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第39回復興推進委員会議事要旨

1 日時:令和4年6月6日(月曜日) 13時00分から14時24分まで

2 場所:中央合同庁舎第4号館 共用第1特別会議室
     (上記会議室を拠点としたオンライン会議)

3 出席委員:

  伊藤委員長、今村委員、内堀委員、奥野委員、小林委員、関委員、達増委員、山﨑委員、山名委員、若菜委員、渡邉委員、遠藤宮城県副知事(村井委員代理)

4 議事要旨:

(1)福島国際研究教育機構について

 復興庁から資料1-1~1-3に基づき、福島国際研究教育機構について説明があり、これを受けて意見交換を行った。また、機構の中期目標策定に当たり本委員会の意見取りまとめを行う実務的な作業体制は、次回の委員会で議論することとした。委員から出た主な意見は以下の通り。

 機構は、福島イノベーション・コースト構想の中核となる、世界に冠たる新たな拠点として、福島の復興に当たり住民の夢や希望につながる重要なもの。福島県では機構の候補地の選定作業を進めており、研究者が安心して研究開発や教育活動に打ち込み、福島イノベーション・コースト構想の効果が最大化するよう広域的観点から候補地を提案する考えなので、国は決定に当たり県の意見を最大限尊重していただきたい。
 施設や周辺環境の整備も含めた、機構に関する事業全体の具体的なロードマップを示すとともに、速やかに事業を実施し、復興庁のリーダーシップのもと関係省庁が連携して基本構想の具現化を図って欲しい。
 令和5年度は各種事業が本格化する重要な年。国は、必要な予算を十分確保し、福島県とともに立地地域及び周辺市町村での機構設置の機運醸成・期待感向上の取組を進め、浜通り地域等全体の一体的、総合的拠点となるよう協力をお願いしたい。

 素晴らしい計画だと思うが、機構の業績評価においては、機構がどれだけの納税と雇用を生み、地域経済に対してどれだけ大きな影響を与えたのか、数字で見る必要がある。財源には限りがあるため、業績評価の視点を明らかにするべき。

 被災地において夢や希望が膨らまないと「創造的復興」とは言えないと考える。そうした中での機構設立は、この計画が実現すると被災地福島のイメージは変わり、風評被害に対しても効果が期待できる。
 多くの人は、まだ機構のことを知らないので、広く社会に知らしめて、議論を盛り上げていく取組をすべき。

 機構は、技術革新・新産業創出と被災地復興の二つを両立させるという、これまでにない取組。まずは、研究者の居住インフラ整備や地元での定着、地元の方と研究者が一緒に取り組むまちづくりといった、被災地に面的な活性化をもたらす活動が大事。そのため、機構の中期計画や業績評価においては研究だけではなく、地元の活性化にどの程度貢献しているか、評価できるようにして欲しい。
 今後、世界的な研究成果が出るよう、研究成果を国内外の研究コミュニティと議論を重ねた上で描き、それに沿って定めた施設の仕様に予算を投入することが重要であり、研究の中身を精査して欲しい。
 連携大学院という形式で人材育成を進めるとのことだが、高専生・高校生、場合によっては中学生も、機構での研究活動に直接触れ、彼らが学術研究の道に進む意欲を高め、将来浜通りに戻って地域に貢献するキャリアパスが描けるような機会を作って欲しい。

 基本構想に掲げられた5つの研究開発テーマについて、1から4までは具体性があり方針も明確だが、5つ目の「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」は具体的なテーマが絞られていないと感じる。東日本大震災は複合広域災害であり、今後地球規模での環境変化など様々なリスクも考慮すべき。また、データの集積・発信に関しては、震災前のデータも重要であり、それらをアーカイブして実践知・復興知とも総合して活用すべき。
 連携大学院制度による人材育成について、機構自らも教育プログラムを提供して連携を進める方法と、機構が連携先の大学を複数選定してそれらを支援するという方法とがある。おそらく後者が念頭にあると考えるが、複数の大学で異なるプログラムを実施することは困難が伴う。機構の人材育成のコーディネート機能が重要。

 基本構想は素晴らしいが、良い計画ができても組織能力がなければならない。若者や女性の積極登用を明記しているが、古い体質の組織や若者・女性が活躍できない環境があると結局無意味になる。組織体制整備に関する検討のプロセスを教えて欲しい。
 機構が福島県民にとってどういうメリットがあるのか見えにくい。分かりやすくするため、ロジックモデルのようなもので整理すべき。短期・中期・長期・社会的インパクト等が見えるようにして欲しい。

 基本構想にある様々な分野での最先端の研究は、福島に住む人間としても大変期待が持てる。しかし、まだ一般の多くの人には遠い存在であると思われ、今後、具体的な研究内容を分かりやすく説明し、自分たちの生活にどう結び付くかをPRすることが必要。農業分野では、資源循環やSDGsの観点が取り入れられており、期待が持てる内容だと思う。

