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平野復興大臣の会見[平成24年10月16 日]

平野復興大臣記者会見録(平成24年10月16日(火)11:32-12:11 於:復興庁記者会見室)


1.発言要旨

今日の復興推進会議の報告に入る前に2点報告があります。
1点目は、葛尾村の住民意向調査結果の速報版を公表いたします。
 調査結果は、お手元に資料がいっているかと思います。調査結果は、調査対象である15歳以上の村民の約74%から回答を得ています。現時点での帰還意思については、「まだ判断できない」と答えた方が約3割います。生活再建に向けていまだ悩んでおられる住民が一定程度いるということです。
 全般的に、放射能による被害、原発の安全性、生活用水の汚染を懸念する回答が上位を占めているということです。
 今般の調査から明らかになった主な課題としては、就労支援ということがあります。事業再開を支援するに当たり、除染はもちろんのこと、風評被害の払拭、長期間使用していない設備・機材の新たな投資などの課題にきめ細かく対応していくことが必要だと思っています。
 住宅再建ということについても住民の方々の意識がやや浮き彫りになったのではないかと思っています。住民が避難期間中に希望する居住形態としては、現状の借り上げ住宅26.3%、持ち家の購入20.3%、村内外の災害公営住宅10.8%が一定の割合を占めます。ただ、帰還に向けて望む支援として「住宅再建」と回答した住民も約半数に上ります。これは、住宅はそんなに傷んでいないのですけれども、葛尾村は家がやや点在をしているという、そういう形態がありまして、しかも、高齢化も進んでいる中で、帰還にあわせて集住化といいますか、今までばらばらに住んでいたものを1カ所にまとまって住みたいという、そういう意思のあらわれかと思いますが、住宅再建と回答した住民も約半数に上ります。財物賠償の早期支払いを含めまして、こういった住民の住宅再建に対する意向についてどのようにこたえていくことができるか検討していかなければならないと思っています。
 村への帰還に向けて最も必要なものの回答として、医療機関、商業施設、介護福祉施設が上位を占めます。今後、帰還に向けて、除染やインフラ復旧はもちろんですが、これら生活利便施設の復旧や確保も重要な要素となります。今後の復興計画の実施に当たり重視していく必要があると考えています。
 特に葛尾村の東のほうは、浪江町との非常に経済関係が深かった。ところが、浪江町は当分の間帰れないという中で、葛尾村が浪江町よりも早期に仮に帰るということになった場合に、その空白といいますか、一回切れたつながりというのをどのように補てんしていくのかといったことも課題になってくるかと思います。
 葛尾村の調査については以上のとおりですが、農地や森林も含めた除染計画の見直し、生活用水の安全・安心の確保もあわせ、今回の調査結果を踏まえた課題への対応について、村と連携しながら、関係省庁とも連携しながら取り組んでいきたいと思います。
引き続きこの調査結果が出てくると思いますので、随時公表をしていきたいと考えています。
2点目ですが、地域振興マッチング「結の場(ゆいのば)」の開催についてということで、これは今日、宮城復興局からも発表があるかと思いますが、宮城復興局の企業連携推進室で、この度、被災地域の企業が抱えている課題を解決するため、大手企業等の経営資源を被災地域の企業と効果的につなぐ「地域復興マッチング『結の場』」を開催することとしています。第1回は石巻商工会議所との共催により水産加工業をテーマとして、11月28日(水)に石巻で開催されるということです。今後、他地域でも開催されると聞いています。詳しくは宮城復興局のほうに問い合わせいただければありがたいと思います。
 3点目ですが、今日、第3回復興推進会議を開催しました。今日、復興推進委員会の24年度の中間報告ということで五百旗頭委員長から御報告をいただきました。
 その後、私のほうから復興に向けた課題ということで、お手元の資料の資料2で、これは復興推進委員会の中間報告ともかなりダブるところがありますが、何点か特にお願いをしたいということで各大臣にお願いをしています。
 一つはそこに書いてあるように、住宅再建・高台移転の早期実現ということで、まず、被災自治体における職員の確保ということですが、今、各自治体は任期付採用等も鋭意進めています。引き続き国からの受け入れなど専門的な実務経験を持った人材を活用するような、そういう取組にも国土交通大臣あるいは農林水産大臣等に再度お願いをしたということです。それから、復興庁としてもこれは幾つか少し課題があるのですが、国家公務員OBを含め、広く民間公募により、国の非常勤職員等としての採用を検討したいと考えています。今でも民間の方々は来ていますけれども、さらに採用ができるのであれば採用して、それで被災地に行っていただくというようなことをこれは前向きに検討していきたいと考えております。
