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第40回復興推進委員会議事録

1 日時 令和4年11月21日(月曜日) 13時33分から15時03分まで

2 場所 中央合同庁舎第4号館 共用第4特別会議室

    (上記会議室を拠点としたオンライン会議)

3 議事

 (1)東日本大震災からの復興の状況に関する報告(案)について

 (2)復興推進委員会現地調査について

 (3)3県からの報告

 (4)福島国際研究教育機構の中期目標(案)に対する意見の検討体制について

4 出席委員(敬称略)

 伊藤 元重(委員長) 東京大学名誉教授

 白波瀬 佐和子(委員長代理)  東京大学大学院人文社会系研究科教授

 今村 文彦 東北大学災害科学国際研究所長

 内堀 雅雄 福島県知事

 奥野 雅子 岩手大学人文社会科学部教授

 小林 味愛 株式会社陽と人(ひとびと)代表取締役

 関 奈央子 ななくさ農園・ななくさナノブルワリー

 達増 拓也 岩手県知事

 山﨑 登  国士舘大学防災・救急救助総合研究所教授

 山名 元  原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長

 渡邉 美樹 ワタミ株式会社代表取締役会長兼社長、岩手県陸前高田市参与

 池田 敬之 宮城県副知事(村井委員代理)

 

 

【伊藤委員長】 それでは、ただいまより第40回「復興推進委員会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。

 今回も会場での御参加のほか、オンラインでの御参加委員がいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。

 開会に先立ちまして、竹谷復興副大臣から御挨拶をお願いします。

【竹谷復興副大臣】 復興副大臣の竹谷とし子でございます。秋葉復興大臣が国会対応のため欠席いたしておりますので、私から一言御挨拶申し上げます。

 伊藤委員長をはじめ委員の皆様には、日頃から東日本大震災からの復興に御尽力を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 東日本大震災の発災から間もなく11年8か月となりますが、この間、地域の方々の絶え間ない御努力と関係者の御支援により、復興は着実な進捗を遂げております。一方、被災者の方々の心のケアやなりわいの再生といった課題が残っており、また、福島の原子力災害からの復興・再生には、今後も中長期的な対応が必要だと認識しております。

これからも被災地の実情をお伺いしながら、「東北の復興なくして日本の再生なし」の決意を新たに、全力で取り組んでいく所存です。

 本日は、東日本大震災からの復興の状況に関する報告(案)等について御議論いただくものと承知しております。皆様から忌憚のない御意見をいただけますよう、本日はよろしくお願い申し上げます。

【伊藤委員長】 ありがとうございました。

 本日は、宮城県の池田副知事が村井委員の代理で御出席いただいています。本委員会運営要領第3条第1項に基づきまして、委員の代理人として本会議に出席されることを承認いたしたいと思います。

 その他本日の御出席者につきまして、事務局からお願いいたします。

【復興庁角田統括官】 本日は、荒川委員、奥山委員、若菜委員が御欠席でございます。なお、オンラインで御出席の達増委員は、13時45分頃に遅れて御出席予定でございます。

 本日出席の副大臣及び政務官を御紹介いたします。

 先ほど御挨拶いただきました竹谷復興副大臣です。

 里見復興大臣政務官です。

 本日、秋葉大臣をはじめ衆議院の政務の方は、国会の関係で欠席させていただいております。何とぞ御了承ください。

 御紹介は以上です。

【伊藤委員長】 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日は、毎年取りまとめています国会報告につきまして事務局から説明をお聞きします。

 また、委員から、今年度の現地調査について御報告いただき、皆さんと意見交換を行いたいと考えております。

 続きまして、県の復興の取組につきまして3県の知事等から御報告いただきます。

 最後に、福島国際研究教育機構について事務局から説明をお聞きした後、中期目標案に対する当委員会の検討体制について御審議いただきたいと思います。

 それでは、早速、議題1に入ります。東日本大震災からの復興の状況に関する報告、いわゆる国会報告につきまして事務局より説明をお願いいたします。

【復興庁角田統括官】 御説明申し上げます。国会報告の本体につきましては、全文、机上配付としておりますけれども、何分大部にわたりますので、お手元の一番上の資料1でポイントを御説明させていただきたいと思います。

この報告は、東日本大震災復興基本法に基づきまして、政府として毎年、国会に提出しているものでございます。今回は、令和3年10月から令和4年9月までの事項を記載させていただいております。

 まず「これまでの復興の歩み」のところ、3つ目の柱の「復興の推進に当たっての課題と対応」を御覧ください。先ほどの竹谷副大臣の御挨拶にもありましたとおり、経験のない複合的な大災害に対しまして、被災者をはじめ多くの関係者が協力して歩みを進めてきたことで、地震・津波被災地域では、住まいの再建やインフラ整備などがおおむね完了し、復興の「総仕上げ」の段階にあります。他方、心のケア等の残された課題があり、引き続き被災者に寄り添いながらきめ細かく対応していくことが必要となっております。

 また、原子力災害被災地域では、引き続き、国が前面に立ち、中長期的な対応をしていく必要がございます。本格的な復興・再生が始まったばかりの段階ということでございます。

 具体的な復興の取組について、地震・津波被災地域と原子力災害被災地域に分けて記述しております。

 最初に、地震・津波被災地域でございますけれども、変更点を中心に申し上げたいと思います。

 まず、(2)住まいとまちの復興につきましては、令和3年12月に復興道路・復興支援道路という象徴的な事業がございましたけれども、こちらが全線開通したということでございます。

 それから、(4)観光の振興につきましては、海の魅力を高めるブルーツーリズムの推進について記述させていただいております。

 2ページ目を御覧いただきたいと思います。原子力災害被災地域でございます。

 最初の(1)、(2)のところでございますけれども、ALPS処理水の処分に関する基本方針は令和3年4月に策定しておりましたが、これを着実に実行に向けるということで、令和3年12月に行動計画を策定いたしました。また、この8月には、それを充実・強化する方向での改定が行われたところでございます。

 (4)を御覧ください。まず、特定復興再生拠点区域でございますけれども、3つ目のポツにございますように、令和4年6月には葛尾村、大熊町、同年8月には双葉町におきまして避難指示の解除が実現しております。また、拠点区域外でございますけれども、2つ目のポツにありますように、大熊町、双葉町において帰還意向確認調査を実施しております。

 一番下の賠償の取組でございますけれども、令和4年3月に7件の集団訴訟について、東京電力の損害賠償額に係る部分の判決が確定したことを踏まえまして、今、原子力損害賠償紛争審査会におきまして指針の見直しを含めた対応の要否について検討を行っているところでございます。

 (5)、(6)でございます。右上を御覧いただきたいのですけれども、福島国際研究教育機構でございます。こちらは、また後ほど議論になると思いますので簡単に状況だけ申し上げますと、2つ目のポツでございますけれども、法律が施行された後、新産業創出等研究開発基本計画がこの8月に決定いたしました。また、機構の立地を浪江町とするということ、機構設置の効果が広域的に波及するよう取組を進めるということを、復興推進会議で決定いたしました。この9月でございます。

 (8)を御覧ください。輸入規制の緩和・撤廃に向けた働きかけの効果が生じまして、規制を講じた55か国・地域のうち43が撤廃し、11が緩和しているという状況でございます。また、その1つ上を御覧いただきたいのですけれども、風評被害の払拭等を図るための情報発信の手法について検討するための有識者会議を、この秋に立ち上げたところでございます。

 3番、復興の姿と震災の記憶・教訓でございます。真ん中のポツにございますように、大阪・関西万博を契機といたしまして、情報発信してまいりたいと考えております。また、最後のポツにございますように、令和4年度からは、10年間の政府の復興政策の経緯・課題等につきまして外部有識者による会議を設置いたしまして、取りまとめを進めている最中ということでございます。

 簡単でございますが、ポイントにつきまして、以上でございます。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明に対する御質問は、議題2の御報告が終わった後で一括して御発言をお願いしたいと考えております。

 続きまして、議題2に入ります。復興推進委員会では、この秋に3県を訪問させていただき、復興の進捗状況や新たな課題について実地にて調査させていただきました。御協力いただきました3県の皆様には、大変感謝を申し上げたいと思います。

