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平野復興大臣の会見[平成24年5月25日]

平野復興大臣記者会見録(平成24年5月25日(金)09:48~10:12 於:復興庁記者会見室)

1.発言要旨 

 私から4件の報告があります。
 まず、第2回復興交付金の交付可能額の通知についてです。第2回の復興交付金については、前回の第1回交付金の経過を踏まえ、市町村、県の要望を丁寧に聞いた上で丁寧に対応するように、特にコミュニケーションをしっかりするように強く指示して作業を進めてきました。そのような調整を経て、本日、市町村等に対して交付可能額の通知を行います。今回、7県及び71市町村に対し、事業費約3,166億円、国費約2,612億円の配分可能額を通知します。詳細は資料を確認ください。
 主な内訳は、水産・漁港関連施設が18市町村、約153億円、防災集団移転促進事業が17市町村、約1,288億円、うち事業費は15市町村、92地区、約1万1,000戸、約1,255億円、災害公営住宅整備事業が27市町村、約417億円、うち24年度中に事業着手、25年度に完成を予定するものが約2,000戸となっています。市街地液状化対策は、主に調査費ですが、7市町村、約8億円です。造成宅地滑動崩落対策事業は6市町村、約7億円等が配分の内容です。
 仙台平野等の二線堤につきましては、前回は自治体間の考え方がバラバラであったことから、今回は地元自治体の考える地域全体の多重防御の考え方との整合性を確認したものについて配分しています。
 今回の交付可能額が4月10日に公表した第2回の申請額を上回る額となっている理由を説明したいと思います。
 1点目としては、復興庁及び復興局において市町村等と調整を進める中で、被災者の住宅の確保に必要となる防災集団移転事業、漁業集落防災機能強化、災害公営住宅等の速やかな整備を進める観点から、計画上、25年度の事業費として要望されていたもののうち、前倒しで実施できる目途が立った部分を今回配分することにしました。第1回目の配分も、一部はこのような考え方で行っています。
 2点目としては、事前の計画提出、承認を要さずに使える資金として、防災集団移転や区画整理、漁業集落防災機能強化などの面的整備事業の事業費の20%を、市街地整備のコーディネート費や専門家派遣、合意形成支援等の調査事業等に使える効果促進事業として一括配分しています。防災集団移転や区画整理、漁業集落防災機能強化などの面的整備事業は、まちづくりの根幹をなす事業であり、それに関連する事業に対する被災地のニーズが極めて高いことから、今回の一括配分を行うこととしたものです。このような資金に対する被災地の要望は強く、今回の措置は復興交付金の使い勝手を抜本的に改善するもので、これにより被災地における面的整備が加速されることを期待したいと思います。
 ただ、面的整備の加速はこのような予算措置だけでできるものではありません。これまで何度も言っていますが、制度でもなく、予算でもなく、被災地一人ひとりの思い等の調整ですので、それが最大の仕事になってきます。
 他方、今回も制度の趣旨から、対象となる事業であっても、地元の調整が進んでおらず、まちづくりにおける位置づけや事業実施の目途が明確でないもの、事業相互間の調整が済んでいないもの、単価や事業費が同種の事業と比べて著しく高く精査が必要なもの、将来のメンテナンスについて十分に確認されていないもの等につきましては、引き続き被災自治体と一体となって調整を進めながら、その進展等に応じて適切に対応したいと思っています。これも第1回と変わっていません。
また著しい被害を受けた市街地の再生と直接の関係がない道路の局部改良、線形改良、アクセス道路の整備、内陸部における学校、下水道、道路の耐震化等については、復興交付金の趣旨には馴染まないものがあります。これも第1回目から言っていますが、そのようなものは復興交付金で対応しない一方で、全国防災対策費や社会資本整備総合交付金等、別途の制度、予算による対応を検討するよう所管省庁と復興庁が現在調整を進めています。