 復興連携チームによる支援活動につきましては、これは今、各自治体に各省連携の復興連携チームが行っていますので、これについての引き続きの迅速な対応をお願いしたいということでお願い申し上げました。
 それから、復旧・復興事業の加速化の中で、土地の処理ということが大きな課題になってきます。いつも申し上げていますけれども、今回の復興の特に津波地域、福島もそうなのですけれども、復興地域の復旧・復興の中の今までにない特徴というのは、土地の権利移転が大量に起こってくるということであり、高台移転もそうですし、土地区画整理事業もそうだということです。その中で所有者不明等の土地等がこれから出てくる可能性があります。まだ具体的にこの地区でこうこうというのが事例としてはそれほど出ているわけではありませんが、多数発生してくるということが大詰めの中での不明裁決手続の円滑な活用、これは国土交通大臣です。それからあと、法務大臣に対しては、不在者財産管理制度等の活用、手続の迅速化等について再度お願いをしました。
 土地の境界等の問題に関する連絡会については、既にこの場で紹介をさせていただきましたけれども、そのさらなる活用についてもお願いをしまして、今、地域の実態を踏まえたモデルケースといいますか、個別具体的な事由に沿った課題の解決策を詳細に検討し、早期にモデルケースを構築することをお願いしました。
 最近、小さな事業を中心に落札不調がたくさん出ています。これに対しての実態調査と対応、コンストラクションマネジメント方式ですけれども、これについてもこの場で紹介しました。この制度のさらなる活用を徹底させていただきたいということです。
 3番目の生活復興から発展する地域包括ケアです。高台移転等の建設推進に被災自治体が鋭意取り組んでいますが、やはり時間がかかるということもあります。仮設住宅での生活、それから借り上げ住宅での生活がやや長期にならざるを得ないという状況の中で、心のケアの問題等がさらに大きな課題になってくるということも何回も申し上げていますが、厚生労働大臣には介護等のサポート拠点での取組の強化等をお願いしています。それから、仙台で地域支え体制づくり事業、雇用創出基金事業を活用して、区役所、社会福祉協議会、NPOが連携して被災者の生活再建に向けてきめ細かな支援を推進するという先駆的な取組がされていますので、こういった取組を紹介すると同時に、こういった取組の拡大に向けての御尽力の取組をお願いしました。
 子供の心のケアの問題については、今まで学校の先生を対象とした調査をしていますが、子供そのものを対象とした調査についてはまだまだです。被災地において津波を目の前で見た子供の心の動き、それから、毎日ガラスパッチをつけて放射線を測定することを義務づけられて暮らしている被災地の子供の心の問題、こういったことについては、できるだけ早く調査をしていただきたいというお願いをしました。今後の調査の設計や手法についての検討を進めていくために文部科学大臣、厚生労動大臣にお願いをしたということです。
 原子力災害からの復興については、復旧・復興、帰還の早期実現ということで、一つは避難指示解除の考え方などがまだ必ずしもきっちり整理されているわけではありませんので、どういう状況になったら避難指示解除できるのか、するのかといった考え方、いろいろな要素がありまして、こうこう、こうだというふうに一概に決めるというのは難しいのですが、これは早急に詰めて各自治体に提示する必要があると思っています。この検討を急いでやっていただきたいということを申し上げました。
 あと、除染・廃棄物対策の推進、インフラ、住環境などの復旧・再開、これは今鋭意取り組んでいますが、特にがれきの迅速な処理については、南相馬の小高地区等、避難指示解除準備地域に指定されて半年以上たちますが、まだ具体的な動きが出ていない。仮置き場の確保に今少しユーザーの姿が見えてきたのですが、こういったところの対応を急いでいただきたいということをお願いしました。
 長期避難支援としては、住民票に関わる課題の整理、それから長期避難者支援に係る自治体への財政支援の継続的な実施等についてお願いをすると同時に、これは総務省です。医療福祉について、特にこれはいわき市から何回も言われていますけれども、多数の長期避難所におけるニーズの増加を踏まえた必要な医療福祉サービスの確保について、しっかりとした対応をお願いしたいということです。災害公営住宅についても、これは引き続き計画的に取り組んでいくということです。
