1.発言要旨
私の方から7件お話をいたします。
1件目は、応急仮設住宅における豪雨被害についてです。
福島県本宮市においては、去る5日(月)の大雨により、各所で土砂崩れや冠水などの被害が発生し、浪江町からの避難者が入居する小田部応急仮設住宅においても、床下浸水が発生し、エアコンの室外機が水に浸るなどしており、被害に遭われた皆様にはお見舞いを申し上げます。
被害については、復興庁から直ちに現地の状況確認を行いました。福島県が浸水を受けた全ての室外機の点検を進めており、現在、8割程度の点検が完了し、特に異常はないと聞いております。引き続き、残りの室外機の点検を迅速に進め、異常があれば速やかに修理、交換を行っていくということでありました。
福島県を中心に、迅速な対応がなされたことに敬意を表するとともに、復興庁としては、引き続き現場主義を徹底し、現場の実情をきめ細かく把握し、必要な支援を関係省庁とも連携しつつしっかりと行っていきたいと思います。
2件目は、現場主義の主な取組についてです。 復興のステージが上がってくると、新たな課題が出てまいります。現場主義を徹底し、現場の要望を吸い上げ、課題を一つ一つ丁寧に解決していくことが必要で、現場主義に立って復興の加速化を推進すべく、大臣就任以来、積極的に取り組んでまいりました。
今回、現場主義の主な取組を取りまとめました。具体的には、住宅再建、復興まちづくりを円滑に進めるための規制の特例、公共インフラの本格復旧・復興を加速するための手続等の柔軟化、福島の復興を進めるためのきめ細やかな支援措置、これらの取組を行ってまいりましたので、紹介をさせていただきました。復興庁としては、今後とも被災地の心に寄り添う現場主義の徹底に努めていきたいと思います。
なお、詳細については事務方に問い合わせていただきたいと思います。
3件目は、平成26年度復興庁予算に係る要求方針についてです。
本日の閣議において、「平成26年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」が了解されました。東日本大震災からの復興に係る予算については、東日本大震災復興特別会計において、本年1月10日の復興推進会議における総理指示を踏まえ、流用等の批判を招くことがないよう、地震・津波災害や原子力災害からの復旧・復興に直結するものなど、真に必要な経費を要求することとされておりました。また、その際、既存の事業の効率化を進めた上で「新しい東北」に向けた施策のうち、本特別会計で計上すべき施策については、先導モデル事業の活用などに取り組むこととされております。
安倍内閣にとって東日本大震災からの復興は、最優先課題の一つであり、一日も早い被災地の復興のため、平成26年度復興庁予算については、本日の概算要求基準に基づき、次の四つの方針を踏まえて概算要求を行っていきたいと思います。
まず1点目は、被災者支援、まちの復旧・復興、産業の振興及び加速、原子力災害からの復興再生という被災地の抱える課題の解決に直結する予算とすること。その際には、復興の加速化を進めていく中で隘路となっている課題についても着実に解決すること。
2点目は、「新しい東北」の創造に向け、被災地における先駆的な取組を加速する施策を講じること。
3点目は、福島に関しては、福島復興再生基本方針等を踏まえ、避難者の支援や、ふるさとへの帰還を加速する総合的かつ迅速な施策を講じること。
最後に、これまでの予算の執行状況等を踏まえながら、使途の厳格化を行い、被災地の復旧・復興に直接資するものとなるよう要求額の精査を行うこと。
平成26年度概算要求については、これらを踏まえて、今後、精査を行い、東日本大震災からの復興、福島の再生の加速化を最優先に、加速策を具体化するよう要求していきたいと考えております。
4件目は、復興特区法に基づく課税の特例の活用状況及びその効果についてです。
本年6月末までに指定を受けた指定事業者数は1,550、指定件数が1,921件であり、順調に増加しております。
なお、今回は、被災5県の地図を使って、事業所のある市町村ごとの指定事業者数についても新たにまとめました。さらに、5月7日に公表した、復興特区法に基づく課税の特例の効果について、今回、内容を更新しました。昨年2月から本年6月末までに被災5県において指定を受けた事業者等の投資見込額は約1兆700億円で1兆円を超えております。また、被災者の雇用予定数は約7万5,600人であり、被災地における産業の復興が着実に進んでいることがうかがえます。引き続き、多くの事業者がこの特例措置を活用することにより被災地における復興が加速化することを期待しております。
5件目は、浪江町住民意向調査の実施についてです。
今般、浪江町の住民を対象として、原発事故による避難者等に対する住民意向調査を浪江町、福島県及び復興庁の共催で開始することにいたしました。調査票は、明日(9日)発送予定です。
本調査は、災害公営住宅の整備計画の精査に主眼を置いて行います。浪江町が長期避難者の生活拠点として検討している、いわき市、南相馬町、二本松市などにおける復興公営住宅の詳細なニーズ把握を行うこととしております。調査結果は、9月下旬を目途に公表する予定です。その結果を長期避難者の生活拠点の具体化等に生かせるよう関係自治体、関係省庁等とも連携しつつ、各種の対策を力強く進めていきたいと思います。
