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秋葉復興大臣記者会見録[令和4年8月17日]

令和4年8月17日(水)11:53~12:08 於)宮城県庁4階庁議室 

1.発言要旨

どうも皆さんこんにちは。

 このたび、復興大臣を拝命いたしました、秋葉賢也です。

 本日は早速、村井知事にお時間を取っていただきまして、就任の御挨拶と意見交換をさせていただいたところでございます。

 私も8年前になりますか、復興副大臣も経験をさせていただいておりますが、被災地選出の大臣として、本当に3.11の翌日に地元に戻りましたけれども、まるで戦場のような光景をいまだに忘れることはできません。そうした思いを底流に置きながら、しっかりと被災者の皆さんの生の声にとことん寄り添ってまいりたい、というふうに思っております。

 岸田総理からも、秋葉さんは被災地の選出であり、本当に適任だと思うのでお願いするという言葉もいただきました。御案内のとおり、第2次安倍政権以降、まさに東北の復興なくして日本の再生なし、そして全閣僚が復興大臣のつもりで仕事してほしいという方針で、岸田内閣にも受け継がれているところでございます。

 これからも現地、現場主義を大事にしながら、しっかりと被災地、被災者の皆さんに宮城県と十分連携をしながら、国も前面に出るところは前面に出て、寄り添って取り組んでまいりたいと思います。

 今日、村井知事からは、改めて要望書を承りました。その中で、ハード事業はほぼ完成しているので、ソフト事業が中心になるというお話をいただいたところでございます。

 具体的には心のケアや見守り、相談支援の十分な財源をこれからも確保してほしいということ。それから、学校の教員の加配の御要請もございました。また、特に福島第一原発の処理水対応、いわゆるALPSの処理水については、宮城県でも相当御努力をいただいて、かなり理解の醸成が高まっているという認識が知事からお話ありましたけれども、一方で、やはりなりわいの維持ということについては、まだまだ不十分だというお話をいただいたところでございます。

 特に、若手の漁業の担い手の確保対策、これをしっかり強化してもらえないかという御要望がございました。これからも経済産業省であったり、水産庁であったり、関係省庁と密に連携をしながら、また宮城県の意見もしっかり賜りながら、対応してまいりたいというふうに思っております。

 また、私の方からは、知事に対して御要望、しっかり頑張りたいということと同時に、特に震災の遺児孤児の対応についても、逆にお話をさせていただきました。皆さん御案内のとおり、震災の孤児、被災3県で両親を一瞬に失った子供たちが、厚労省の統計で243人いらっしゃいます。この243人のうち半数が宮城県で129人。また、片親を亡くしてしまった震災の遺児、この遺児も、厚労省の統計ですと1,564人被災3県でおりますけれども、これも約半分の901人が宮城県で、しかもこのデータというのは、11年前の3.11の時点で、ゼロ歳から18歳未満のデータしか取っておりません。

 本来ならば、専門学校生や大学生もまだ扶養に入っていると思われます。できれば25歳に引き上げて、これも追加でしっかり深掘りのフォローアップをしていくことが大事じゃないかなと、そういう点については、復興庁も前面に出ますので、県としても協力をしていただきたいということも申し上げました。

 また、心のケアを実施していく中で、相談件数などを見ますと、相談者の実数は1,000人台前半まで減ってきているのは大きな前進だと思いますが、ここ5年間、件数が6,000件前後で推移をしておりまして、全く減っておりません。この原因はどこにあるのか、そして、これまでのように一通りの心のケアや、あるいは相談業務というものの中身を一度検証する必要があると思っております。具体的には、相談の累計はできているんですけれども、相談を行った結果、それが実際に解決されているのかどうか、あるいは満足度はどうなのか、こういった、これまで分析してこなかった事項についても、しっかり深掘りをして寄り添う姿勢を強めていく必要があるんじゃないかな、というふうに思っておりますので、これは宮城県のみの課題ではございませんけれども、しっかりと被災3県で実施するように、復興庁も協力をしながら、また被災3県の皆さんと連携を強化する中で、実行できればいいなというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、本日、村井知事から頂いた要望というものを丁寧に実現していけるように、復興庁も宮城県と力を合わせて頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 

2.質疑応答

 

(問)就任されて、多分一番大きな課題のうちの一つが、いわゆる処理水の問題だと思うんですけれども、理解はある程度進んできているというお話もありましたが、ある意味、平行線的な、そういう議論になっているように思います。風評被害とか、そういう部分についての、具体的な漁業者の方々とかに納得してもらえるような対応というか、どのようにお考えになってらっしゃいますでしょうか。

(答)ALPS処理水の課題については、第一義的には所管の役所でいうと、経産省であったり環境省であったりいたしますけれども、今御指摘のとおり、この風評被害という部分については関係役所にしっかり横串を刺して、今復興庁の中でタスクフォース、私を議長に作っているところです。

 やはり、それぞれの各県知事の努力で、かなり理解の醸成は進んでいると思いますけれども、しかしそれは手放しでの賛成ということではないわけですから、やはり風評によって生じる被害、こういったものを具体的にどこまで国として支援ができるのか、そしてまた、国民の皆さんに対して、やはり科学的な根拠に基づいて、適宜適切な情報発信ができているのか、そういったことをしっかり、これから復興庁が主導していかなければならないと思っております。

