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第46回復興推進委員会議事録

第46回復興推進委員会 議事録

 

1.日 時:  令和6年12月23日(月)16時00分から17時32分まで

 

2.場 所:  中央合同庁舎第4号館4階共用第2特別会議室(オンライン会議併用)

 

3.議 事  

 (1) 現地調査報告
 (2) 原子力災害被災地域の復興施策の現状と課題(総括WG報告)
 (3) 「第2期復興・創生期間」以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向 けた主な課題等(案)
 (4) 東日本大震災からの復興の状況に関する報告(案)
 (5) 3県からの報告

 

4.出席委員等(敬称略)

  今村 文彦   東北大学災害科学国際研究所教授 【委員長】
  白波瀬 佐和子 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授 【委員長代理】
  浅野 雅己   浅野撚糸株式会社代表取締役社長
  内堀 雅雄   福島県知事
  小林 味愛   株式会社陽と人(ひとびと)代表取締役
  関 奈央子   ななくさ農園・ななくさナノブルワリー
  戸塚 絵梨子  株式会社パソナ東北創生代表取締役社長
  藤沢 烈    一般社団法人RCF代表理事
  山﨑 登    国士舘大学防災・救急救助総合研究所名誉教授
  高橋 孝政   岩手県東京事務所長 ※達増拓也岩手県知事代理出席者
  末永 仁一   宮城県東京事務所長 ※村井嘉浩宮城県知事代理出席者

 