 さらに、一部の市町村から個人住宅に対する任意の土地のかさ上げや移転に伴う個人補償を行うことや、一部損壊の住宅への支援を効果促進事業で実施したいとの要望があります。これらの要望については、個人・法人の負担軽減や資産形成のための事業等には原則として対応しないとの個人支援に対する考え方と整合的ではないことなどから復興交付金では対応できないとの考えです。
 今回、復興庁としては、被災地の要望をくみ取り、そのニーズに最大限に対応し、市町村等における復興への取組みを加速させるため、事業費の前倒し配分、効果促進事業等の一括配分といった支援策を講じたところです。市町村等においては、このような支援策を活用した上で、復興への取組みを強力に進めていただきたいと思っています。
今後、第3回の事業計画は6月末に提出することになっており、それに向けて計画策定支援を行っていきたいと考えています。
 以上が今回の交付可能額通知の概要です。防災集団移転事業地区、今回は全国でおよそ300地区ぐらいありますが、具体化に向けた地元調整を始めたばかりのところがあり、交付金の申請が上がっていない地区もあります。このような地区については引き続き計画の策定を急ぐように、各自治体の背中を押していきたいと思っています。
 このような事業を執行するにあたり、砂などの骨材が不足し生コンが足りないという話や、一部で資材の高騰が起きているということも伝えられています。また、例えば、型枠工など特殊な技能を持った技術者の確保に苦労し始めているといった問題等については、引き続き国土交通省を中心に、関係事業省庁も入って、現場を見ながら適宜対応していく形で進めていくことになると思います。
 これからの津波・地震地域の復旧・復興の大きな鍵は産業復興と住宅再建です。住宅再建、この中には市街地の復興も入ってくると思いますが、これについては、専門家の派遣等を引き続き検討したいと思います。非常に困難な事業ですので、その困難な中でも前に進めるように、自治体の背中を押し続けたいと思っています。今週土曜日に陸前高田市の視察を行い、住宅再建に向かってどういう体制強化が必要か、どのようなことをしなければならないのかの考え方をまとめ、早ければ来週の火曜日にでも考え方を報告したいと思っています。
 以上が第2回復興交付金の交付可能額の数字です。
 2点目が東日本大震災に係る災害復旧事業の全体査定額についてです。皆さん方の関心は復興交付金の方に行きがちですが、今回の災害からの復旧・復興の大きな部分は災害復旧です。この災害復旧については、査定をほぼ完了したことから、集計した査定額を報告します。
 なお、今回は福島県の警戒区域等に係るもの、学校など市町村の復興計画との調整を要するもの等は除外しています。福島県については、今後、警戒区域の見直し等に伴う災害査定が終わった段階で報告することになると思います。
 災害復旧事業の現時点の全体査定額は事業費ベースで概ね約3兆円です。そのうち工業用施設等において約1兆8,000億円、これはほとんどが国土交通省の所管になります。農林水産用施設等において約1兆1,000億円となっており、内容は資料に示しています。今後全体の実施設計等を行うにあたり、一部はまだ災害査定が完全に終わっていないところもあると聞いており、全体の災害復旧費の総額は動く可能性もありますが、災害復旧費の額は概ねこのようなレベルにあるということです。
 災害復旧事業の実施は、先般示した工程表の中で、事業ごと、市町村ごとに示したとおりですが、できるかぎり前倒しして、事業を進めていきたいと思います。
 3点目は、宮城県及び市町村の認定復興推進計画の変更認定についてです。宮城県と30市町が共同して、認定復興推進計画に工場立地等の法律の特例を追加する変更申請を行いました。基準に適応すると認められることから、本日これを認定しました。本特例は、工場立地の際の緑地面積等の基準の緩和を内容とするもので、税制上の特例等と相まって企業進出をより容易にし、復興の推進に寄与すると考えています。詳しくは担当に確認いただきたい。
 4点目として、明日、陸前高田市を訪問し、住宅再建、市街地の復興をどのようにするかを中心に現地を視察し、市長と意見交換したいと考えています。これを踏まえて、今後の高台移転、漁業集落防災機能強化事業も含め、国側も今まで以上の支援を行わなくてはならないとの認識を強く持っており、その基本的な考え方をまとめ、できれば来週の火曜日に報告したいに思います。
 以上です。