 現地調査の結果につきまして委員から御報告いただきたいと思います。資料2-1から2-3を適宜御覧いただきたいと思います。

まず、9月12日に訪問しました福島県につきまして、山﨑委員から御報告をお願いいたします。

【山﨑委員】 それでは、福島県の現地調査について、山﨑から報告をさせていただきます。

 今年の9月12日の月曜日に、福島県の三春町、大熊町、双葉町、南相馬市の4か所を訪ねました。参加者は、伊藤委員長、白波瀬委員長代理、奥野委員、奥山委員、関委員、それに私、山﨑の6人です。

 お手元の資料を見ながら聞いていただければと思いますが、まず、三春町の福島県環境創造センターを訪ねました。福島県環境創造センターは、原子力災害からの環境回復・創造に向けてモニタリング、調査研究、情報収集、そしてその発信などを行う総合的拠点として、平成28年に創設されました。

 国立環境研究所の林研究グループ長の説明では、東日本大震災の直後から、災害廃棄物・汚染廃棄物の処理処分に関する調査研究、大気や水・土壌など環境中の放射性物質の動きの解明、震災による環境変化が人や生物・生態系にもたらした影響の評価、震災復興のまちづくりへの貢献に関する調査研究を始めたということです。

 また、日本原子力研究開発機構の飯島ディビジョン長からは、特に環境動態研究に力を入れていまして、除染が済んでいない地域の放射性セシウムについては、森林から河川の河口までの流出調査などを行っているとのことでした。放射性セシウムが付着した土砂の流出や、水に溶け出して河口まで流れることは少ないという調査結果が出たということですが、森林の除染は難易度が高く、震災から11年以上が経過した段階では、土の表面だけではなく、下の層まで除去する必要があり、難しい課題が立ちはだかっていることが分かりました。

 こうした研究の説明を聞き、改めて原発事故の影響の大きさと深刻さを実感しました。除染で出た土などは2045年までに県外で最終処分することが決まっていますが、その道筋ははっきりしていませんし、来年春頃には原発の処理水の放出も予定されています。しかし、漁業関係者などの理解が十分に得られたという状況ではありません。福島県の復興にはまだまだ難しい課題が残されていますが、そうした課題に向き合っていくためにも、原子力災害からの環境回復に向けた、こうした研究の今後に大きな期待を持ちました。

 次に訪ねたのは、大熊町のネクサスファームおおくまで、ここは町の営農活動再開の先駆けとして、町の復興を広くアピールするとともに、町民が帰還した際の雇用の場となることを目指して建設されました。令和元年から高級イチゴの周年栽培を行っていまして、環境制御システムを整え、全量検査をして、安全でおいしいイチゴを生産していると、徳田工場長が話していました。特に、気候的にも技術的にも難しいとされる夏イチゴを生産していることで、ビジネスとして成立させることができているということでした。

 東日本大震災と原子力災害によって失われた浜通り地区の回復のためには、農業の活性化は不可欠ですが、全体状況としては、過疎と高齢化が大きな課題として立ちはだかっています。しかし、それは全国の農業が抱えている共通の課題で、つまりは将来の日本の農業の行方に関わる試金石だと見ることができるのではないかと感じました。

 次に見ましたのは、双葉町のJR双葉駅周辺です。双葉町は、被災した市町村の中で、ただ一つ全町避難が続いていましたが、8月30日に住民の本格的な帰還に向けて、特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。私は、昨年も双葉駅周辺を見せてもらいましたが、今回は10月から入居が始まった公営住宅、それから9月5日に業務を再開したばかりの町役場の新庁舎を見ることができました。

 伊澤町長からは、住民の帰還意向のアンケート調査では、「戻る」が11.3パーセント、「分からない」が25パーセント、「戻らない」が60パーセントで、住民の帰還に向けた環境整備などでは、まだ多くの課題があることを痛感しましたが、「最後に住民が帰還する町だからこそできることがあるはずで、おもしろい町をつくっていきたい」という町長の言葉を頼もしく聞きました。原発事故の影響で11年もの間、一人の住民も戻れなかった町があることは、全国的に見るとあまり知られていないように思います。そうした現状を全国の人に伝えていくことも、この復興推進委員会の大きな役割だと思います。

 最後に訪れたのは、南相馬市のロボコム・アンド・エフエイコムです。福島イノベーション・コースト構想等に呼応して、南相馬市の復興工業団地に令和3年につくられた最先端のデジタル技術と最新鋭のロボット設備を整えた工場です。まだ若い、50代の天野社長からは、南相馬市はロボット産業に力を入れていて、市のサポートや国からの補助も豊富なことから、進出を決めたということでした。いろいろなロボットが動いていましたが、弁当を詰める作業ロボットが流れ作業で弁当をつくっていく様子には、正直驚きました。現在、弁当詰め作業に従事する人は国内に60万人いるそうですが、7割が外国人、3割が高齢者で、ロボットの存在感が高まっているということでした。また、ロボット産業は、日本における重要な外貨獲得手段であるという言葉も印象的でした。

 福島県の復興をけん引する国際教育研究拠点の基本構想の大きな柱は、(1)ロボット、(2)農林水産業、(3)エネルギー(カーボンニュートラル)、(4)放射線科学・医療、(5)原子力災害に関するデータや知見の集積・発信とされていますが、ロボコム・アンド・エフエイコムなど、今回見せていただいた様々な取組は、その姿を目の当たりにしたような驚きと将来への明るい展望を感じさせてくれました。こうした新しい技術を駆使したものづくりの形、そこで活躍する若い人たちの姿は、いまだに原発事故の風評被害に苦しんでいる福島県のイメージを大きく変える力を秘めているように感じました。

 以上です。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 次に、順番が入れ代わりますが、10月24日に訪問しました宮城県につきまして、関委員から御報告をお願いいたします。

【関委員】 私からは、宮城県の現地調査の結果を報告させていただきます。

 実施日は、10月24日。参加者は、伊藤委員長、白波瀬委員長代理、今村委員、奥野委員、そして私、関です。宮城県の南側の沿岸部地域を視察させていただきました。

 最初に訪問させていただいたのは、山元町にあります、やまもとファームみらい野さんです。被災農地を活用し、維持することなどを目的として、2015年に設立された農業生産法人です。約120ヘクタールという広大な農地に、長ネギ、サツマイモなどの作物と、イチゴ、トマトなどの施設栽培の作物を栽培されています。

 お伺いする前は、JAさんという大きな後ろ盾があって、大規模に順風に経営されている農場とばかり思っていましたが、お話を伺って、農地の集積ですとか、少し掘るとがれきが出てくるような土壌ですとか、販売先の開拓など様々な困難がありまして、それらを解決しながら進んでこられたのだと分かりました。新規就農を目指して来られる若い人もいらっしゃると伺いました。もっと多くの若い世代の就農者に来てもらって、この地域の農業を引っ張っていってもらえればと思いました。

 次に、同じ山元町にあります震災遺構中浜小学校を訪問しました。当時の校長先生も含む語り部の皆さんに案内していただき、お話を伺いました。小学生と先生が避難した屋上も見せていただきました。そして、そのときの様子を臨場感を持って感じることができました。お話を伺って、日頃からの備え、避難方法の検討ですとか、先生同士、地域住民とのコミュニケーションの重要さを実感しました。

語り部として伝えていくことは、心の問題もあり、大変なことだと思いますが、当時、そこに避難した小学生が語り部として立候補してくれたというお話に希望を持ちました。学校の教育現場では、震災への備えということに徐々に関心が薄れているというお話でしたので、次世代につなぐためにも教育現場への働きかけも重要と感じました。

 次に、亘理町にあります鳥の海公園を視察しました。最初、温泉施設の屋上から公園を見渡しながら町長から御説明をお聞きし、その後、できたばかりのカフェに移動して、こちらでWatari Triple C Projectのお話をお聞きしました。Triple Cとは、Culture・Cultivate・Challengeの3つのCということでした。コンテナを改造したという、3日前にオープンしたばかりのカフェでメンバーのお話を伺いました。ミュージシャン、サーファー、スケーター、デザイナーといった若い人たちを全国から募集し、地域おこし協力隊として受け入れ、活動拠点を提供し、地域コミュニティの活性化を図るというものでした。

