1.発言要旨
皆さん、こんにちは。
昨日、岸田総理から辞令を頂き、復興大臣及び福島原発事故再生総括担当大臣、並びに沖縄及び北方対策を担当する内閣府特命担当大臣を拝命いたしました西銘恒三郎でございます。
総理からは全閣僚に対して、「東北の復興なくして日本の再生なし」との強い思いの下、閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者に寄り添い、被災地、特に福島の復興・再生に向けて、国際教育研究拠点の整備をはじめ、全力を尽くすことについて御指示があったところであります。
その上で、私に対して4点、被災地に寄り添い各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹して福島の本格的な復興・再生、東北復興に全力で取り組むこと。2点目、被災者の「こころのケア」等の残された課題や人口減少等の全国の地域に共通する中長期的な課題に取り組むこと。3点目、福島の本格的な復興・再生を加速するため、国が前面に立ち、それぞれの地域の実情や特殊性を踏まえながら帰還等の促進、風評払拭等に向けた取り組みを進めること。4点目、関係大臣と協力し、創造的復興の中核拠点として国際教育研究拠点の整備に早急に取り組むこと、などの御指示を頂きました。
平成23年3月11日の東日本大震災の発災から10年半が経過し、来年の3月で11年となります。今年度から始まっている「第2期復興・創生期間」においては、地震・津波被災地域の残された課題に全力で取り組むとともに、福島の本格的な復興・再生に向けた取り組みを一層進めてまいります。
総理からの御指示に則り、特に現場主義を徹底し、被災者の方々に寄り添い、縦割りを排して司令塔の役割を果たしつつ被災地の復興に全力を尽くしてまいります。
諸般の事情が許せば明日、10月6日水曜日に福島県を訪問し、内堀知事に就任の御挨拶を行う予定です。岩手県、宮城県への訪問についても現在、調整中であります。また、被災地の現場の実情をしっかりと把握するため、福島県の原子力災害被災12市町村をはじめ、被災市町村にもできるだけ早く訪問したいと考えております。
被災者の方々をはじめ国民の皆さまにおかれましては、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に沖縄についてであります。
来年の5月15日、沖縄は復帰50年を迎えます。沖縄の振興については、これまで様々な振興策を講じてきており、県民の懸命な努力もあり着実に成果を挙げてきました。しかしながら、いまだ低い1人当たりの県民所得や深刻な子どもの貧困など、依然として様々な課題があることも事実です。
総理からは、沖縄が日本の経済成長の牽引役となるよう、観光の再生、層の厚い各種産業の振興、基地跡地利用を含め国家戦略として振興策を総合的、積極的に推進する、沖縄を世界に冠たる観光拠点とするためのインフラ整備を加速するとのご指示を頂きました。
現行の沖縄振興特別措置法等が来年3月末に期限を迎えることを踏まえ、内閣府が8月に公表した「新たな沖縄振興策の検討の基本方向」に沿って鋭意検討を進めてまいります。また、沖縄の基地負担軽減のため、県民の皆さまの思いを受け止めながら関係閣僚と連携の上、最善を尽くしてまいります。
北方領土問題については総理から、北方領土はわが国全体の問題であるとの認識を持って、平和条約締結に向けて全国的な理解を高めるように取り組むとの指示を頂きました。総理のご指示により、国民、世論の啓発の強化を図るとともに、交流事業の円滑な実施、元島民の方々への援護等に積極的に取り組み、外交交渉を強力に後押ししてまいります。
重要な政策課題に取り組むこととなり、身の引き締まる思いであります。岸田内閣の一員として精いっぱい全力投球で務めさせていただく所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)このたび、大臣は復興大臣と沖縄・北方担当大臣を兼務されることになりました。昨日、岸田総理は就任の記者会見で、今回兼務されることにつきまして、被災地から復興が軽んじられるのではないかという指摘が出ていることについて、「西銘大臣の今後の活動を通じて、そこはそのようなことがないということを証明していただけるはずだ」というふうに御発言されています。今回の総理の御発言や被災地からこのような声が挙がっていることについて、どのように思われているのか御所見をお聞かせください。
