのかといった具体的なことが、国際都市になるときに脅威にならないようにするための最善の配慮というのは必要なのかなと思いました。

 それと、5つの研究の中で原子力災害の部分ですね。国際的に心のケアというものをどのようにやっていけば良いのかというところも大事にしながら、地元との関係性というところは最大限の配慮をしていただければなと感じております。

 私からは以上です。

【伊藤委員長】 ほかに御意見ございますか。よろしいですか。

 幾つかまた追加的に貴重な御指摘があって、これをどのように委員会意見の修正に反映させるかというのは少し考えさせていただきたいと思いますけれども、できるだけ皆さんにいただいた御意見を反映するような形で。

 どうぞ、奥山委員から。

【奥山委員】 各委員から出されたお考えと意見については、全く賛同することばかりですので、文章的にどのように入れ込めるか、直せるかというところは早急に事務局と、また委員長と相談させていただきながら作業を進めさせていただくということと同時に、かなり要求水準的な、具体的にこれから動いていく中で突きつけていくといいますか、チェックをかけていく事項というものが結構あると思っております。私がプロセスの中でも御紹介しましたが、どこかに恒常的に要求水準的なものを突きつけていく、カウンターパートとしてしっかりとその意見を具体的に表に出していく組織が必要だなと常々考えていました。これについては、福島県がやはり成果を望む一番の責任といいますか、組織になりますので、ここのところをしっかりと受け止めていただいて、何らかの形でこの具体的な要求水準をしっかりと維持しながら、良いものとしてアウトカムを揺るぎないものにしていくという努力を進めていかなければいけないと思っておりますので、文章として直せるところと、今後の課題として受け止めるところ、これを整理させていただければと思っております。

【伊藤委員長】 今、奥山委員から御発言があったのですが、何か皆さん、追加的にございますか。私もそのようにぜひ進めていただきたいと思いますし、今回の文案につきまして、最終的な調整は私のほうに御一任いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 どうも本当にありがとうございました。それでは、本委員会の意見をそのように決定して、速やかに答申を行いたいと思います。ワーキンググループの奥山委員、関委員、それから構成員の皆さん、本当にありがとうございました。

 引き続き、本委員会では、F-REIの年度実績評価、また、中期目標期間が終了した際の検討に対して意見する役割を担いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、議題2に参ります。

 議題2は、3県からの御報告・御意見をお願いいたします。委員の皆様は資料2-1から2-3を御覧ください。

 まず、福島県の内堀知事、よろしくお願いいたします。

【内堀委員】 伊藤委員長、ありがとうございます。お手元の資料2-1に基づいて、福島の復興・再生に向けた現状と課題について、お話をします。

 右上にページがございますが、1ページ目をお開きください。主に赤い字の部分を御覧ください。葛尾村、大熊町、双葉町において特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されたほか、富岡町、浪江町、飯舘村においても、今春の避難指示解除に向け準備宿泊が実施されるなど、復興に向けた歩みは着実に前進しています。

 また、福島復興再生特別措置法の改正案において、特定帰還居住区域の創設が盛り込まれたことは、帰還困難区域全体の避難指示解除に向けた大切な一歩です。

 一方で、帰還意向のない方々の土地・家屋等の取扱いなど、依然として様々な課題が山積しています。引き続き、帰還困難区域全ての避難指示解除に向けて、国が最後まで責任を持って取り組んでください。

 いまだ約2万8,000人もの県民が県内外で避難生活を続けており、被災された方々が抱える課題は個別化・複雑化しています。住民が安心して生活できる環境の整備を進めるとともに、被災者一人一人の心のケアなど、きめ細かな施策を継続する必要があります。

 2ページをお開きください。福島イノベーション・コースト構想については、関連企業の立地が進むなど、着実に構想の取組の成果が現れています。引き続き、関係機関と連携し、関連産業の集積などに取り組む必要があります。

 4月には福島国際研究教育機構が設立され、その効果が広域的かつ早期に発現されるよう、機構を核とした広域ネットワーク形成の促進や周辺環境整備の推進に取り組む必要があります。

 本県全体の地域産業の活性化や持続的発展に向け、企業誘致の促進や働く場の確保などが極めて重要です。避難地域における営農再開はもとより、県産農産物の高付加価値化を進めるとともに、水産物の販路拡大に向けた情報発信等に取り組む必要があります。次世代を牽引する新産業の創出・集積に向け、県内企業の技術力強化、関連産業の誘致、販路拡大等に取り組む必要があります。