6件目は、八戸港の災害復旧工事完了(港湾復旧の第1号)です。 青森県八戸港は、7月末までに全ての港湾施設の復旧工事が完了しました。東日本大震災で被災した港湾の中で復旧の第1号となります。八戸市においては10日(土)、八戸港災害復旧事業完了式が開催されます。また、八戸市では、このほかにも15万8,000トンの災害廃棄物の処理が全て完了しました。現在は、他市町村分の処理を実施中です。災害公営住宅においては、必要な62戸の整備が全て完了しているなど、インフラ等の復旧、整備が着実に進んでおります。八戸市においては、引き続き海岸防災林などの復旧を進めながら、新たな復興の段階、災害に強いまちづくりなどを進めることになりますが、この新たな復興の段階を迎えた八戸市のこれからの復興について、復興庁としても引き続き支援していきたいと思います。
最後に、福島復興再生協議会の開催、福島県訪問についてです。
11日(日)、福島復興再生特別措置法に基づく「原子力災害からの福島復興再生協議会」を福島市内にて開催します。国側から私のほか石原大臣などが、県側から佐藤福島県知事などが出席する予定です。当日の議題として、国から、「福島復興・再生に係る国の取組状況等」について、県から、「平成26年度予算に向けた要望について」等を説明し、意見交換等を行う予定です。
また10日(土)、福島県二本松市において、馬場浪江町長と、三保二本松市長とそれぞれ意見交換を行います。併せて、5日夜の大雨により被害を受けた二本松市の現場を視察する予定です。
こうした各市町の抱える課題をしっかり受け止めるとともに、将来像について議論をしていきたいと考えております。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)八戸市のインフラ復旧についてお伺いしたいのですが、今、大臣も、これから新たな復興の段階に進めるということをおっしゃっていましたけれども、具体的に、単なる災害復旧から、今後、復興の段階ということで、今後どのように復興庁として八戸市を支援していくのか、八戸市の具体的なプランがありましたら併せてお願いします。
(答)八戸市の特徴は、復興計画の中で港湾、廃棄物の処理、雇用の場の確保、住宅の確保、災害公営住宅を全体としてバランスよく計画して進めています。そして復旧をなし遂げた―というふうに尽力された成果が実を結んでおります。いよいよ次は復興段階です。まだ海岸防災林など復旧事業が残ってはおりますが、これから復興段階で災害に強いまちづくり、例えば防災拠点施設などの整備、あるいは避難路の確保というような新たな復興の段階を迎えます。このような八戸市の取組を引き続き支援していきたいと思います。
(問)関連なのですが、新しい東北の創造に向けて、先ほどモデル事業等のお話があったのですが、八戸市に関してそういう関連するようなことが、もし現段階でございましたらお伺いしたいと思います。
(答)まず、今年度の復興調整費で行っている「新しい東北」の創造に向けてのモデル事業―今年度については今公募をかけていますから、その中で出てくるものは出てくると思います。それから、我々は来年度に向けて、今回の「新しい東北」の調整費を活用した先導モデル事業、これは立ち上がり段階から支援して「新しい東北」のそれぞれの取組を掘り起こして、そして後押しをしようということですが、来年度予算に向けては、この「新しい東北」に向けた施策のうち、復興特会で計上すべき施策については、先導モデル事業の活用などに取り組むとしておりますので、各地の施策の中で先駆的な取組と認められているような施策についても、きちんと促進するという観点から推進していきたいと思います。その中で、八戸市は意欲的な取組を行っていますから、そういう部分が出てくる可能性はあります。具体的にはその意味ではこれからです。
(問)昨日、原子力対策本部が、福島第一原発で1日約300トンの汚染水が海に流出しているというような試算を出しました。東電の汚染対策というのは事実上破綻している状況で、今、工事費用等も負担するということになるわけですけれども、これについての受け止めをお伺いできたらと思います。
(答)汚染水問題については、私も深刻に受け止めております。汚染水問題は、東電福島第一原発の安定に向けて廃炉作業における最優先重要事項だと考えております。国としてもしっかり対応することが重要だと思います。その中で、国として汚染水問題にしっかり対応するという方針を今後も原災本部で、具体的な取組を提示しながら行ったということであります。
(問)靖国神社の参拝についてお伺いしますけれども、8月15日は終戦の日になりますけれども、その日に参拝をされるのかどうか、あるいは別の日に参拝する予定があるのか、あるいはもう既に参拝しているということがあれば教えていただきたいのと、また、その理由を教えていただければと思います。