 若者たちは、世界を目指しつつ、Instagramで情報を発信したり、例えば地元の子供たちのためのスケートボード教室を開催したりと、いろいろなことをされているというお話でした。このように若者たちが自由な発想で、自分のやりたいことを追求しつつ、町を盛り上げていく、とても期待が持てる内容でした。さらなる展開が楽しみです。

 次に、岩沼市の玉浦西地区に伺いました。新しく整備された住宅街の中の小道を歩きつつ、御年配の方々のお話もお聞きできました。集落単位の集団移転ということで、何度も話し合いを行って調整して移転されたということで、満足されている方が多いという印象を受けました。住民の高齢化が課題という中、青年海外協力協会(JOCA)さんと協力しつつ対応しているということでした。今後、どのように若い世代を巻き込んでいくかが課題と感じました。

 最後に、名取市のかわまちてらす閖上を訪問しました。整備された川沿いにはおしゃれな店が立ち並んで、市民や観光客の憩いの場としてすばらしいと思いました。道路や避難所のことなど、震災に配慮したまちづくりを行っているということを伺いました。仙台市のベッドタウンという理想的な条件のほかにも、義務教育学校など特色のある教育や、外部から人を招く積極的な姿勢で住民は増えているとお聞きしました。今後の発展がますます期待されると思いました。

 今回の視察では、それぞれの場所で意見交換の場を設定していただき、いろいろなお話をお聞きできたと思います。印象に残ったことは、若い世代を巻き込んでいくことが重要だということです。若い世代が活躍できる場をつくり、自由な発想を尊重して発展していくことが大切だと感じました。

 以上です。ありがとうございました。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 最後に、10月12日に訪問しました岩手県につきまして、今村委員から御報告をお願いいたします。

【今村委員】 今村でございます。資料2-3に基づいて報告させていただきます。10月12日、1日でございます。1ページの右側に図がありますが、岩手県でも一番北部の箇所です。参加者は、伊藤委員長をはじめ、奥野委員、山﨑委員、若菜委員、私の5名でした。

 4か所でして、まず八戸、青森県から入る地域になります。洋野町での会館ウニーク、野田村の復興の状況、そして久慈市では2か所でして、久慈川のふ化場と、中央市民センターをお借りして心のケアの取組を拝見したところです。

 次のページを見ていただきたいと思います。先ほど宮城、福島でも報告がありましたが、次世代での取組は復興の中でも非常に重要でありまして、ここでも2名の方にヒアリングをすることができました。写真の一番上にあるのが大原さん、また真ん中が眞下さんでして、大原さんは仙台からこちらに来られて、眞下さんは地元出身であります。お二人とも非常にユニークな取組を行い、大原さんは、特にほかの世代で地域おこし協力隊の活動の支援ということで活動を行われております。眞下さんは、地元のウニを中心とした水産業、これは新しいビジョンでSDGsにも取り組みながら進めておられるというところです。

 改めて、地域おこしの中では、交流人口、また関係人口が非常に重要でして、この地域でのチャレンジを拝見することができました。先ほど述べたとおり、水産に関しては、いかに付加価値をつけるのか、そのときに国内の視点だけでなく、SDGsにも取り組み、地球規模の環境問題も扱っている商品であること、このようなメリット・ビジョンを持つ活動は非常に重要だと思っております。

 次のページを開いていただいて、野田村の保健センターです。野田村も被災地でして、沿岸部のほとんどの地域が津波によって被災されました。上の写真は、野田村の村長さんからお話を伺い、屋上で周辺部の復興の状況を拝見いたしました。真ん中も同様でして、ここでは多重防御ということで、従来の防潮堤はこの地域にもあったわけですが、3.11はそれよりはるかに大きな規模で浸水してまいりました。それを一つの防潮堤で対応するのではなく、第二線堤、また公園などの空間を使いながら津波を段階的に防御する取組を現場で拝見することができました。

 写真の一番下はジオラマということで、震災前の町の様子を一軒一軒再現していただいて、当時の記憶を残す。これも今後の復興を考える際に重要であり、全く違う町をつくるわけではなく、当時の取組・文化というものを継承していただきたい、そのときの記憶を伝承する重要な施設だと思っております。

 改めて多重防御の地域を拝見したのですけれども、実は国の評価を受けて、今年の3月に岩手県でも新たな津波浸水の想定が発表されました。この地域でも広く津波の浸水が懸念され、実は久慈も同様でして、特に岩手県の北部で当時よりも大きな影響、また被害が想定されているところです。このようなまちづくりと、それに加えて防災意識の向上が不可欠であると考えているところです。

 次は3番目、久慈川漁協のふ化場でございます。ギンザケのふ化ですけれども、久慈育ちの新しい目玉をつくりたいということで、公募をされて「久慈育ち琥珀サーモン」という名前をつけられまして、今年、その活動がかなり具体化したということで拝見したわけです。写真は、生け簀を視察させていただいている様子です。特にギンザケというのは非常にマーケットでも注目されて、値段も良い、さらに短時間に大きくなるということで、コストパフォーマンスが非常に高いということも紹介されながら、今後、非常に期待されるところです。

 この地、三陸沿岸ですが、過去に明治・昭和などの津波の大災害を経験してきました。このときの復興の柱というのは水産業でしたが、今は残念ながらサケやサンマなど不漁が続きまして、基幹産業が厳しい状況です。その中で、ギンザケ養殖という新しい取組を進められて、たしか今年は3億円を上回る売上げも記録されたということで、期待を持つ状況です。

 最後の4番目に、中央市民センターをお借りして心のケアの取組の実態を拝見させていただいたところです。ここでは、岩手医科大学という地元大学が震災直後から継続的に支援されて、このような取組が非常に重要です。また、震災直後の状況から今までの状況は、心理的なものは大きく変化します。PTSDを含むストレス反応が当時は多かったのですけれども、今は発達障害に関する相談が多いということで、その変化に応じた丁寧なケアが必要であるということを具体的に拝見させていただいたところです。今後も、心のケアに関しては、新しい状況も生まれますし、継続的な支援が必要だというところを強く感じたところです。

 改めまして、今回、岩手県の北部ということで、次世代の活動、復興のまちづくり、新たな産業、そして心のケアという4か所を効率的に拝見することができました。

 以上で報告を終わりたいと思います。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、この後は、議題1と議題2につきまして皆様と意見交換の時間とさせていただきたいと思います。

 まず、現地調査に3県すべて御参加いただきました奥野委員から、総括的に御所感をいただけますでしょうか。

【奥野委員】 奥野です。

 3県行ってまいりまして、3県それぞれの文脈というか、地域の被災状況もありながらの復興ということの中で、共通点があるなと感じました。それは、東日本大震災で喪失してゼロになって、そこから復旧ではなくて復興していくためには、他者の力というか、他の力が必要で、それは行政であったり、国であったり、ほかのグループであったりすると思うのですけれども、自分たちの環境とか産業のよさとかその土地のすばらしさというのは、自分たちは当たり前だと思っていて、それが特にすばらしいということの自覚がなく、一回失って、外からの人が入ってきて、そのすばらしさを外の人と共有して分かるみたいな感じで進んでいるなと感じたのですね。

 東日本大震災ということで喪失したからこその何かクリエイティブなものがあるのだなと感じました。ですので、地元の方もおっしゃっていましたが、自分たちでクローズドになるのではなくて、ほかから入ってくる若者であったりほかの県の人たちであったりと一緒に、心の開放性を持って話し合っていくということで、今まで以上の地元の発展というものが得られているのではないかなと希望を持ちました。

 震災というのは、本当に語り尽くせないというか、言葉にできない悲しみがあると思うのですが、それは究極的には人と人をつなげていく力として、私たちがつながっていくのかなと希望を感じました。

 私からの感想は以上です。ありがとうございました。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 この後、10分程度しか時間が取れないのですけれども、委員の皆様から御自由に御意見、御発言いただきたいと思います。どなたからでもいかがですか。