 福島復興の前提となる原発事故、放射線対策等については、モニタリングに関しては、結果の説明、情報発信をしっかりやると同時に、除染の迅速化を進めるためには中間貯蔵施設等の関連施設の早期設置が必要です。これは、なかなか進んでいませんが、政府を挙げて進める必要があるということです。
 東京電力福島第一原発、これは特定原子力施設と名前を変えたようですが、この周辺の土地利用計画とか復興計画の具体化に当たっては、配慮に向けた様々な措置あるいは現場管理、これが周辺にどのような影響を与えるのかということについての影響評価ということがまだ必ずしも十分にできていると私は思っていません。このことについては、昨日も富岡町との懇談の中で、プラントに対する不安というのが非常に出てきている、それがまた帰還を遅らせる理由になっているという指摘を受けました。そういったことも踏まえ、安全だということではなくて、その周辺に与える影響をきちんと評価するということに向けての検討を進めていただきたいということをお願いしました。
 今日、皆さん方の多分最大の関心事であるかと思いますが、復興関係予算については、私のほうから大震災直後から今日に至る復旧・復興の進捗状況や今後の課題を踏まえ、被災地の復旧・復興に真に直結するものを最優先し、復興増税を含む財源の性格にふさわしい予算にしていかなければならないということで、財務大臣においては、平成23年度補正予算及び平成24年度予算について必要な精査を引き続き行っていただいた上で、今後の対応や平成25年度予算編成を進めていただきたいというお願いをしています。
 その後、各大臣から発言がありまして、田中文部科学大臣からは「子供の心の調査にしっかり取り組みたい。」ということ、それから三井厚生労働大臣には「地域包括ケアに対しての様々な取組、医療福祉サービスの確保、向上等に取り組んでまいりたい。」という決意の表明がありました。
 財務大臣からは、「23年度補正予算及び平成24年度予算について必要な精査を行っているところであり、ある程度の事業を所管する各大臣におかれては、引き続き御協力をお願いしたい。それから、25年度の復興予算については、こうした精査の結果も反映し、被災地の復旧・復興が最優先という考え方に立って、震災後現在に至るまでの諸情勢の変化を踏まえながら、緊急性や即効性の観点から、真に必要な事業に厳しく絞り込んでいく必要があると考えているので、最大限御協力をお願いしたい。それから、今年度でありますけれども、予算執行についても駆け込み執行とのそしりを受けることのないよう、今年度中の予算に当たっては慎重に御対応をいただきたい。」という発言がありました。
 それから、予算関連については副総理から「復興関連事業についての行政刷新会議の行政レビューの取組として重点的にチェックしていきたい。」という考え方を表明され、「特に見直しの余地があると考えられる事業については、公開の場で外部の有識者に御参加いただいて検証を行っていくこととしたい。」という、そういう取組の方針を示されています。
 そのほかの予算に関しましては、「全国防災につきましては、その必要性については三次補正のときに国会でも十分議論したし、各党との調整の上で全国防災等の問題についてはしっかり詰めた上での予算措置であったということについては、しっかりとした説明をしてもらいたい。」といった発言等、要望等を受けています。また、全国防災に次の災害に備えた取組ということについては、五百旗頭委員長からも発言がありましたけれども、閣僚から、「この問題は非常に重要な問題なので、しっかり取り組んでいくことが大事だ。」といった趣旨の発言もあります。
 私のほうからは、復興予算関連については、今週、多分、参議院で委員会が開催されると思いますので、そこに今までの経緯等も含めてしっかりと説明をしたいという旨の発言をしております。
 総理からですけれども、このような発言がございます。「復興に向けた課題については、復興の加速化に実を上げるため、各大臣は、「資料2」の4つの重要テーマに取り組む際には、先ほど平野復興大臣から説明があった趣旨を十分に踏まえ、自分の仕事の範囲をできるだけ狭めることなく、しっかり対応願いたい。また、福島については、特に隙間ができないように、復興大臣がリーダーシップを発揮しながら、調整願いたい。」という指示をいただいています。
 また、「復興関係予算については、ただいま平野復興大臣と城島財務大臣から発言があったように、被災地の復旧・復興が最優先との方針の下、震災からこれまでの状況変化も踏まえつつ、緊急性や即効性の観点から真に必要な事業に絞り込んでいく必要があるので、各事業を所管する大臣は、その趣旨に沿ってしっかり対応を願いたい。」という指示をいただいております。
 あと、資料3、原子力災害復興推進チームの設置についても今日了解をいただいています。
 以上です。

