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根本復興大臣の会見[平成25年11月15日]

根本復興大臣記者会見(平成25年11月15日(金)10:01~10:24 於:記者会見室)

1.発言要旨
 おはようございます。私の方から5点、お話をいたします。
 震災遺構の対応方針についてお話をいたします。
 震災遺構については、東日本大震災の津波による惨禍を語り継ぎ、自然災害に対する危機意識や防災意識を醸成するなど、一定の意義があるほか、今後のまちづくりに活かしたいとの要望も強いところです。復興庁としてどのように支援ができるのか、被災地の意見も聞きつつ、検討してまいりましたが、今般、国の支援の在り方について一定の方向性をまとめたので、お示しをいたします。この秋にも、あるいは近いうちにと申し上げておりましたが、かなりスピード感のある発表にさせていただきました。
 まず、一定の方向性、市町村において課題を整理の上、復興まちづくりとの関連性、維持管理費用という適切な費用負担の在り方、住民、関係間の合意が確認されるものを対象に、復興交付金より震災遺構の保存を支援することといたします。ポイントは4点あります。
 第一に、交付金の支援の対象は、1市町村につき1箇所までを対象とします。
 第二に、保存のために必要な初期費用を復興交付金の対象とします。ただし、過去の同様の施設については、自治体負担や寄付により整備されたものがほとんどであることにも留意し、目安として、当該対象物の撤去に要する費用と比べ、過大とならない程度を限度とします。
 第三に、維持管理費については、市町村が責任を持って、寄付金や入場料なども活用しながら負担することをお願いします。なお、被災地を様々な形で国民の皆様から応援していただいておりますが、維持管理費などについて市町村が寄付金を募る場合に、その発信力を高めるため、我々がお手伝いできることがないか、検討していきたいと思います。
 第四に、住民意向の集約のため、震災遺構として保存するかどうかの判断までに時間を要する場合、そういう場合には、その間必要となる応急的な修理に係る費用や、保存しないこととした場合の撤去費用についても、復興交付金で対応いたします。
 以上の方針に沿って、今後、具体の案件に対応していきたいと考えております。
 次に、心の健康サポート事業の実施についてであります。
 今般、岩手県及び宮城県において、心の健康に関する講演会と、その受講者を対象に、心の健康に関するサポートニーズの調査及び分析を行う事業を実施します。主な対象は、被災者の方々やボランティア活動などで被災者を支えている支援者の方々、そして、心の病の予防の観点から実施するものであります。これにより、恒久住宅への移転など、被災者にとって環境が大きく変化する中で、心のケアを必要とする方の増加を防ぎ、また、支援者の心身の疲弊も未然に防ぐことができるようになることを期待しております。詳細は配付資料を御覧いただきたいと思います。
 次に、飯舘村住民意向調査の実施についてであります。
 今般、飯舘村の住民を対象として、原発事故による避難者などに対する住民意向調査を、飯舘村、福島県及び復興庁の共催で開始することにいたしました。被災者共催の調査は、昨年11月に続き2回目であります。今回の調査は、復興公営住宅の政府計画の精査に主眼を置いて行うものであり、本日、調査票を発送する予定であります。調査結果は1月中を目途に公表する予定であります。
 次に、福島県、宮城県訪問についてであります。
 明日16日、土曜日、福島県郡山市の日和田地区の復興公営住宅安全祈願祭への出席と、宮城県亘理町、山元町の被災地の現地視察を行う予定です。郡山市の日和田地区は、原発避難者向けの復興公営住宅の工事着工として、初の地区になります。亘理町では、出荷時期を迎えているイチゴの生産状況の現場を拝見させていただく予定です。山元町では、大規模化を目指す農地の整備事業と震災遺構として保存を検討されている中浜小学校の校舎を拝見させていただきたいと思います。
 次に、経済政策パッケージの説明会についてであります。
 このたび、明日16日に岩手県、来週18日に福島県と宮城県において、経済政策パッケージの説明会を実施します。この説明会は、経済政策パッケージについて、被災地の県市町村の理解を深めていただくため、復興庁と内閣府、経済産業省が共同で開催するものであります。復興庁からは、岩手県は坂井大臣政務官、福島県は浜田副大臣、宮城県は谷副大臣が出席し、内閣府からは3県とも西村副大臣が出席いたします。詳細については事務方に確認していただきたいと思います。

