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平沢復興大臣記者会見録[令和3年4月13日]

(令和3年4月13日(火)9:41~10:11 於)復興庁記者会見室)

 

1.発言要旨

  お疲れさまです。

  まず、先ほど開催されました廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議におきまして、「多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」が、現時点で盛り込み得る風評対策を含め決定されるとともに、その基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議が新たに設置されることが決まりました。

  この会議では私のほうから発言させていただきまして、私の発言をそのまま言いますと、処理水の取り扱いについては、この問題に関する国民、特に福島県民や漁業関係者などの理解と協力が極めて大事であると考えると。そのため、実際に処理が行われるまでの一定の期間に、徹底した理解醸成活動などの風評対策に政府一丸となり取り組んでいくことが必要であると。国内と併せて国際的な対応も重要といえます。それから、復興庁としては、司令塔となっている「風評対策タスクフォース」などを通じまして、多くの方の意見も聞きながら風評払拭に全力で取り組んでまいりたいと考えていると。こういった発言をさせていただきました。

  今般の基本方針が決定したことを踏まえまして、今後、速やかに「風評対策タスクフォース」を開催しまして、具体的に必要となる風評対策の検討を行い、各省庁の所掌に応じた的確な風評対策を行っていくよう指示してまいります。

  ちなみに、この「風評対策タスクフォース」は私のほうが責任者になっていますので、こういった指示を行っていきたいと考えております。

  追加対策が必要になっていく場合にも、機動的に検討・対応も行ってまいりたいと考えております。

  復興庁としては、風評対策について本年度当初予算に従前の4倍増の20億円を計上しておりまして、国内外におけるご理解を深めていただくための分かりやすい情報発信や市町村等の創意工夫による風評対策の強化に努めていきたいと考えております。

  差し当たりまして、お手元にお持ちだと思いますけど、トリチウムの性質や処理水の処分方法などについて分かりやすく説明したチラシ、それから動画を公開いたします。また、海外に向けても、新設したポータルサイト「FUKUSHIMA UPDATES」において、関係機関と連携して必要な情報を掲載・発信していく予定にしております。詳細は事務方にお尋ねいただきたいと思います。

  冒頭、私からは以上でございます。

 

2.質疑応答

(問)関係閣僚会議で処理水の処分に係る基本方針が決定されたということで、まず大臣がお話しされたのは県民、漁業者の理解と協力が極めて大事であるということで、理解醸成に政府一丸となって取り組むことが必要ということでございますが。今の現状で県民、漁業者は反対、やはり到底容認できないという意見が強いところではございますが、醸成活動というのは実際にどういった取り組みをしてくのかという、まず大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

(答)風評対策の会議といいますか、私が責任者となっている風評対策タスクフォースですね。これはこれから集まる予定でございまして、そこで決めさせいただくことになります。集まるのは各省庁の実際に実務を担当する局長級が全部揃っていますので、各省庁にこうしろああしろということを指示したいと思っておりますけれども、いずれにしましても、大至急これをやりたいということで考えております。

  結局、問題は一言で言えば、処理水については、安全性は科学的、技術的な観点からすれば問題はないんですけど、メンタルな面、心理的な面では国民の皆さんはやっぱり安心できない、不安だと思っておられる方がかなりおられるのではないかなと思います。ですから、そこを払拭しなければなりませんので、これは相当力を入れてやらないと。要するに、安全と安心の問題だろうと私個人は思っております。ですから、安全なものは安心でもあるということをしっかりと分かっていただくように我々の風評対策でしっかりやりたいと思います。

  これは、先ほども申し上げましたように、国内だけではなくて国外でもやらなければなりませんので、どういう媒体を使ってどういう形でやるのが一番効果的か、いろんなやり方があると思いますけれども、こういったことについては専門家のご意見もいただきながら大至急。

そして、実際にこの処理水が海上に放出されるのは今ではありませんので。これは私の地元でも国民の皆さんは随分誤解されていまして、明日にでも海に放出されるのではないかということを聞かれた方が何人かおりましたけど、そうではなくて、これが実際に放出されるのは、アバウトですけれども、大体2年後ぐらいではないかということで言われていますので。いずれにしましても、その間を通じまして徹底的ないわば風評作戦をやって、そしてご理解いただけるように全力を尽くしたいと思っております。

(問)何点かあるんですけれども、今週、規制の関係で海洋放出ということで決まりまして、他の処分方法というのも検討されたかと思うんですけれども、大臣としては海洋放出というのが一番適当な選択肢だというふうにお考えでしょうか。その点をお願いします。