2.質疑応答
(問)先程のお話の中で、今日の復興推進会議の中で、総理から、被災地の復旧が最優先だというような、その趣旨に沿って対応願いたいというような御発言があったそうですけれども、今後の見直しについて、例えば、具体的な方針、見直しの基準のようなことについての指示ですとか言及というのはなかったのですか。
(答)今日はありませんでした。ただ、今、私のほうでも財務省と連携をとりながら、23年度、それから24年度予算の中身等についての精査を進めていますけれども、そういったものの積み上げの中で、来年度予算編成がどうあるかということについての考え方は、当然のことながらまとめていかなければならないと思っています。

(問)それからもう一つ、先週の金曜日だったと思うのですが、下地防災大臣が、今後の復興予算を認めるかどうかの基準として、三つぐらい基準を挙げているのですが、震災前から一般会計で予算要求していた事業とか、来年度になって新たに要望しているような事業というようなものはちょっと厳しくなるのではないかというような考えを示されているのですが、それについては、平野大臣はどのようにお考えになっていますか。
(答)下地大臣の発言についての詳細は把握しておりませんが、今の発言を聞く限りは、私としては、特に大きな違和感というのはないという感じはしますが、いずれそういった考え方も踏まえながら、聞きながら、来年度の予算編成等についての考え方をまとめていきたいと思います。

(問)それともう一つ、先程のお話の中で、どなたかからの発言かというのが分からなかったのですが、23年度補正予算について、しっかり詰めた上での予算措置であったというような御発言もあったというお話だったのですが、これはどなたからの御発言だったのでしょうか。
(答)あえて今名前は出しませんでしたけど、出さなかったのは出さないということで、いずれ議事録が公開されますから。前原大臣だったような気もしますけど、その程度にしておきます。

(問)話は変わるのですけれども、13日にフランスの番組で、日本対フランス戦のゴールキーパーの川島選手の活躍に対して、そのバラエティの番組の司会者が、「フクシマ効果があっても僕は驚かない」というふうに発言して、被災地を揶揄したような話をしました。川島選手は昨シーズンも、相手サポーターから同様の野次を受けたりとかしている中で、この福島を冗談の種にした件について、大臣はどのように受け止められますか。
(答)どういう表現をしたという話ですか。

(問)川島選手が活躍したことに対して、「フクシマ効果があっても僕は驚かない」という言い方で、要は、放射線の効果があったのではないかみたいな揶揄をしたのです。その番組の。
(答)放射線効果というのははっきり言ったのですか。

(問)はっきりは言っていないですけど、「フクシマ効果」という言い方をしていました。
(答)「フクシマ効果」という言い方ですか。

(問)はい。
(答)それは様々にとられます。福島で最大の、ものすごいあれだけの被害が出てきたから、そういった被災地に強いメッセージを発揮するために頑張ったというふうにもとられるし、その趣旨がよく分かりません。

(問)フランスのほうで、それに対して、被災地に対しての配慮というか、被災地に対する思いというのを考えたら、そういうのはあまりよろしくないのではないかというような報道もあるのですが。
(答)先程うちのスタッフのほうから、現地の状況について直前に簡単なブリーフィングもやっていますけれども、今のお話の中ではコメントをどうすればいいか、私もちょっと迷います。

(問)実際、川島選手というのは、昨シーズンも「カワシマ、フクシマ」という形で、要は、被災地に対しての揶揄みたいなのを受けているのですが。
(答)今のお話だけだと、揶揄なのかどうかもよく分かりません。その辺の実際のものを見てみないと。もう少し具体的に何かあればいいのですけれど、今日のブリーフィングとしては、テーマとしては違うテーマのような気もします。

