1.発言要旨
本日は平成28年度復興庁予算の概算要求及び28年度の税制改正要望についてご報告を申し上げます。お手元に資料を配布させていただいておりますが、週が明けた8月31日に概算要求を財務省に対しまして、そして税制改正を財務省と総務省に対して、それぞれ提出することといたしておりますが、昨日与党の了承が得られましたので、公表をするということにいたした次第でございます。
まず、平成28年度復興庁概算要求につきましては、6月24日の復興推進会議決定に基づきまして、被災地の声を踏まえ、各府省とこれまで調整を行ってきたところでございます。復興庁所管分の概算要求は、合計額は2兆4,759億円となっておりまして、その内訳は、被災者支援、一番重要だと考えておりますが、1,289億円、住宅再建・復興まちづくりが1兆3,137億円、産業・生業の再生が661億円、原子力災害からの復興・再生が9,585億円、「新しい東北」の創造が10億円などとなっております。また、産業・生業の再生、原子力災害からの復興・再生の要求額はこれらのほか事項要求として要求しているものがございます。年末までに調整をしたいと思っております。
要求のポイントといたしましては、被災者支援につきましては、長期避難者の心のケアやコミュニティの形成など、復興の進展に応じて生じる課題に効果的に対応するために被災者支援総合交付金を大幅に拡充するなど、取組を強化いたします。
住宅・復興まちづくりにつきましては、最盛期を迎えた事業を着実に推進するための必要な予算を措置いたします。
産業・生業の再生につきましては、自立的な地域経済の再生に向け、販路の回復や企業立地による雇用の創出、雇用のミスマッチによる人手不足への対応等の取組を推進してまいります。
原子力災害からの復興・再生につきましては、住民の帰還促進や12市町村の生活の再構築に向けた取組を強化するとともに、本格的な進捗が見込まれる放射性物質汚染廃棄物の処理を着実に推進するなど、福島の復興・再生を加速してまいります。
「新しい東北」の創造につきましては、先導モデル事業で蓄積したノウハウ等を被災地の中で横展開するとともに、全国的な情報発信の取組を強化するといった点が挙げられます。
これらの要求は、新たな復興のステージを迎える「復興・創生期間」の初年度といたしまして、地震・津波被災地の一刻も早い復興の完了、福島の本格復興・再生に向け、復興の取組を強力に推進するためのものであり、そのために必要な予算を要求するものでございます。
次に、税制改正要望についてご報告いたします。被災地における産業・生業の再生を支援する税制は引き続き必要であります。区域限定の思い切った措置である特区税制を5年間延長することをはじめ、集中復興期間の特例について、期限を延長することを基本に要望いたします。そして、防災集団移転促進事業の元地の利活用など復興のステージに応じた課題に対応するため、新たな特例の創設や既存税制の要件緩和を要望するということにいたしております。
これらによりまして、福島をはじめ被災地の復興が大きく進み、被災者の方々が復興をさらに実感していただけるよう、必要な予算の確保等に取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
2.質疑応答
(問)来年度から「復興・創生期間」の初年度ということになるわけですけれども、特にこれまでの5年間の集中復興期間とは異なって、特にどういうところに力を入れて予算編成を考えられたのかというところを改めて教えていただければ。
(答)1つは、復興のステージが変わってきた。特に宮城、岩手につきましては、今年と来年あたりは工事のまさにピークを迎える。これをまずしっかりやることだと。そして、避難生活をしている皆さん方に帰ってきてもらうということに重点を置いた状況になってまいりましたので、心のケア、健康といったような点も含めまして、被災者支援ということと、ピークを迎える工事をしっかりやると。そして、復興をより実感してもらうというか、より現実のものにしていくということに注力をしていかなければならないと、こう思っております。
それから福島につきましては、残念ながら、岩手、宮城に比べまして、復興のステージはまだ時間がかかっているというのは否めない事実でありますけれども、しかし、動き始めたなという、その動き始めたことにしっかりと対応をしていかなければならない。除染あるいは中間貯蔵に向けたいろいろな動きというものをまずしっかりやると同時に、除染をしたところから復興が始まっていくわけでありますから、それぞれの市町村が考えている、あるいは、広域的にも考えております町のあり方、あるいは地域の活力のあり方、それぞれの市町村が考えているものを、より加速化する、後押しをしていく、実行しやすくしていくといったような点に力を入れて予算を組んだつもりでございます。
(問)今回の概算要求の中身を見ると、特に新規事業に注目して見ると、原子力災害対応雇用支援事業、あるいは事業復興型雇用支援事業というのは、緊急的な雇用から継続的な雇用に向けて、政策転換の一部だと思いますが、逆に福島県がさらに前に進むためには、自立・帰還支援企業立地補助金やイノベーション・コーストの実現というのが多分、具体的な施策になると思うのですが、この多くが事項要求になっているんですけれども、これについては大臣、どのように予算折衝に臨まれるのでしょうか。