 次は3ページ目をお開きください。いまだ輸入規制が継続しているなど、根強い風評が続いており、年々進む風化への対応も不可欠です。引き続き、国内外に対して復興・再生の現状や福島ならではの魅力を、熱意を込めて繰り返し丁寧に発信していくことが重要です。

 廃炉に伴うALPS処理水の問題は、日本全体の問題であり、引き続き、国が前面に立ち、最後まで責任を全うしてください。

 東京電力福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の廃炉作業の安全かつ着実な実施は福島県の復興の大前提であり、引き続き、国が前面に立ち、東京電力を繰り返し適切に指導してください。

 除去土壌等の2045年までの県外最終処分については、法律に定められた国の責務であり、具体的な方針・工程を早期に明示し、取組を加速させてください。

 次は4ページ目をお開きください。複合災害との戦いは現在進行形で、今後も長く厳しい戦いが続きます。福島県民が不安や懸念を抱くことなく、安心感を持って復興を推し進めていくための財源や制度の枠組みが不可欠です。

 第2期復興・創生期間の財源フレーム決定後に新たに生じた課題や多様なニーズに対応するためにも、財源に不足が生じることのないよう、必要に応じて財源フレームの見直しを行う必要があります。また、第2期復興・創生期間後も安心感を持って復興を進めるために必要な財源や復興を支える制度がしっかり確保されることが極めて重要です。

 今後も、福島を被災の地から希望の地、さらには復興の地へ変えていくため、国・市町村などと一体となって挑戦を続けていく必要があります。今後ともどうぞよろしくお願いします。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、岩手県の平井東京事務所長、よろしくお願いします。

【平井 岩手県東京事務所長】 それでは、資料2-2で御報告いたします。

 御説明に先立ちまして、東日本大震災津波からの復旧・復興に当たっては、委員の皆様や復興庁、そして国内外の皆様から多くの御支援をいただき、感謝申し上げます。また、渡辺復興大臣におかれましては、先月5日及び18日に岩手県を御訪問いただき、心のケアや産業の再生、造成地の利活用などの震災固有の残された課題や、主要魚種の不漁など新たな課題に取り組む現地の状況を御視察いただき、重ねて感謝申し上げます。

 それでは、御報告申し上げます。資料2-2の2ページを御覧願います。

東日本大震災津波からの復興に向けた令和4年度の主な取組状況でありますが、岩手県では、「いわて県民計画(2019~2028)」に掲げる「より良い復興~4本の柱~」の下、復興の取組を進めておりまして、これに沿った形で今年度の主な取組を御説明いたします。

 まず1つ目の柱、安全の確保でございますが、防潮堤や水門などの海岸保全施設については、令和4年度までに計画した73地区中71地区で整備が完了する見込みでございます。

 また、2でございますが、県が整備を進めてきた復興関連道路は、昨年7月で計画した93か所全ての整備が完了いたしました。

 右側の3でございますが、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策につきましては、昨年9月に公表した「岩手県地震・津波被害想定調査報告書」を踏まえ、県と沿岸市町村で実務レベルの検討組織を立ち上げ、具体的な減災対策を検討しているところでございます。

 今後の主な取組でございますが、残された社会資本の早期整備や、沿岸市町村の巨大地震・津波対策の取組へのきめ細やかな支援に取り組んでまいります。

 次に下段の2つ目の柱、暮らしの再建では、1でございますが、県が設置している岩手県こころのケアセンターにおいて被災者の心のケアの取組を継続しており、令和4年度のこころのケアセンターの相談件数は12月末現在で6,200件を超えるなど多くの相談が寄せられております。

 また、2でございますが、被災者の生活安定に向けた相談支援を行っており、家族や家計、債務に関する被災者からの相談に専門家等と連携して対応しております。

 今後の主な取組についてでございますが、被災者に寄り添った心のケアを継続するとともに、コミュニティの形成と活性化に向けた支援、被災地の復興・発展を支える人材を育成するため「いわての復興教育」を推進してまいります。