5.議事録
○今村委員長 それでは、定時でございますので、ただ今から第46回復興推進委員会を開催したいと思います。
 年末の本当にお忙しい中、御出席をいただきましてありがとうございます。
 委員の皆様、鈴木副大臣、輿水副大臣、今井政務官におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして大変ありがとうございます。
 まず、本日は、岩手県の高橋東京事務所長が達増委員の代理として、また、宮城県の末永東京事務所長が村井委員の代理として参加していただいております。こちらについて出席をされることを承認したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これによりまして、本日の出席委員は10名となりましたので、定足数を満たします。
 それでは、議事に入る前に、まず、鈴木副大臣から御挨拶をいただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○鈴木副大臣 皆さん、改めまして、こんにちは。11月に復興副大臣を拝命いたしました鈴木憲和です。
 今村委員長をはじめ、委員の皆様におかれましては、東日本大震災からの復興に関し、日頃から多大な御尽力をいただいていること、厚く御礼を申し上げます。
 震災から13年9か月余りが経過いたしましたが、「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」という強い決意の下で、被災地に寄り添いながら、現場主義を徹底し、復興に向けて総力を挙げて取り組んでいるところであります。
 私自身、東北でありますので、これまで何度も現場にお邪魔をしておりますが、就任直後から頻繁に被災地を訪問させていただきました。多くの皆様からお話を直接お伺いする中で、全体として復興は着実に進んでいることを実感する一方で、地域によっては状況が大きく異なっているということをよく認識をしております。
 本日は、復興推進委員会の下で開催をされております総括ワーキンググループから、「原子力災害被災地地域の復興施策の現状と課題」について御報告をいただきます。
 総括ワーキンググループでは、来年夏の最終取りまとめを目指し、これまでも県や市町村との意見交換等を行いながら、多角的な視点で御議論をいただいております。本日は、中間整理としての「現状と課題」を総括ワーキンググループの座長でもある今村委員長から御報告をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、復興の基本方針を来年夏までに見直すため、検討すべき主な課題等を明らかにした、「『第2期復興・創生期間』以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向けた主な課題等」を年内に復興推進会議で決定することを予定しております。この復興推進会議決定の案などについて、復興庁から御説明をさせていただきます。
 さらに、被災3県からは、各県における復興の進捗について御報告をいただきたいと思います。
 議事は多岐にわたるわけでありますが、委員の皆様からは忌憚のない御意見を頂戴できればと思っております。
 オンラインの皆様も含めて、お忙しい中御出席、誠にありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。
○今村委員長 鈴木副大臣、ありがとうございました。
 まずは、本日の会議の模様はインターネットのライブ配信によって、一般の方、報道機関の方に視聴いただいております。御了解いただきたいと思います。
 また、報道機関の方々には、会議映像の撮影や報道での使用を可としておりますので、こちらも御承知いただきたいと思います。
 それでは、お手元に議事次第がございますので、議事を進めてまいりたいと思います。
 本日は、議事は1から5までございます。最初に、議事1について復興庁から御報告をお願いしたいと思います。山野統括官、お願いいたします。
○山野統括官 それでは、3県への現地調査の結果について御報告をいたします。
 復興推進委員会の委員の皆様には、毎年、岩手県、宮城県、福島県を訪れていただきまして、現地の状況を御確認いただいておるところでございます。
 本年は、復興推進委員会の下に、「第2期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループ」が開催されておりまして、そこでの御議論が復興の現場の実情を踏まえたものとなるべく、現地調査には、復興推進委員会の委員の皆様に加えまして総括ワーキンググループの構成員の方々にも御参加をいただいたところでございます。
 視察に当たりましては、今村委員長と御相談の上、重要なテーマにつきまして、現場で努力されている方々のお話を直接お聞きいただき、復興事業による復興の着実な進展をはじめ、現地の実情を限られた時間の中でよく理解していただけるよう、行程を設定させていただきました。
 それでは、岩手、宮城、福島の順に御報告を申し上げます。
 まず、岩手県についてでございます。
 資料1-1の1ページを御覧ください。岩手県では、沿岸部の釜石市と大船渡市を中心に視察いたしました。