2.質疑応答
(問)震災遺構の関係で、今月末にも復興交付金の配分があると思うのですが、これまで調査費の支出が認められている例えば田老観光ホテルですとか、前回の申請で、明日も御視察される山元町の小学校ですとかがあると思うのですが、喫緊のこの配分で、実際この保存費用を支出するというケースは、何か検討されているのはあるでしょうか。
(答)今、検討中です。調査をしております。我々、今回の基本的な考え方を示しましたから、その方針に則って対応したいと思います。

(問)各市町村につき1箇所までということですが、例えば、大きな市で言うと石巻、これは中心部に門脇小学校というのがあって、かつて河北と言われていた大川小学校と、大きい市町村では複数対象になり得るものがあると思うんですが、自治体の規模によってもなかなか市町村につき1箇所というのは、自治体側もかなり選定するのに困るということもあり得ると思うのですが、考え方をお聞かせください。
(答)震災遺構を残すか否か、どの程度の遺構を残すのか、これは震災遺構として、被災地において何がどのように残していくか、真摯かつ丁寧な議論が行われるということを望んでおります。そして、国費でその保存を支援する対象については、市町村の公平性の観点から、1市町村につき1箇所まで認めることとしたものであります。基本は1市町村1箇所だけということで考えていきたいと思います。

(問)自治体の規模が大きい小さいはあんまり関係ないというお考えでしょうか。
(答)公平性の観点から、1市町村につき1箇所を基本として考えていきたいと思います。

(問)今回、震災遺構について、国が支援を出すということを決められた大臣としての思いを聞かせていただけますか。
(答)震災遺構については、私も再々申し上げてまいりました。やはりあれだけの惨禍を後世に引き継いでいく、あるいは自然災害に対する防災意識を高めていく、あるいは防災教育が必要であると考えます。その意味では、震災遺構については残すべき意味があると思っております。だから、是非そこは、これまでもいろんな議論がありましたが、国の支援について一定の方向性を出す必要がある。考え方の基本を示してほしい、あるいは国が支援してほしいということもありましたから、今回、その一定の方向性ということをお示ししたということであります。

(問)今日、閣議の後に安倍総理大臣ともお話しされていたようですが、総理からはどんな話があったか御紹介できますでしょうか。
(答)総理には、震災遺構の今回の考え方について報告をいたしました。震災遺構については総理も同じ思いを共有していると思います。また、震災遺構については、やはりまちづくりとの関連性、まちづくりの中でどう位置づけるか、あるいはタイミングという問題もあると思います。それから、費用の面では、維持管理費も含めて費用がどの程度かかるか。それから、やはり様々な意見、様々な思いもあると思いますので、そこは地元の意向、地域での判断ということがやはり必要だろうなと思います。

(問)南三陸町の防災対策庁舎又は田老観光ホテルについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)震災遺構を残す意義については、私が申し上げたとおり、十分理解ができます。他方、個別案件を存続するか否か、それはやはり地元で検討を十分深めて御判断すべきものだと思います。これについて、いろんな議論があるわけですが、例えば宮城県知事は、南三陸の防災庁舎について、「解体前に間に合うようだったら、南三陸町と調整することはある」と、あるいは、「解体するのを少し立ち止まってもらうということも考えなければならないかもしれない」と発言され、遺構について、市町村でその価値を十分検討する場を提唱しておられます。知事の提唱を受け止めて、もう少し時間をかけることで、県と町の間で調整がつくのであれば、時間的余裕を確保するために、応急的な修理などを通じて国が支援することも検討したいと思います。田老観光ホテルについては、先ほども御質問がありましたが、復興交付金の調査費を付けていますから、我々のこの方針も含めて、基本的な考え方に則って対応していくことになると思います。いずれにしても、知事とは今後ともよく意思疎通をしていきたいと思います。

(問)今の南三陸の防災庁舎の関連ですけれども、この資料で言うと④の対応で当たるというふうになっているのですが、いかがでしょうか。
(答)今、私が申し上げたとおり、知事も今申し上げたような発言をされておられる。そして、先ほど私も、繰り返しになりますが、もう少し時間をかけることで、県と町の間で調整がつくのであれば、時間的余裕を確保するために、ここの考え方にありますように、時間を要する場合には、応急的な修理などの経費分については、国が支援するということを検討していきたいと思っております。