2.質疑応答

(問)2回目の交付金ですが、1回目に比べればかなり大盤振る舞いかと思います。もちろん、2回目も同じ方針で査定されていますし、ランニングコストや地元の復興計画の熟度によって認めないものもあるようですけれども、地元はどのように受けとめるとお考えでしょうか。
(答)今回は災害からの復旧、復興であり、被災したものについては何かの形で国が責任を持って財政的、技術的に支援するというのは当然です。今回の場合は災害が余りにも大きく、ただ単に原状復旧すればいいというものではなくて、しかも広域にわたっている中で、さまざまな調整が必要で、計画も今まで以上に具体化が必要です。一方で、自治体は相当疲弊しているため、第1回目から、国が技術的なアドバイスを行い、計画策定の中にも入って色々な調整を行ってきました。我々のコミュニケーションが不足していた面もありますが、自治体側の計画作成等の準備不足もあったと思います。ただ、1回目のときも岩手県などは計画がまとまっており、申請額に対してほぼ満額に近い状態で認めた地区もあり、地区ごとの事情があると思います。そのような中で、大盤振る舞い云々ではなく、本当に被災しているところに対してどのような計画で復興交付金や災害復旧事業費を交付していくかの作業を行っていると理解いただきたいと思います。
 ただ、今回の場合は市町村負担がゼロになるため、当初はこの際だから何でもという要望が一部にありました。それもコミュニケーション不足が背景にあったと思い、今回は丁寧に説明し、復興交付金で対応できない部分について、しかしどうしても必要だと認められるものについては、一般の事業で対応できるように、復興庁が仲介をとりながら各省の調整を進めているところです。

(問)効果促進事業は制度の変更に近い大幅な運用の見直しを行ったことになると思いますが、効果促進事業の2割を自動的に配るという大きな運用の変更に踏み切った背景、理由を教えてください。
(答)効果促進事業については、国会等では基幹事業の総事業費を35%を上限にすると答えています。今回、二つの点で違うのは、区画整理、防災集団移転促進、漁業集落防災機能強化等のどちらかというと面的な調整を行うものに基幹事業を限定していることが1点目で、総事業費の35%ではなくて20%を充てるということが2点目です。これは変更ではなく、今回は、まずはこのような形で出したということです。このほかに災害復旧事業や効果促進事業の基幹事業もあり、これを執行するのは自治体も大変だと思います。効果促進事業を面的整備に限定したのは、住宅再建と生業の復興が基本であり、急がなくてはならないという考え方に立ったもので、それを交付し、執行状況については各自治体の状況等を見ながら、次の対応を考えたいと思います。

 私は国会で効果促進事業については、できればネガティブリストでいきたいということを申し上げました。効果促進事業は補助金であり、個人財産の形成に資するもの等については慎重にならざるを得ないことから、最終的にネガティブリストにしようと各自治体と事務方が協議しましたところ、自治体から何に使っていけばいいのかとのアドバイスが求められるようになったと聞いています。結果として、今回はかなり網羅的なポジティブリスト、これに限定するというポジティブリストではありませんが、今まで各自治体との話し合いの中で進めてきたものの集約としてのポジティブリストも提示しました。これにつきましても今後の実施状況を見ながら、変えるべきところがあれば変えていくという姿勢で臨みたいと思っています。

(問)前回の1回目の配分のときに、宮城県知事から申請に比べて額が低かったなどいろいろ批判がありましたけれども、それらを踏まえての今回の対応だったのでしょうか。
(答)額が低くて不満があったということに対しては、後でしっかり説明して理解いただいたと思っています。そのように知事が言わざるを得なかった一番の背景として、事前のコミュニケーション不足があったと思います。そのような状況になった理由を説明する中で、計画をしっかり作らなくてはならないということについての認識の共有化も結果としてできたと思っています。今回は復興局と復興庁の職員は連日現地に行き、市町村側も相当熱心に対応していただいたと聞いています。しかし、検討しなくてはならない点もまだ幾つか残っていますから、引き続き検討すると同時に、今後3回、4回、5回と何回も続いていきますので、体制をさらに万全なものにするような努力をしていかなければならないとも考えています。

(問)別件ですけれども、総理が被災地に最後に足を運んでから半年近く経っており、最近は被災地に行っていませんが、これは国会等の状況で仕方ないとお考えでしょうか。
(答)総理に来てもらえれば本当にありがたいので、お願いすれば、多分、わかったと言われるのではないかと思いますが、昨今の状況等も踏まえると、私のほうからはお願いはしてきませんでした。
 ただ、これから本格的な復旧・復興を進めなくてはならないということもあり、時期を見てお願いをしたいと思っていますし、私が言わなくても総理からそのような話があるかもしれません。

(以上)

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