 続きまして、3ページ目を御覧願います。上段の3つ目の柱、なりわいの再生では、主要魚種の不漁に対応するため、マル1でございますが、新たな漁業・養殖業の導入を進めており、県内各地で実施しているサケ・マス類の海面養殖の生産量は年々増加し、令和4年度は前年度の約2.1倍となる約1,200トンを生産したところでございます。一方で、サケの漁獲量は平成8年度のピーク時の0.6パーセントまで落ち込んでおりまして、令和3年度からは海面養殖の生産量が漁獲量を上回っている状態でございます。

 また、右側の2、商工業・観光の振興では、マル1でございますが、定期航空便を活用した関西地区への高鮮度の生鮮食料販売の実証実験を実施しているほか、マル2でございますが、三陸地域の冬の味覚や絶景などの魅力を首都圏へ発信する冬季観光キャンペーンを1月から3月にかけて実施中でございます。

 今後の主な取組でございますが、大型で遊泳力の高いサケ稚魚の生産や藻場の再生による資源回復、サケ・マス類の海面養殖の推進を図るほか、新たな交通ネットワークを活用した産業振興の推進などに取り組んでまいります。

 続いて下段、4つ目の柱でございます。未来のための伝承・発信では、陸前高田市に整備した県の伝承施設、東日本大震災津波伝承館は、令和元年9月の開館以降、本年1月末現在までに来館者数66万人を達成したところでございます。また、SNS等を活用し、復興に力強く取り組む岩手の姿を国内外に発信しているところでございます。

 今後の取組でございますが、東日本大震災津波伝承館を拠点とした震災の事実・教訓の伝承に引き続き取り組むとともに、震災ガイドの交流促進などにより、防災・震災伝承の担い手を育成してまいります。

 次に4ページを御覧願います。参考といたしまして、令和5年度、県の当初予算案における第2期復興推進プランの主な構成事業を記載したものでございます。

 引き続き、復興に全力で取り組んでまいりますので、委員の皆様、復興庁の皆様には、今後も変わらぬ御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、宮城県の千葉復興・危機管理部理事、お願いします。

【千葉 宮城県復興・危機管理部理事】 宮城県の千葉でございます。本日は知事所用のため、代理出席させていただいております。

 初めに、委員、復興庁の皆様方には、日頃、復興の完遂に向けて御支援いただいておりますことに対し、改めて感謝申し上げます。

 それでは、資料2-3を御覧願います。来月には東日本大震災の発生から12回目となる3月11日を迎えます。この間、我が県では、国内外から多大な御支援をいただきながら、震災からの復旧・復興に全力で取り組んでまいりました。本日は、復旧にとどまらない抜本的な再構築や先進的な地域づくりを目指す創造的な復興に向けた取組の成果について、御説明させていただきます。

 2ページを御覧ください。創造的な復興の具体的な取組成果について御説明いたします。写真だけとなりますが、上段右側のところでございます、医学部の新設。震災以前から問題となっていた慢性的な医師不足が震災の影響でさらに顕著となったことを受け、国に要望させていただき、国内で37年ぶりに設置が認められたものです。平成28年4月に入学した第1期生は、東北の地域医療を支えるという重要な使命を胸に、昨年3月、卒業を迎えました。

 写真の下の段、一番左側でございます。水産業復興特区の導入でございます。震災により甚大な被害を受けた県内水産業の早期復興を目的として、漁業法により漁業協同組合に優先的に免許される漁業権を、地元漁業者を主体とする法人に付与できる水産業復興特区を国に提案し、認められたものです。平成25年4月には、石巻市桃浦地区が日本初の水産業復興特区に認定されました。

 写真の真ん中でございます。水素エネルギー利活用の推進は、地球温暖化や化石燃料の枯渇が懸念される中、水素をクリーンエネルギーとして利活用するだけでなく、自立・分散型電源として災害対応能力の強化につながる取組として推進しているものでございます。

 3ページを御覧ください。仙台空港民営化について御説明いたします。仙台空港は、図の上段にありますとおり、従前、第三セクター、国、団体等複数の主体により運営されておりました。これを平成28年に集約・民営化し、機動的な運営が可能となりました。この結果、就航便数が増加し、令和元年には国際線、国内線合わせた乗降客数が過去最高の371万人に達しました。令和2年から新型コロナウイルスの感染拡大により利用者が激減しておりますが、政府の入国規制緩和により、本年1月から国際定期便の運航が再開されるなど、徐々に活気が戻りつつあります。4月にはスターラックス航空による仙台-台北線の新規就航も予定されているなど明るい話題もあり、今後の需要回復に期待しているところです。

