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今村復興大臣記者会見録[平成28年10月18日]

今村復興大臣閣議後記者会見録(平成28年10月18日(火)10:15~10:30 於)復興庁記者会見室)

1.発言要旨
 おはようございます。私からは1点。熊本県訪問について申し上げます。16日(日)に熊本県を訪問いたしました。蒲島知事と意見交換、そして熊本市内や益城町の被災半年後の復旧状況の視察、さらには、熊本あるいは東日本の被災地等で復旧・復興に携わっていただいたNPO関係者と意見交換を行ったところであります。また、知事との話の中では、今日まで東日本大震災、そして熊本と、それぞれで対応が違いますが、今後、参考にしながら防災、そして発災時の迅速な対応、そして起きた後の的確な対応、そういったものをきちんと整理をして、できるだけ分かりやすくそれを現場の活動に生かしていけるように検討していく必要があるんじゃないかという話もしたところでありまして、今後そういったところで今までの知見を生かして、しっかりとしたものをつくり上げていきたいというふうに思っております。以上でございます。
2.質疑応答
(問)熊本視察のそういった行政対応を検証した上で記録に残そう、アーカイブにしようというお話がありましたが、現地でも質問があったかもしれないんですけれども、例えば今現在、政府としてはそういったものを防災白書にまとめたり、防災基本計画に反映したりして、記録というか、今後の教訓に生かすために、反映していたりするんですけれども、大臣がおっしゃっていることというのは、そういったものとはまた別に復興庁の予算でやるということでしょうか。
(答)今までも各箇所でそういった検証をしてまとめた記録があります。しかし、そこで終わっているといったら失礼ですけれども、果たして自治体あるいは消防団とか、そういったところに対して「こういう時にはこうするんだよ」と、具現化されていっているかというとちょっと疑問なところがあるんです。例えば、一例として、通信の状況がどうだったのか、岩手・岩泉の場合もそうですけど、そういうところにやっぱり混乱があるわけだし、それから救援物質のデリバリーにしても、確かに東日本のときよりは民間の事業者を活用してやってきた、そういう進歩があったと思います。しかし、やっぱり熊本に来ても、そこから先の現場のところに届くのにはやっぱり混乱があるわけであって、一例でありますが、もう少し地域を狭い地域でいいですから、そういった物資のストックポイント等々を準備しておく。あるいは通信拠点になるところは整備しておくとか、もう少し現場に近いところにそういった対策が生かされていくということがこれから大事なんじゃないかなということを感じましたので、そういった方向で進めていきたいということであります。これは予算の話は別に復興庁じゃなくてもよく、内閣府防災もありますが、その辺は各省またがっている話ですから、調整しながら進めていきたいというふうに思っています。
 あと、今回熊本で思ったのは、東日本や阪神・淡路とちょっと違うのは、家屋が潰れて全壊ならともかく半壊とか部分損壊みたいになっていて、その解体撤去がなかなか進まないというんです。ですから、これは非常に難しいといいますか、変な言い方ですけど、半分残っていても、そこの中に自分の暮らしていた生活のにおいのするもの、そういったものがあるから、それに手をつけないでくれとか、個人の事情もいろいろあるし、そしてまた全壊、半壊、あるいは部分損壊ということについての対応の仕方等に違いがあるみたいなので、それで進んでいないというようなこともあります。これが進まないと結局災害公営住宅に避難されても、整地して家を建てる、そこに戻るということも遅れてくるということになりますので、今までとちょっと違った観点から、解体撤去等々の問題は今後取り組む必要があるんじゃないかなという感じがいたしました。
(問)福島の原発事故の地域の話で、来年、避難指示解除に向けた動きというものが進んでおりまして、全町避難の浪江町でも来月から準備宿泊が始まるとかいろんな動きが出ていると思うんですが、一方で住民意向のアンケートや既に解除された区域の帰還の状況を見ても、本当に住民の方々が戻ることができるのかというのは見通しとしては非常に厳しいのが現実かと思います。その一方で除染等に関しては、非常に巨額の費用を投入したということがあると思うんですが、震災から5年半以上たった今、改めて帰還に関して除染に多額の費用を投じたのに、住民の帰還になかなか結びつかないという現状について、どのようにお考えでしょうか。
