田中復興大臣記者会見録[令和02年09月11日]
(令和2年9月11日(金)11:05~11:18 於)復興庁6階記者会見室)
1.発言要旨
おはようございます。
まず1点目でございます。東日本大震災の発災、そして東京電力福島第一原発事故から本日で9年半を迎えます。これまでの政府の総力を挙げた取り組みの結果、復興は着実に進展しており、地震・津波被災地域は、復興の「総仕上げ」の段階に入り、原子力災害被災地域においても、復興・再生が本格的に始まっております。私自身も、1年前の大臣就任以来、安倍総理からの御指示を踏まえて、「現場主義の徹底」を胸に刻み、延べ34回にわたり、被災6県52市町村を訪問させていただき、被災地の実情をお伺いしつつ、全力で復興に尽力してまいりました。
特にこの1年間は、復興期間の節目となる重要な局面でありました。「復興・創生期間後の基本方針」の決定、復興庁の設置期間の10年間の延長、新たな復興財源フレームの策定など、令和3年度以降の復興に万全を期するよう取り組んできたところでございます。今後とも、現場主義を徹底させていただいて、被災者に寄り添いながら、復興に全力を尽くしてまいりたいと存じます。
2点目でございます。先日9日、与党の東日本大震災復興加速化本部から、第9次の提言が総理に手交され、その場に私も御一緒いたしました。第2期復興・創生期間に向けて、新たに建設的な提言を取りまとめられたことに対して、感謝を申し上げたいと思います。
特に国際教育研究拠点、またALPS処理水、さらに特定復興再生拠点区域外の対応の3つが特記事項として提言をされておりますけれども、復興庁として提言の内容を踏まえ、復興の加速化に努めてまいりたいと存じます。このうち国際教育研究拠点については、「新しい日本創生の道筋を切り拓く」という提言の主旨に沿って、その新設の必要性を強く提言をいただきました。政府として、しっかりと受けとめて、今後の検討に反映させてまいりたいと存じます。
3点目であります。さらに本拠点に関し、昨日福島大学の三浦学長に御訪問いただき、福島大学が本拠点に関わっていただけるとの御意向をいただきました。同学を初めとする関係機関との連携も深めつつ、今後の検討を進めてまいります。
4点目であります。明日12日、福島ロボットテストフィールドの開所式に参加するために、福島県に出張させていただきます。本年3月に全ての施設が開所しておりましたけれども、新型コロナウイルスの影響で、この時期の開催となったものでございます。福島ロボットテストフィールドは、福島復興の切り札となる、福島イノベーション・コースト構想の重要な施設でございます。ロボットやドローン、そして話題の空飛ぶ車等の研究開発・実証、また技術基準等の制度整備に資する拠点でございます。開所式を機に、さらに福島ロボットテストフィールドの活用が進むことを期待しておるところでございます。詳細は、事務方にお問い合わせをいただければと存じております。
以上でございます。
2.質疑応答
(問)今日で震災と原発事故から9年半ということになります。帰還困難区域では、取材しますと、震災当時は2万6,560人ほどの方が暮らしていたんですけれども、先月までに2,670人の方がお亡くなりになっていて、既に10人に1人が亡くなっているという現実があると思っております。まず、これについて大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。
(答)やはり歳月の流れとともに、私ども復興庁として申し上げましたように、復興に本当に国民の皆さんの大変な御理解のもとに取り組んできたところでございます。一方において、やはりなかなか福島第一原発の事故の後の復旧復興というのは時間がかかっておるわけでございまして、そういう中に、残念ながらこういう方々も、亡くなった方々もいらっしゃるということを、私たちも深刻に受けとめていかなければなりませんし、この10年、9年半ですか、節目の中で、これからの復興にさらに取り組んでいかなければならない、その決意を新たにしておるところでございます。まだ3割しか福島に実際には人が戻っていらっしゃらないということは、私どもにも大変重要な意味をなすわけでございまして、帰還促進に向けてさらに努力しなければなりません。
特に、医療・介護福祉施設だとか、あるいは商業施設の再開だとか新設など、住民の意向調査の上でもこういうニーズが高いわけでございまして、地元の県、市町村と協働しながら取り組んでいく必要がございます。
引き続き、医療、介護、買い物環境だとか教育、生業(なりわい)の再生など、必要な生活環境整備、そして人が住んで本当に戻ってきてよかったなと、こういうふうに思っていただけるようなまちづくりを進めていかなければならないと、このように思っておるところでございます。
(問)もう1点だけお願いします。
この加速化の提言にもありますけれども、帰還困難区域の特定復興再生拠点区域の外にある地域について御質問したいと思います。
こうした地域から、もう既にお亡くなりになっている方もいらっしゃって、具体的な方針の提示が遅いという声も遺族の方から上がっております。与党のほうからも提言がありますけれども、いつまでに具体的な方針を、どのように提示したいというお考えか、改めて政府の方針をお聞かせください。
(答)特定復興再生拠点の区域外についてでございますけれども、これまでも地元の皆さんから、それぞれ御要望をいただいてまいりました。大変重く受けとめておるところでございます。昨年12月の基本方針においても、地域の実情や自治体の要望等を踏まえて、今後の政策の方向性について検討を進めるということでございますので、我々も一層努力していかなければならない、このように思っております。将来的には帰還困難区域の全てを避難指示解除する、復興再生に責任を持って取り組む、この方針の下で、今後進めてまいりたいと思っております。
(問)与党の9次提言のことでお尋ねいたします。
昨年、閣議決定しました復興の基本方針の中で、福島の原発事故の被災地に関しては、帰還だけではなく、新たな活力を呼び込むということで、移住定住の促進も力を入れるという方針が盛り込まれております。それを受けまして、今回の与党の提言の中では、移住して起業や就業をする人に対する支援金の創設というような、具体的な制度の提案がございますが、こちらについては、概算要求で来年度予算で対応する考えでいらっしゃいますか。