 仙台空港は海岸線に面しており、震災時、津波による甚大な被害を受けました。国内で唯一の津波被災空港として、震災伝承施設として登録されている空港でもあります。

 4ページを御覧ください。昨年4月に開始した上工下水一体官民連携運営事業について御説明させていただきます。飲料水の上水と工場で使用する工業用水及び下水道の運営を一体的に民間にお任せする方式で、全国初の宮城県の新たな取組であることから、みやぎ型管理運営方式と命名しております。水道事業は人口減少による利用者の減少や節水型社会の進展に加え、将来的に設備や管路の大規模な更新が必要となっていることから、今後急激な料金上昇が避けられない大変厳しい状況となっております。宮城県ではこれまでも上水場や下水処理場の運転管理に係る9事業をそれぞれ個別に民間事業者に委託してきましたが、これを一体の契約とするとともに、契約期間をこれまでの最長5年から20年に延ばすことにより、スケールメリットの最大化を図りました。

 事業運営の方式は、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定するコンセッション方式を採用しております。コンセッションは様々なPFI事業方式の中でも民間の裁量が大きく、大きなコスト削減が期待できる手法です。これまでの水道法では、コンセッションを適用する場合、県は認可を廃止して、民間事業者が新たに認可を取得する必要がありましたが、水道事業に対する官側の責任が保持できない点が導入の障壁となっておりました。このことから、国に対し要望を行い、平成30年には水道法が改正され、コンセッションを導入しても県は水道事業者としての位置づけが保持される制度となりました。

 資料右下になりますが、みやぎ型管理運営方式の対応により、従前と比較した事業費の削減効果は337億円、10.2パーセントとなっております。

 宮城県といたしましては、今後も、復興庁や宮城復興局の皆様との連携の下、様々な支援制度を活用させていただきながら、被災地の復興を進めてまいりますので、引き続き御支援をいただきますようお願いいたします。

 宮城県からの報告は以上でございます。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ここまでの御報告に関しまして、委員の皆様から御自由に御意見をいただきたいと思います。3県の復興の状況につきまして、お気づきの点などがございましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。

 今村委員、よろしくお願いします。

【今村委員】 それぞれ3県の報告をいただきまして、課題に対してきちんと対応していただいている状況が理解できました。

 震災から間もなく12年が経ちますが、今月、2月6日にトルコ南東部での地震がございまして、まさに5万名を超える犠牲者という大災害になってしまいました。今は救命・救急の緊急状況ではございますが、今後、復旧・復興の議論が間もなく始まるはずでございます。やはり我が国の取組(特に復興政策)がしっかりトルコの被災地、また周辺部の地域の支援につながればと思っております。

 そのためには、やはりきちんとこの課題、その対応を整理して、英語またはトルコ語で発信いただくことが大切かなと思っております。また、関係者がぜひ連携をして、産官学連携した対応が今後長丁場で必要になると思っておりますので、コメントとして挙げさせていただきました。

 以上でございます。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございます。

 ほかにどなたか御発言はありますか。

 白波瀬委員、どうぞ。

【白波瀬委員長代理】 ありがとうございます。宮城県様に質問してよろしいでしょうか。

積極的に民を入れて展開されているという点で大変参考になりました。少し簡単な質問なのですけれども、4ページ目の上工下水というところで、これは契約が4、5年から20年ということで、かなり長期化したということです。急に20年かという感じはするのですけれども、やはり安定的だという反面、この辺りのメリハリ感がないと難しい点も出てくるかなと思うのです。民と官との間の連携という点では、ある意味でよい事例となるので、積極的に公開していただけると他にも参考になるのではないかと思うのですけれども、この契約期間の長期化に伴うメリットだけではなくて課題というようなことはありますか。

【伊藤委員長】 千葉理事、お願いいたします。

【千葉 宮城県復興・危機管理部理事】 どうもありがとうございました。今、20年、かなり長い期間で、いろいろといいことばかりでなく課題も多くなるのではないかという御質問でございます。もちろんそのとおりでございまして、20年間民間に委託をしたといっても、20年間全てずっとお任せということではなくて、もともと所有は宮城県ということで残しておりますので、毎年度、事業者といろいろな協議、打合せを取りながら、ずっと民間に任せっきりということではなくて、常に県と委託先との連携を図りながら、安心安全な水道の供給というものに努めていくような方式としております。

