1.発言要旨
おはようございます。
1点目であります。先ほど開催された閣議において、令和2年度の復興庁予算が概算決定されましたので、御報告いたします。
令和2年度は、「復興・創生期間」の最終年度であり、同年度において必要な復興施策を確実に実施するための予算を確保しております。お手元の資料のとおりでありますが、復興庁所管分の合計額は1兆4,024億円となっておりました。その内訳は、被災者支援が493億円、住宅再建・復興まちづくりが5,472億円、産業・生業(なりわい)の再生が516億円、原子力災害からの復興・再生が7,481億円等となっています。予算の詳細については、事務方にお問い合わせをいただきたいと思いますが、私から各分野の予算のポイントを一言ずつ申し上げます。
まず、被災者支援につきましては、特に心のケアやコミュニティ形成支援など、きめ細かい取り組みを着実に進めることとしております。
住宅再建・復興まちづくりにつきましては、復興道路・復興支援道路等の社会インフラの整備など、復興の総仕上げの段階に入ったことを踏まえ措置しております。
続いて、産業・生業(なりわい)の再生につきましては、「中小企業等グループ補助金」を増額するとともに、水産加工業等の販路回復施策等も、引き続き支援してまいります。
原子力災害からの復興・再生につきましては、大臣折衝において「風評払拭・リスクコミュニケーションの強化」について、所要の予算を確保するとともに、中間貯蔵施設整備事業の予算を増額させるなど、令和3年度以降に実施する復興施策も見据えた予算となっております。
この他、「東日本大震災10周年事業」についても、大臣折衝において所要の予算を確保し、シンポジウムの開催やノウハウの継承といった取り組みを実施いたします。
以上、令和2年度復興庁所管予算のポイントを申し上げました。今後とも現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、被災地の方々が一日も早く、安心して生活できる環境を取り戻せるよう、令和2年度予算に盛り込まれた事業を、着実に実施してまいりたいと存じます。
2点目であります。本日、「「復興・創生期間後」における東日本大震災からの復興の基本方針」を閣議決定いたしました。「復興・創生期間」後の復興に万全を期するため、この基本方針では、「復興・創生期間」後における各分野の取組、財源、組織等についての方針を示すとともに、次期通常国会に必要な法案を提出する旨を示しております。この基本方針に沿って、「復興・創生期間」後も変わることなく、徹底した現場主義を貫き、政治の責任とリーダーシップの下、復興に全力を尽くしていきたいと思います。
3点目であります。本日、「令和2年度税制改正の大綱」が決定されました。復興庁の要望事項であります、復興特区税制及び福島特措法税制に関する所要の措置、帰還環境整備推進法人に係る特例措置の延長、については、この「政府大綱」や先に御紹介した「「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針」に盛り込まれております。「復興・創生期間」後に向けて、引き続きしっかりと対応してまいりたいと考えております。
4点目であります。2019年度末のJR常磐線全線開通にあわせた避難指示解除を目指し、各町において協議が進められております。本日、松本原子力災害現地対策本部長が富岡町を訪問し、協議が行われ、先ほど解除日を3月10日とすることで合意したと伺っております。復興庁としては、これらの区域を含め、帰還環境の整備等、富岡町の復興を引き続き支援してまいります。
5点目であります。明後日22日(日)に福島県相馬市で、復興支援道路として整備が進められてまいりました、東北中央自動車道の「相馬インターチェンジ」と「相馬山上インターチェンジ」間の開通式に出席をいたします。また、相馬市で「相馬市伝承鎮魂祈念館」を、福島市で「福島県営あづま球場」を視察いたします。
以上であります。
2.質疑応答
(問)本日、令和2年度予算が閣議決定されましたが、「復興・創生期間」最終年度の予算ということで、全体的に縮小傾向にはあるかと思いますが、その中でも原子力災害からの復興・再生エリアは7,400億円という大きな割合を占めております。こちらについて、先ほど令和3年度以降の政策につながるような取り組みとおっしゃいましたが、「復興・創生期間」最終年度に、どのような意気込みで復興を進めていかれる考えでいらっしゃいますか。