【今村委員】 では、資料1について質問させていただきたいと思います。資料1の復興の取組、下にございまして、観光の振興というのがあります。今、福島での風評被害等の対応もあるのですけれども、2つ目の海の魅力を高めるブルーツーリズムという活動に非常に関心を持っております。海の脅威や豊かさの理解を進め、風評被害も関係しますけれども、それを払しょくするような取組だと思うのですが、具体的なイメージがなくて、このブルーツーリズムはどういう趣旨で、何を観光として売るのか、もし紹介できますならばお願いしたいと思います。

【復興庁今井参事官】 ブルーツーリズムにつきましては、具体的には観光庁でやっている事業でございまして、これを復興庁の復興予算で手当てしているものでございます。具体的には、地域において海の魅力を発信するためのツアーの造成に対する支援でありますとか、例えば海の家を改修することに対する補助でありますとか、そういった海に関連するような情報発信などについて一定の助成をする事業でございます。これにつきましては、今年度から実施しているというものでございます。

【今村委員】 ありがとうございます。ブルーカーボンなども関係するのでしょうか。そこまでは中身に入っていないのでしょうか。

【復興庁今井参事官】 ブルーカーボンというのはちょっと承知しておりませんけれども、海の魅力を発信するということを、最近、何とかツーリズムというのがございますけれども、ブルーツーリズムと銘打って打ち出しているものでございます。

【今村委員】 ありがとうございます。

【伊藤委員長】 ほかにどなたか御発言、御質問でも御意見でもございますか。

【白波瀬委員長代理】 大変ありがとうございました。1点質問なのですけれども、今、今村先生から御報告があった箇所です。心のケアというのは3県共通に大変深刻であり、緊急性の高いものだと思うのですけれども、因果関係が非常に難しいところです。ただ、ここで発達障害の事例が増えているという状況を危惧していて、PTSDと関連している割合が33パーセント、被災地以外は12パーセントということで、これは有意に高いということが分かるのですけれども、被害を受けたということと発達障害云々との関係性という点で、共同研究とか実施されているのでしょうか。ここだけに閉じた研究ではなくて、他県との共同分析とかそういうことはなさっているか、分かりますでしょうか。そういうことがあったら、ぜひお進めいただくのが良いように思うのですけれども。

【伊藤委員長】 今、お答えできますか。

【復興庁岡本審議官】 私も共同研究をやっているかというところは、もう一回調べてみたいと思いますが、いずれにしても、岩手の心のケアの取組につきましては、先ほど今村先生からも御説明ありましたとおり、岩手医科大学がかなり力を入れて取り組んでおられまして、そういう意味では、かなり広範に研究的なサイドでの取組というのも相当頑張っておられると承知しております。その中で出たいろいろな研究の成果については、学会でも公表したりという取組も進めていると伺っておりますので、ここでやっている取組というのも、岩手だけで閉じているということではないと認識してございます。

【伊藤委員長】 ほかにどなたか、どうぞ、小林委員。

【小林委員】 勉強不足で恐縮なのですけれども、資料1の2ページ目で、福島県浜通り地域をスタートアップ創出の先進地とすることを目指すと書かれているのですが、これを存じ上げていなくて、具体的にどのようなことを考えておられるのか、教えていただけたら大変うれしいです。

 あと、資料1の1ページ目で販路開拓・新事業の立ち上げ支援等というところがあるのですけれども、地元目線で申し上げると、いろいろな主体がいろいろな専門家派遣であったり、いろいろなハンズオン支援事業というのをやられていると思っておりまして、復興庁さんをはじめ、経産省、農水省、県など、いろいろなところがやられている中で、それぞれの違いが我々現場でよく分からないみたいな部分がございまして、こういった専門家派遣だったりハンズオン支援というのは、縦割りではなく、横でもうちょっと分かりやすく整理統合などはされないのかというところを、お伺いしたいです。

【復興庁由良統括官】 手元で分かる範囲でお答えしたいと思います。まず、スタートアップ創出の先進地の部分でございますけれども、もともと福島イノベーション・コースト構想の取組として、現地でのスタートアップの育成、それから関東・東京等でスタートアップとして活動されている企業の呼び込みといった取組を、福島イノベーション・コースト構想推進機構とともに県と一体となって取り組んできております。今回設立準備を進めております福島国際研究教育機構でも、そういった研究成果と産業化というところをうまくつなげていく取組をさらに進めていけるように、研究開発と産業化の一体的な推進ということで取組を進めていきたい。そういった思いも込めて、予算事業や取組を御紹介して、こういった先進地としての取組ということで進めております。

 実際、福島ロボットテストフィールドの事例が書いてございますけれども、数十のスタートアップの企業さんが現地で活動していただいているという実績も出てきておりますので、さらにそれを進めていきたいというところでございます。

 それから、販路開拓一般の取組ですけれども、生産者の方、流通事業者の方、それと例えば関東あるいは大阪といった大消費地での流通関係の方、いろいろなネットワークが必要でございます。1次産業でもそういうことになりますし、それ以外の2次産業、3次産業のネットワークもつなげていかないといけないという、多面的なそれぞれの分野での取組が必要になります。一体的にというところ、少し目に見えにくい部分がございますけれども、復興庁で言いますと福島・宮城・岩手のそれぞれの復興局もそういった取組に参画しておりますし、経産省、農水省、環境省、それぞれの役所からも現地での活動の盛り立てをやっております。

 実際の活動に当たっては、それぞれの事業主体、国の主体あるいは県の関係の主体が相互に乗り入れる形で取組をしておりまして、そこが少し見えにくいところがあるかもしれませんけれども、どこかのネットワークに引っかかっていただくと様子が見えてくるというところもありますので、ぜひ一緒に取り組めればと思います。

 以上でございます。

【伊藤委員長】 時間がちょっと迫っておりますので、山名委員まで御発言いただいて、次に行きたいと思います。お願いします。

【山名委員】 ありがとうございます。ちょっと話題を変えさせていただきますが、資料1の2枚目の左上のところに、中長期ロードマップを踏まえた安全かつ着実な実施という記載がございます。これは、手元の本文のところも読みましたが、最近、ALPS処理水の問題がどうしても前面に出てきますので、廃炉自身が持っている復興における長期の意味合いみたいなものが見えにくくなってしまって、すべて処理水の話みたいになってしまっています。

せっかくこうしてまとめていただけるのであれば、廃炉は私が責任ある立場で東電を指導しておりますが、長い戦いですが着実に間違いなく進んでいる。事故炉からの使用済み燃料の取り出しも3分の2終わっておりますし、廃炉においてそういう長い着実な取組が、東電を主体に政府の主導の下で行われているということが基本にあって、その中で処理水という大きな問題があって、これは皆様御心配なので特別な対応を取って、このように行動計画が出されて、それに向けて進んでいると。それが本来、皆様に伝えるべき廃炉の状況に対するメッセージだと思います。そこで皆さんの誤解を生まないように、そういう全体像を記載していただけるとありがたいなと思いました。以上です。

【伊藤委員長】 事務局から何かありますか。

【復興庁角田統括官】 どういう工夫ができるか、検討させてください。今すぐにはなのですが、ALPS処理水だけではなく、全体の流れを本文には書いてあるつもりです。いま一度拝見させていただきます。申し訳ございません。

【伊藤委員長】 では、そこを検討していただくということで、申し訳ないですが時間が押していますので、次に進めさせていただきたいと思います。

 続きまして、議題3は、3県からの御報告、御意見をお願いいたします。委員の皆様は、資料3-1から3-3を適宜御覧ください。

 まず、岩手の達増知事からお願いいたします。

【達増委員】 岩手県でございます。

 東日本大震災津波からの復旧・復興には、委員の皆様、復興庁、そして国内外の皆様から多くの御支援をいただき、感謝申し上げます。先月12日には本県を御訪問され、こころのケア、産業の再生など震災固有の残された課題や、不漁対策など新たな課題に取り組む現地の状況を視察いただき、重ねて感謝申し上げます。