(問)2点、今日の会議について聞かせてください。
 まず、総理から、復興予算について、被災地を最優先の方針のもとやってほしいということで指示があったわけですけれども、復興大臣の立場として、この指示を受けて、これから政府全体でどのようにして取り組んでいこうと考えられているのかというのを改めて聞かせてください。
(答)これにつきましては、前もこの場で申し上げましたが、来年度予算編成の閣議決定の向きも入っております、基本方針の中に。何よりもとにかく被災地優先で、被災地の復旧・復興に必要な予算は確保するということについては、これは復興庁の使命というよりは、政府全体の役割だと思っています。とりあえず5年間で19兆円という枠が設定されていますけれども、その中で被災地の復旧・復興に必要な予算ということについては、例えば、ほかの事業の予算は出てきたから、財源、予算が足りなくなりましたというようなことは絶対あってはならないということだと思っています。そういう意味での最優先ということですし、全国防災等の問題については、これも前に申し上げたかもしれませんが、これは必要だという声は相当あります。ありますが、枠の問題というのがいずれ、どこまでやるのだと、この財源でということは当然、次の予算編成の中では議論になってくると思います。その枠の問題については、繰り返しになりますけれども、被災地の復興予算の確保に支障が出ることがあってはならないという観点から、そういう検証も必要だということだと思います。

(問)個々の事業を見ていくと、やはり所管する大臣は必要だと言っていらっしゃる大臣もいるのですけれども、それについては、要は、復興庁と予算を確保する立場から強い姿勢で臨みたいというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)これも繰り返し申し上げてきたつもりなのですが、国のお金を使ってやるという意味において、今回の一連の予算については、それなりの理由があると思います。シーシェパードについてもそうだと思います。ただ、今回の問題は、予算が無駄かどうかという問題ではなく、財源として適切かどうかという問題ですから、ここの問題については、財源論のあり方と、つまり増税の趣旨等を踏まえて、それから復興基本法の趣旨等も踏まえて、それから予算の中身を踏まえて、財源として適切かどうかということを議論していくことになると思います。結果として、来年度予算等について、これは計上するということが適切でないと仮に判断される場合には、これは一般会計の中で計上していただくということも当然あり得るということだと思います。

(問)もう一点なのですが、資料3の原子力災害復興推進チーム、これチーム長は官房長官と復興大臣になっていますけれども、このねらいと、これは、なぜこの時期なのかというのが疑問なのですけれども、これまでどういうことが至らない点があったので、こういうチームを立ち上げたとか、そういうものがあれば教えていただきたい。
(答)これは、賠償の基本的な考え方とか、避難地域の区域の見直しについての様々な政府内の横の連絡をとるときには非公式にこのメンバーで会議を開いてまいりました。ですが、これを非公式にいつまでもやるわけにはいかないということで、これから福島の帰還等に向けての取組、復興住宅、災害公営住宅の建設も始まるという中で、こういう支援チームについてはしっかりと表に出して位置づけていくほうが、これは当然いいということで今回つくったということです。
 いきなりこのようなものが出てきたから、少し唐突感があるかと思いますが、そういう背景があるということで説明にかえさせていただきたいと思います。

(問)先程、岡田副総理から、復興予算の問題で、行政刷新会議で有識者を入れて公開でやりたいというお話があったということですが、これはもう決定しているのでしょうか。それと、公開でやるということに対して、大臣はどう考えているのかということについてお願いします。
(答)これは先程の発言の中にもありますけれども、「特に見直しの余地があると考えられる事業について」という限定がついているようです。
 それから、これは行政刷新会議が毎年やっている行政レビュー、有識者等を入れた公開の場での様々な点検、検証はその枠組みの中でやるというふうに私はとらえました。どういう形でやるかということについては、これは岡田副総理との電話でのやりとりなのですけれども、しっかり連携をとりながら、連絡をとりながらこれを進めていきたいということで進めるということになっています。

(問)この間の記者会見で、自民党の安倍総裁が予算とか必要な支援がおりてくる時間がかかり過ぎているという印象について発言しましたけれども、その辺についてはどのように考えていますか。
(答)それは、中小企業グループ化補助金等については必要だというにもかかわらず、なかなか予算をつけてくれないという指摘を受けています。これについては、中小企業グループ化補助金については計画をしっかりつくったものについては予算を確保すると宣言していますので、予算が今ほとんど使い尽くした状態の中では、早急に何らかの予算措置をしなくてはならないと考えています。
 あと、全体的にスピード感がどうのこうのというのは抽象的な話でいろいろ聞きますけれども、具体的な話でお話しいただければありがたいと思います。
 復興交付金とか災害復旧事業等の予算については、これはほぼ規定の流れに乗って動いているのではないかと思います。むしろ問題なのは、予算がついたというよりも、予算がついた後の執行です、今日も冒頭で申し上げましたし、何回もこの場で申し上げましたが、年間予算100億円の市町村で300億円、400億円ぐらいの予算が使われます。これをどうやって執行していくかということがあり、これに対する支援体制の強化、新たな発注方式の導入等を積極的にやっていくということで、これだけで全部解決するとは思いませんが、できるだけ円滑に執行していくように体制づくりをしっかりつくっていきたいと思います。