 以上でございます。

【伊藤委員長】 よろしいですか。

 ほかにどなたか御発言ございますか。よろしいですか。

 それでは、若菜委員、御発言をお願いします。

【若菜委員】 ありがとうございます。私は6年にわたって委員を務めさせていただきましたが、普段は震災前から、主に岩手県内沿岸市町村で地域交通ですとか地域づくりに携わってきており、住んでいる方と直接お会いする機会も多くあります。震災後もうすぐ12年がたちますけれども、その変化も踏まえて、今のお話もお聞きして、少し感想になるのですけれども、話させていただければと思います。

 最近、この委員会でも話題となってきたのが心の復興というところで、これについては国もすごく力を入れて、各県も力を入れてというところは現場でも見させていただいていました。すごく重要だなと思うのですが、視察に行っても思うのは、やはり心の復興の影には経済的な貧しさというか、やはり貧困というのがどうしても沿岸にはあって、それはもちろん震災もあるのですけれども、先ほど岩手県からもありましたが、最近は漁獲の想像しないほどの減少と、あとやはり物価の高騰、燃料費の高騰がすごく大きいと。そういった中で、この委員会、国としても、心の復興と生業づくり、仕事、産業についても力を入れていただいて、岩手県ではこの委員会でも行った大槌のジビエですとか、大船渡のトマトのハウス栽培など新しい生業が生まれつつあります。それは内陸から見ても、あのジビエはすごく頑張っているよね、うちでもやってみたいねという話は農家さんの中でも声に上がっており、沿岸が新しい事業をリーディングしていると感じています。

 ただ、やはり現場を見ていても、あれが実現できたのは、国や県のお力も当然あるのですけれども、現場では新しい人材が県外、域外から来て、ここでやるんだという若い力があって実現できている面がすごくあります。そういう意味では、心の復興をしつつ、産業、生業を元気にさせていくためにも、やはり人材の流動化という取り組みも合わせて必要だと感じています。

しかし、外の人材を受け止めるのはそれだけで非常に手間がかかるもので、町村は、行政職員の不足がすごく感じられていて、これ以上市町村で受け止めろというのはもう限界があると感じています。受け止めの体制支援や、若い力・外からの人材の流動化にもう少し積極的に人を送り込みまで手当てをしないと、新しい生業が定着するというのはすごく難しいなというのは現場で見て感じますので、心のケア、新しい生業づくりの中で、人材というところも何らか明確な支援なり仕組みを提示していただけると、さらに次に進むなと感じております。その辺りをお願いしたいと普段感じています。

 私からは以上です。ありがとうございます。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございます。

 では、奥野委員、どうぞ。

【奥野委員】 今、若菜委員が心の復興ということでお話しされましたが、その中に含まれると思うのですが、岩手県の子どものこころのケアセンターについてです。今年度、現地視察に参りました。そこで実際にお話を聞いてきたのですが、先ほどの御説明で令和4年度も12月現在でかなりの数の相談が寄せられているということなのですけれども、やはり相談内容は変化しているようで、現地視察に訪れたときも、PTSDといった災害の直接の精神障害というよりも、発達障害のようなものが増えていますということをお伺いしました。発達障害というのは、環境によって発現したり、強く発現したり、発現しなかったりするようなものなので、環境がどのように変わっているのかということが子供の心のケアにかなり関わってくると感じております。

 ですので、今後、子供の心のケアがどのように変化していっているのか、そして、そのためにはどんな専門家が必要とされているのかというようなことも、また教えていただければありがたいと思っております。これは岩手県だけではなくて、宮城県や福島県ももちろん関わってくることだとは思いますので、そのように感じております。