 まだ、これは確定ではありませんけれども、近いうちに省内に風評被害についての対策を検討する、民間人の有識者会議を設置したいと思っております。今までは御案内のとおり、関連する役所でのタスクフォースを作って、年2回、3回と議論してまいりましたけれども、この風評被害を軽減する、あるいは国民の皆さんの理解をさらに丁寧に醸成していくという観点から、いろんなアイデアも含めて御意見を伺って、そして来年春の具体的な放出に向けて、理解を深めるための一助になるような取組ができればというふうに考えているところです。

 

(問)地元選出した初めての復興大臣になりますけれども、今のALPS処理水とかも含めて、県民の期待が大きいと思いますが、その辺りの受け止めはどういうふうに。

(答)本当にこの処理水、やっぱり一般論でいえば、県民の皆さんは大きな不安を感じるのは当然だと思っています。ですから、不安を払拭していくための科学的な知見というものを常に発信をしながら、そして対外的には、そうした科学的知見に基づく数字というものが正しく、そして人体等に影響もないんだというようなことが、世界に向けてさらに発信強化されるような取組も、しっかり考えていかなきゃいけないなと思っております。

 やはり、海に線は引いてないわけでありまして、特に漁業高で言えば、福島県以上にある意味で影響が大きいのは、実は宮城県だというふうな認識を持っておりますので、そういう点で本当にこの風評対策というのは、充実、強化していく必要があると認識しています。

 

(問)先ほどおっしゃっていた、確定ではないけれども風評被害に関する有識者の会議ということだったんですけれども、今までも各県とか各省庁で、処理水とかいろんなものに関する有識者会議立ち上げられてきたかと思うんです。今回のものの、それと、従前あったものとの違いとか、あるいは狙いというのは、特段のものは何になるんでしょうか。

(答)これまでも様々な有識者会議あったと思いますけれども、今このSNSの時代に、具体的なツールとしてどういった手法があるのか、こういった部分を主に検討したいなと、私自身は考えています。今までは論点整理とか、そういうことが主流だったと思うんですね。何がどう必要かということ。そうじゃなくて、これからはそういった論点整理に基づいて、的確にどんな具体に行動を起こせば風評対策が強化されるのか、そういったアイデアや知恵を検討できないかなと思っております。

 昨日、経済産業省の事務次官ともお話ししたんですが、事務次官が福島県に行ったときに、ある漁業関係者から、風評対策を論じているときに、例えば処理水の、ALPS処理水の水を使って魚を飼育しているところを透明の水槽で見せてあれば、非常に分かりやすいんじゃないかというようなお話もいただいて、膝を打つものがあった。もちろん、これが実際に実現するかどうかは全く別問題ですけれども、ただ私としては、そういった具体的な方策といいますか、アイデアが一つでも寄せられる。そういったものを積み上げることができればなという思いがあるもんですから、実際どんな会議体になって、どんなメンバーになって、実際どんなアウトプットが出るとかというのは、それはもちろん分かりませんけれども、いずれにしても、これまでの有識者会議で論点整理してきたことの上に立って、さらに具体的な行動計画というか、アクションにつながるようなアイデアを得ることができればなと。そんな思いで考えたところです。

 

(問)大臣が考える宮城県の、先ほど震災遺児の話がありましたが、それ以外に復興に向けた大きな課題というか、そういった、どのようなものがあるとお考えになっていらっしゃいますか。

(答)宮城県では、本当におかげさまでハード事業は、本当に村井知事のリーダーシップの下、もう予想を超える実はスピードで進んできたと思っております。私自身も被災地選出の議員でもありますので、常々考えていることは、最終的には人口の流出に歯止めをかけて、やはりそれぞれの地域のコミュニティがいかに再生するか、実は、このことがしっかりできて復興が完成したということになるんじゃないかと思っています。

 皆さんも地元の方が多いと思いますので、御案内のとおり、東北は特に、津波の災害がなくても人口の流出に歯止めがかからない地域でした。それが11年前の津波によって、人口の流出が加速をいたしました。御案内のとおり、流出が激しい自治体においては、もう4割を超えるような自治体もあるわけで、ハードが整備されても、そこに戻ってコミュニティがしっかり維持できて、そしてやっぱり活性化ということになるんだと思っておりますので。

 ですから、なかなか人口を増やすのは難しいかもしれませんが、様々、協力隊員のような方々のいろんな実績もあったり、あるいはハンズオン支援の取組があったり、非常に明るい材料もございますので、そういったものに着目しながら、あるいはこの震災を契機に日本全国から、あるいは世界中から様々な支援をいただきました。そして、そういった人たちが11年たった今も被災地を訪れて、支援いただいている方々が数多くおります。ですから、人口の流出はなかなか歯止めがかかっていないけれども、いわゆる関係人口という観点では、非常に宮城県は一つのモデルになるんじゃないかという認識を持っておりますので、そうした関係人口のさらなる活性化に、さらにアイデアを絞っていくと、こういうことを具体的に前に進めていければな、というふうに思っております。

(以  上)


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