(問)財務大臣の発言だったかと思うのですが、「今年度の予算執行についても慎重に対応いただきたい。」というふうにおっしゃっているようですが、これは執行中の予算であっても、例えば、増税の財源としては、復興予算の充当が適当でないと判断されたら、一般会計への切り換えとか、年度途中でも考え得るということなのでしょうか。
(答)そこまで念頭に置いたかどうかは分かりませんが、今年度の予算についても、一つ一つ再度精査した上で執行してくれという趣旨だったと思います。

(問)全国防災の必要性は、三次補正で十分議論されてしっかり詰めた上での予算措置だという発言があった。その全国防災が5年間で1兆円規模とされていることについては、復興の基本方針の中で明確な明示がないのであいまいではないかという指摘があるのですけれども、その辺は大臣どのようにお考えでしょうか。
(答)今回の全国防災に関係する予算については、今最終的に詰めていますが、1兆円を既にかなり上回る形で支出がされています。今後これをどのようなところまで、仮に伸ばすとすれば伸ばせるのかということについては、先程の記者の質問にも答えていますが、枠をどのように設定するかというのはこれから大きな考え方、規模等について大きな一つのテーマになるだろうと思っています。ただ、肝心なことは、繰り返しになりますが、全国防災、あれだけの大きな災害を経験して、次の災害に備えるということについては、財源手当というのが問題になりますが、できるだけ急ぎたいということは共通の思いだと思います。ただ、それにあまり予算を割くことで、肝心要の復旧・復興の予算が何らかの形で不足するみたいなことだけは、これは私の立場からいっても、政府の立場からいっても避けなければならないと、そういう観点から議論していくことになるのではないかと思います。

(問)1点確認なのですけれども、5年間で1兆円規模という枠組みというのは、そもそも正式に決定をされたものなのでしょうか。
(答)それは19兆円の枠の中の一つの積算のバックとして上がったと思います。あくまでも決まったのは19兆円で、全国防災は1兆円だというふうに政府として固めたということではありません。ただ、考え方として、その程度であろうということだったのですが、その後の様々な予算編成の段階の中で、全国のいろいろな防災の必要性、緊急性等を踏まえて予算が、最終的な額がどれだけの額かはきちんと聞いておりませんが、1兆円をやはり上回る形での支出決定が行われたということだと思います。

(問)もう一度復興予算の話に戻るのですけれども、先程の官邸での会議の中で、五百旗頭委員長は、全国防災の必要性を認めながら、表現として、限度と節度があると……
(答)そのようにおっしゃっています。

(問)要するに、財源論とかの話ではなくて、この予算に対して、何でも入れてしまおうという、そういう品性のなさというか、そういったものを指摘したと私は思いますけれども、大臣、如何でしょうか。
(答)後半の品性のなさというのは少し違うと思いますが、五百旗頭委員長が冒頭でお話しされていましたように、特に全国防災についてはあれだけの災害を目の当たりにしたという中で、やはり災害に強い国づくりということはできるだけ早く進めなくてはならないという、そういう趣旨だと思います。ただ、今回の場合は復興財源という財源を使いますので、そこについては何でもかんでもということはいかないだろう。特に私、これは個人的な解釈なのですが、首都直下型、東南海の3連動、4連動にいろいろな形で備えようと思ったら大変な予算がかかると思います。ただ、それは優先順位をしっかりして、そして財政の状況を見ながらやっていくということになると思いますが、今回の場合については、やはり復興財源を使うということですから、枠というか節度、限度があるということで、それを踏まえた上での予算執行をお願いしたいという、そういう趣旨だったと思います。

(問)その五百旗頭委員長の言葉に向き合うと、今後の新年度予算の編成のほうにいろいろな配慮をするというのは当たり前だと思います。これからのことについて、いろいろ考えていくのは当たり前だと思います。今までもう執行してしまった23年度補正予算とか、現在進行中の24年度事業についても、このような考えでやりました、このようなところは不適切なことがあるかもしれませんというようなまとめを政府がしっかり発言すべきではないかと思いますが、如何でしょうか。
(答)それは、これから国会で、委員会で議論されることになると思いますから、そこでしっかりと説明をしていきたいと思っています。


(以    上)

   

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