(答)福島の、特に原発事故からの現地の復旧復興という大変大きな仕事を、これから継続していかなければなりません。国会の中で御審議いただく法律あるいは予算の措置等々につきましても、私たちはこの福島の復興こそが、これからの復興庁にとっての事業、非常に重要なことであると考えておりますので、特に被災された方々の生活、そして避難されている方々全員がなるべくなら早く地元に戻って生活ができるような、生業(なりわい)も含めて整えていかなければならないと思っております。
当然、このことについて新年度の予算、さらに令和3年度の予算等々と継続していくわけでございまして、予算の措置もしっかりと整えていきたい、こういう思いで今回予算決定に臨んだところでございます。
以上でございます。
(問)「「復興・創生期間後」の復興の基本方針」の中で、令和3年度から5年間の必要な事業規模の概算として、1兆円台半ばの予算が必要だという試算が示されております。来年度令和2年度予算の執行段階で、32兆円の財源フレームの残りが0.6兆円というふうに事務方から伺っております。そうしますと、やはり財源が不足するおそれがあります。復興庁としては、来年の夏までに新たな財源フレームをお決めになるということですが、今後その財源フレームを語るに当たって、どのようなところを注意して財源確保に努めていかれる考えでいらっしゃいますか。
(答)まず、私たちは、先ほど申し上げましたけれども、現場主義ということで、やはり地元の市町村の皆さんのお考えをしっかりと承ってまいりたいと思っております。今後新しい法律・制度によって、また継続する事業でございますので、財源のほうについても、やはりどうしても確保して万全を期していかなければならないわけでございまして、とにかく国民の皆さんの御理解をいただくということも、努めていかなければならないと思っております。
そういう中で考えていけば、連動することでございますけれども、風評の払拭ということは、非常に復興に向けて重要でありますし、理解をいただくためには、学校、小学校、中学校、高校あるいはPTAの関係の皆さん、御両親あるいは御家族、先生方にも、やはり正しく今日の復興の姿も含めて知っていただいて、私たちが順調に仕事を運べるように、地元の皆さんのお立場にしっかりと寄り添っていけるように、努めてまいりたいと思っております。
なお、復興事業の見通しの検討を依頼するということで、各省庁が行っている所管事業を整理するとともに、復興財源のフレーム対象経費を粗々見込んで、そういう数字を出してまいりましたけれども、具体的な数字については、今後の復興・創生期間中の復興施策の進捗等も踏まえて、引き続き精査して、令和2年の夏ごろをめどにお示ししたいと、このように申し上げたところでございます。
以上でございます。
(問)引き続き復興に取り組んでいくという思いを示していただきましたけれども、一方で新年度予算のほうには、震災から10年を節目としての事業の予算が盛り込まれました。具体的には内容は今後詰めていくとは思うんですけれども、大臣としてシンポジウムやノウハウの継承ということで、盛り込みたい内容ですとか、伝えたい思いというものが具体的にあれば、教えていただきたいんですが。
(答)今まで何度も申し上げましたように、地震・津波の地域については、いろんな事業に取り組んでまいりましたけれども、いよいよ仕上げの段階を迎えていくわけでございます。事業の内容については、いろいろと市町村ごとに差異はある、またニーズもあると思います。ケアの問題等いろいろと継続することがあるわけでございますけれども、そういう中で、特に福島の原子力発電所のこの災害の地域は、本当にこれからでございますので、私たちも地元の皆さんの御要望、自治体の皆さんの御要望等をしっかりと承りながら、取り組みに対しても、今まで以上に真剣なことが必要であろうと考えておるところでございます。
政府自体がシンポジウムを開催して、これまでの復興を総括し、被災地の将来を展望する。またNPO等が行った支援のノウハウ、課題を共有するとともに、国の内外から寄せられたさまざまな支援に対する感謝や復興の姿を、全世界に向けて発信するなどの事業を実施しますし、これまで得られた復興の効果的な取り組みだとか、ノウハウ等を報告書にまとめて関係者に周知、普及を図ることにより、次世代に継承させていただく、こういうことを大切にしてまいりたいと思っておるところでございます。
以上でございます。
(問)復興の基本方針についてお伺いいたします。津波被災地の復興事業は5年で完了を目指すというようなことですが、一方で復興事業に関しては、進捗に応じた支援のあり方を検討し、個別に対応するというようなことも伺いました。岩手、宮城両県については、5年で区切らないでほしいというお話もございましたけれども、こういった表現ということで、地元の御理解が得られるとお考えでしょうか。