 岩手県からの報告は、資料3-1「東日本大震災津波からの復興の取組状況について」のとおりでありますが、主なポイントについて説明したいと思います。

 復興の状況と課題でありますが、岩手県では、いわて県民計画に掲げる4本の柱に基づき復興の取組を進めています。

 1本目「安全の確保」では、復興道路や海岸保全施設の整備が着実に進捗し、計画された事業の多くが完了し、大船渡港のコンテナ貨物取扱量が令和3年に過去最高を記録しました。課題は、マル1、残る1か所の津波防災施設の早期完成や、マル4、移転元地の利活用などがあり、引き続き取り組んでいく必要があります。

 次に、右側「暮らしの再建」では、災害公営住宅の整備が完了し、応急仮設住宅のすべての入居者が恒久的な住宅に移行しました。被災者の生活安定に向けた相談支援や生活支援相談員の配置等により、コミュニティ形成支援に取り組んだところです。課題としては、マル2、被災者に寄り添ったこころのケア等の継続では、県が設置したこころのケアセンターの相談件数は、震災後11年を経過してもなお7,000件を超える多くの相談が寄せられており、引き続き、中長期的な被災者のケアが必要です。

 続いて、3ページを御覧いただきます。左側「なりわいの再生」では、漁船や養殖施設、漁港、食品加工場等の施設や設備など、ハード面の復旧・整備がおおむね完了し、復興の動きと連動した誘客促進や観光振興に取り組み、沿岸地域の令和3年度の教育旅行客数は、震災前の約2.3倍となりました。課題としては、マル1、本県の主要魚種であるサケやサンマ、スルメイカの水揚げが震災前と比較して大きく減少している中、主要魚種の資源回復、増加している資源の有効利用、新たな漁業・養殖業の導入を3本の柱に不漁対策を講じていく必要があります。また、マル3、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた飲食や観光事業者などの支援に、引き続き取り組む必要があります。

 次に右側の「未来のための伝承・発信」では、陸前高田市の東日本大震災津波伝承館は、令和元年9月開館し、本年10月末、来館者数63万人を達成しました。また、本年9月、本県を会場に開催された日本スポーツマスターズ2022岩手大会で、奇跡の一本松と復興支援への御礼メッセージを入賞者記念メダルにデザインしました。復興に力強く取り組む岩手の姿や支援の感謝を、様々な機会を通じて発信しております。課題としては、マル2、多くの方々に来館いただいている伝承館を拠点として、各地の震災伝承施設を周遊する機会を創出し、震災の事実と教訓の伝承に引き続き取り組んでいくことが必要であります。

 次に4ページ、本県では、これまでの取組の成果を踏まえて、「誰一人として取り残さない」という理念のもと、来年度からスタートします「第2期復興推進プラン」、第2期の4年計画を策定中であり、三陸のより良い復興の実現に向けて必要な取組を実施してまいります。より良いというのは、ビルド・バック・ベターという意味です。

 「安全の確保」では、災害に強い道路ネットワークの構築、今後起こり得る巨大地震・津波への対応、暮らしとなりわいを支える災害に強い安全なまちづくりを推進します。

 「暮らしの再建」では、被災者の生活の安定や持続可能な地域公共交通の確保、地域における保健・医療・福祉の体制の充実、地域コミュニティの維持・活性化、お互いに支え合いながら安心して心豊かに暮らせる生活環境の構築を目指します。

 「なりわいの再生」では、水産業の再生、新たに整備された交通ネットワークを活用した物流体制の構築、地域資源を活用した産業振興や交流人口の拡大で、地域のなりわいを再生し、地域経済を活性化します。

 「未来のための伝承・発信」として、伝承館をはじめとする県内の震災伝承施設等による事実・教訓の伝承や、復興の姿の発信により、東日本大震災津波の事実と教訓を世界の人々と共有し、風化や関心の低下を防ぎ、自然災害に強い社会の実現を目指します。

 引き続き委員の皆様、復興庁の皆様、御支援・御協力をどうぞよろしくお願いいたします。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 続きまして、宮城県の池田副知事、お願いいたします。

【池田 宮城県副知事】 宮城県副知事の池田でございます。本日は、村井知事不在のため、代理出席させていただいております。

 初めに、委員の皆様や復興庁の皆様には、これまでの復興に向けた御支援に加えまして、復興の完遂に向けて引き続き御尽力いただいておりますことに、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。また、先ほど関委員から御報告がございました10月24日に、宮城県における復興推進委員会現地調査が行われまして、伊藤委員長をはじめ、委員の皆様に復興の様子を御視察いただきました。今回の現地調査において、山元町では、土壌改良を要する耕作放棄地や宅地の跡地などを活用した新しい大規模農業の試みを視察いただきましたほか、亘理町では、若者が主体となって取り組む文化と防災の拠点施設などを視察いただきまして、宮城の創造的復興のさらなる可能性を感じていただけたのではないかと考えております。

 私からは、当県の復興の状況と今後の取組等について御説明させていただきます。資料3-2の1ページを御覧いただきたいと思います。我が県では、県政運営の基本方針であります「宮城の将来ビジョン」、東日本大震災からの復興の道筋を示す「宮城県震災復興計画」、「まち・ひと・しごと創生法」に基づきまして策定いたしました「宮城県地方創生総合戦略」の3つの長期計画を統合いたしまして、令和3年度を初年度といたします10か年の「新・宮城の将来ビジョン」により県政を推進しているところでございます。

 被災地では、切実できめ細かい対応をしなければならない課題がいまだ残されているということもございまして、「新・宮城の将来ビジョン」の5つの基本方向の一つに、「被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート」を掲げまして、「生活再建の状況に応じた切れ目のない支援」、「回復途上にある産業・なりわいの下支え」、「福島第一原発事故被害への対応」、「復興事業のフォローアップと成果・教訓の伝承」の4つの取組分野におきまして、それぞれの課題に応じた丁寧なサポートを実施しているところでございます。

 本日は、最近の復興状況といたしまして、取組分野の4、復興事業のフォローアップと成果・教訓の伝承に関連して、南三陸町の取組を御報告させていただきたいと思います。

 資料5ページを御覧いただきたいと思います。5ページの写真でございますが、志津川地区の遠景でありまして、グランドデザインには建築家の隈研吾さんが関わっておられます。10月1日にJR気仙沼線BRT志津川駅や観光交流施設のほか、震災伝承施設「南三陸311メモリアル」が開館いたしまして、2017年3月に本設オープンした「南三陸さんさん商店街」とともに、「道の駅さんさん南三陸」としてグランドオープンいたしました。

 町の復興事業の集大成でもあります震災伝承施設でありまして、東日本大震災で被災した南三陸町の方々の体験を伝えますとともに、防災・減災について自分ごととして考えていただくきっかけを提供する、震災伝承ラーニング施設となっております。住民の方々の体験や思いに触れることができる展示ギャラリーや、防災ミニブックと映像を連動させたラーニングシアターなどを備えているところでございます。

 5ページ下の写真を御覧いただきたいと思いますが、東日本大震災で壊滅状態となりました志津川地区の中心市街地でございますけれども、防災集団移転事業に伴って土地区画整理事業を行いまして、約10メートルのかさ上げが実施されております。南三陸町では、この地域一体を新たな観光・交通の拠点と位置づけまして、震災伝承施設や「南三陸さんさん商店街」、震災復興祈念公園、これらをつなぐ「中橋」などの整備を進め、実に9年越しで町のにぎわいづくりに取り組んでまいりました。なお、「南三陸さんさん商店街」、「中橋」、「道の駅さんさん南三陸」につきましては、先ほど申し上げましたとおり、隈研吾さんの設計になっております。

 県内は、沿岸各地に震災伝承施設が設置され、震災の経験や記憶を語り継ぐ語り部が数多く活動を続けておりますけれども、震災遺構の保存・維持管理や、語り部の高齢化に伴います活動の継承などが課題となっております。県では、震災の記憶や教訓を広く後世に受け継ぐため、震災伝承活動の主体であります伝承活動団体や、伝承施設管理者のほか、企業、教育機関、国、市町村等の多様な主体で構成いたします「震災伝承みやぎコンソーシアム」を本年9月に新設いたしまして、会員同士が緩やかに連携しながら持続的な震災伝承に向け、一元的な情報発信の取組を始めたところでございます。

