1.発言要旨
私の方から2件お話をしたいと思います。
第1件目は、「住まいの復興工程表」(平成25年6月末時点)の公表についてです。
四半期ごとに公表している「住まいの復興工程表」について、このたび、6月末現在のデータに基づく更新作業が完了しましたので公表します。
まず、災害公営住宅については、全般的には前回(平成25年3月末現在)と大きな変動はありませんが、岩手県では全体計画戸数の増加、宮城県では27年度工事終了見込戸数の増加等の状況となっております。
次に、被災者の方の御意向に基づいて、地方自治体が土地区画整理事業、防災集団移転促進事業及び漁業集落防災機能強化事業により供給する住宅用の宅地、いわゆる民間住宅等用宅地についてです。これについては、被災者の方の住宅再建に関する御意向の把握が進み、地方自治体が供給する土地を利用せず、自主的に土地や住宅を確保する方が増える等により、地方自治体が供給すべき戸数が更に明確化しました。これによって岩手県においては、民間住宅等用宅地の供給計画戸数が概ね1,000戸減少しております。
また、宮城県においては、工事終了時期未定地区における計画の具体化が進んだこと等により、民間住宅等用宅地の供給計画戸数のうち、供給時期を調整中としていた戸数が概ね1,100戸減少しております。
「住まいの復興工程表」は、被災者の方に地区単位の詳細な工程表や住宅・宅地の戸数ベースでの供給目標をお示しすることで、生活再建への見通しを持っていただくとともに、その時々の住宅再建・まちづくり事業の進捗状況をチェックする役割を持っております。
今後、現場との緊密なコミュニケーションのもとに、事業上の隘路を把握し、私の下に設置したタスクフォースを活用して具体的な措置をとり、更に事業の加速化を図っていく所存です。
2件目は、千葉県柏市訪問についてです。
8月1日(木)、超高齢化社会、持続可能なエネルギー社会の事例地区の先進地として千葉県柏市を訪問する予定です。
具体的には柏市豊四季台団地において、柏市、柏市医師会、東京大学高齢社会総合機構、都市再生機構(UR)が進めている「長寿社会のまちづくり」についての取組を視察するとともに、柏の葉地域において、柏市と東京大学、千葉大学、三井不動産で進められている「環境未来都市」についての取組を伺い、千葉大学の植物工場を視察する予定です。新たな東北の創造の参考にさせていただきたいと思っております。
私の方からは以上です。
2.質疑応答
(問)今回の住まいの工程表を見ると3カ月の違いなのですけど、災害公営住宅の入居希望者が増えて、民間住宅等用宅地が減っている。これは見方からすれば、自力再建を断念する人が増えているというような見方もできるのではないかと思うのですが、復興庁としてはどういうふうに分析されていますか。
(答)例えば、3つの自治体の面整備事業である民間住宅等用宅地が減っているのは先程申し上げましたが、個々に家を再建するのではなくて、別のところに自力再建をしたいということで、その民間住宅等用宅地の供給が減少したということが一つです。これが、自力再建でその用地以外のところに移るという方との相対関係で、公的供給をする民間住宅等用宅地が減ったということです。
それと全体の供給戸数の減少について、今回、比較的はっきりしたのは、住民のがけ地近接等危険住宅移転事業というのがあり、危険な地域で、その事業を使うと、移転費、あるいは取壊し料のお金が出るのです。だから、それを活用して移転しますという方が出てきている。
それから、様々な制度を活用したことによって、供給戸数が変わったという要因が今回特徴的かと思います。
(問)がけ近(がけ地近接等危険住宅移転事業)を使う自力再建者の数とかは把握されていますか。
(事務方)まだ現時点ではがけ近の全体戸数を統計的に把握できてないので、調べさせていただきます。
(答)いろいろな事業をこれから行っていきますけれども、やはり集団防災移転事業でも、そこに移る方の意向というのは確認しながら固めていき、そうすると実はそっちに移りたいと思っていたのだけれども、実は自力再建でほかのところに行きたいという方もおられますから、結局、住民の意向を確認した結果として供給戸数が確定していっているという側面もあると思います。
(問)まず、自民党の公約では面的整備事業の大臣同意を今年度の上半期までに終わらせるということですが、特に土地区画整理事業では住民の合意形成が難航するところもあるようですけれども、これはできる見通しなのでしょうか、ということが1点。
