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平野復興大臣の会見[平成24年9月4日]

平野復興大臣記者会見録(平成24年9月4日(火)9:44~10:04 於)復興庁記者会見室)


1.発言要旨
 私からは報告が二つあります。
 1点目は、いわゆるグランドデザイン、「原子力発電所の事故による被災地域の原子力被災者・自治体に対する国の取組方針」の公表についてです。
 これまで関係市町村、県、国、国土交通省との間で、かなりの回数、いろいろな協議を積み重ね、その結果として今回のグランドデザインの公表となりました。
 グランドデザインは、福島県関係市町村の要請を踏まえ、概ね10年後に向けた被災地域の復興の姿と、それに向けた国の取組姿勢を示すもので、短期、中期、長期という形で避難地域の目指すべき復興の姿を示しています。
 住民の生活再建には、産業再生と雇用の創出が不可欠であり、あわせて営農等が再開できる環境整備が重要だということで、「産業振興・復興促進プラン」と「農林水産業再生プラン」もあわせて公表することにいたしました。
 既に各自治体がいろいろな復興計画を作っていますが、このグランドデザイン等をもとに、あわせて区域見直しの作業が進んでおり、また、賠償の説明会等も現在精力的に進めつつあることから、これらを踏まえ、個々の市町村において、将来に向けての復興計画が必要になってくると思います。既にできている計画を基本として策定することになると思いますが、策定に向けての国と県の支援体制、復興計画を一緒に作るというような体制もこれからは作っていきたいと思っています。
 本グランドデザインで示していく姿については、これで確定するというものではなくて、先程申し上げましたように、区域見直し等によっても考え方が変わってくる可能性もあります。プラントが周辺に与える影響、バッファーという話を一度したことがありますが、このことについてはまだ整理ができているわけではありません。これらに対する考え方がある程度まとまれば、グランドデザインの考え方も変わってくるかもしれないということです。
 二つ目は「さあ、思いっきり遊んでみっぺす!親子のあそび広場」の開催についてです。
 被災地によっては学校の運動場や公園に仮設住宅等が建設され、子供が安心して自由に体を動かして遊ぶことのできる場所が不足をしています。復興庁では、10月6日(土)から8日(月・祝)までの間、岩手県釜石市の体育館を使ってトランポリンなどの遊具を設置する遊び場を提供するとともに、保護者等の交流の場としても活用いただくイベントを開催することとした次第です。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)グランドデザインについて伺います。長期の目標として、事故前の雇用回復を目指すというようなこともうたっていますが、なかなかその具体的な手段というのがこのデザインから見えづらいのですけれども、具体的に盛り込めなかった要因というのは、どの辺りにあるとお考えでしょうか。
(答)基本的な考え方として、一つは廃炉作業に伴う雇用が期待できますし、あとは、避難区域にどのような形で産業を持ってくることができるかということかと思います。そのために、企業立地補助金、復興特区制度等があり、それらを活用して、できるだけ失われた分の雇用を創出できるように取り組むとの基本姿勢は、今回のグランドデザインに載せたたつもりです。具体的にどうするかということについては、避難指示解除準備区域等の産業の新たな呼び込み等については福島県も経産省も既に動いています。

(問)大臣が先程おっしゃったバッファーとかプラントの中の状況が見通せない中で作るというのは、なかなか厳しいものがあったと思うのですが、その辺りの見通しは如何でしょうか。
(答)現在の警戒区域の区域見直しは放射線量で行っており、放射線量が下がれば、理屈上はプラントの傍に住めますとの前提に立っています。この問題についての地域住民との意識の差はまだあると思います。 先般の南相馬市のアンケート調査では、帰還の条件の一つに、事故終息を選んでいる方が、複数回答ですが1/4ぐらいいます。資源エネルギー庁も保安院もこの問題については、もう少し前向きに取り組まなくてはいけないと思っていますが、引き続き政府内でしっかり議論していかなくてはならないと思っています。少々時間がかかるとは思いますが、この問題の先送りは、地域住民の不信感をさらに積み増す結果にもなりかねないものであり、そのような問題意識をしっかり持ちながらやっていく必要があると私自身は思っています。

(問)遊び広場についてですが、単発的な企画なのでしょうか、それとも、今後継続的なものなのでしょうか。
(事務方)今回、子供の遊び場の現状などがまだよく分からない状況で、検証するために行うものです。今後は、被災地の支援を行いたいと考えている民間企業、また、子供の遊び場が不足していると感じている自治体等の方々に情報提供して具体的な取組を促していきたいと思っています。

(問)現状、民間やNPOがこのようなことを行おうとすると補助金の対象になっているのでしょうか。
(事務方)厚生労働省の安心子供基金で、福島の場合、一部が対象になっていると聞いています。あとはこれに特化してという意味ではなく、いろいろなNPO等に対する支援制度はありますので使えるものはあるかもしれませんが、これを目的として掲げたものは
  先程申し上げたものしかありません。あとは、お金はあるけれど何に使っていいか分からないという企業や財団などもあるようなので、是非そういうところにも、こういう取組はどうでしょうかということを話してきたいと考えています。