(答)辞令を受けて最初に総理の執務室に入ったときの総理の最初の御言葉が、「全閣僚が復興大臣である」という言葉でした。兼務のことについて、そういう質問があったことも承知しております。私が沖縄県の出身であることから兼務になったのかもしれませんが、兼務になったことが被災地、東北の方々に心配を与えないように、とにかく現場に出向いて皆さんの声を謙虚に聞いて、被災市町村にまで、できる限り出向いていくことによって、その心配はなくなっていってほしいと思います。全力で取り組んでまいります。
(問)細かいところで恐縮なのですが、今の質問にも関連しますが、兼務ということで、普段の執務は復興庁と内閣府のどちらでやる体制になるのかというのを教えてください。また、冒頭で、明日福島県知事への就任の挨拶と、岩手、宮城は日程調整中ということでしたけれども、岩手、宮城も週内に御出かけになられるということでよろしいのか、いかがでしょうか。
(答)諸般の事情が許す限り1日も早くという思いで、調整をするように指示しております。
執務の件は、週の何日どこで勤務するのかというのは今、就任したばかりで具体的には分かりませんけれども、気持ちとしては、私は沖縄県生まれ、沖縄県出身でありますが、東北の復興を優先しないといけないのかなという気持ちにはあります。ですけれども、沖縄問題でも、北方問題でも、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
(問)大臣、御就任おめでとうございます。
沖縄・北方担当の内閣府特命ということで、沖縄生まれの方が沖縄担当の大臣になられたというのは初めてのケースだと思います、この間、安倍政権、菅政権を通じて、岸田総理は、「人の話をしっかり聞くことが私の特技である」というふうにおっしゃっていたのですが、前の政権、その前の政権を振り返ってみますと、政府と沖縄県の対話というのが必ずしもスムーズに進んでいたとは思えないというのが世間の受け止め方だというふうに思います。沖縄生まれの大臣として、沖縄問題を担当されるということで、その間の橋渡しみたいなことについてのご自分の役割というのをどのようにお考えになっているでしょうか。
(答)政党政治的な立場は違えども、沖縄県民としての共通の基盤はあると思っておりますので、玉城デニー知事とも、まだ調整はついておりませんが、早い時期に就任の挨拶をして、知事の思いを政府の関係者につなぐ役割も出てきますでしょうし、沖縄振興についても、県民の思いですから、それは真摯に受け止めて対応していきたいと思っております。
(問)復興関連でお伺いしたいのですが、大臣が今、冒頭でおっしゃられた国際教育研究拠点の関係でお伺いできればと思います。スケジュールとして、この秋に法人形態を決定したりですとか、本年度に基本構造を策定したりというスケジュールとか、そういったところの具体的な動きが見えないという声が福島県内からもあがる中、実際、この新しい体制での復興庁のスタートということで、スケジュール的には影響はないのか、それともちょっと調整を余儀なくされているのか、その辺の御所見をお伺いできればと思います。
(答)組織形態、どういう形態にするかということも踏まえて現在、事務局で鋭意検討しているという状況だと承知しております。浜通りのほうに水素拠点とか、あるいはICT農業の拠点とか、そういう産業の現場に通用する人材を育てたいというような話も聞いております。また、研究機関というこの辺の兼ね合いがもうちょっと詰めが必要かなと。先ほどの幹部との話し合いの中では、これは秋と書いてあるが、早急に取り組むようにという話をしたところであります。鋭意検討して、地元の不安のないように頑張っていきたいと思っております。
また、関係省庁もありますので、指令塔として関係大臣と連携しながら、地元の声も聞きながら頑張っていきたいと思っています。
(問)東日本大震災の発生当時、大臣はどちらにいらっしゃって、その後、現地に足を運ぶなど被災地との関わりと、その後の復興の関わりとしてはどういうようなことをされてきたのかについて聞かせてください。
(答)震災発生時、たまたま、私は落選中の身ではありましたけれども沖縄県の副知事の部屋におりました。いろんな話をしている中で、テレビがついていたものですから、あの現場を最初に見たときに、何だこれはという、そういう記憶を今、思い起こしております。
その後、一県民、国民の1人として登山用の10キロのリュックを1人で背負って、黒糖とか菓子類を詰めて、当時すぐ入ることができなかったものですから、ちょっと記憶は薄れているのですけれども、三沢に飛んで青森県のほうから盛岡に出て、盛岡のほうからバスで宮古の田老地区の現場に入ったことを記憶しております。そして、現場で頑張っている消防の方でしょうか、関係者に自分のリュックから名も名乗らずに届けて帰ったというような記憶が東日本大震災の私の個人的な体験の最初であります。
