第190回国会(常会)における髙木復興大臣発言(平成28年3月16日)
第百九十回国会
参議院 東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会における髙木復興大臣発言
(平成二十八年三月十六日)
復興大臣を拝命しております、髙木毅です。
東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
東日本大震災から、十一日で五年を迎えました。
未曾有の大災害である、この震災からの復興には、多くの困難が伴うと同時に、長期にわたっての取組が必要となります。
安倍内閣では、これまでも、復興の加速化を内閣の最重要課題の一つとして位置付け、政府を挙げて、復旧・復興に取り組んでまいりました。
その成果もあり、地震・津波被災地域では、住まいの再建や生業(なりわい)の再生が本格化しています。福島の一部市町村では、避難指示の解除も行われています。
一方、避難者の数は、四十七万人から十七万人に減少しましたが、いまだ多くの方々が不自由な生活を余儀なくされています。被災者の方々一人一人の置かれた状況を踏まえ、きめ細やかに対応していく必要があります。
本年は、十年間の復興期間のちょうど折り返しを迎える、まさに節目の年に当たります。四月からは、いよいよ、後期五か年の復興・創生期間に入ります。
復興・創生期間においては、住宅再建をしっかりと進めるとともに、被災地の生業(なりわい)の再生や、心身のケアを着実に進めてまいります。
また、被災地を地方創生のモデルにする決意の下、被災地企業による新たな取組の支援や、観光復興の取組の強化などに取り組んでまいります。
次に、具体的な取組について申し上げます。
仮設住宅での生活の長期化や災害公営住宅への移転に伴い、心身のケア、コミュニティ形成支援がますます重要な課題となってまいります。また、人と人とのつながりをつくり、前向きに暮らしていただくため、生きがいづくりも重要となっています。
国としても、市町村や関係者への支援を通じて、被災者の方々の支援に力を入れてまいります。
また、ピークを迎えた住宅再建を、しっかりと進めてまいります。
住宅再建と復興まちづくりは、計画策定・用地取得から、工事実施の段階に入っており、高台移転や災害公営住宅は九十五%を超える事業が始まっています。
被災地の方々に、一日でも早く一戸でも多く、安心できる住まいに移っていただけるよう、県や市町村をきめ細かく支援してまいります。
また、被災地の経済発展の基盤となる復興道路・復興支援道路の整備等を引き続き進めてまいります。
まちの賑わいや生活を再建するためには、住宅再建とあわせて、産業や生業(なりわい)の再生にも、さらに力を入れる必要があります。
このため、被災企業の設備の復旧、商業施設の整備、震災により失った販路の回復に加え、企業の新規立地の促進等に、より一層力を注いでまいります。
また、特に、本年を「東北観光復興元年」として、全国的な外国人観光客急増の流れから大きく遅れている、東北の観光復興に向けた取組を強化してまいります。
一方、福島の復興・再生については、中長期的な対応が必要な状況ですが、昨年九月に楢葉町(ならはまち)で避難指示が解除されるなど、復興に向けた動きは着実に進展しております。
避難が長期化する中、被災者の方々の中には、戻られる方、帰還を待つ方、新しい生活を始める方がいらっしゃいます。
戻られる方には、早期帰還のために、除染、中間貯蔵施設の整備、インフラ復旧のほか、町内復興拠点の整備を支援してまいります。
帰還を待つ方には、復興公営住宅の整備等を進めてまいります。
さらに、安全・安心対策や、産業振興などにも取り組みます。
引き続き、福島の復興・再生に向け、国が前面に立って、関係省庁と緊密に連携して、全力で取り組んでまいります。
被災地は、震災前から人口減少や著しい高齢化等の課題を抱えております。
そのため、復興を進めるに当たっては、単なる「復旧」にとどまらず、全国のモデルともなる先進的な取組の推進として、「新しい東北」の創造に取り組んでおります。
具体的には、地域資源の発掘や高齢者の社会参加等、被災地で芽生えた先進的な取組を支援するとともに、その普及や展開を図るほか、経済界、大学、NPOなど、復興支援に携わる様々な方々の連携の場として設立した「官民連携推進協議会」の下で、「官」と「民」が手を取り合って、東北に持続的な活力をもたらしてまいります。
復興のステージの進展に応じて新たな課題が出てまいります。引き続き、現場主義に徹して被災地の意見をよく伺い、より一層、被災者に寄り添いつつ、復興の司令塔として、しっかりと復興に取り組んでまいります。
また、震災五年を機に、震災記憶の風化、風評への取組、国際的な情報発信を強化してまいります。
今村委員長を始め、理事及び委員各位におかれましては、引き続き復興施策への御理解と御協力を下さるよう、心からお願い申し上げます。