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平野復興大臣の会見[平成24年5月29日]

平野復興大臣記者会見録(平成24年5月29日(火)8:39~9:02 於:復興庁記者会見室)

1.発言要旨 

 私からは報告が二つあります。
 まず、宮城県内の3市の復興整備計画の公表についてです。
 気仙沼市が宮城県と共同で復興整備計画を作成し、25日、先週の金曜日に公表しています。また、岩沼市及び東松島市がそれぞれ県と共同で復興整備計画を作成し、明日公表する予定と聞いています。気仙沼市と東松島市は今回が初めての計画作成、公表です。
 復興整備計画は、土地利用の再編に係る特例を受けるための計画であり、関係主体で構成される復興整備協議会での協議、同意を経て本計画を作成、公表することにより、農地転用等の許認可や集団移転促進事業計画の作成手続のワンストップ処理等の特例が適用されます。
 復興庁としては、復興整備協議会等の場において関係する市町村、県、省庁の調整が円滑に行われるよう支援を行ってきました。今後、それぞれの市において、必要となる住民との調整をさらに進め、事業が迅速に充実されることを期待しており、引き続き復興庁としても支援してまいりたいと考えています。
 次に、世界経済フォーラム東アジア会議2012の出席についてです。
 国会のお許しが得られれば、明日5月30日から6月1日にかけてタイ国を訪問します。バンコクで開催される世界経済フォーラム東アジア会議2012のうち、大規模自然災害についての分科会に出席し、議論を行う予定です。また、タイ閣僚との二国間会談において、東日本大震災発災に係るタイ政府の支援に対する謝意を表明するほか、情報・意見交換を行う予定です。詳しい日程については、現在調整中です。  3番目として、津波被害市街地の復興事業の促進についてです。
 復興のこれからの鍵は、生業の復活、働く場の復活、住宅の再建です。住宅の再建の基本になるのが、高台移転、地盤の嵩上げ等で、L2の津波を想定した災害に強いまちづくりをすることがこれからの最優先課題です。各被災市町村においては、昨年度中に復興計画マスタープランの策定を行い、具体的な居住対策事業の着手、実施に向け調整を続けているところと理解しています。
 第1回及び今回の交付金の配分において、防災集団移転促進事業については、復興計画記載の270地区のうち245地区において調査費を措置するとともに、そのうち132地区において事業費を措置したところです。ただ、132地区は小さな単位で高台移転するところが多く、何百戸といった大きな移転を行う地区は計画策定途中です。
 土地区画整理事業については、全体58地区のうち50地区において調査費を措置し、そのうち10地区において事業費を措置しました。土地区画整理の場合も、比較的計画がまとまりやすい、換地工区単位が非常に小さい地区に事業費を措置したところです。
 災害公営住宅については、福島県は未定ですが、岩手県で4,000戸から5,000戸、宮城県で1万5,000戸の建設が必要とされており、3県で約7,300戸の事業費を措置したところです。
 これらの事業費が交付されたところについては、今後、具体的な詰めを急ぎ、一日も早い着工を期待したいと思っています。いまだ復興交付金の要求に至らない地区については、一日も早い地元の合意形成に向けて精力的に市町村の対応をお願いしたいと考えています。
 5月に入り、釜石市、大津町、宮古市、南三陸町、陸前高田市を視察し、意見交換を行いましたが、主な中身は住宅再建でした。