その後も経産副大臣として現場を訪ねたりした経緯はありますけれども、とにかく被災地の方に心を寄せて現場の声を聞くということで、10年経過したらまた様々な課題が出てきているのだと想像しておりますので、その辺のところをしっかり、被災市町村にまで足を運べるように日程調整をしていきたいと考えております。
(問)御就任おめでとうございます。2点ございます。先ほど知事とも会いたいというお話が福島のほうでありましたけれども、沖縄の知事との面談についてですけれど、知事が木曜日にも上京するという意向を今、示しているのですけれども、東京でお会いになる予定などは今のところあるのでしょうか。
(答)まだ具体的に日程は来ていないようですので、私は日程の調整はできるかと思っています。私のほうが先に行かないといけないという気持ちではありますけれども。
(問)それからもう1点、基本方向についてのお話、先ほどありましたけれども。前任の河野大臣の御意向というか、いろいろ子供の貧困の問題の解決とか人材育成といった、それぞれに力を入れているような独自色を出されていましたけれども、そういったものはそのまま引き継ぐというようなお考えで今のところは理解してよろしいでしょうか。
(答)引き継ぎ事項等は、ちょっと異例ではあったのですが電話で話しをしております。私も当時は自民党の沖縄振興調査会の幹事長として河野大臣の、特に子供の貧困とか、あるいはシングルマザーで年が若い時期に出産して大変な状態になっている等々の話もありましたが、その辺は引き継ぐというよりも、河野大臣からは特に、EBPMというのですか、データに基づいた、効果のあった点、まだまだ効果が出ていない点を把握した上で、これからの沖縄の、50年経った新しい沖縄の方向性を出していこうという、その辺は基本的に共有できると思いますが、これもやはり地元の市町村、あるいは市町村長、県知事、県議会、市町村議会、地元の声を聞きながら対応していくということになります。
(問)原発被災地の農業振興について伺います。避難指示が解除された地域での農業の再開や、そこで生産した農畜産物の実需拡大に向けてどのような支援が必要と考えますでしょうか。
(答)浜通りのほうで色々な計画がある中で、農業とICTの相性がいいのではないか、最先端のICTを使って農業を振興していこうというような話も聞いておりますが、私は個人的に農業、漁業、第一次産業はこれからの大きな時代の、コロナ禍のことも含めて基本的に極めて重要な政策になってくるというふうに考えております。
そういう意味では、これもやはり現場の方の声を中心に聞きながら、どういう支援が復興庁としてできるのかという意味で取り組んでいきたいと思っております。細かい具体的な点は、もう少し時間をください。
(問)先ほど、大臣は復興大臣のほうを優先するというような旨のお話があったかと思うのですが、今、基本方向を示されたということで、沖縄の来年からの新たな振興計画について、その基本方向が示されているので、ある程度目処がついたというご認識でいらっしゃるのかという点が1つ。
あと、冒頭から総理の御言葉の御紹介は何度かございますが、御自身のこれだけはどうしてもという政策、特に沖縄について頂ければありがたいと思います。
3点目ですが、御所管の大臣ではないとは思うんですけれども、今、本島南部からの土砂の採取計画を防衛省が計画しているということで、防衛省は計画の存在について明言されていないのですが、沖縄出身の大臣として、この計画についての受け止めについて教えて頂ければと思います。この計画を中止すべきかどうかについても教えて頂ければと思います。
(答)まず、最初の発言で誤解がないようにしていただきたいと思ったのは、心情的に、自分が沖縄出身であるというところが東北の方々に兼務になったということで御不安を与えているということもあったので、そういうことがないように、気持ちの上では東北のほうから先に足を向けていきたいなと、現場に行きたいという思いで。それぞれの、沖縄・北方担当も、復興大臣の担当も、全力で尽くすということは、どうか誤解のないようにしていただきたいと思います。
あと、今、政府で基本方向が出ている段階で、恐らく国会が始まっても、もうすぐ解散・総選挙になるのかなと。私のイメージとしては、来年3月末で切れる沖振法の法案の問題もありますし。あるいは復興大臣としても、この復興の国際教育研究拠点をどういう形態にするか、法律が絡んでくるのかどうか分かりませんけれども、その辺も全力で取り組んでいかないといけないのかなという、選挙の後の国会ではそういうことが大きなテーマになってくるという思いでおります。