 宮城県といたしましては、復興庁や宮城復興局の皆様と連携の下、様々な支援制度の活用や情報発信をさせていただきながら被災地の復興を進めてまいりますので、引き続き御支援いただきますようお願い申し上げます。

 私からの報告は以上でございます。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 続きまして、福島県の内堀知事、お願いいたします。

【内堀委員】 ありがとうございます。

 伊藤委員長をはじめとした復興推進委員会の皆さん、そして竹谷副大臣、復興庁、政府の皆さん、日頃から福島の復興・再生に大変お世話になっております。心から感謝を申し上げます。また、9月の現地調査については、先ほど山﨑委員から丁寧な御報告をいただきました。福島の復興に向けた取組を直接御覧いただき、激励をいただいたことに御礼を申し上げます。

 本日は、福島の復興・再生に向けた現状と課題について御説明いたします。皆さんのお手元の資料3-3、1ページ目をお開きください。特に、赤字の部分を目で追っていただければと思います。

前回、6月の復興推進委員会以降、葛尾村、大熊町及び双葉町の特定復興再生拠点区域において避難指示が解除されるとともに、9月には浪江町及び飯舘村の拠点区域において準備宿泊が開始されるなど、復興に向けた歩みは着実に前進しています。一方で、地域によって復興の進捗は大きく異なり、復興のステージに応じた新たな課題にも直面しています。引き続き、国、県、市町村等が連携し、避難地域の復興・再生に向け、全力で取り組んでいく必要があります。

 特定復興再生拠点区域外については、今年9月に示された与党第11次提言を踏まえ、除染等の枠組みを定め、早期に除染等に取り組むなど、帰還困難区域全ての避難指示解除に向け、国が最後まで責任を持って取り組んでください。

 2ページをお開きください。55の国と地域で行われていた県産食品の輸入規制については、今年6月にイギリスにおいて輸入規制が撤廃されるなど、現在は12に縮小しました。一方、農産物等の価格差の固定化や、年々進む風化への対応も不可欠です。引き続き、さらなる輸入規制の撤廃に向けた働きかけや、正確な情報発信などに取り組んでいく必要があります。ALPS処理水の取扱いについては、引き続き誠意を持って、丁寧かつ十分な説明を重ねるとともに、関係者の声にしっかり耳を傾け、その思いを真摯に受け止め、関係者の皆さんの理解が深まるよう、取り組んでください。また、この問題は、福島県だけではなく、日本全体の問題であり、国が前面に立って政府一丸となった万全な対策を講じ、これまで県民が積み重ねてきた努力が水泡に帰すことのないよう、最後まで責任を全うしてください。

 次は3ページ目をお開きください。福島イノベーション・コースト構想に係る各取組については、その成果を全県に波及させていくことが重要です。産業集積や研究開発の推進、地域企業の参画促進、構想を支える教育・人材育成などに取り組み、福島イノベーション・コースト構想のさらなる発展を図る必要があります。浪江町に立地が決定した福島国際研究教育機構については、来年4月の設立が予定されております。設立に向け、機運醸成や機構の活動の見える化の取組が必要であるとともに、福島イノベーション・コースト構想を発展させ、その効果が広範なエリアに還元されるよう、関係機関等がしっかりと連携することが重要です。

 4ページ目をお願いします。東京電力福島第一原発及び福島第二原発の廃炉作業の安全かつ着実な実施や、使用済み燃料の確実な県外搬出、ALPS処理水の取扱いなど、原子力災害に伴う様々な課題に対し、国が前面に立ち、最後まで責任を持って対応することが不可欠です。法律に定められた国の責務である除去土壌等の2045年までの県外最終処分に向け、全国民的な理解醸成を確実に推進するとともに、県外最終処分に向けた具体的な方針・工程を早期に明示し、県民・国民の目に見える形で取組を加速させる必要があります。

 5ページ目をお願いします。避難地域の復興の実現や被災者の生活再建、風評と風化の問題、廃炉と汚染水・処理水対策など、課題が山積しています。東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故から11年8か月が経過した今もなお、福島の復興はいまだ途上にあり、今後も長く厳しい戦いが続きます。本県の実情や複合災害の特殊性を踏まえ、第2期復興・創生期間以降においても、安心感を持って中長期的に復興を進めることができるよう、十分かつ安定的な制度・財源を確保することが不可欠であると考えております。

 私からは以上であります。どうぞよろしくお願いします。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの3県の御説明に関する御質問は、議題4の後で一括してお受けしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、議題4に参ります。本委員会は、今後作成が行われる福島国際研究教育機構の中期目標等に対し、あらかじめ意見を述べる役割を担います。前回6月の会議では、中期目標等に対する本委員会の意見取りまとめを行う実務的な作業体制について、本日お諮りするということにいたしておりました。そこで本日は、機構の設立準備状況、また意見取りまとめの作業体制案につきまして事務局から説明を伺い、この作業体制を決定したいと考えております。まず、事務局から説明をお願いします。

【復興庁寺﨑審議官】 機構準備室の副室長をしております審議官の寺﨑でございます。お手元の資料4-1以降で御説明申し上げます。

 前回の会議以降、8月26日、この資料4-1にございます新産業創出等研究開発基本計画が内閣総理大臣によりまして決定されております。これは、福島復興再生特別措置法に基づいて決定するものでございますけれども、機構はこの基本計画にのっとりまして、研究開発でございますとか人材育成等の業務を総合的に行うことを目的に設立されるものでございます。

 内容をかいつまんで申しますと、まず我が国の現状といたしまして、短期間で科学技術力を世界トップレベルに引き上げ、日本再生の原動力としていく必要があるということ。さらに、福島からはじめる意義。そして、機構が中核的な役割を担うために行う取組といたしまして、国によるリーダーシップ、中長期の研究開発を支援する体制整備、実証や社会実装の推進、研究人材の確保・育成。

 これらを通じまして、一番下にございますように、有力な研究者や起業家が集結し、イノベーションの創出が自律的に加速する好循環を形成すること、そして、新しい時代を夢見る研究者、起業家が福島の地に集い、実証・実装の成果を各地に展開することで国全体の成長につなげるということを書いております。

 2ページ目にお進みいただきまして、こちらは施策の推進のための方針ということで、上にございますのは、官民の資源集中によるイノベーションの創出、さらには、機構の機能発揮のための基盤構築といたしまして、幾つかのことが記載されております。

 機構の各機能につきましては、既に御案内のとおり、4つの機能がございます。1つ目が研究開発機能。2つ目が産業化機能。3つ目が人材育成機能。4つ目が司令塔機能。この4つの機能を適切に発揮していくということになっているところでございます。

 3ページをお開きいただきますと、このうちの研究開発機能につきまして、ロボット、農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用、そして5番目といたしまして、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信といったことが研究開発の内容として具体的に記述されているものでございます。

 続きまして、資料4-2を御覧ください。こちらは、9月16日に復興推進会議において決定いたしました、福島国際研究教育機構の立地についての説明資料でございます。F-REI(エフレイ)という名前を略称として決定いたしましたことにつきましても、併せて御報告いたします。これは、Fukushima Institute for Research, Education and Innovationの略でございます。以下、F-REIという呼び方で説明を続けさせていただきたいと思います。

 このF-REIの立地につきましては、先ほどから話が出ておりますとおり、本施設につきましては浪江町の川添地区に、仮事務所につきましては同じく浪江町の権現堂地区の公有施設、こちらの下の地図にございますJR浪江駅の駅前に、既に浪江町が整備しております公有の施設がございまして、こちらを仮事務所として使用させていただくことが決定しております。そこに隣接しております農地、本施設予定地と書いているところでございますが、こちらの農地が本施設を建てる予定地として決定したということでございます。

 併せまして、この復興推進会議におきましては、2といたしまして、国及び機構は、福島県及び市町村並びに大学その他の研究機関等と連携し、機構設置の効果が広域的に波及するよう取組を進めるものとするということも決定しているところでございます。