 結果の概要については2ページでございます。
 まず、釜石市において八重樫副知事から、被災された方の心のケアに関する支援の状況、生活再建等に関する支援の状況、被災した子供たちの状況などについて総論的な御説明をいただきました。
 それから、被災された方の生活再建を支援するために、令和3年に開設されましたいわて被災者支援センターからは、業務概要、相談実績、相談内容などについて、また、被災された方にきめ細やかで専門的なケアを実施されている岩手県こころのケアセンターからは、活動内容、成果、長期的課題などについて説明をお伺いした後、全体を通した意見交換が行われたところでございます。
 意見交換では、継続的な支援を行うためには、長期的な観点から平時の施策に引き継いでいく必要があるのではないか。心のケアについては、相談内容は震災由来なのかという切り分けが困難であると考えているが、復興庁は時限組織であり、地域コミュニティによる自立的な支え合いといった観点も重要ではないか。切れ目のない支援が必要だと思うが、就労支援、人材育成の役割分担を地域内での既存の組織に引き継ぐことも必要ではないか。こういった御意見をいただきました。
 3ページをお開きください。
 続きまして、釜石中学校におきまして岩手県教育委員会から、配慮が必要な児童生徒の人数の推移や、専門的な知識を有する職員の配置状況などについての説明、スクールカウンセラーの方から現場の声をお伺いした後、意見交換がなされました。
 意見交換では、一つには、被災した子供たちからの相談件数が減少傾向にあるものの、個々の相談内容が軽易なものとなっているわけではないということ。それから、継続的な支援を行うため地域のコミュニティを再建することが重要といった御意見がございました。
 最後に、大船渡市の岩手県栽培漁業協会におきまして、種苗施設を御視察いただいた後、岩手県の担当課及び同協会の方から、水産業の復旧・復興状況として、漁業組合を核とした漁業・養殖業の構築などについて説明をお伺いしました。
 その後の意見交換では、震災による種苗の流出や海洋環境の変化に伴う漁獲量の減少、ALPS処理水の海洋放出の影響や、新規参入・人材育成の促進や生産性の向上の取組などが話題に上がりました。
 次に宮城県についてでございます。資料1-2でございます。
 1ページでございます。
 宮城県におきましては、沿岸部において復興の状況を調査いただいた後、県庁での意見交換を行っていただきました。
 2ページを御覧いただければと存じます。
 まず、東日本大震災の津波によって工場が全壊し、原料も流出するなど、大きな被害を受けた気仙沼市の株式会社阿部長商店を御視察いただきました。ここでは、震災後の復興事業によって整備された水産加工施設やその稼働状況を視察いただいた後、復興庁によるこれまでの支援の取組とその成果などについての説明を受け、意見交換をしていただきました。
 意見交換では、まず、新ハンズオン支援事業によって加工のノウハウが専門家から得られたことで高付加価値商品の開発に成功したこと、結の場によって新たな販路の開拓ができたことなど、復興事業による支援の成果を御確認いただくとともに、好事例の国内外での共有の重要性などについて意見交換をしていただきました。
 続きまして、仙台市では、津波によって大きな被害があった沿岸部におきまして、移転元地の利活用事例として複合商業施設「アクアイグニス仙台」を御視察いただきました。ここでは、震災後、移転元地に新たに整備された商業施設の視察の後、仙台市東部沿岸部における集団移転跡地利活用事業の概要や海岸公園の基本計画について、仙台市の担当課から説明を受け、土地利活用の今後の見通しなどについて意見交換をいただきました。
 3ページをお開きください。
 最後に、宮城県庁では、伊藤副知事やみやぎ心のケアセンターの方から説明を受けた後、意見交換を行っていただきました。
 宮城県からは、「『第2期復興・創生期間』終了後の宮城県における復興の課題」というテーマで、第2期復興・創生期間の終了を見据え、その先に向けた御説明をいただきました。この中では、新型コロナウイルス感染症の拡大によって十分な活動ができなかったことによって依然として残る課題や、発災からの時間経過に伴って顕在化している課題、一般施策への移行に係る課題などについて御説明をいただきました。
 それを受けまして、宮城県との意見交換でございますが、総論的に、まず復興のステージに応じて、特に一般施策の移行に向けてきめ細かな対応を検討する必要があること。震災伝承を維持・発展させるための方策を様々な主体と考えていくことが重要であること。さらに、被災地においても少子高齢化といった全国共通の課題があるため、心のケアを含めて一般施策への移行や人口流入に向けた取組を行っていくことが重要といった御意見が挙げられたところでございます。
 また、被災地における地域精神保健福祉の向上に向けた取組を行っております、みやぎ心のケアセンターからは、主な活動内容の紹介のほか、令和7年度の活動終了を見据えた各種事業の関係機関への移行を計画的に実施していることの御説明がございました。
