1.冒頭発言
それでは、私から2点申し上げます。
1点目は、除染・復興加速のためのタスクフォースの開催についてです。
除染の加速化は、避難住民の早期帰還とともに、住民の皆様が安心して暮らすために必要不可欠です。このため、私と石原大臣のツートップ「除染・復興加速のためのタスクフォース」を開催しております。
前回のタスクフォースにおいて、各省庁の局長に対し、空間放射線量の低減と同時に、農業や林業の再生も図るという除染と復興加速化の施策の複合化、新技術の利用拡大などについて、具体的な方法を検討するよう指示し、その後詰めてまいりました。
本日、その成果について、中間報告を受けることとしております。
2点目は、「企業による復興事業事例集」の公表についてです。
このたび、企業が震災によって直面した課題について、創意工夫によりその克服に取り組んだ55の事例を取りまとめましたので、公表いたします。
具体的な課題ごとの対応事例について、簡単に紹介します。
一つ目は、事業に必要な組織・人材・スキルの不足に対応した事例です。岩手県大船渡市の水産加工会社がトヨタの生産方式を導入して、生産効率を向上させた取組です。
二つ目は、用地、設備等の不足に対応した事例です。岩手県陸前高田市の醸造会社が県内同業他社の設備を借りて自社製品を生産した取組です。
三つ目は、事業資金の不足に対応した事例です。宮城県多賀城市で市の景観保全事業のための管理業務を受託した事業者がその管理の一環でハーブを生産し、これをパンなどに加工する六次産業化を行う取組です。
最後は、従来の事業環境が変化したことに対応した事例です。福島県飯舘村に工場を置く金型製作会社が、全村避難となった状況の下で、徹底した放射線情報管理を行い、地域の雇用を支えつつ、地域に必要なガンマカメラの新たな製品の開発を積極的に進めた取組です。
この事例集は、今後、被災地での復興の参考として、また取材の参考としても御活用いただくことを念頭に置いて作成しました。各事例の詳細については、配布冊子を御覧いただきたいと思います。
また、復興庁ホームページにも、課題ごとに、参考となる事例が分かるようにまとめており、被災地の自治体、経済団体、企業の皆様にも広くお知らせしてまいります。
復興庁においても、これらの事例を分析・研究しながら、どのような施策につなげていけるかを検討していきたいと思います。
私の方からは、以上です。
2.質疑応答
(問)除染タスクフォースについて、2点お聞かせいただきたいのですけれども、まず今日、中間報告を出されるということですが、今後のスケジュール感、中間報告ということなので、次どういうふうなスケジュール感を大臣は抱いていらっしゃるのかという点をまず教えてください。
(答)今日は、これまでのタスクフォースで、農業再生と除染、あるいは林業再生と除染の複合化、あるいは公共工事の施工と一体化した除染、あるいは技術開発の成果をどう吸い上げて、生かしていくのかという点について、具体的な議論の詰めをしながら、中間報告を受けることにいたしております。
そして、さらにこの問題は、まださらなる検討も必要な項目もありますし、さらなる深掘りをすべき項目もあるので、これはさらにフォローアップをしながら、新たな対策も含めて取り組んでいきたいと思います。
(問)もう1点なのですけれども、除染に対する取り組みについて、福島復興再生総局をつくって、復興庁、環境省と一体となって進めていくということだと思うのですけれども、これまで復興庁が企画立案して、実施は環境省ということを大臣はおっしゃっていますけれども、その辺の今後の取り組み、環境省と復興省の役割分担とか、それについて改めてお聞かせいただけますか。
(答)除染事業自体は、法律に基づいて、環境省が取り組むということになっております。
復興庁は、今回の「除染・復興加速のためのタスクフォース」が象徴的ですが、我々は除染の企画ということを担いますから、今回のように、農業や林業との複合的な施策、各省庁にまたがるものについて、除染の企画ということからやってまいりました。これからもいかに効果的な除染をするのか、各省庁にまたがっている部分も出てまいりますので、そこは環境省と連携しながら、復興庁、環境省ともに取り組んでいきたいと思います。
大事なのは、いかに除染を効率的、効果的に進めるかということですから、そこは連携してやっていきたいと思います。
(問)被災地で55の事業事例ということで、今日冊子をいただいていますが、改めてこれを作成した目的と、これはどういった人にどういうふうに活用をしてもらいたいというところで、作成されたのか、その点をお伺いしたいのですけれども。