(答)これについては、拠点を整備しながら来年3月末に向けて帰還困難区域以外の区域は考えていくわけです。ですから、拠点を整備する中で、やはりそこに単なるふるさとへの郷愁ということだけじゃなくて、やっぱり戻ってみようか、という、ある意味では魅力のある地域づくりということを、今後はやっていく必要があるんじゃないかな。除染には確かにお金をかけました。それなりの生活拠点が今整備されてきていますから、そういったソフト部分をもっとやっていく必要があるんじゃないかなと思います。例えば学校なんかもそうですけれども、校舎を立派につくるのも大事なことですけれども、あそこの学校に行くと非常にいい教育ができて、変な話だけれども、進学率にしたって何にしたってすごいよということになると、皆さん来ると思うんです。被災地はもとより被災地以外からでもそうです。そういった仕組み、それからいろいろななりわいの再生についても、できるだけ魅力のある仕組みをつくって、あそこで仕事をしてみようかというような、そういったソフト部門での充実ということが、大事じゃないかなというふうに思っておりまして、それはそんなに除染で大々的にやるような大きなお金もかからないで、お金そのものを効果的に生かすことができるんじゃないかなというふうに思っています。これからそういう意味では、ある意味ではアイデアの勝負ということになってくるんじゃないでしょうか。
(問)なかなかそうはいっても、元々住んでいらっしゃった方も例えば1割程度しか戻っていないような地域も、かなり散見されると思うんですが、国民の目も費用をかけることに関してはこれからどんどん厳しくなっていくと思うんです。東京電力が非常に廃炉にお金がかかるということで、先日は社長の方から債務超過なんていう言葉が出たり、この先どのように費用が使われていくのかという点に非常に不安がありまして、専門家の中には、元の街に戻すのが非常に難しい20キロ圏内であるとか放射線量の高い地域に関しては、元に戻すというやり方ではなくて個人補償を充実させるべき、他の地域での生活再建というところに重点を置くというやり方も、一方であるかとは思うんですが、これまでのやり方についての検証であるとかそういったもののお考え、個人補償を充実させるというやり方についてはどのようにお考えですか。
(答)まず順序どおりで言いますと、まず戻る基盤を整備しなきゃいけないということでやってきているわけです。ですから、今言われたように1割前後しかというのは、まだそこが十分じゃないからそういうことになっていると思います。だからそれをきちんとやって、それだけではなかなかまだインパクトが弱いとなれば、ということで、私がさっき言ったように、いろいろなソフト部門等々で思い切ったことをやっていこうじゃないかということで、今考えようとしているわけです。
 それから、個人賠償の話になってくると、これはいろいろ線引きの問題等々もあって、そういう問題もありますから、今のルールでこれはやっていくしかないんじゃないかなというふうに思っております。これを今更、変えたりすると、また混乱して、おかしくなって、何とか我々は、また皆さんも、できればそこに戻りたいというのでやってきたと思いますから、それを戻りやすくするということに全力を挙げていきたいと、こういうふうに思っています。
(問)今朝、超党派の議員団が靖国神社を参拝されたんですが、大臣は参加されたんでしょうか。
(答)いや、私は行っていません。
(問)今後行かれる御予定というのはありますでしょうか。
(答)私は折に触れ、行くつもりではいますけれども、別にそれは例大祭だからということでもなく、例えば正月ぐらいまた行ってみようかなというふうに思っています。かねてから言っていますように私は、余りにぎにぎしくやるんじゃなくてフランクに対応をしたいというふうに思っています。
(問)先ほど、熊本を御視察されて、半壊の家屋の解体が進んでいないということへの御意見をお話しになられましたけれども、台風の被害を受けた岩手県・岩泉町でも半壊の家屋の撤去が進んでおらず、その理由として、解体費用の個人負担が大変重くなっているということで、国に対して支援を求める声が上がっています。所管の省庁は違いますけれども、実際に視察されてそういった課題を目の当たりにされて、別の地域の災害でもそういう課題が出ていることについて、大臣自身の御意見を伺いたいと思います。
(答)これはなかなか難しい問題で、ある意味では個人財産の補償に税金を使うのかということが一つあるわけです。だからそれはなかなか原則としては難しいと思います。ただ、こういう家屋が半壊になり、いつ崩れるか分からないと、それによって道路を通れないとか、そういったいろいろな公益を非常に害しているようなところについては、それなりの対応もしなきゃいけないんじゃないかなということでありますから、そういった個人財産と公益との兼ね合いの話を、今後詰めながらやっていくということになると思います。

(以    上)

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