(答)これは、私は専門家ではありませんのであれしませんけれども、私自身が聞いているのでは、諸外国でもこのような同じようなやり方がとられているということと、科学的、技術的にはIAEAも含めて第三者のほうは絶対に安全であるということは言っているということで聞いております。

  それで、この問題について専門家の委員会を作ってやっていたその委員会の報告書は去年の2月に出たと思いますけど、その報告書の中でもいろいろな選択肢があるんですけれども、その中で一番いいのは海洋への放出であるということを言っているわけでございまして。そういったことをいろいろ踏まえて政府として決めたわけでございまして。今後、例えばIAEA(国際原子力機関)とかそういったところがどういうふうなコメントを出すかそれを見たいと思いますけれども、私自身は第三者のほうもそういったことでしっかりと、これなら大丈夫ということは言ってくれるのではないかなと思いますけれども。先ほど申し上げましたように、じゃあ一般国民の方も同じように思っていただけるというと、それはそうはいかないと思うし、これはやっぱり心理的な問題がかなりありますので。ですから、そういった場合にどういう風評作戦、我々の、いわば情報発信をしていったら一番効果的かということはしっかりとこれから検討させていただきたいと、しかも大至急検討させていただきたいということで思っております。

(問)風評対策についてなんですけれども、風評被害というのをどの程度までを捉えるかという問題があるんですけれども、海洋放出自体、2年後に全て流すのではなくて長期的に流していくことになると思うんですけれども、その場合は最後まで風評対策をされていくというお考えでしょうか。

(答)これはやってみなければ分かりませんけれども、どんなやり方をとっても風評は付いてくるだろうと思います。ですから、風評をゼロにするというのは、どんなやり方をとっても私は難しいと思いますけれども、しかし、限りなくゼロに近づける努力は私たちはしていかなければいけないなということは思っております。

  今回のこの問題について言えば、非常に心配して反対しておられる方も少なからずおられるわけでございまして、そういった方々にしっかりと、いや、これは問題ないですよと。チラシが配られていますけれども、このチラシにあるように、これは安全性の点では全然問題はないですよということで申し上げても、やっぱり心理的には何となく吹っ切れないものをお感じになる方も多いのではないかなと。ですから、そういった方々に、いや、絶対問題はないんですということをしっかりと。ですから、いろんなパワーを使ってこれは言っていく必要があるだろうと思います。

  この間、働き掛け、ご説明、そしてご理解を得る努力をいろいろやってきた中で、高校なんかに行ってやったというのもあったようでございますけれども、いずれにしましても、子供たちも含めて、教育も含めていろんな形でこれはやらないとなかなか難しいのではないかなと。この問題ではあれですけれども、何か別な問題とリンクさせていろいろ言う方もおられるでしょうし、いろいろ難しいなという感じはしますけど、ともかく私たちは全力で最大限、ご理解いただけるよう努力したいと思います。

  今日、閣僚会議でも総理から、「全閣僚で力を合わせてしっかりやってほしい」というようなご挨拶がありました。まさにこれは政府を挙げての問題だろうと思いますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

(問)続いて風評被害対策について質問です。

政府としては福島第一原発の処理水に関する風評被害対策というのは、あくまでも処理水を海洋放出することによって環境被害が出るという意味での対策ではなくて、環境被害が出るという誤解によって生じる漁業や農業・観光などへの被害への対策を立てるという整理だと思います。だとすれば、海洋放出の方針を決めた今日の時点から風評被害が起きるリスクが生じると考えますけれども、風評被害への補償を行う場合に、海洋放出を開始する前の時期も対象に含まれるというふうにお考えでしょうか。

(答)それは、私は分かりません。その問題はこれから。補償は、基本的には今のところないとは思いますけれども。しかし、万が一補償が出るような事態があれば、当然、検討していかなければいけないなと思います。ともかく、今日の問題が起こったのは、いわば今まで先送りが続きましたけれども、もう先送りも限界に来たということだろうと思います。

  このままあれすると、結局廃炉の問題ですね。これは廃炉が重大な課題として残っているわけですけど、廃炉も絶対に前に進まないというようなことになってしまって、それはひいては福島の復興の大きな障害になってしまうということで。それで、その中でどういう形で処理したらいいのかということで今日の決定につながってきたわけで。