(問)グランドデザインでもう一点。これは双葉郡周辺市町村からの要請で作られたもので、完成にあたっては結構長い時間をかけて各市町村から意見を聞いて反映させたと思いますが、双葉郡との関係においてこのグランドデザインはどのような意味を持つのでしょうか。
(答)双葉郡との関係においてどのような意味を持つというのは、どういうことですか。

(問)今後、中間貯蔵等もあって、関係を良くしなくてはいけない中で、政治的にいろいろな意味を持ったものがあるのではないかという趣旨の質問です。
(答)政治的な意味といった問題ではなくて、復興庁として双葉郡、相馬郡の一部地域のこれからの振興をどのように図っていくかについての基本的な考え方を示しているということです。その考え方を作るにあたっては、関係市町村とも十分なすり合わせを行い、内容については各町村からは概ね評価いただいていると聞いています。ただ、これから帰還をする上での復興計画を作るには、町村ごとに具体的な計画を作っていくことが必要になると思いますので、先程言いましたようにグランドデザイン、福島復興再生基本方針等も踏まえながら、各町村の計画策定に国も一緒に参画するという姿勢で臨みたいと思っています。

(問)震災から間もなく1年半になりますが、住宅再建等の課題が見つかり、増えていく中、一方で、復興庁の人的限界というのもあるのではないかと思います。その辺を含めて、今後の復興事業の維持継続については。
(答)津波、地震については、まだまだ自治体の人的支援は行っていかなくてはならないと思っていますが、復興庁自体としては、津波、地震についての人員確保、地域に対する人員確保は、今の段階ではそれほど問題になってはいないのではないかと思っています。今までどおり、とにかく被災地を回りながら様々な要望を吸い上げて対応していくことが基本になると思います。津波・地震地域においては、各自治体からの要望として住宅に対しての支援をもう少し強化してもらえないかという話や、これから土地の調査を行うと、所有者のいない、なかなか見つからない土地をどうするかといった個々の具体の問題が出てくると思います。このような問題についても全体の検討体制を作っているので十分対応できると思います。 国会で何度も申しましたが、福島に関しては、復興庁発足当時と比べて、私自身も課題は広く、問題は大きいと感じています。国の社会的責任ということを全面に出し、今後、グランドデザインを踏まえて、各市町村との対話、様々なコミュニケーションをしっかり図っていかなくてはならないと思います。今まではどちらかというと被災自治体、避難者を中心に様々な検討会や施策を講じてきたつもりですが、避難が長期化すると、今後、受け入れ自治体との様々な調整も行わなくてはなりません。この他、心のケアの問題なども国がもっともっと主体的に取り組んでいかなくてはならないということであり、この部分についての体制は、現在内部で種々検討中ですが、強化する方向で考えていかなくてはならないと思っています。

(問)グランドデザインで「住民が生活の再建に本格的に取り組める環境を構築する」というのが短期の目標に入っています。具体的には住宅のことだと思うのですが、昨日の参議院の決算委員会で、枝野大臣が「財物賠償で住宅を賠償する。それだけでは足りないであろうから総合的な施策の中でやるべきだ」という答弁があり、その後、平野大臣が「パッケージの中で移住を考える人の支援をしなくてはならない」といわれたのですが、この支援の中身は、今どのように考えていますか。
(答)これについては、「例えば、今の居住制限区域の中に住んでいる方が、場合によっては移住を決断されるかもしれないので、そのような方々は今の賠償の考え方で新たな家が取得できるのか」という質問がありました。これについては、今後賠償の説明を行いつつ、本人の意思を確認しながら、賠償以外に、新たな生活の場での住宅の再建、職の確保等について、国として、県としてどのようなことができるかということを検討していかなければならないという観点で申し上げました。現段階でどのようなことができるかというところまで詰めているわけではありません。今の段階では賠償の考え方がまだ十分に説明し切れていませんので、まずそれを徹底させるということだと思います。 他方、必ず帰りますという方々に、その間どのような住宅、居住環境で住んでいただくのかということについては、「災害公営住宅」という言葉が今走っていますが、災害公営住宅は恒久住宅であり、5年あるいは7年ぐらいすれば元の町へ戻ると言われているのであれば、今の制度の中でそのまま提供するわけにもいきません。そのようなことについても現在検討を進めていますが、賠償の外の話になるのか、内の話になるかという点も含めて様々な検討を行わなくてはならないと考えており、賠償とは別に検討して示していくことが大事だという趣旨で申し上げたつもりです。

(問)地元には、グランドデザインにその部分が入るのではないかという期待もあったと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
(答)いわゆる仮の町にも関係しますが、長期避難をお願いする方々に、どのような制度で対応していただくかについての詳細な詰めは今始めたところです。いずれはその部分について、ある程度詰まった段階でお示ししなくてはならないと思いますし、関係自治体とも必要に応じて意見調整をしていくことを考えているところです。

(以    上)

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