(答)被災地の地域経済は、これまで経験したことのないさまざまな課題に直面しております。ただ、被災地を見てみますと、震災からの復旧を着実に進めながら、異業種と協業する形で、協業する被災企業、あるいは東北の地で新たな事業に挑戦する企業、要は課題克服に向けて、知恵を出しながら、民の力を発揮している、そういう事例が見られますので、その新しい芽を我々がくみ取って、そしてこれから被災地で事業活動をされている方々にも、参考事例として、あるいは自治体の皆様にも参考事例としてお示しをする。それが1点です。
それから、今、復興推進委員会で復興加速策と新しい東北の創造ということで、さまざまなテーマに取り組んでおりますが、これからの東北では産業再生、あるいは生業の再生、雇用の場の確保が非常に重要です。そこは今出ている芽を大切に育てながら生かしていくということと、その中から、我々がこれから取り組むべき後押しのための施策をこの事例を参考にしながら、新たに展開していって、被災地の復興につなげる。要は被災された地域の可能性を引き出して、後押しをしていく、そういうところにも反映していきたいと思っております。
(問)このいただいたペーパーの中では、1から4まで、いろいろな用地、設備の不足ですとか、事業費の不足などがありますけれども、いろいろな困難がありながらも、それを克服した、うまくいったケースとして紹介しているということなのでしょうか。
(答)要は先進事業例、優良事例です。こういう取り組みをした結果、こんなものが増えた。あるいは新たな事業を起こした。そこに我々がこれから参考とするノウハウや活力が見いだせますから、私は施策を考える場合には、ゼロから考えるということもありますけれども、それぞれの現場において、現場主義に即して、さまざまな工夫をしている。そこをくみ取って、施策につなげていくということも必要だと思いますから、これは貴重な資料だと思います。
私は、いつも現場に解があると言っておりますが、その一つでもあると思います。
(問)話題が変わって恐縮なのですけれども、直近の地方選挙の関係で質問させていただきます。日曜日に投開票された地方選の中で、相次いで自民党系の候補の敗北という事態がありました。福島県で言うと、大臣の地元の郡山市長選では、現職だった自民党、公明党系の支援の候補が敗れるということがありました。
いろいろ地元メディアの分析の中で、敗因については、自民党が原発について、ゆくゆくは稼働を想定した政策を支援しているという捉え方をされていることや、原発事故後の復興について、不満が多いのではないかという指摘もあります。
青森の市長選でも自民党系が敗れるという結果がありまして、安倍政権自体は支持率が非常に高い中で、地方選挙で自民党系の候補が相次いで、特に震災で被災した東北で敗れているという状況については、どのように見込んでおられるのでしょうか。
(答)私も選挙を経てきている身ですから、選挙というのは、それぞれなのです。一つ一つの選挙は、それぞれ違うと思います。原因もそれぞれ違うと思います。国政選挙の場合は、政党色が前面に出るから、特に小選挙区制、政党を選ぶ選挙、人を選ぶ選挙、大きく言えば国政選挙ですと、政党を選ぶということと人を選ぶ、これが非常に色濃く出る選挙だと思います。
自治体の選挙は、―皆様も経験あると思いますけれども―自治体の選挙の場合は、政党で選ぶというのは、国政選挙に比べると極めて薄いのだろうと思います。首長選挙というのは非常に身近ですから、その首長に対して、その候補者に対して選挙民の方々がどういう判断をされるか、私はその要素が非常に強いと思います。ですから、選挙結果はさまざまな分析がされるのでしょうけれども、私も選挙に身を置く者としては、客観的に何が原因だったかというのは、そこは恐らく一つの見方ではあっても、これが全体を総括した原因だということは、難しいと思います。
ただ、国政選挙は、やはりそのときの風とか、これは国政選挙の場合は、ここ何回か、どういう風が出てくるかというようなことで影響されることは、ある程度ありますけれども、私は身近な選挙というのは、極めて人を選ぶという要素が大きいと思います。そして、それが民意だと、だから民意がそういう結論を出したということ、これだけが事実だと思います。
(以 上)
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