いろいろなご意見があると思いますけれども、そういったご意見にしっかりと耳を傾けながら、しかし、ご理解いただけるように全力で取り組んでいきたいと思います。

(問)海洋放出の方針が決まったということで、これから風評対策に徹底して取り組んでいかれるというお考えを示されましたけれども、逆に言うと、原発事故から10年たっているわけですけれども、これまでの理解醸成活動であったりとか風評被害の対策というのは不十分だったというふうにお考えでしょうか。これからさらに力を入れていくという。

(答)今までは、まだ海洋放出というのが決まっていたわけでも何でもないですから。海洋放出をすることになったわけで、そうすれば当然のことながら、絶対ということは言えませんけど、可能性として風評被害が起こる可能性が極めて大きいと。したがって、今、いろいろとやっているわけで。

いずれにしましても、今は処分の方針が決まったということでこういった対応をとらせていただいているということで、今までが不十分だったとかそういうことでは私はないと思います。今まで、これをやるということを前提にやるということはできなかったと思います。

(問)タスクフォースなんですけれども、大至急開催したいとおっしゃられたのですが、開催の時期の目安ですとか。

(答)できれば速やかに開催したいんですけれども、いずれにしましても、日程が決まり次第ご連絡したいと思います。

(問)例えば月内とか来週のうちとか、そういった見通し……。

(答)私の個人的な気持ちとしては、これは都合とかいろいろありますのであれですけれども、来週中にでもできればと思っていますけどできるかどうか。これは、やっぱり皆さんの都合とかいろんなのが絡んできますので。

(問)まず、どのような対策が必要だと。風評対策の中でもいろんな分野があると思うんですけど、諸外国から依然として農産物の輸入規制が続いているとか、この放出をきっかけにまたさらにそういった緊張みたいなのが生まれる可能性もあるんですけれども、まず、どのような対策、テーマを議題とされたいでしょうか。

(答)これはもういろんな切り口があると思いますよ。これは、これから会議をやるわけで、ですから各省も、関係省庁もみんな来てもらいますので、その来てもらった関係省庁の方々に、まずは自分の省でどういうところが問題になるのか全部洗い出してもらわなければなりません。洗い出してもらった上で、どういう風評対策が取れるか。それぞれの省庁がそれぞれいろんな、例えば観光業界だとかいろんな業界を抱えているわけですから。もちろん農水省は漁業だとか野菜だとか、漁業だけじゃなくていろんなあれも抱えているわけですから。それで国土交通省は観光なんかもあれしていますし。それから商店街とか何かの問題も出てきますと、これはもう経産省の問題になってきます。いろんなところがいろんな問題を抱えていますから、そういったいろんな問題を出してもらって、それでそこに対してしっかりと取り組んでいきたいということで考えております。

  いずれにしても、これは私のほうから指示する予定ですけど、今言ったようなことを、集まったときに関係省庁の代表の方に全部指示して、それでやっていくことを考えております。

(問)二つ質問があります。まず一つ目なんですけれども、今日、この処理水の方針が決定したことで、経産省では梶山大臣が現地、福島県に入って、知事はじめ関係した方々に説明する場がありますけれども、平沢大臣のほうでは福島や関係団体のほうと何か意見交換をする場というのを改めてつくる予定はありますか。

(答)梶山大臣からは今日、福島のほうに行って、そして知事とか町長さんとか、あるいは漁連の代表の方とかそういった方にご挨拶されるということで、先ほど閣議でお会いしたときに私にそういったお話がございました。

  だけど、この問題は一義的には経産省の問題ですので、まずは梶山大臣が行かれれば。私のほうは、もちろん風評の関連でこれから緊密な連絡は取っていきますけれども、この件については政府を代表して梶山大臣が行かれれば、それはそれでいいのではないかなと。ただ、風評の問題になったら、今度は私が行って、県のほうのご要望も聞かなければならないし。

ちなみに、先ほど20億とか言いましたけど、そのうちの半分の予算は福島県の自治体のほうに配られる予算でございますので、そういったことも含めて県のほうで風評対策についてどういうご要望を持っておられるか、そういったこともしっかり聞きたいと思っております。

(問)もう一つの質問なんですけれども、基本方針の中身についてちょっと疑問がありまして。今後2年間をかけて風評対策なりいろんな国民の理解を得るような活動がされるということが書かれて、それを前提に2年後に海洋放出をするというふうな流れで方針が決まっていますけれども。逆に言うと、国民の理解が得られないとか風評対策があまり、逆になっていないというような事態になったときに、海洋放出自体を2年後なりそれ以前に見直さなければならないということも考え得るのでしょうか。

(問)風評対策は、私たちは政府の総力を挙げてやりますので必ずご理解はいただけると思います。ですから、ともかくそんなことにならないように全力で取り組んでいく予定でございます。