 私からは以上です。ありがとうございます。

【伊藤委員長】 ほかによろしいですか。

 それでは、時間も大分押しておりますので、議題2はここまでとさせていただきたいと思います。

 ここで、本日の議論を踏まえまして、渡辺大臣から一言御発言をお願いいたします。

【渡辺復興大臣】 委員の皆様方におかれましては、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。

 本日は、この4月の設立に向けて準備中の福島国際研究教育機構、いわゆるF-REIにつきまして、中期目標案の御審議をいただいたところでございます。本日の委員会における御審議に当たっては、これに先立ち、奥山委員、関委員に御参加いただいたワーキンググループにおいて精力的に御審議がなされたものと聞いております。これらの御議論を踏まえまして、本日、委員会で中期目標案について御審議いただきましたことに厚く御礼を申し上げる次第であります。私どもといたしましても、4月のF-REI設立に向けて万全の準備を進めてまいりたいと存じております。

 また、本日は、現在の復興の状況について、内堀知事をはじめ3県の皆様方から御発言をいただいたところでございます。東日本大震災の発災から間もなく12年がたとうとしております。復興に関わる様々な関係者の御尽力により、復興は着実に進んでいますが、その一方で、先ほどのお話もありました心のケアなどの問題についても残された課題がございます。きめ細かく対応していくことが今後とも必要であると感じているところであります。

 また、原子力災害から復興・再生はまだ本格的に始まった段階であり、引き続き、国が前面に立って中長期的に対応していくことが必要であると考えております。

 復興庁といたしましても、これから現場主義を徹底し、被災地に寄り添いながら復興をさらに前に進めていくことができるよう、全力で取り組んでまいります。

 今後とも委員の皆様方の御助言、御協力を賜りますよう改めてお願いを申し上げ、私からの結びの御挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、本日はここまでとさせていただきます。

 本日の議事要旨は速やかに公表するとともに、議事録につきましても1か月をめどに作成・公表いたしたいと思います。委員の皆様には、内容の確認に御協力をお願いいたします。

 本日の会議を終了するに当たり、私からも一言申し上げさせていただきたいと思います。

 司会をしているとなかなか発言する機会がないものですから、感想めいたことで申し訳ないのですけれども、私は2013年に委員長に就任してちょうど10年になりまして、初期の頃は実際にいろいろなところを視察させていただいたのですけれども、あまりの破壊のすごさに、これはどうやって復興させるのかという復興の難しさを本当に強く実感した次第です。

ただ、結論から申しますと、特別財源を使ってしっかりとインフラを整備していくという手法は、これまで日本ではそんなにやってきた手法ではないのだろうと思うのですけれども、非常にうまくいった面があって、今日の各県の報告の中でも、インフラについて、ハードについては既にかなり整備が進んできているということの御報告にあったとおりだろうと思うのです。

 そうした中で、皆さんの議論の中で何度もあるように、復興の難しさというのは一筋縄ではなくて、1つ課題をクリアするとさらに困難な課題がその先にあると。特にハードはそれなりに整備したとしても、先ほど心のケアの話が出たのですけれども、人々の生活の中に出てくる様々な問題に対してどう対応したらいいのかですとか、あるいは生活を支える産業などについてこれからどのようにしっかり支えていったらいいだろうかということで、課題は本当に尽きないわけですけれども、そういうことを一つ一つ取り組んでいくと。我々のこの委員会の中でも、それについて適切なコメントや、あるいは意見を申し上げるということだろうと思います。

 この委員会は毎年3回、1か所ずつ3か所、ずっと現地視察していて、私もかなりのところに参加させていただいたのですけれども、やはり感じるのは、そこで実際に取り組んでいらっしゃる人の力みたいなものはすごく大事だと。もちろん地元の方々の人の力も重要なのですけれども、先ほど話題になったように、外からもどうやって人を取り込んできて、多様な力を生かすということ、これは今後ともぜひ重要視していかなければいけません。そういう意味でも、またこれからも現地視察を続けると考えますけれども、ぜひまたいろいろなところでいろいろな交流をしていただきたいと思います。

 残念なことに福島の原発事故は津波、それからいわゆる震災の被害を超えた次元の違う問題を提起していて、様々な難しい課題を出してきて、それにどう対応していくかということが問われているわけですけれども、そういう中で、今般、F-REIが立ち上がるということは非常に大きな成果であると考えております。これをぜひうまく利用しながら、福島の復興あるいは発展における大きく貢献できればなと期待したいと思います。

 最後に私から感想までに申し上げました。どうも失礼しました。

 それでは、以上をもちまして、第41回復興推進委員会を終了したいと思います。どうもありがとうございます。

以上

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