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渡辺復興大臣就任記者会見録[令和4年12月27日]

令和4年12月27日(火)18:20~18:46 於)復興庁記者会見室 

1.発言要旨

 

 復興大臣に就任をいたしました渡辺博道でございます。

 本日、岸田総理から辞令をいただきました。復興大臣及び福島原発事故再生総括担当大臣を命ぜられました。

 総理からは、まず、東北の復興なくして日本の再生はなしという強い思いの下、「閣僚全員が復興大臣である」との認識を共有し、被災者に寄り添い、被災地、特に福島の復興・再生に向けて、福島国際研究教育機構の整備をはじめ、全力を尽くすこと等について「全閣僚共通指示」とした上で、私に対しましては、復興大臣として、被災地に寄り添いながら各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹したきめ細かな対応により、福島の本格的な復興・再生、東北復興の総仕上げに取り組むこと、また、被災者の心のケア等の残された課題について、さらには人口減少等の全国の地域に共通する中長期的な課題についても取り組むこと、さらには、福島の本格的な復興・再生を加速するため、国が前面に立ち、それぞれの地域の実情や特殊性を踏まえながら、帰還等の促進、風評払拭等に向けた取組を進めること。関係大臣と協力し、「創造的復興の中核拠点」として、福島国際研究教育機構の整備に早急に取り組むこと、などの御指示をいただいたところでございます。

 東日本大震災から、発災から間もなく12年が経とうとしております。「第2期復興・創生期間」の3年目の年となります。地震・津波被災地域の残された課題について、全力で取り組んでまいります。福島の本格的な「復興・再生」に向けた取組を、私自身、全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 被災3県の知事にも、なるべく早く就任の御挨拶にお伺いするべく、日程調整をしているところであります。まず、福島県については、明日28日に訪問する予定であります。

 また、被災地の現場の実情をしっかりと把握するため、福島県の原子力災害被災12市町村をはじめ、被災市町村にも、できるだけ早く訪問したいと思っております。

 私自身、平成30年から令和元年に復興大臣の経験をさせていただきました。今回は、2度目の就任となりますけれども、私も初心に帰って、改めて、総理からの御指示いただいたとおり、現場主義に徹して、そして被災者の方々に寄り添いながら、縦割りを排して、司令塔の役割を果たしながら、被災地の復興に全力で尽くして参りたいと思っております。被災者の方々をはじめ、国民の皆様方におかれましては、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私のほうから以上でございます。

 

2.質疑応答

 

(問)前回就任されていたときより、復興の現状というのは変わっていると思います。現状の課題について、どのように感じておられて、またどのように取り組んでいきたいか教えてください。

(答)私の3年前の状況と大きく変わってきているのは、第2期復興、そして創生期間において、地震・津波被災地域では、被災者の心のケア、さらには中核産業である水産業、加工の売上の回復など残された課題がまだまだあります。これに取り組んでいかなければならないなというふうに今思っているわけであります。

 特に、原子力災害からの復興に向けた中長期的な対応が必要であるというふうに思っておりますが、その中で、特に私自身が大臣のときに提案をさせていただいた福島国際研究教育機構の設立に向けた提案をさせていただいたわけでありますが、これはより具体的な形で今進められております。

 さらには、特定復興再生拠点の区域外の避難指示解除に向けた取組、さらにはALPS処理水の処分に対する対策、この辺をより具体的な形で進めていかなければならないというふうに思っております。

 このような新しい課題について、またニーズについて、しっかりと対応しながら本格的な復興・再生に取り組んでまいりたいと思っております。今後とも、私自身の主義であります現場主義、そして被災者に寄り添いながら復興に取り組んでまいりたいと思っております。

 

(問)今、大臣、言及がありました復興拠点外の取組についてなんですけれども、新年度予算案で、先日、閣議決定されたもので、60億円と予算計上されたと思うんですけども、先行除染に係る予算だと思うんですが、それを含めて、今後、拠点区域外の対応の具体化をどのように進めるか大臣のお考えを教えてください。