3点目は所管外のことでありますが、答えることは所管外ですので控えておきたいのでありますが。その上で、所管外のことをしゃべるつもりはないんですけれども、あれだけの激戦地で、まさか、よもや、防衛省は今、あの南部の土砂を使うということはないというふうに聞いて承知しておりますが、それを考えても、遺骨が入ったものを埋め立てに使うということは、一般論として、常識としてどうなのかなという思いはあります。
所管外のことですので、これ以上の話は差し控えたいと思います。
(問)北方関係で3点なんですけれども、1点目の北方四島の元島民のために、北海道の根室と関係地域への訪問というのはあるのかどうか、また、いつ頃訪問したいお考えなのか。2点目なんですけれども、北方四島へのビザなし交流に関して、コロナ禍で2年連続で全面中止になっています。今後、どのようにこれらの事業を進めていくか、どのように進ませるか。3点目なんですけれども、大臣は沖縄出身となりますが、北方との関係というのは今まであったでしょうか。また、今後どのように関わられるでしょうか。お願いします。
(答)まず、根室地域の訪問は、今回、事情が許す限り、これも早めに日程調整は指示しているところであります。
北方領土につきましては、私はずっと沖縄及び北方問題に関する特別委員会の理事をしていた関係もありまして、これまでに国後島、択捉島、そして色丹島は2回のビザなし交流で訪問しております。それ以外にも、沖北の視察の件で委員会理事として根室港から出て、歯舞群島を見ながら羅臼のほうまで、当時は海上保安庁の船で視察したりしておりますので、その辺はできるだけ早い時期に関係する1市4町を訪ねていきたいと思っております。
ビザなし交流は、コロナの関係で全くできなかったということを先ほど河野前大臣からも聞いております。その辺は関係の団体と、あるいは外務省を通じて、コロナが落ち着いてきたら早くできるようになったらいいとは思っております。ちょっと状況を見守っているところです。
(問)震災から10年半がたちますけれども、復興大臣は西銘さんで10人目かと思います。復興の継続性というのが一つ大事な中で、約1年で大臣の方が代わられることへの受け止めがありましたらお聞かせください。
(答)1年で代わらないほうがいいのだろうとは思いますけど、これはもう総理の任命ですから、私は与えられた任命を、そう思われないように、どれだけ現場に足を運んで意見を聞くことができたかという意味では、行動で示す以外ないのかなという思いで頑張りたいと思います。
先ほど平沢大臣からも、平沢大臣はコロナ禍の下で25回ぐらいしか行けなかったというような話を伺いました。幸い今、緊急事態宣言が解除されておりますので、もちろんマスク、手洗い等々の対策をしっかりしながら、私もワクチンはもう2回既に打っておりますので、現場に出向いて、1年間で短か過ぎると言われないように全力で、そういう不安のないように頑張りたいと思います。
(問)ちょっと私、先ほどの発言で若干驚いたのですが、南部の土砂を含む埋め立てのことについて、所管外ではあるという前提で、常識として土砂を埋め立てに使うのはどうなのかという思いはありますねというのは、これは大臣の沖縄出身のご自分の立場からそのようなことを所感として思われるということで、確認してよろしいでしょうか。
(答)私が発言したのは、実際に土砂の中に遺骨があるものが埋め立てに使われるということは、よもやないだろうという思いであります。所管外ですので、あまりこれ以上お話しはできませんが、防衛省のその土砂の件については、まだ使うとかいうその次元まできていないというふうに就任前に私の認識では承知しておりますので、防衛省の見解を承知している者として。ただ、先ほど申し上げましたのは、よもや使われる土砂の中に遺骨が入っているものが使われるとは思っていないという趣旨でご理解いただけたらと思います。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
(以 上)
復興庁(法人番号:4000012010017)
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎4号館 TEL(代表): 03-6328-1111
Copyright © Reconstruction Agency. All Rights Reserved.