 機構の研究内容は自然科学系がメインになっており、5番目のテーマ「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」に文科系の研究を取り入れて欲しい。世界レベルの研究者が新たに入ってきた際、心の傷つきを抱え心の復興がなされていない状況の地元の方たちとの間で乖離が起こり、研究がやりづらくなる部分も考えられる。心のケアに関する部分を取り入れ、スムーズな進行を促進できれば良いと思う。

 機構は研究のための基礎的な部分の研究に力を入れるのか、それとも成果の社会還元に向けた実学にこだわった研究を目指すのか。

 福島第一原子力発電所の廃炉は、ともすれば復興・環境回復などとは別の存在と捉えられがちだが、地元の環境修復や経済回復のためにはこれらの全体的な連携が必要になってくる。第2期復興・創生期間に至り、廃炉も、復興・環境回復と一体となって連携し、住民の皆さんの意識や生活環境を変える大きな動きにならなければならないと認識。機構も、単なる研究施設ではなく、新しい技術や研究・廃炉・環境・復興・社会活動すべてが連携し、大きくまとまって進むための一つの拠点となることを望みたい。

 海外から研究者をそれなりの規模で集め、国内研究者も交えて国際的な研究を行うことが求められる。そのための施策をいずれ明確にして欲しい。
 別の機関で研究結果の評価委員を務めているが、研究の内容が難しく、委員側の十分な把握が難しいことがある。本委員会で研究結果の評価を行う際は、限られた時間での議論となることもあり、研究結果における専門的な内容は必要に応じて研究者以外の第三者にコメントをしてもらうなど、配慮して欲しい。

 本委員会は、今後作成が行われる機構の中期目標に対し意見を述べる役割を担う。その役割を十分に果たし、機構が期待に応えられるものになるよう努めていきたい。

(2)3県からの報告

 岩手県(達増委員)から資料2-1、福島県(内堀委員)から資料2-2、宮城県(遠藤副知事)から資料2-3に基づき報告・意見があり、これを受けて意見交換を行った。委員から出た主な意見は以下の通り。

 復興に対する1000億円規模の投資ファンド創設を提案する。被災3県の経済は非常に厳しいことを実感しており、公的な取組だけでは難しい部分に民の力を使い、被災地に納税と雇用を生み出すような企業に国が投融資する形で行う必要がある。コロナ禍において外食・観光等の分野は政策投資銀行の融資に助けられており、政策投資銀行のように厳しい審査のもとでお金を出す仕組みにより納税と雇用を生み出すことを提案したい。

 特に教育関係において、被災地への関心が国内だけでなく国外で高まっており、今後感染症拡大状況が改善すれば、インバウンドとして被災地での学びは魅力的な場であり、現場で学び、また蓄積された様々なデータを有効に使えることや、今後の災害リスクに向けた安全なまちづくりの取組実践の現場として効果的である。震災ツーリズムのような新たな取組を推進して欲しい。

 ALPS処理水の処分について、福島県だけでなく岩手・宮城でも影響があると思うが、各県での反応はどのように異なるのか、また、各県での説明等は共通のもの・各県ならではのものがあるのか、教えて欲しい。

 特に漁業関係者から、風評被害が心配だという声を聞く。主要魚種の漁獲減など固有の事情に合わせた支援が必要になることを国に伝えている。

 福島第一原子力発電所の廃炉対策を進める中で、処理水は現在、第一原発敷地内に巨大なタンクが1000本以上林立しており、また1日に100トン以上新たに生じている。今後も増え続ける中で今回の海洋放出の議論が生まれているが、県民、特に農林水産業・観光に携わる皆さんからは新たな風評の追加になる等の声がある。一方で、双葉郡の自治体では、巨大タンクが林立する状況は、故郷に帰還しようという住民の皆さんの心を折ってしまいかねないという葛藤もある。様々な議論がある中で、国は関係省庁が連携して正確な情報の発信、風評対策をしっかり行う取組を進めており、これを着実に進め、風評被害を起こさない決意で臨んでいただくことが必要。

 水産関係の団体を中心に、処理水放出に関して風評被害を懸念する方が多い。処理水に関する連携会議を開催し、水産・農業・観光団体、議会代表、住民代表などが意見交換を行う場を設けている。建設的な議論を進めるために調整を行っており、お互いのすり合わせができるように話を進めていきたい。

 福島県では、若い人が戻ってきたり、外部からの移住者が増えたりする動きを感じるが、そうした人が起業等を目指す中で、既存の金融の仕組みが当てはまらないことが多く、結果として補助金等の公的資金に依存せざるを得ない。今、新しい資本主義の議論の中で、民間資金の活用の仕方やゼブラ型の出資など様々な金融の仕組みが検討され始めている。県でも起業支援の新たな金融の仕組みを検討して欲しい。

 震災以後人口が大きく減少している厳しい状況の中で、新たな仕事にチャレンジしたいという若者世代の移住促進に強い思いを持っている。公的支援には幅広く手厚いメニューがあり偏っている面もあるが、起業に向けて金融サイドの支援もまた重要。今後どのような金融支援措置があり、起業に向けて幅広い支援ができるか、検討する必要があるものと認識。

以上

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