  先ほど言いましたように総理も、「総力を挙げてそれぞれの大臣が取り組むように」。だから、これは政府を挙げての。これは別に経産大臣とか、あるいは私とかそういった一部の大臣の問題ではなくて政府全体の問題ですので、総力を挙げて取り組んでいくということで、そんなことにならないと思いますけれども。

(問)海洋放出に向けた流れというのは、今のところ変更はないと。何が言いたいかというと、もう一つはですね……。

(答)それは方針としても出ていますので、その方針に支障がないように全力で取り組むという。

(問)もう一つは、例えば最近の、東京電力で発覚した地震計が壊れているのに使い続けていたというそういう問題。あるいは、柏崎刈羽で見られるような核物質防護に対する整備が全くできていなかったというような。東京電力に対して、あるいは経済産業省に対して不信感が強まっていて、本当に安全な水として第一原発から海洋に放出されるのだろうかという、そういう風評とは違う疑念が国民の間に極めて強くなっているんですけれども。そうした不安が払拭されないときに、2年後にやはり流すという意思は変わらない、流れは変わらないというような状況なのでしょうか。

(答)ご指摘の、東京電力がちょっと信用できないと、それが一番大きな問題ではないかということを恐らくご指摘なのだろうと思いますけど、私も同感です。東京電力は本当にしっかりしてほしい。今のままだったら国民は信用しませんよ。これは、要するに東京電力はもうあの原発の事故だけではなくて、それ以降も本当に東京電力はこれで大丈夫かなと。そういう気持ちになることが私だけではなくて、国民の皆さんの多くの方がそんな気持ちになっておられるのではないかなと思います。そういう東京電力がいわば主体となってこの処理水の処分が行われるわけですから、本当に大丈夫なのかというのは全くご指摘のとおりだろうと思います。ですから、東京電力に対して厳しく私たちは見ていかなければならない、それは恐らく経済産業省も同じだろうと思います。

  東京電力のほとんどの人は真面目にやっているだろうと信じたいですけど、ともかくそういったことにならないように、その辺もしっかり可能性は考えて取り組んでいきたいということで考えております。

(問)処分方法の決定が、先ほども大臣の発言でございましたけれども先送りされたと。この時期まで長引いたことについてどういうふうに思われますか。

(答)それは、早ければ早いほうが良かったんでしょうけれども、決定するまでにはいろんなプロセスを経なければならないので、それでまた関係者にいろいろとご挨拶させていただいたり、また、ご理解をいただかなければならないというようないろんなことがありまして、今日まで時間がかかったわけですけれども。ですから、繰り返しますけど、かなりもうぎりぎりのところまで来てしまったということなので、これをまた先送りにしていたら大変なことになるということなので、私はやむを得なかったと思います。

  いずれにしろ、こういう形で決まった以上、このスケジュールで私たちは全力で取り組んでいきたいということで考えております。

(問)もう一点ですが、風評被害対策や賠償以外に漁業者への漁業振興などの新たな施策というのは必要だと思われますか。処理水の海洋放出が決定したことによって、漁業者の理解を得るために新たに漁業振興策などが必要だと思われますか。

(答)これはこれからの問題でございまして、漁業者との話し合い、漁業者だけではありませんけれども、こういった事業者で影響を受けるだろうと思われる方との話し合いは不断に続けていかなければならないわけで、そういった中でいろいろと決まってくるだろうと思います。

  いずれにしましても、今回は特に中心となるのは漁業者でございまして、漁業者とは恐らくこれからも話し合いを続けていくだろうと思います。これをずっとやっていく過程で、万が一そういった、これでいいのかと、このままでいいのかというお話が出ないとも限りませんけど、それは今後の話し合いの中で決まることだろうと思います。

(問)風評対策の20億円の使い道についてお伺いいたします。

  先ほど、半分は福島の自治体に配られる予定だというお話でしたけれども、この20億円の中で、どの分野に予算を投じていくかという具体的な現段階での検討というのはありますでしょうか。

(答)これは、20億はもう付いたわけですね。それで、私たちの計算としては、大体半分くらいは国の風評に使って、それで半分くらいは自治体にあれするということになりまして。そして、その予算で万が一足りなかった場合には、どこか他からまた何らかのことをお願いはということも考えなければならないですけど、今のところはこれで私たちはやる予定でございます。

  これについて、自治体のほうで、是非自分のところはこれをやりたいというような申し出があれば、そういったのを受け付けるということになるだろうと思います。

 

 
  (以  上)

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