 その中で感じたことを二、三点に要約します。一つ目は、例えば、釜石市の中心市街地、あるいは宮古市の鍬ヶ崎地区などを念頭に置くと、大規模な市街地整備を要し、事業計画をさらに詰める必要がある地区と、地元との調整が進むにつれ、事業手法や事業計画の変更を要したり、弾力的に一部の早期整備が必要な地区など課題を抱えている地区があります。当初は、希望を与えなくてはならないという意味において、魅力的な計画を策定することはやむを得なかった面もあると思いますが、被災直後はいろいろな学者等が入り、いろいろな絵をかいており、その中には実現不可能な絵を提起する人もいました。それらを踏まえて市町村が最終的につくった基本的な構想図は現実的なものになっていますが、これを実施するに当たっては、工区が非常に広いところでは、全員の同意を一気に取ることはなかなか難しいので、例えば、換地工区を分割し、合意を得たものから着工するといった弾力的な対応が必要になる場合もあるのではないかと感じました。比較的広い換地工区、あるいはたくさんの移転戸数を抱えるような地区を重点地区と位置づけ、これまでも各市町村には、国からもチームを組んで防災集団移転事業、土地区画整理事業、漁業集落防災機能強化事業等の計画策定を支援してきましたが、さらにこの重点地区については積極的に支援することが必要ではないかと感じています。
 もう一つは、仮設住宅に入居されている方は、いつ、どこで、どのような住宅に入れるのか、その目途が立たないたいのでまちを離れたいとの考えを持っている方がいると、再三そのような意見を伺いました。住民の方への情報交換、地元の合意を促進する方策の充実もさらに進める必要があるのではないかと感じています。
 具体的にどのような対応を行うかについて、事業推進体制の強化として、重点地区を念頭に置いた場合、都市再生機構(UR)の積極的活用を促進し、早期事業化を図り、人的支援体制の充実として、自治体間での復興支援協定の締結、自治体間の協力を促進していきたいと考えています。組織的なノウハウの提供、継続的な人的支援を図るとともに、可能であれば、今後、政令指定都市と話をする必要がありますが、さらなる復興まちづくりの支援体制の整備を要請していきたいと考えています。
 市街地整備、住宅整備、港湾エリアの整備、生産・加工施設等の立地等多様な施策・プロジェクトを総合的、一体的に推進するため、関係省庁担当官等からなる連携チームを設置し、重点地区に、総合的な支援を行いたいと考えています。プロジェクトが総合的になる分だけ支援チームをもう一遍立て直して強化し、積極的に入っていくことを考えたいと思います。
 地元の合意を促進する方針として、復興事業を推進する際の合意形成の方法、地区ごとのスケジュールを地元協議会等において対話しながら決定していくこと、情報共有の方策等、自治体が行うべき具体的な手順と注意点をまとめたガイダンスを発出したいと考えており、現在準備中です。
 地元協議会の設立や事業進捗スケジュールの地元との確定、仮設住宅に入っている方が、自分たちの地区でどのような住宅建設が進んでいるのか、どの程度まで進んでいるのかがさっぱり見えないということを言われましたので、できるだけ早い段階で個別地区のスケジュールをつくり、公表することが大事ではないかと思います。それによって地元の合意形成等が図りやすくなるのではないかとも考えています。
 市町村のマンパワー、ノウハウの不足を補うため、事業の発注の面からも工夫が必要です。地元産業や雇用に配慮しながら、民間事業者が市町村と連携して、事業の構想段階から設計・施工などのマネジメント業務を実施する方式など新たな入札契約方式についても検討を進めており、6月の早い段階で出したいと思います。
 被災県市町村との意見交換会を行うように事務方に指示しており、その会議では、本件を一つの重要なテーマとしたいと考えています。
 市街地、旧市街地、全部の市街地で住宅再建ができるわけではありませんが、嵩上げや場合によっては二線堤等をつくるような市街地整備を行う地区において、どのくらいのスピードで進められるかが復興の鍵だと思います。これが遅くなればなるほど、その地域からの人の流出も進む可能性もありますし、本格的な生業の復活のためにも、土地利用計画の策定と住民の合意形成が必須であり、今後、これについて重点的に取り組む必要があるということです。また、取組んでいる中で様々な問題が出てくると思いますが、その都度対応をしていきたいと思っています。
 私からは以上です。