(答)私は、我が国のために尽くされた方々に対する崇敬の念を常に持ち続けております。私としては、その時々に、その時々の自然な気持ちに沿って参拝しております。今後もそうしていきたいと思います。
(問)今の時点では、それでしたら、8月15日にあえて参拝しにいくということのお考えは今のところは持ち合わせていらっしゃらないということですか。
(答)私は、先ほど申し上げましたとおり、その時々に、その時々の自然な気持ちに沿って参拝をしてまいりましたので、既に参拝はしております。
(問)既にというのは、これまでにということですか。
(答)これまでに参拝をしております。
(問)それでは、8月15日にというお考えは、今のところは。
(答)その時々に自然な気持ちで参拝をしておりました。もう参拝をしておりますから、その意味では、私の考えは今申し上げたことに尽きます。
(問)それはいつごろ参拝されたのでしょうか。
(答)余り申し上げてもいかがかなと、これは私の心の問題です。
(問)大臣になられてから。
(答)夏に参拝しました。
(問)今年の夏に。
(答)この夏に参拝しました。
(問)その参拝は一応個人としてか、それとも公人としてかというのは。
(答)私はいつも根本匠として参拝をしております。その時々の自然な気持ちで参拝をしております。
(問)以前もお尋ねしましたが、気仙沼の大型漁船が今週の月曜日に市民のアンケートの結果で、市の方も解体するという意見になったのですが、意見が分かれるトピックではありますけれども、今回のような結果になったことについて大臣としてはどう考えますか。
(答)震災の遺構問題はそれぞれの地域で議論があるのです。やはり大事なのは、地元の皆さまがどう考えて、そして地元としてどう判断されるかということだと思います。その意味では、今回は地元の皆さまと市の行政当局を中心に丁寧に話合いをされながら結論を出したのだと思います。
(問)原災本部で区域の見直し、福島県で全て完了したということになると思うのですけれども、これから安倍総理からも新たな帰還に向けたスタートラインに立ったという発言がありましたが、一番最初に田村市の都路地区の方から長期宿泊を許可して帰還に向けた準備を進めているというふうに認識しているのですけれども、大臣として、都路地区の避難指示の解除に向けた取組、それから時期、目標とする時期などのお考えがあればお聞かせいただきたいんですが。
(答)区域見直しの考え方は、地元の皆さまの早期帰還を初め、福島復興を加速させる、これが基本になります。都路については、地元の皆さんと話合いをしながら、要は、個人の線量が皆さんの安心を確保するためにも必要で、個人線量計を持って、そして宿泊をしてもらってということを今行っていますが、その状況を踏まえながら、私はできるだけ早期に帰還をしていただいて、住民の皆さまが安定した生活に戻ることが重要ではないかと思います。
(問)原災本部の話ですけれども、安倍首相が新たなスタートラインに立って、復興大臣を中心に福島の再生の具体的な検討を進めてもらいたいという言葉があったのですけれども、これは復興庁予算の概算要求にかかわってくると思うのですけれども、実際今まで行った対策以上に復興が進んだことによる新たな施策を新年度予算で打ち出していくということなのでしょうか。
(答)今回、区域見直しが完了して、全て区域見直しが終わりました。大事なのは、福島の復興にはインフラや生活基盤の整備が必要ですが、やはり除染、賠償、廃炉といった過去に経験のない課題を連携して、並行して解決していかなければなりません。全体の施策体系として進めていかなければならないと思います。今のお話にあった必要な予算については、概算要求の時点では、私は事項要求にしておいて、そして、これから更に福島復興再生協議会もありますし、これから具体的な政策の検討を進める中で、今年度も福島復興復活プロジェクトの三本柱、あるいは営農再開の風評被害対策、それから今年度の新たな加速策を講じておりますが、それに加えて必要な対策、予算は考えていきたいと思います。
(問)中でも中間貯蔵ですね、除染が重要課題であるという指摘があって、その加速化のための体制強化を行うという言葉がありましたが、これは参院選前の自民党、公明党政権の要望の中にも入っていたことであって、それら要望から1カ月後には正式に表明されたわけですけれども、一義的には環境省がやっている仕事なのですけれども、これの体制強化というのはどのようなイメージなのでしょうか。
(答)今、除染は環境省が所管でありますが、その意味では、与党の提言も踏まえて、環境省における体制を強化する、これは速やかにやりたいと思います。そして、それと連動して除染については全体の復興の司令塔たる役割を復興庁は担っていますから、除染についての、先ほど申し上げましたように、除染、賠償、廃炉という全体の課題もありますから、除染についての、区域見直しも終わったということも踏まえて、関連する施策も踏まえて、除染については総点検や、これからの除染のあるべき姿を含めて我々も一緒に取り組んで後押しをしていきたいと思います。
(以 上)
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