(答)拠点外、一日も早く復興を成し遂げていきたいというのが私自身の本音であります。そのためには、まず先行的に除染を着手してきた、この予算も先ほど言いましたけども、計上されたんですが、その中で、特に帰還意向のある住民の方をまず全員を帰還していきたい、帰還に必要な箇所については除染をしっかりとして、そして避難指示解除行う方針を昨年に設定したところでありますので、これをさらに進めていく必要があるというふうに思っております。

 令和5年度の予算案について、大熊、双葉について、令和6年度以降に行う除染からの解除に至るまでのプロセスのモデル事例として、来年度に、一部の地域で除染に着実に着手するという内容を盛り込んだところであります。

 また、これらの方針等において、特定復興再生拠点区域外の取組に関して、必要な制度を措置するために、政府として、こういった方針に基づき、現在検討をしているところであります。

 この検討の中では、例えば法制度をどのようにしていくか、こんなことも検討しているところでありまして、まだ今の段階では、方向性としてはっきりと申し上げることはできない状況であります。

 

(問)もう一点なんですが、来年春にも、福島第一原発の処理水の海洋放出が始まるという見込みですけれども、現状で国内外での理解がまだ十分に進んでいるとは言えない状況だと思います。漁業者を中心に新たな風評発生を懸念する声がありますけれども、国内外での理解醸成について、どのように取り組まれるか大臣のお考えをお願いします。

(答)この問題については、私の大臣の時代には、具体的なところまで行っておりませんでした。いよいよ来年に、このALPS処理水を放出するということであれば、少なくともこの内容について、科学的知見に基づいてしっかりと対応していかなければならないというふうに思っておりますので、私は、まずは第三者の調査、研究、例えばIAEA、こういったところが今回もやっておりますけれども、こういったことをしっかりとやることによって、それを対外的に常に発信していく、こういったことが大事だというふうに思っておりますので、まずは国民の皆様方に、そういったことをやっているんだということをしっかり示すと同時に、国のほうでは、もう既に基本方針と行動計画を定めておりますので、政府一丸となって、風評被害が生じないように強い決意の下で科学的根拠に基づいた情報発信等の風評対策にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 

(問)こうしたけっこう大事な課題を抱えたタイミングでの大臣の交代となりましたので、復興行政の、また影響が懸念されると同時に、被災地でも復興軽視じゃないかという声もあったりされます。どのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。

(答)そういった懸念があるということは、私も認識しております。だからこそ、私は現場主義に徹して、そしてさらには、そういった懸念を払拭するように大臣として取り組んでまいりたいというふうに思います。それは、少なくとも大臣の役割というのは、被災地の皆さん方との信頼構築だと私は思っておりますので、それは信頼構築をする上では、まずは現地に行ってお話を聞く、そして様々な意見を聞いて、その中で、実際にこの復興を成し遂げていく、こうした姿勢で今後も続けていきたいというふうに思っております。それが結果として、そういった懸念を払拭することになるんではないかなと、そのように思っております。

 

(問)突然の思わぬ形での抜擢だったと思うんですけれども、そのところは、どんなふうに感じられてますでしょうか。

(答)突然です、はい。確かに突然であります。でも、どんなときであっても、行政というのは、やはり途中切れることはできないんで、常に継続をしていくことが大事でありますので、突然であっても、それは私としては、秋葉前大臣の思いもしっかり受け止めながら、そして、一番大事な被災地の皆さん方の声を聞く、そして寄り添いながら、復興を成し遂げることが本当に大事だと。

 これは私自身、復興大臣として、当初から、なったときから、このように思っておりますので、突然であっても、その思いは、実は自民党の中の復興加速化本部でも常に連携をしておりますので、突然であったけれども、対応というのは、私自身はしっかりできるんではないかなと自分自身このように思ってます。

 

(問)ALPS処理水に関して、大臣、以前は放出について慎重な姿勢を示されていたこともあったと思いますが、今、現在のお考えと、当時から変わられたのならば、その理由も説明してください。

(答)なぜ、当初は慎重であったか。まず、世界各国の状況を見たときに、そのときには、台湾も、結局、輸入禁止をしていた状況、そして中国、そして韓国であります。こういった中で、世界の状況も、若干変わりつつあったということが一つの理由です。それと同時に、IAEAが、積極的に関与していただけるということ、これは第三者機関、国際社会において、かなりの評価を私は受けるんではないかなと、そのように思っておりますので、そこは、今までと違う大きな理由だということです。