(答)私どもも、新たなる方々の呼び込みというか、移住定住については非常に重要なことだと考えてございます。今まで住んでおられた方が他の地域に移られて、戻っていただくということも進めておりますけれども、今御指摘があったことについては、今後予算等も含めて施策を進めてまいりたいと、このように思っております。
実は、経産大臣ともいろいろとお話をする機会があるわけでございますけれども、やはりいろんな企業を本格的に誘致していくということについて、私たち復興庁もいろんな努力をしていかなければならない。さらに今までと同じことではなくて、新たな取り組みも考えていかなければいけない。そうやって少しでも生業・産業の振興がなければ人は増えていかないわけでございますから、そういうことを具体的に進めていかなければいけない、このように私も思っております。いずれにしても、与党の提言を踏まえて、思い切った施策が必要であると、このように思います。
(問)もう1点お伺いいたします。
同じく、与党の提言の中で福島第一原発ALPS処理水について、政府として責任を持って早急に方針を決断すべきだというふうに促されております。つい先日も再びご意見を伺う場がありまして、近県の知事や副知事や商工会議所の方から御意見を伺う場があったと思うんですが、その中でやはりいかなる処分をしたとしても、風評被害に対する懸念が強いということもありまして、風評被害を防ぐための対策を政府として早目に示して、国民的な理解を得ていかなければいけないかと思います。風評被害の対策については、復興庁の所管する立場だと思いますが、今後そのALPS処理水の処理に伴う風評対策に、どのように取り組まれますか。
(答)これはもう今ご意見を伺う場で、自治体ごとにまた団体ごとにいろんな具体の御要望をいただいておるわけでございます。特に御指摘があった私たちも今まで進めてまいりました風評被害については、非常に重要なことでございまして、いずれにしましても、今後関係者の皆様方の御要請を受け、御意見を承りながら、福島県、そしてまた地元の皆さんもそうですし、近隣の方々とも十分協議して、一定の方向づけを早くしていかなければならない、このように思っておるところでございます。
以上でございます。
(問)復興の方針の関係でお伺いしたいんですけれども、与党の9次提言の中でも、新型コロナウイルス対策について今回盛り込まれました。9年半がたったということで、これまで復興が進んできたというお話でしたけれども、例えばインバウンドの消失ですとか、あとリモートワークの推進ですとか、かなり社会構造が変化している中で9年半を迎えました。これまでの復興施策の継続だけでは足りなくなってきているのかなとも思うんですが、その辺、ウィズコロナ時代の復興をどのように大臣として考えられますでしょうか。
(答)コロナのことについては、今年になって大変な事態になっておりまして、もう本当にありとあらゆる影響が出ておるわけでございまして、新型コロナウイルス感染症の状況というのは、刻一刻変化するわけでございますが、政府が今いろんな施策を整備しておるわけでございます。とにかく総動員をし、我々復興庁としても責任を持って、ありとあらゆる努力をしてまいりたいと思っております。
そして、コロナの時代になって、人の交流なども非常に少なくなったり、お互いが遠慮がちになっておるわけでございます。家庭の中でも孤立しがちなお年寄りの方の家庭だとか、一人でお過ごしの方だとか、こういう方たちに対しての目配り、気配りというものは、心のケアということも合わせて、さらに徹底していかなければならない、このように思っておるところでございます。
(問)9次提言の特記事項の3番です。拠点外の対応についてというところで、今9年半ですか、来年丸10年を迎えるわけですけれども、いまだに検討を進める、検討段階にずっとあるわけですよね。やっぱり地元からは、先ほどもありましたけれども、遅過ぎるという批判が上がっていますけれども、なぜ検討が進まないというか。その要因というのは除染費用だとか、お金の面であるのか、それともまた別な要因があるのか、復興大臣としてはどんなところをお考えなんでしょうか。
(答)いろんな理由があるんだろうと思っております。それは単純では決してないと、このように認識しております。また、自治体の皆様方、あるいは森林関係の方も含めて、非常に強い御要望がこのところ続いておるわけでございまして、これほど重要な課題もないわけでございまして、私どももそういう面については、これまでも地元の皆さん、福島県も含めていろんな御要望を受けておりまして、今後の基本方針においては、昨年12月でございますか、基本方針において地域の実情や自治体の要望を踏まえて、今後の政策の方向性について検討を進めるということでございますので、私たちもさらに真剣な取り組みをしていかなければならない、このように深く認識しておるところでございます。
(問)今、自民党の総裁選の期間でもありますけれども、田中大臣自身は麻生派に所属していらっしゃるということで、支持は菅さんになるのか。また、次期内閣に対する復興政策継続への期待についてお聞かせください。
(答)我が政権、安倍政権もそうでありますけれども、復興、東日本大震災からの復興というものに対しては、第一の課題として取り組んでまいりましたし、総理自身がやはり「東北の復興なくして日本の復興はないんだ」ということも明確に言われましたし、大臣は全て復興大臣の思いを持って行政運営に当たるようにという御指示もいただいておるわけでございまして。このことの意味というのは、非常に大きい、重いことでございますし、先般も国会で法律も通させていただいて、新たな5年、新たな10年に向かってのスタートを切っていくわけでございまして、気を引き締めて今まで以上に真剣な取り組みをしていかなければならない、この思いでございます。これからの新しい政権にも、このこと同様に、それ以上に引き継いでいただきたいと、この強い思いを持っております。ありがとうございました。
(以 上)