 その後の意見交換では、災害に係る相談件数には、ほかの災害においても類似の傾向があることから、長期的な対応を見据えて人材育成などを行いつつ、一般施策を活用していくことが重要といった御意見をいただきました。
 続きまして、福島県でございます。資料1-3を御覧ください。
 1ページでございます。
 復興の基本方針におきましては、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な実施は復興の大前提と掲げられておりますところ、今回は事故収束に向けた取組を直接御確認いただくことから、福島県の現地調査を始めていただきました。
 そして、浜通りの富岡町、大熊町、双葉町を中心に、行程の中で現地の状況を御確認いただくとともに、関係の方々との意見交換をしていただきました。
 2ページでございます。
 まず、福島第一原子力発電所の視察に当たっては、原子力発電所事故当時の状況、事故の教訓などにつきまして展示しております東京電力廃炉資料館におきまして、原発事故の詳細な記録と廃炉への具体的な道のりを確認いただきました。
 続きまして、廃炉に向けた取組や汚染水発生量の低減に向けた取組、ALPS処理水の海洋放出の現状について東京電力から説明を受けました。その後、原発構内に入っていただき、冷温停止状態を継続している1号機から4号機での作業の進捗状況や、多核種除去設備(ALPS)、ALPS処理水の緊急遮断弁など、約10か所を時間をかけて丁寧に御確認をいただいたところでございます。
 この中では、ALPS処理水の安全性の確保や、安全性を科学的に評価するための取組、あるいは、廃炉に向けた取組における地元企業との連携や広報戦略の重要性などが話題に上がりました。
 3ページをお開きください。
 続きまして、双葉町の特定復興再生拠点区域における復興の状況について御確認をいただきました。
 復興推進委員会ではここ数年、双葉駅前周辺を中心に同区域を定点観測的に調査し、その進捗状況を把握していることから、時間の都合上、車内からではございましたが、今回も現状を御視察いただきました。
 ここでは、双葉駅の西側地区の住宅の整備状況や、震災前に町の賑わいの中心だった双葉駅周辺の再生状況について確認をいただきました。
 最後には、福島県庁において内堀知事と県内の復興状況などについて意見交換をいただきました。内堀知事には総括ワーキングの会合にも御出席いただきましたが、会合の中でお話のあった、改めての意見交換の場を設けていただき、また、知事の執務時間外にもかかわらず予定の時間を大幅に超えてお時間を頂戴し、県内の復興状況や課題について非常に熱のこもった意見交換をしていただきました。
 意見交換では、避難指示解除地域における住宅や医療機関などの生活環境の整備状況、原子力災害被災地域の自治体における広域連携と県の役割の重要性、さらに、福島第一原子力発電所の廃炉に係る研修旅行の受入れへの期待、こういったことが話題に上がりまして、原子力災害からの復興の基本理念という非常に大きなテーマについても意見交換をいただきました。
 また、先日の総括ワーキング会合の中では内堀知事から、風評・風化防止対策として、来て、見て、味わっていただくことが重要というお話がございましたので、現地調査に御参加いただいた皆様には福島の地で地元の物をお召し上がりいただき、その魅力を味わっていただきました。
 以上、時間の関係でポイントのみでございましたけれども、現地調査の結果について御報告申し上げました。
 これらの現地調査を通じて、委員の方々には現地の実情を把握いただくとともに、復興に向けた取組をされている方々から直接お話をお聞きいただき、様々な工夫や努力をしてこられたことを改めて実感いただいたものと承知しております。今後も、可能な限り多くの現場を訪れて、復興事業の進捗状況を御確認いただくだけでなく、実際に復興に携わっておられる方々との意見交換などを通して現地の声に丁寧に耳を傾けていただきながら議論を深めていただければと存じます。
 報告は以上でございます。
○今村委員長 山野統括官、報告をありがとうございました。
 議事1から4までまとめて報告いただき、その後、質疑をしたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。
 それでは、議事2ということで資料2を見ていただきたいと思います。「原子力災害被災地域の復興施策の現状と課題」ということで、総括ワーキンググループからの報告でございます。
 1ページめくっていただきたいと思います。
 「はじめに」でございます。「第2期復興・創生期間」が終了することから、令和8年度以降の復興施策の検討に資するために、今までの施策の総括を行うべく、この復興推進委員会の下に総括ワーキングを設置いたしました。
 総括ワーキングは、今年の4月に第1回を開催しまして、7月の4回までは岩手、宮城を中心とした地震・津波被災地域等に係る復興施策の総括について議論を行いました。その後、この報告の主題でございます原子力災害被災地域においては8月から議論を始めさせていただきました。
 この地域の復興施策は、地域ごとに状況が大きく異なることから、非常に内容も多様でございます。丁寧に議論を進める必要があることから、数々の会合を開催させていただいたところでございます。令和6年末にかけて今回の中間取りまとめを行わせていただきましたが、令和7年以降もこの在り方に関する議論を行って、総括をまとめたいと思います。