 

(問)今は、放出認めるという。

(答)はい、その方向で。それで風評をしっかりなくしていくことが大事だということで、風評被害に遭わないように、環境整備をしていきたいというふうに思います。

 

(問)前任の秋葉さんは、政治とお金の問題、そして旧統一教会との関係で、国会で厳しく追求を受けました。渡辺大臣は、この2つの点、現状、どういったことになっているんでしょうか。大臣をお受けになるに当たって、事務所で調査をやり直したとかいうことはございませんでしょうか。

(答)いや、それはありません。要するに、旧統一教会関係においては、私自身、一切関わりがありません。したがって、そういったところで予算委員会で追求される点はないというふうに思っております。政治と金の問題についても、特に問題になるようなことは、私はないというふうに思っております。

 

(問)特に、今回、お調べになっての結果ということではないですね、それは。

(答)違います、はい。

 

(問)東北の津波被災地では、日本海溝・千島海溝地震への備えですとか、新たな課題に、今直面しています。防災対策は、所管は内閣府さんになるかと思うんですけれども、東日本大震災の教訓が生かされる部分があるかと思います。東日本大震災の教訓を、今後どのように継承していくか、教訓継承事業についてのお考えをお聞かせください。

(答)当然のことながら、復興と、例えば防災というのは、全く別物だとは思っていません。当然のことながら、この10年間のしっかりとした復興のプロセスは、もう一度、我々は認識をして、それをまとめていく、こういった時期に来ているというふうに私は思っております。

 風化をさせないためには何をするかというと、やはり国民の皆様方に共通の認識、共有してもらうことがすごく大事だと、そのように思っておりますので、まずは、国営の追悼の場所、追悼・祈念施設の整備の取組は絶対必要ですね。どこに行ってもそこに行けば、そのときの状況が分かる、こういったところが必要です。

 さらには、教育分野においても、この教訓を生かしていく、また避難のノウハウをやはり教えていく、こんなことも学校で、学校教育の中で、現場で示していく、防災教育というのは大変重要だと思っておりますので。実際には、この記憶と教訓の伝承ということが、これは10年たったら、なおさら私は必要なことだというふうに思っておりますので、今言ったところを重点的に対応していきたいというふうに思っております。

 そして先ほど申し上げましたけど、10年たちました。したがって、復興政策にかかる政策の評価や課題、これをもう一度、有識者会議で設けて、各省連携しながら取りまとめていきたいというふうに思っております。いずれにしても、今後においても、東日本大震災は未曽有の大災害でありました。風化を防止して、この教訓を生かしていくことが、例えば、先ほどのお話でありましたけど、首都直下地震も同じであります。南海トラフもあります。こういったこと考えたときに、有効にそれを使っていくことが、今後も必要なことだというふうに思っていますので、連携しながら対応していきたいというふうに思います。

 

(問)もう一点なんですけれども、大臣も以前、地元から要望を受けたことがあるかと思うんですけれども、岩手、宮城両県にまたがる北上山地が建設候補地となっている、国際リニアコライダー(ILC)の東北への誘致について、実現すれば、科学や研究の進展ですとか、経済波及効果だけではなくて、本格的な復興に向けての力にもなるということで、東北の地元自治体ですとか、経済界は、早期の誘致実現に向けて期待をしているんですけれども、ILCの誘致実現について、大臣のお考えがあればお聞かせください。

(答)基本的に、この問題については、復興庁としての範囲を超えている部分だと思います。私の個人的な見解を申し上げるならば、こういった新しい科学的な拠点となるべきものというものは、極めて重要だなというふうに思います。ただ、これを建設、推進していくためには、相当なお金が必要になってきます。そういったことも踏まえて、トータルで物事を考えていく必要があるんではないかなと、そのように思っております。

 

(問)大臣の地元の千葉県の復旧・復興についてお伺いしたいんですが、東日本大震災では、千葉県内でも24人が死者、行方不明者となり、特に津波が押し寄せた旭市では16人の死者と行方不明者が出るなど、甚大な被害を生みました。旭市を含め、千葉県の復興の進捗をどう見るか、思いをお聞かせいただいてよろしいでしょうか。