 次のページをお開きください。ただいま申しました広域的な波及に関しまして、秋葉復興大臣から説明いたしました資料でございます。F-REIを核といたしました浜通り地域等との広域連携による効果波及について、基本的考え方を書いておりますが、4つ目のポツにございますように、浜通り地域等を中心に、機構の施設の中だけでなく、施設の外も含めて広域的なキャンパスとして捉え、「世界でここにしかない多様な研究・実証・社会実装の場」を実現し、国際的に情報発信するということを掲げているところでございます。

 下に幾つか事業展開のイメージ例がございますが、例えば農業で申しますと、自律的に作業する農機の制御などスマート農業技術の研究開発を、このF-REIにおきまして進めることにしておりますけれども、これを市町村・農家等とのパートナーシップによりまして、具体的にはこれらの地域の農地を実証フィールドとして活用し、さらに若者から高齢者まで誰もが取り組みやすい超省力・高付加価値で持続可能な先進農業を実現していく。このような形で効果を波及させていきたいと考えているところでございます。

 なお、この資料につきましては、既に地元の市町村長との意見交換などを開始しているところでございます。

 以上がこれまでの進捗状況でございますが、3ページへお進みいただきまして、本日御議論いただく中期目標への意見に関する事項でございます。福島復興再生特別措置法におきましては、主務大臣は、7年間におきまして機構が達成すべき研究開発等の業務の運営に関する目標を定め、これを機構に指示することになっております。この中期目標を定める際に、あらかじめ復興推進委員会の意見を聴くという手順が法律で定められているところでございます。先ほど委員長からもございましたように、前回6月の委員会におきまして、この意見の取りまとめに当たりましては、実務的な作業を行う体制を構築するということをお示しされているところでございます。

 この復興推進委員会の下に福島国際研究教育機構ワーキンググループを設置いたしまして、こちらにおきまして専門的な検討をし、この復興推進委員会に御報告いただいた上で、意見を内閣総理大臣、主務大臣に対して述べていただくということを、このポンチ絵に書かせていただいているところでございます。

 4ページに参考でございますが、F-REIに関しまして、復興推進委員会の役割、このほかに2つございます。今、申しましたのが中期目標に関する意見。さらには、各事業年度の業績評価、これは初回は令和6年7月頃になろうかと思います。そして3つ目といたしまして、この中期目標期間終了時の検討に関する意見、こちらが予定されています。法律には、この3つが規定されているということにつきましても、併せて御報告をいたしたいと思います。

 最後、資料4-3は、ただいま御説明申しましたワーキンググループの開催について文字にしたものでございます。

 以上で説明を終わります。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 資料4-3の1ページ目にありますように、このワーキンググループの構成員は、委員長が選任するという案になっております。構成員をお願いするのは、資料4-3の2ページ目にある名簿(案)のとおりと考えておりますので、併せて御確認いただければと思います。

 それでは、ここまでの説明に関しまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。

 まず、福島県の内堀知事から御発言をいただきたいと思います。お願いします。

【内堀委員】 ありがとうございます。

 来春のF-REIの設立に向け、新産業創出等研究開発基本計画の策定や立地決定など、関係者の皆さんには精力的に御尽力いただいています。皆さんに感謝を申し上げます。

 F-REIは、福島イノベーション・コースト構想をさらに発展させ、創造的復興の実現に不可欠な福島県民の夢や希望になるものであると考えています。このため、長期・安定的な組織運営に必要な財源や予算の確保を大前提として、関係主務大臣制の下でも、復興大臣、復興庁が司令塔としての調整機能を十分発揮して、縦割りを廃し、F-REIの理事長がリーダーシップを最大限発揮できる体制を構築して、霞が関から理事長をしっかり支えてください。

来年度から仮事務所で活動を開始するF-REIにとって、中期目標は7年後の令和11年度までを見通すものです。まずはF-REIがトップクラスの研究者や有力な起業家が集結し、活躍できる国際水準の研究環境を早期に実現できるよう、本施設の整備の前倒しを最大限進めてください。もとより、仮事務所の間においても、F-REIの円滑な始動と効果の早期発現に向け、取組の見える化や地域での機運醸成を進めるほか、県内への活動拠点の設置や施設等の最大限活用、県内の大学や企業等との連携などが図られるとともに、早い段階からF-REIが地域に根差し、研究開発等の成果が県内へ貢献するよう、中期目標等に具体的な取組を明記の上で実行してください。

 また、研究者等が安心して生活や活発に活動できる周辺環境の整備が重要です。このため、国が責任を持って総合的に進めるとともに、県や市町村、その他事業者が行う取組に必要な予算について十分に確保し、全面的に支援をお願いします。

 先ほど御説明があったワーキンググループについては、福島ゆかりの方々も多く、本県の実情に精通しておられ、それぞれの専門のお立場から本県の復興と再生を促進する活発な御議論をいただけるものと期待しています。

福島県としても、F-REIの取組の成果が早期に地域に還元されるよう、国、市町村、関係機関等の皆さんと引き続きしっかり連携してまいります。皆さん、どうぞよろしくお願いします。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続き、これまでの説明に関しまして、委員の皆様から御自由に御意見をいただきたいと思います。挙手をお願いいたします。

 では、今村委員。

【今村委員】 私からは、資料4-1の2ページ目にある、教育についての各機能についてまとめていただきましたが、それに対してコメントでございます。

 (1)から(4)まで、これはいずれも必要な機能であるかと思いますが、特に(3)に関しては、連携等またクロスアポイントメント制度等を活用してということをうたってあります。人材育成というのは本当に本腰を上げないと難しい課題でございます。これらについて、今後、具体的に中期目標で様々設定いただくと思いますので、より様々な御意見や提案をいただきながら、効率的な、しかも重要な項目を挙げていただきたいと思います。以上です。

【伊藤委員長】 ほかに御意見ございますか。

 山﨑委員、お願いします。

【山﨑委員】 山﨑です。皆さんからの御意見を伺ったり、説明を聞いたりして、F-REIの役割と期待というのはものすごく大きいと思います。とりわけ地元に対する波及効果をぜひ実現していただきたいと思います。人材の育成とか地元の活性化につながらないと、当初の目的を達成したことにならないと思うのですが、もう一つ、私は大きいと思っているのが、福島に関わるマイナスのイメージを、この取組はプラスに変えていく力があるのだということだと思うのですね。ですから、全国に向けて、この取組の意味合いと背景と目指すものを積極的に発信していく必要があると思います。

 とりわけ、今回も現地を見させていただいて、災害というのは、それぞれの地域がもともと抱えていた課題を、災害がきっかけに顕在化させて、それを加速させていくのだという特徴があるということがはっきり分かります。ですから、福島や被災地が抱えている課題というのは、全国のどこの市町村にとっても人ごとではないのです。そのことを、このF-REIの取組に即して全国に発信していくということは、とても大事なことだと思います。

 それから、去年、福島原発の中を見せていただきましたけれども、先ほど山名委員もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、着実に廃炉に向けた動きが少しずつ進んでいるし、そこで努力している人がいるのだということも発信していく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 ほかに御発言のある方ございますか。では、小林委員、お願いします。

【小林委員】 福島県にとって、この機構自体が大事な意味を持っていると思うのですけれども、地元でその意味合いとか、どれぐらい我々に良い影響があるのかというのをなかなか知られていないという現状があると思います。それは、御高齢の方もそうですけれども、若い人でもなかなか知らないということがあると思うので、ここの広報の体制をどのように整えていくか、どういう戦略を持たれているのかというところを教えていただきたいのと、御検討いただきたいなと思っております。

 2点目が、地元企業の参画というところがとても重要になると思うのですけれども、単に決定事項だけ地元で言われてしまうと、地元側としてもよく分からないという状態で、参画していいものなのかどうなのかというところも、波及が一部の企業にとどまってしまうのではないかなと思っております。この検討段階でのプロセスで、地元の企業なり住民なりをどう巻き込んでいくのかというところも、ぜひ御検討いただきたいなと思っております。

 最後に、機構の規模を私が今一つよく理解できていないのですけれども、恐らく何千人規模みたいなことなのかなと思っておりまして、移住するとなったときに、一人でも移住先の住むところを探すのは苦労しまして、私自身も大変苦労したところではあるのです。何千人規模となったときに、本当に県内で住む場所を適切に確保できるのかどうか、来ていただいた方々がしっかりと暮らしていけるような環境ができるのかどうかというところも御検討、教えていただきたいなと思っております。