(問)維持管理費については、これまでも大臣はお考えを述べられていますけれども、対象としないという判断に至った理由を改めてお聞かせください。
(答)まず、遺構を活かした過去の同様の施設の保存については、自治体負担や寄付によるものがほとんどであって、今回の措置は異例のものであるということを御理解いただきたいと思います。それで、維持管理費を負担するということは、幾つか論点がありますが、仮に国が維持管理費を負担するとなれば、実質的に国有の施設と同等の取扱いをするということになります。今回の支援は復興まちづくりを支援する復興交付金を活用して行うものですから、津波の惨禍を語り継いで今後のまちづくりに活かしていく、地域の財産として、市町村が責任を持って維持管理に当たってほしいと思います。それから、一般に維持管理費というのは管理主体が負担するものでありますから、費用負担と管理主体が異なるとなると、責任があいまいとなって、長期的・安定的な管理に支障が生ずることも懸念されます。ということで、維持管理費については国が支援をしないという判断をいたしました。

(問)この震災遺構の問題でちょっと考えなくちゃならないのは、やっぱり私、事故後に沖縄、平和の礎とか広島の記念公園を見たんですけれども、その時、感じたのは、意義があることはもちろんですが、残す側の意思というのが一番大事だと思うんです。意思がなければやはり残らないと。そういった観点で見ると、この対応方針の中で③で、住民、関係者間の合意が確認されるものに対して復興交付金を活用するという中で、以下のとおり支援する、4番ですけれども、住民等を集約し、判断するだとか、時間を要する場合とあるんですけれども、これはどの程度の合意ができれば、復興交付金の対象になるというような考えでしょうか。
(答)震災遺構は、広島の例でもあるように、あれが遺構で残すという判断がされたのは、かなり時間がかかっていた。震災遺構というのはそういう性格もあるだろうと思います。やはりそこは住民の合意あるいは地域の合意、これはある程度、市町村が、あるいは地域の住民の方、あるいは県も入って、こういう形で残したいと。いろんなケースがあると思いますが、そこはやはり地域の合意がなされたという形は必要だと思います。そこは確認して、我々が支援するということになると思います。

(問)今回は、震災遺構の保存の支援で、津波による震災遺構の保存ということですけれども、福島県ではそんな議論はまだ本格化していないですから、いわゆる原子力災害に対しての震災遺構若しくはそういう施設を作った場合というのは、また別の基準になるのでしょうか。
(答)東日本大震災の状況、これは私もいつも申し上げておりますが、地域地域によって課題や問題点が異なる。その意味では、震災遺構の問題は、津波被災地で大きく浮き彫りにされて、議論がなされてきた。その意味では我々は基本的な支援の考え方を提示いたしましたが、福島については多少、時間がかかるんだろうと思います。時間の経過あるいは復興の状況、ステージによって、こういう議論がなされていくと思います。それはその時点その時点で、これらの支援の考え方について、基本的にはこのラインになると思いますが、そこはこれからの課題としてよく考えていきたいと思います。

(問)当初、大臣はこの震災遺構について、過去の大規模災害でも国が支援した例はないということで、非常に慎重な姿勢を示されていたかと思いますけれども、今回、このような形で具体的な支援策を打ち出すということで、方針を変えられた一番大きな理由というのはどこにあったか、お聞かせください。
(答)特段慎重であったわけではないんですが、やはり震災遺構について、震災遺構の議論というのは、あれだけの被災をしましたから、まちづくりの関係でも、やはり住宅再建まちづくりが先だろう、いろんな意見があるんですね。ですから、震災遺構の議論が落ち着いてできるようになるのは、ある程度の時間が必要なのではないか、震災遺構というのはそういうものではないかと私は思っておりました。震災遺構についての議論が最近、様々になされて、そして、やはりそういう震災遺構を残すかどうかということを考えられるステージになってきた地域もあるだろうとおもいます。繰り返しになりますが、それぞれの被災地の現状や状況は異なりますから、復興のステージステージで、そこで出てきた課題に的確に対応するというのが私は復興だと思っております。その意味では、この時期に震災遺構の支援についての考え方を我々の方から明確に出していくという、その時間軸の中での認識に立って出しました。震災遺構については、私も意義があるということは前から思っておりましたし、申し上げておりました。この時期でちょうどこのタイミングだなということで、想定より少し早くなりましたけれども、被災地で臨場感を持ってということも考えていました。あとは、冬も急に近づいてきますし。ということで、今日の発表になったということであります。

(以    上)

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