(答)まず、3年前の私が復興大臣に初めて就任したときに、千葉県というところに、復興大臣が行ったことはありませんでした。特に旭市です。そこで、私が最初に復興大臣として旭市を訪問し、その被災の状況をこの目で確認をしたところであります。

 さらには、身近なところでは、浦安市が液状化でかなりの避難がありました。こういったところも、現実に見てまいりました。したがって、いつ、どこで、何が起こるか、全くどの地域でも分からないです。であれば、どの地域であってもしっかりと対応できるように、復興庁の、今までの過去の10年間の経験を生かして、これを防災関係にも生かしていくことが大変重要だと、これは千葉県のみならず、ほかの地域でも必要だというふうに感じています。

 

(問)先ほど、処理水の海洋放出の考え方について変わったというふうに御発言ありましたけれども、たしか自民党の勉強会というのは、1年前の5月頃でしょうか、春の頃にあったときは、海洋放出に対して慎重な立場だったかと思うんですが、変わった経緯について、いつの時期に、どのようにして変わったのか、もう少し詳細お伺いできますでしょうか。

(答)私自身のことですか。それとも党のことですか。

 

(問)まず、大臣自身のこと。

(答)私自身ですね。私自身が復興大臣だったときには、ALPS処理水、これはどういう状況になるかというと、先ほど国際的な評価というものは、まだまだされていない状況です。そのときに、私は、実際に在京の大使と一緒に福島に行ったりしております。少しでも理解を深めていきたいということを進めてきたところでありますけれども、在京の皆さん方も、まだまだそういった意味では、理解ができていなかったということは、私の大臣のときの一つの私自身感じたところなんですね。

 その後、国際的なことで言うならば、台湾が輸入を開始したということになっていますんで、国際的にも徐々にでありますけれども、ALPS処理水、要するに福島に対する思いが変わってきたという認識です。そこが変わってくる要素の一つです。

 それと同時に、これを第三者的に、きちんと科学的に知見を示していくIAEAが参加することによって、それは国際社会でも発信してもらえますので、その部分についても、変わってきた要素として、私は受け入れられる内容だというふうに思っております。

 ただ問題なのは、やはり地域の皆さん方が、それに対して、特に漁業者の皆さん方が理解をしてもらえるかと、それすごく大事なことでありますので、これは懇切丁寧に、今後も進めてまいりたいというふうに思います。

 

(問)もう一点、秋葉大臣が、大臣に就任されてから、先ほどの遺児・孤児の課題ですとか、あと復興広報に関する検討会を立ち上げたりですとか、かなり秋葉大臣カラーというのを当時出されていますけれども、渡辺大臣御自身、2回目ですけれども、何かこう渡辺大臣なりのカラーなり、こういったことを進めたいというようなこと、具体的なものがありましたら伺いたいと思っております。

(答)秋葉大臣の思いというのは、やはり大事なポイントだと私は思っておりますので、遺児・孤児の問題についても、これは引き続き対応していかなければいけない。

 そして広報戦略、すごく大事なんですね。この広報戦略というのは、やはり世界に向けて、どのように発信するかということが第一点と、国内向けにどのように発信していくか、さらにはこれからの時代を担う子供たちに、どのように理解してもらうか、そういった視点から広報戦略は、まさにいろんな分野を越えてやっていく必要があるなというふうに思いますので、この広報戦略についても、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

 その中で、私のいちばん思いの強いところは、やはり福島が世界においてマイナスのイメージがある、福島イコール放射線の被害を受けた場所だということは、もう誰しもが知っているわけですよ。福島という認知は、それで広まってくるのも事実なんですね。でも、それを私はプラス転換にしていきたいという思いで、福島という名前は世界でもけっこう知られているんで、これをプラス転換にするにはどうしたらいいかということを、私が復興大臣のときに考えたのは国際研究教育機構の必要性です。

 これをようやく法案の中にも落とし込むことができて、いよいよ、今度、具体的にどういうふうしていくかということで進めていくわけでありますので、これは、私、全力で取り組んでいきたい。福島の復興は、まさに、私はここにあるというぐらいの思いで頑張っていきたいなと思っています。

(以  上)


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