 先ほども述べました原子力災害被災地域においては、既に5回の総括ワーキングを開催してございます。本日はそのまとめということで、約20ページのまとめでございます。こちらに関しては、基礎データということでまず現状を整理し、その後、ワーキングで議論していただきました課題についてまとめたところでございます。
 特に9月には、先ほど御紹介がありましたが、福島県内の現地視察も行いました。福島第一原発の視察、福島県知事との意見交換を実施したわけでございます。また、10月には2回に分けて12市町村の首長らとの意見交換も行わせていただきました。この中間まとめを本日報告させていただき、今後、令和7年の夏頃にこの施策の総括を取りまとめたいと思ってございます。
 次に、2ページ目をめくっていただきたいと思います。
 これまでの主な取組と現状の概要でございます。改めて、原子力災害被災地域においては、国が前面に立ち、中長期的な対応が必要であるということをうたってございます。
 また、2ページに図を示していただきましたが、避難指示区域、特定復興再生拠点区域、帰還困難区域等々を皆様にしっかり見ていただきたいということで、まとめたところでございます。
 3ページを見ていただきたいと思います。
 主な検討課題等をまとめたところでございます。まずは、原子力災害被災地域の復興施策の検討に当たっては、原子力災害という要因をよく理解して、被災地の関係者に寄り添い、丁寧に耳を傾け、現場の実情を把握していくことを第一にうたってございます。
 また、先ほど述べましたとおり、地域ごとに復興のスピードや進捗が大きく異なることを踏まえなければいけない、地域ごとに適用すべき施策をきめ細かやかに判断することを記載してございます。特にそういう状況でございますので、市町村単位の分析だけではなく、同一市町村内でも影響を受けた地域とそうでない地域では状況が異なりますので、それについても留意をしてございます。
 現状を正しく理解した上で、今回課題を整理したということでございます。ポイントの1つが、広域連携等、複数施策に共通の課題の解決に向けたということでございます。
 特に12市町村との意見交換は大変重要でございまして、いろいろな状況がございますが、今回、広域連携の重要性を盛り込んだところでございます。ただし、市町村の復興のステージが異なり、多様性があるということも考慮して、丁寧に議論していきたいと思っております。また、東日本大震災により被災した他県との連携も重要である。ここをまとめていただきました。
 また、今回、関係機関の連携というのも生かしつつ、NPO、ボランティア、企業等、多様な主体が連携してございますので、そちらとも協働して安全な地域社会を創り上げていきたいと思ってございます。
 4ページからは、各分野における取組でございます。
 1番が「事故収束」でございまして、改めて廃炉・汚染水・処理水対策の状況をまとめたところでございます。
 (1)が「これまでの主な取組と現状の概要」でございます。特に廃炉作業は、中長期ロードマップに基づいて必要な取組を進めてございます。特に先日、燃料デブリの取り出しについては、9月に試験的に取り出しに着手したところでございます。この取り出しに関しては、世界的にも前例のないものでございますので、極めて困難であることを理解しなければいけません。これらについての課題等をまとめております。
 4ページの最下の方には、ALPS処理水の海洋放出についてもまとめました。一部、輸入規制措置などもございましたが、その影響を除いて、大きな風評被害等は現在のところは聞かれていないという状況でございます。
 5ページを見ていただいて、これらのALPS処理水の状況をまとめたところでございます。
 (2)が「主な検討課題等」でございます。改めて、廃炉作業は高い技術が求められる長期間にわたる取組でございますので、技術開発や人材育成も含めた地元企業との連携が重要等々をまとめたところでございます。
 2番目、5ページの下に書いてございます、環境再生について報告したいと思います。
「これまでの主な取組と現状の概要」ということで、5ページから次の6ページ中段以降までまとめてございます。
 要点は、除去土壌についての対応、また、福島県内の除去土壌の最終処分についてもうたっているところでございます。また、福島県外の除去土壌についても取組を進めなければいけない。これを特にまとめてございます。
 (2)は「主な検討課題等」でございまして、改めて除去土壌についての国民への丁寧な説明、進捗の状況を示す。取組が長期にわたることから、先ほど述べました技術開発や人材育成も含めた地元企業との連携が重要とうたってございます。これについては、まだまだ議論が必要かと思っております。
 7ページは、「帰還・移住等の促進、生活再建等」でございます。
 (1)が「これまでの主な取組と現状の概要」で、こちらが項目としては一番多いものでございまして、先ほどの避難指示の状況、また、地域の状況が大きく異なる等々をまとめているところでございます。