(答)丁寧に地元の皆さんの御要望には応えていくということで説明し、文言等についても、そのようにさせていただいておるところでございます。今回の基本方針は、そうした幅広い方々から伺った被災地の実情だとか御要望を、可能な限り反映できたのではないかと思っております。今後とも新たな基本方針に基づいて、被災自治体とともに連携しながら、復興・創生期間後の復興に万全を期していきたいと思います。
先ほど申し上げましたけれども、これらの御意見を踏まえて、心のケア等の被災者支援、被災した子供の支援に関して、復興・創生期間後の5年以内に終了しないものの取り扱いについては、事業の進捗に応じた支援のあり方を検討し、適切に対応すると、このように明記させていただいております。これで岩手、宮城の皆さんにも御理解いただけるのではないかと思っておるところでございます。
(問)関連ですけれども、今回の予算案の中で、被災者支援の項目が、金額でいうと2割ぐらい減少しています。心のケアに重点を置くというようなことを常々おっしゃっているかと思うんですが、このあたり、金額としては減っていっていると思いますが。
(答)金額には確かにそういう面があるかもしれませんけれども、実際には必要な予算は確保してまいりましたし、令和元年度予算から約750億円の減少ということにはなっておりますけれども、復興のステージの進展に伴う事業ニーズの変化などを踏まえて、このような予算ということになっているわけでございます。私どものほうは、だからといってスピードが落ちたり、あるいは対応にマイナスがあるということは決してありませんので、これは御説明もしてまいりますけれども、御安心いただければと思っております。
(問)基本方針の関係でもう一点あるんですけれども、5年間の事業規模を1兆円台半ばということで示されたと思います。細かい具体的な事業は精査されていくということですけれども、大臣の中で、5年で1兆円台半ばという規模、これは被災地の支援にとって十分だと……。
(答)先ほども申し上げましたけれども、いろいろと状況の中で粗々の数字を計算して、そのようなことになっておるわけでございます。この数字については、今後、元年度予算の執行状況、あるいは令和2年の状況などを見ながら、夏ごろをめどにしっかりとしたものにしていきたいと思っておりますので、細かいことはその先ということになるわけでございますが、内容については、しっかりと対応していくと、そのような思いでございます。特に自治体の皆さんに安心感を持っていただけるような、きちっとした対応をいたしてまいりたいと思っております。
(問)本日閣議決定されました基本方針に関連して、今回復興庁の設置期限の10年間延長などが盛り込まれたんですけれども、ここまでの復興庁の後継組織のあり方として検討してきた経緯の中で、今年4月の自民党・公明党による与党提言では、復興庁の組織のあり方だけじゃなくて、防災や原子力防災についても司令塔として縦割りを排した体制の整備が必要だというような指摘が出ていました。確認なんですけれども、東日本大震災への対応に限らず、防災対応の全体を担う組織のあり方について、これまでに復興庁を含めて、政府内で議論はあったのかどうか、今後の検討課題として議論を続けていくのかどうかということを確認させてください。
(答)私の立場は、自民党・公明党与党側の御議論、あるいはいろんな学識経験者の方、地元の自治体の皆さん、いろんなことを勘案しながら、このような方針に取りまとめてきたところでございます。いずれにしましても、まだ道半ばである東日本大震災からの復興に対しては、司令塔機能を維持し、復興に対してはしっかりと政治の責任とリーダーシップを発揮して取り組むべきことから、復興庁は現行の体制を維持すべき、こういうことで集約をされてまいりました。
確かに日本の国全体では、毎年自然災害がありますし、大きな災害も今後あるのかもしれませんが、そういうことについては、今の体制の中で対応していくということだと思いますし、私たちもその都度、国民のいろんな被害の状況も含めて、声を聞きながら、きちっと対応していけるような組織というのは、総理のもとにいろいろと検討されてくるんだろうと思いますが、とりあえず私の復興庁として、復興大臣としては、こういうことで集約されたわけでございます。ありがとうございました。
(以 上)
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