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第203回国会における平沢復興大臣所信表明(令和2年11月30日、参議院)

第二百三回国会

参議院 東日本大震災復興特別委員会における平沢復興大臣所信表明 (令和二年十一月三十日)

 復興大臣及び福島原発事故再生総括担当大臣を拝命しております、平沢勝栄です。

東日本大震災復興特別委員会の開催に当たり、復興大臣として所信を申し上げます。

 東日本大震災の発災、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故から、九年八カ月が経過しました。

 これまで、福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。との強い決意のもと、復興の加速化を内閣の最重要課題の一つとして位置付け、政府の総力を挙げて、被災地の復旧・復興に取り組んでまいりました。その成果もあり、地震・津波被災地域では、住まいの復興やインフラ整備が順調に進み、復興の総仕上げの段階を迎えております。また、福島における原子力災害被災地域でも、双葉町、大熊町、富岡町の特定復興再生拠点区域の一部において、帰還困難区域としては初めてとなる避難指示解除が行われるなど、復興・再生に向けた動きが本格的に始まっております。

一方、長期にわたり、いまだ不自由な生活を送られている方々もいらっしゃいます。発災から時間が経過し、被災者の方々や被災地の置かれた状況が多様化する中で、心のケア等の被災者支援を始めとする残された課題について、被災者に寄り添い、地域の実情に応じて、きめ細かい対応をしていく必要があります。また、原子力災害被災地域では、帰還に向けた生活環境の整備、移住・定住の促進、福島イノベーション・コースト構想の推進、風評の払拭などについて、引き続き国が前面に立って取り組んでいく必要があります。

 こうした状況を踏まえ、本年は、まず、第1期復興・創生期間の最終年度として、期間内の取組を着実に進めます。その上で、来年度からの第2期復興・創生期間に向けて、所要の準備を確実に進めてまいります。

 

 まず、第1期復興・創生期間内における具体的な取組について申し上げます。

避難生活の長期化に伴う見守り、心身のケア、住宅や生活の再建に向けた相談支援、生きがいづくりへの支援、災害公営住宅等でのコミュニティ形成など、生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を行ってまいります。

 地震・津波被災地域においては、本年度内に、災害公営住宅や宅地の整備を完了し、仮設生活を解消できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

また、復興道路・復興支援道路が本年度内に概ね完成予定となっております。被災地の発展の基盤となる交通物流網の整備を着実に進めるとともに、被災自治体による防災集団移転促進事業の移転元地等の活用の取組を推進してまいります。

 産業・生業の再生については、企業の新規立地、商業施設の整備、販路の開拓や人材の確保等の支援のほか、震災支援機構の支援先事業者の経営強化などにも、引き続き力を注いでまいります。

 観光業については、新型コロナウイルス感染症による影響により、被災地においても厳しい状況にあります。引き続き、観光庁等の関係省庁と密接に連携しつつ、東北地方の観光振興支援にしっかりと取り組んでまいります。

 福島については、避難指示が解除された地域において、医療・介護、買い物環境、教育等の生活環境整備を進めるとともに、除染に伴い発生した除去土壌や廃棄物の中間貯蔵に係る事業を引き続き進めてまいります。帰還困難区域においては、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再生に責任を持って取り組むとの決意の下、引き続き、特定復興再生拠点区域における、除染やインフラ整備等を着実に進めてまいります。また、拠点区域外についても、被災地の御意見を丁寧に伺い、土地活用のあり方も含めて、政府として責任を持って、対応方針の検討を進めてまいります。浜通り地域等において、新たな産業基盤の構築を目指す福島イノベーション・コースト構想について、引き続き推進してまいります。この構想の司令塔となる国際教育研究拠点について、本年六月に有識者会議の最終取りまとめが行われたところであり、政府として年内目途に具体的な内容を決定すべく検討を進めてまいります。先般、福島特措法が改正され、住民の帰還に加え、新たな住民の移住・定住の促進等に資する施策が追加されました。地域の魅力や創意工夫を最大限引き出しながら、新たな活力を呼び込めるよう、積極的な施策を講じてまいります。また、事業再開の支援、営農再開の加速化、森林整備、漁業の本格的な操業再開等、産業・生業の再生を図ります。加えて、今もなお続く風評の払拭に向けて、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略に基づき、政府一体となって取り組んでまいります。具体的には、復興が進む福島の姿や食品の安全性、放射線に関する正しい知識などについて、テレビ、ラジオ、インターネット等多くの媒体を活用した分かりやすい情報発信や、被災地産品の販路拡大、輸入規制の撤廃・緩和等に向けた諸外国・地域への働きかけ等を積極的に行ってまいります。ALPS処理水の取扱いの方針については、関係者からの御意見を踏まえ、今後、適切なタイミングで、政府として、責任を持って結論を出すこととしております。

 来年に延期された東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、被災地での競技開催や聖火リレーの実施等の取組が予定されており、復興五輪の理念に決して揺るぎはありません。大会を通じて、世界中から寄せられた支援への感謝と、被災地の復興しつつある姿や魅力を国内外に積極的に発信し、被災地の方々を勇気付け、復興を後押ししてまいります。

 また、新しい東北の創造に資する観点から、人口減少等の地域課題の解決に向け、企業・大学・NPO等の多様な主体の連携を促進するとともに、意欲的な取組の成果などを普及・展開してまいります。

 こうした各般の取組を進めるに当たっては、現下の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、被災地における影響の把握に努めるとともに、復興事業に支障が生じないよう対応に万全を期してまいります。

 次に、第2期復興・創生期間に向けた準備についてです。令和三年度以降の復興に向けて、昨年末に復興・創生期間後の基本方針を閣議決定し、地震・津波被災地域では、心のケア等の被災者支援を始めとする残された課題に全力で取り組むとともに、原子力災害被災地域では、帰還環境の整備や新たな住民の移住の促進、福島イノベーション・コースト構想の推進、風評の払拭などについて、中長期的に対応することとしています。本年六月には、復興庁設置法等の改正により、復興庁の設置期限が十年間延長され、本年七月には、復興財源フレームなども策定しております。これらを踏まえ、第2期復興・創生期間に万全を期してまいります。

 来年三月で東日本大震災の発災から十年の節目を迎えます。

 この復興期間の節目となる重要な年において、復興の司令塔として、現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、引き続き、一日も早い東日本大震災からの復興に全力で取り組んでまいります。杉尾委員長を始め、理事及び委員各位の御理解と御指導をよろしくお願い申し上げます。 

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