それから、大臣がおっしゃいましたように、自力再建の方が増えているというのは、元気な方が、余力があってそうするという方もいらっしゃる半面、現地の話を聞くともうさすがに計画がまとまるのを待ちきれない。やむにやまれず自力でされるという方もいらっしゃると思うのですが、そういう方もどの程度いらっしゃるのか―その辺まで把握されていないかもしれませんけれども、その辺についての御所見をお願いします。
(答)いろいろな要因があるわけです。ですから、そのいろいろな要因はこういう要因で、こういう状況になっていますというのは一回整理する必要があると個人的には思っていますが、具体的に自力再建の方の戸数がどうかというのは、今の段階でまだ把握していません。
ただ、この「住まいの復興工程表」というのはその時点―3カ月毎に言っているわけです。住民の意向がどんどん確認されてくるから、そこのフォローをしようということと、それから3カ月毎に見ているというのは、事業の進捗状況をチェックする。あるいは、大事なのは、ここの地区のここの事業の診断が大事だと思うのです。個別の事業を見た場合に、どういう隘路があるか、ネックがあるか、を把握して、そこを後押ししていくということが大事だと思います。その意味では、今のお話のような状況は、これからも確認していきたいと思います。
それから、区画整理事業は、大体年内でしょう。
整備時期が確定した宅地の割合は、87.4%になります。防災集団移転促進事業は大臣同意を得た地区、土地区画整理事業は事業認可を得た地区で、平成25年6月末で、確定した割合は87.4%です。
(問)公約としては大丈夫ですか。
(答)公約はしっかり成し遂げたいということで、きちんと対応できるように頑張っていきたいと思います。
(問)今月の初めに全国で使えるようになっていた復興予算の基金1.2兆円、このうち1,000億円については返還を求めるということで、発表がありまして、その後、この返還に向けた作業というのは問題なく進んでいるのでしょうか。
(答)7月末までに結果を報告してくれと、具体的に言うと7月2日に財務大臣と復興大臣連名で、基金の所管大臣に対して、使途を限定する、執行を見合わせ、そして不用残額の国への返還について、基金設置団体に要請するように通知していまして、これを踏まえて、基金所管府省と基金設置団体との間で返還に向けた調整が行われているところです。7月にまた報告してくださいと言ってあるので、報告をしっかり見極めたいと思いますが、今、その意味では精力的に調整中の段階にあります。
(問)改めて、被災地の復興がなかなか進まない中で、1兆2,000億円のうち9割以上が実質執行済みという扱いで、返ってくるのは1割未満ということになりましたけれども、このことについての御所見、あるいは責任のとり方というようなところについてのお考えをお聞かせください。
(答)私は何度も申し上げてきております。1兆2,000億円というのは、かつて平成23年秋の段階で、このときのリーマンショックの経済状況等も鑑みて、あるいはサプライチェーンで被災地だけではなくて、全国に経済状況の問題が出てきたということで、全国向けということで組まれたと承知しております。
我々は、復興に使途をしっかりと限定しようということで、25年度予算の使途の厳格化ということで見直しました。昨年秋に全国の基金について、当時の政権の下で使途の厳格化が行われた。その段階では、基金については、既に執行済みなので見送られたと、我々の政権になってから、使途の厳格化をしようということで、今回、基金の使途の厳格化を改めて行ったということです。だから、その意味では、我々はしっかりと使途の厳格化を行うということで、責を果たしていると思います。
(問)予算の執行について、被害の大きかった岩手、宮城、福島3県で、24年度予算のうちざっと2割を使い残している状況ですけれども、当然資材価格の高騰、人出不足といろいろ理由があるかと思うのですが、この執行状況をまた改善するために、今後どのような取組をする予定ですか。
(答)これまでも事業執行が遅れているいろいろな要因があります。例えば住民との調整が遅れている。あるいは執行段階で資材不足、人手不足という問題がある等の様々な問題があります。その意味で我々は住宅再建・まちづくりタスクフォースを創設して、第1段、第2段と、資材不足や人出不足に対応する復興加速化措置に次々と取組んでいきました。そういう復興加速化のための制度的な後押しが必要だと思いますので、これからの復興加速化措置、具体的な制度改革、改善をやることによって復興の後押し、予算の円滑な執行、事業の円滑な執行に努めていきたいと思います。
(以 上)
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