(答)企業立地補助金につきましては、これまでも事項要求で、大体年末の予算編成の際に、その仕組みなり、金額なりというものを決めていくということでやってまいりました。今回もまだ最終的にどのエリアで、どういう仕組みで補助率幾らでやるということをはっきり決めているわけではありませんので、これは予算折衝の中でしっかりと決めていくということでございまして、一つは、延長は実施をいたします。延長というか、事実上、立地補助金があっても、まだ工場を建てられない、土地ができていないというようなこともありますので、延長はいたしますが、それ以外の項目については、年末までにしっかりとやり抜いてまいります。これはしっかりやらなければ、地域に元気が出なければ復興ではありませんので、これはしっかりやっていこうと、こう思っております。
(問)企業立地補助金ですが、かなり地元の関心が高い問題で、事項要求の仕方を見ると、いわゆる被災した方の雇用支援のために自立・帰還支援企業立地補助金を新たに新設するということだと思います。その一方、今年度までやってきた現在の津波立地補助金については、期間の延長の要求だと思っています。この整合性がまだ完全に議論されていないということでしょうか。経産省はとりあえず現行制度を維持したまま、さらにこの自立・帰還支援の補助金をつくりたいというような意向だと伺っていますけれども、いかがでしょうか。
(答)今ある立地補助金、トータルで2,000億円ぐらいあるんですが、使い残し、まだ余裕があるということもございますし、土地ができていないといったような事情もありますので、まずこれは延長すると。特にこの分野については、それほど新しい予算の積み増しは今のところ必要ないのかなと。要望との、これは絡みでありますが、それとは別に、これから立ち上がっていく福島の原発に近いエリアについて、これはこれからの話でありますので、経産省とも議論をしなければなりませんし、財務省とも議論をしなければなりませんが、しっかりした企業立地のための助成というのを、その仕組みをつくらなければならんと、こう思っておりますので、これはまさにこれからの議論でありますので、しっかりしたものをつくりたいと思います。
(問)自民党総裁選についてなんですが、先ほど選管で9月8日告示、20日投票という日程が決まりました。間もなく総務会で決定されるものと承知しておりますが、大臣は現職の安倍内閣を構成する閣僚でもあられるわけなんですけれども、この総裁選に向けてのスタンスをお伺いしてもよろしいでしょうか。
(答)総裁選は、総裁の任期が9月いっぱいということで、9月のどこでやるか、これは当初言われていたとおり、8日告示の20日投票ということが決まるというふうに、私も聞いておりました。私自身は平成研究会という政策グループの一員でありますし、グループとして安倍内閣を支持しようということを既に決定いたしておりますし、私自身、全く異論があるわけではありません。支持をしようと思っております。
(問)党内に、政権の支持率が低下する中で、自民党の中にも安倍総理、安倍政権以外の考え方も内包しているんだということを示すために、ぜひ総裁選を行うべきだと、対抗馬が立つべきだという中で、逆に安倍政権に訴えたいことももう一度国民に訴えていくという考え方を持つ人がいますが、この点については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)出る人がいれば、選挙すれば、別に何の問題もない。むしろ選挙そのものはやったほうがいい。それまで、言い方は悪いですが、与党の総裁を選ぶ選挙というのは、総理を選ぶ選挙に直結しますので、その間、マスコミの皆さん方にも注目してもらえる。やるにこしたことはないですけれども、手を挙げる人がいなければできないという状況もあります。無理やりやるほうがいいかというとなると、それもどうかなとも思いますので、もうこれは自然体で臨む以外にないなと、こう思っております。
(問)概算要求の話に戻るんですけれども、繰り返しになってしまうかもしれませんが、被災者支援総合交付金を大幅に拡充したということですが、この狙いといいますか、思いを改めてちょっと教えていただけますか。
(答)2つ側面があります。1つは先ほど話しましたように、健康チェック、心のケアといった、避難の長期化あるいは復興住宅に入っていただいても、そこでコミュニティができるかどうかといったような、まさに被災者に直接支援をする必要性が、まさにこれから一番重要になってくるという思いが一つあります。それからもう一つは、例えば被災者の見回りですとか、そういった緊急雇用で対応していた分野をこの分野へ取り込んで、より使い勝手のいい形で市町村で活用していただくという2つの思いが入っております。
(以 上)
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