2.質疑応答

(問)重点地区ですが、具体的に3県の何カ所、何地区と指定するものなのでしょうか。
(答)各自治体との調整になると思います。復興局とも意見調整を行います。まだこの地区、この地区という形で決めているわけではありませんが、図面を見ますと、非常に広い地区や、ここにたくさんの住宅が建設されるようなところは大変ですから、そのようなところは重点地区になってくるのではないかと思います。先ほど申し上げた連携チームの派遣についても、自治体の意向を踏まえたいと考えており、その辺りはこれから詰めます。

(問)重点地区を決める日程的な目途やスケジュールは。
(答)現在、チームの編成作業に入っていると思いますが、チームが編成されたら、すぐに、この地区については、このような考え方で重点地区としており、連携を図りたいとの調整を自治体と行っていきたいと思います。

(問)重点地区が決まるのは、6月中にもとか、夏のうちという感じでしょうか。
(答)何カ月もかけていられませんから、6月中には決めなくてはいけないと思います。

(問)先程ちょっと出ましたけれども、重点地区というのは、1市町村当たりどれくらいの数を目途にするとの考えはあるのでしょうか。全体としての希望感としての数字はありますか。
(答)全ての市町村ではありませんが、今、具体的なことを言うのは差し控えさせていただきたいと思います。

(問)自治体間の取組のところでお聞きしたいのですけれども、今も釜石と北九州、陸前高田市と名古屋市とか、それぞれ災害協定を結んで自治体の職員のやりとりをしていると思いますけれども、こういうのをもっと多くしたい、継続的にしたいというような考えはありますか。復興庁として、例えば市町村会に働きかけるとか、政令指定都市にお願いするとか、そのような動きについてはどのようにお考えですか。
(答)既にあるところはそれをそのまま継続していただければいいと思いますし、今後精査しなくてはならないと思いますが、2市町村間でそのような協定等を結ばないままで行っているところもあります。結構長くかかる可能性がありますので、できれば協定的なものを結び、長い支援をお願いするようなことへの働きかけを我々も行っていく必要があるのではないかと思います。

(問)それは実際に政令指定都市にお願いしていくような形になるのでしょうか。
(答)そのような形になると思います。
 阪神淡路でも、特に大変なところは土地区画整理事業だけで15年ぐらいかかっているところもあるとの報告を受けています。15年は少し長過ぎると思いますが、神戸市でも普通の土地区画整理事業に10年ぐらいはかかっています。
 今回は、中心市街地において、広い面積の土地区画整理事業に、防災集団移転事業も行うところがありますが、釜石市は1地区もしくは2地区だと思いますが、そのほかに小さな単位の防災集団移転事業が10地区以上あります。そのような状況は、多分、宮古市、大船渡市、陸前高田市、宮城県内も同じです。これだけの地区を一気に走らせるというのは、前から言っていますが、前代未聞のプロジェクトです。この大変さを我々が一番理解し、その上でしっかりと支援しなくてはならないということだと思います。
 小さな集落は、移転する場合に、大変ですが、比較的合意が図りやすいと思います。集落単位であれば比較的話はしやすいけれど、最後の詰めになると、いろいろな意見が出てきてまとめるのが大変ですということを聞いています。そういう大変さはありますが、比較的話はしやすい。一方、市街地において、大規模で、ある程度土盛りをして土地区画を行うところ、場合によっては、防災集団移転事業を行うというのは、他の政令指定都市も経験したことのない事業だと思います。本当は時間をかけなくてはならないのに、短期間で行わなくてはならないところに難しさがあると思います。
 阪神淡路の場合は、周辺に働く場があり、仮設住宅に入っても雇用の場はあったので、働きながら地域の復興ができましたが、今回の場合は働いていた場所が流されています。一部の中小企業等は補助金等を使って働く場を確保したり、個人商店等では仮設で事業を行っているところもありますが、市街地の復活を待ってからもう一回再開をしたい、再開するどうかを決めたいという方もたくさんいますから、そのような意味でスピード感も大事だと思います。

(以上)

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