4)
被災者の生活再建
応急期復旧期復興前期復興後期
② 世帯ごとの多様な支援ニーズにどのように対応するか
東日本大震災における状況と課題
東日本大震災では多数の被災者が発生し、被災した地方公共団体では被災者の相談体制をどのように整備するかが課題となった。住宅再建、就労、病気、介護など被災者の生活再建に係る課題や活用できる支援制度は多岐にわたり、かつ長期的に変化していくことから、各世帯の支援ニーズに寄り添い、状況に応じて柔軟に支援サービスをコーディネートする伴走型の支援が求められた。また、地域の商店の被災・閉店や交通の便の良くない仮設住宅への入居等により、被災者に対する買い物や通院など日常生活へのサポートが必要となった。
東日本大震災における取組
被災者相談支援センターの設置(課題①)
岩手県では、2011年7月、県北・沿岸広域振興局管内の各地(久慈市、宮古市、釜石市、大船渡市)に「被災者相談支援センター」を設置した。各センターには常時相談員を配置したほか、弁護士、司法書士、ファイナンシャル・プランナー等の専門家を日替わりで派遣し、被災者、支援者、市町村等からの幅広い相談・問合せに総合的に対応した。また、地域の実情に応じてサブセンターの設置や出張相談を各地で行うなど、沿岸の全ての市町村において被災者相談窓口を開設し、被災者の相談対応にあたった(1)。
被災者台帳の作成(課題②)
岩手県では、被災市町村における「被災者台帳システム」の導入を進め、2012年7月から県内7市町村で運用が開始された。システムを導入した市町村では、業務の効率化が図られるとともに、個々の被災世帯の罹災状況や支援の実施状況、今後の住宅再建の意向などを把握することにより、支援が必要な世帯を特定することが可能となり、被災者へのきめ細かな生活再建支援が可能となった(2)。
東日本大震災の教訓を踏まえて、2013年6月に災害対策基本法が改正され、市町村長による被災者台帳の作成等に関する事務が規定された。被災者台帳に記載された情報により、住所地から避難した場合などに各部署が重複して被災者の状況や居所・連絡先の確認を行うことなく迅速に援護を行うことや、避難行動要支援者名簿に記載されていない要配慮者についても適切な援護を行うため、必要な配慮内容に応じて要件に当てはまる者を抽出することが可能となっている(3)。
→関連項目:1)要配慮者の情報把握と保健医療サービス提供体制
→関連項目:2)広域避難者の情報把握と生活支援(避難先地方公共団体の取組)

図:被災者台帳の概要(内閣府)
災害ケースマネジメントによる総合的支援(課題②)
宮城県仙台市では、多様な生活再建課題を抱える被災者に世帯毎の個別支援計画を策定し、支援ニーズに応じて各種の制度や社会資源を組み合わせて提供する「被災者生活再建推進プログラム」を2014年3月に策定した。このプログラムによる支援方式は「災害ケースマネジメント」と呼ばれ、平時から生活困窮者支援等に取り組む一般社団法人パーソナルサポートセンターと支援関係団体とが連携して、多様な領域にわたる支援メニューを組み合わせて被災者の生活再建を総合的に支援することができた。(事例4-1)。
被災者の相談にワンストップで対応する総合相談窓口を設置する。
弁護士やファイナンシャル・プランナー等の専門家と連携し、幅広い問合せに総合的に対応する。
被災者台帳の作成により地方公共団体内で被災者情報を共有し、迅速かつ総合的な支援を行う。
平時から生活困窮者支援等に取り組む団体と地方公共団体が連携して、各世帯の生活課題に応じた支援計画を策定し、各種支援事業を組み合わせてケースマネジメントを行う。
(1) 岩手県「東日本大震災津波からの復興-岩手からの提言-」2020年3月,p116-117
https://www.pref.iwate.jp/shinsaifukkou/densho/1027741/index.html?theme=9
(2) 岩手県「東日本大震災津波を教訓とした防災・復興に関する岩手県からの提言」2015年1月,p44-45
https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/bousaikaigi/1012174.html
(3) 内閣府(防災担当)「被災者台帳の作成等に関する実務指針」2017年3月
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/