 以上です。

【伊藤委員長】 広報体制の問題と住居の問題の御質問、どなたか。お願いします。

【復興庁寺﨑審議官】 ありがとうございます。先生方から貴重な御意見を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。

 幾つか御指摘いただきましたが、ただいま御指摘ございました広報体制は極めて重要であると考えております。ただ一方、私どもが今やっております作業は、F-REIの設立に向けまして財政当局などとの最終的な詰めの作業をやっている段階でございまして、まだ具体的に規模でしたり、内容について、今、申し上げたこと以上、御説明できないのはお詫び申し上げたいと思っております。

 一方で、経済界、特に産業界につきましては、非常に重要なパートナーでございます。既に経団連との意見交換会を先日実施いたしまして、さらに年明け1月13日には、一般の企業の方にも参加いただきますネットワークセミナーの開催を、まず東京都内で予定しております。こういったことを続けまして、当然、福島県内のそれぞれの企業の皆様、研究者の皆様との連携を図っていくということが極めて重要であります。御指摘の広報体制につきましても、しっかりと構築してまいりたいと思っております。

 地元の企業の参画ということでございますが、まだF-REIの体制自体ができておりませんので、現時点で難しいこともございますけれども、4月、設立しました後には、市町村とのパートナーシップ、企業とのパートナーシップ、先ほど申しました広域連携にとって必要不可欠なものと考えております。その連携がしっかりと図られるように、体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

 規模につきまして、これはまだ具体的な規模が明示されていないのですけれども、仮事務所の段階では数十名の職員がそこにいて、本施設ができましたときには、研究の単位といたしましてPIというのが一般に使われるのでございますけれども、これが50PI程度、50個ぐらいの研究室ができます。そうしますと、数百名程度の研究者等がそこにいるというイメージであるということが基本構想などに書いてあることでございます。数千という話ではないのですけれども、御指摘のように、居住環境をどのように確保していくかは非常に重要な問題でございます。

 先ほど福島県の内堀知事からもございましたように、まちづくりという観点もございますし、住居の確保、しっかりとウエルビーイングな住環境を確保できるように意を用いてまいるべく、これも県または地元市町村とよく連携を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

【伊藤委員長】 どうぞ。

【白波瀬委員長代理】 御説明ありがとうございました。大きな可能性を秘めた重要な取組であるということは言うまでもないと思うのですけれども、ここでどこに射程を置くかということも重要だと思います。国際というところで目につくのが若手・女性研究者、これはいろんな分野で指摘されることなのですけれども、現実的に現状を考えて検討するにあたって、トップクラスの研究者をどれだけここに引き込むのかという点は鍵になります。リーダー層としてどういう人に入ってもらうか。これはワーキングでやられることだと思うのですけれども、採用にあたって国際公募を念頭に置いて、日本側の枠組みだけでない人事採用を、ぜひ国際レベルで展開できるように柔軟に展開していただければと思います。

 それから、若手・女性ということになると、今、御指摘があったように、幼い子供を育てながらの生活がまず想定されますので、実際に生活しやすい住環境を整えていただく必要があると思います。そうでないと、結局優秀な方も引き込むことはできないのではないか、というのが2点目。

 3点目につきましては、ここで中心的に展開されるテーマを見ましても、国を超えて共同研究が支障なくできるような研究倫理の問題もしっかりおさえていただく必要があります。特に、理系の技術関係では研究倫理の問題含め、知的財産権の問題含め複雑化しているという状況がございますので、研究事務のインフラとなるアドミニストレーションの機能をしっかりと国際展開できるよう同時進行でつくっていただくことが重要だと強く感じましたので、お願いいたします。

【伊藤委員長】 どうぞ。

【山名委員】 ありがとうございます。この新しい機構の取組は、学術的な開拓と被災地に対する取組の合体になるわけですね。沖縄のOIST(沖縄科学技術大学院大学)みたいに大きな研究所帯をぼんと持っていくというのではなくて、被災地の思いと学術的なアプローチを一緒にしていくという難しい取組になると理解しています。

 そういう意味で、2つお願いしたいことがあります。

 1つは、この会議につくるワーキンググループ、二人の先生に参加していただくということで安心しているのですが、そのワーキンググループには、被災地の生の要望や情報が確実に入っていくこと、それから、様々な異なった省庁が担当する技術分野での学術的な意味合いの情報が十分入っていくこと、この2つの面でワーキンググループを情報面でしっかりサポートしていかないといけないだろうと思いますので、この会議として、また事務局としてしっかりとした体制をお願いしたい。これが1つです。

 2つ目は、浪江に立地を決めましたが、これは浪江町という基礎自治体につくったというわけではなくて、もう少し面的に被災地に広く広がった、広いエリアの中の浪江に置いたということであります。したがって大事なことは、この拠点を運営していく、計画していくに当たって、被災地の各基礎自治体がしっかり連携していただいて、大きなエリアとして、この取組に入っていくということが大事だと思います。

 そのためには、基礎自治体がしっかり連携して取り組んでいただけるような枠組みを整備する必要がある。自治体自身にも御努力いただくとともに、復興施策としても、この研究機構を面的に支えるための自治体ごとの連携の支援対策というものが求められるのではないかと考えております。そういう意味で、地元の基礎自治体の皆さん、あるいは福島県の県知事をはじめ、お考えがしっかりと入っていく形にしていただきたいと思います。

 以上です。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 時間が大分押しておりますので、本議題についての御発言は、いったんここまでとさせていただいてよろしいでしょうか。

 福島国際研究教育機構の中期目標に対して意見を行う体制につきまして、本委員会では、先ほど御紹介しました資料4-3のとおり、福島国際研究教育機構ワーキンググループを開くこととし、意見の取りまとめに向け、御議論いただくことにしたいと思います。よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、ワーキンググループを開催することに決定したいと思います。ワーキンググループの構成員をお引き受けいただく委員を代表して、関委員から一言お願いします。

【関委員】 ありがとうございます。伊藤委員長から御選任いただきましたので、ワーキンググループ構成員を謹んでお受けしたいと思います。

 復興推進委員会からは、奥山委員と私が参加させていただきます。外部から参加される各有識者の御知見もお借りしながら、また福島県に在住している者として、機構の中期目標案に対し、集中的に検討を行い、委員会としての意見案を取りまとめたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

 それでは、次回の本委員会では、このワーキンググループの御議論を御報告いただき、それを踏まえまして、機構の中期目標案に対する本委員会の意見を御審議いたしたいと考えておりますので、よろしくお願いします。この点については、引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、本日の議論を踏まえまして、竹谷副大臣から一言御発言をお願いいたします。

【竹谷復興副大臣】 委員の皆様におかれましては、貴重な御意見を賜りまして誠にありがとうございました。

 本日は、東日本大震災からの復興の状況に関する報告について御議論いただきました。委員の御視察について、また3県の知事及び副知事から復興の現状についてお話いただき、大変貴重な御報告、そして御意見を伺うことができました。

 福島国際教育研究機構の中期目標を定める際の意見取りまとめ体制についても御決定いただき、ありがとうございました。年明けには、中期目標案の御審議をいただけるよう、準備を進めてまいります。

 引き続き、復興に向け、残された様々な課題に対して、被災地に寄り添いながら全力で取り組んでまいります。今後とも委員の皆様の御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

【伊藤委員長】 どうもありがとうございました。

 最後に、事務局から今後について御案内をお願いいたします。

【復興庁角田統括官】 次回の委員会開催は、本日決定いただきましたワーキンググループの御議論が取りまとまった後を考えております。具体的なイメージとしては、来年の2月頃かと見込んでおります。委員の皆様には、事務局より御連絡、日程調整をさせていただきます。以上です。

【伊藤委員長】 それでは、本日はここまでとさせていただきます。

 本日の議事要旨は速やかに公表するとともに、議事録につきましても1か月をめどに作成、公表いたしますので、委員の皆様は内容の確認に御協力をお願いいたします。

 以上をもちまして、第40回復興推進委員会を終了いたしたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

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