 7ページから8ページを見ていただいて、特に8ページの中段には教育環境の整備についてもうたってございます。最近では、学校再開の支援も行っております。これらに関しては、海外の研修や地域とのつながりを深める特色ある教育への支援も実施しているところでございます。
 教育に加えて、医療・介護・福祉施設の整備・事業再開も必要でございます。また、国、県、市町村、それぞれの役割を果たし、連携するということをまとめているところでございます。
 (2)が「主な検討課題等」でございまして、8ページから10ページの頭まで書いてございます。
 9ページの一番上段を見ていただきたいと思います。こちらは、帰還が進んでいない地域においても被災者の帰還意向をきちんと確認すること、帰還に向けた課題や帰還後の生活から見えた課題等を支援しながら丁寧に取組を進める、ここをうたっているところでございます。
 また、次に書いてございますが、復興に意欲のある移住者の方の役割が非常に大きいということで、そことの連携、また、ホープツーリズムをはじめとする交流人口・関係人口の拡大もうたっているところでございます。これらを10ページまでまとめてございますので、確認をいただきたいと思います。
 10ページの上段には、4つ目として「産業・生業に関する取組等」についてうたってございます。
 先ほどのように、復興のステージが異なる中、3つ目のポツに、福島イノベーション・コースト構想を踏まえた検討を実施しているというところを紹介し、特に廃炉、ロボット・ドローン、エネルギー・環境・リサイクル、農林水産業等々、関連事業の取組を進めていることを示してございます。改めて、この構想では地域を牽引する人材育成や交流人口の拡大等々も取り組んでございまして、後ほど示すF-REIとの連携も重要であります。
 次に、11ページの中段まで、こちらの現状をまとめてございます。(2)としては「主な検討課題等」を書いてございます。産業の回復の程度や復興の進捗等、関連データを見ますと、やはり12市町村の状況は非常に差があることを確認してございます。今、原発の周辺では、建設特需に関係しないところを見ていく必要がありまして、実際、厳しい状況もあるというところでございます。
 次に、12ページを見ていただきたいと思います。
 2ポツ目、産業支援については、投資促進支援に加えて、ソフト面での個々の経営支援が重要ということもうたってございます。
 12ページは、5つ目、「福島国際研究教育機構の取組」ということで、F-REIについてまとめております。
 F-REIに関しては、改めて創造的復興の中核拠点でございまして、この復興を実現するための夢や希望となるものであるということで、非常に役割が大きいものでございます。現在、5分野を基本とする研究開発をはじめ、産業化や人材育成を推進している。
 13ページ、その5つの分野、27のテーマの委託について実施しております。
 「主な検討課題等」を(2)で書いてございます。ここでは2ポツを見ていただきたいのですけれども、自然科学及び社会科学の枠を超えて新たな技術や手法の分野横断的・学際的な融合が重要であるということでございます。現在、研究開発は始まったばかりでございますけれども、このような取組に関しては多様な媒体を使ってぜひ積極的に発信することが重要とうたってございます。
 3つ目が、原子力災害に関するデータや知見ということで、こちらは世界に向けて迅速かつ積極的に発信する。同様でございます。
 14ページが、6番目にまとめてございます「風評払拭・リスクコミュニケーションの推進」でございます。
 「これまでの主な取組と現状の概要」ということで、最初に、福島県産品の中には価格差がまだまだ以前の水準まで回復していない等々をまとめてございます。やはりリスクコミュニケーションは非常に重要である。こちらの方をこの項目に合わせて書いてございます。
 15ページが「主な検討課題等」でございまして、改めて「復興の地 ふくしま」を訪れていただく、これによって理解が進む。また、地域の魅力をぜひ発信しなければいけないというところをまとめているところでございます。
 4つ目のポツが、震災の記憶と教訓の後世への伝承ということで、これは福島の原子力災害被災地域に限らず、東日本大震災全体の課題でございまして、改めて震災遺構、様々な施設がございます。そこでは、伝承の中でも教育や研究というのも重要な役割がございますので、そちらをまとめているところでございます。
 16ページは、ワーキングにおける現場視察の報告をまとめたところでございまして、改めて見ていただきたいと思います。
 最後に、18ページが今回の12市町村との意見交換会でございまして、先ほどのように10月8日と28日、2回実施させていただいたところでございます。
 今回、6つの項目に関してポイントのみ説明させていただきましたが、今回の中間報告ということで概要を申し上げました。
 総括ワーキングでは、年明け以降に原子力災害被災地域での復興施策の各論の議論を行いたいと思います。その復興施策の在り方に関しては、ぜひ来年に総括をまとめていきたいと思っております。引き続き、現地の声を丁寧に伺いながら、現地の実情を踏まえて議論を進めていきたいと思っているところでございます。
 以上、20ページにわたりまして資料2を説明させていただきました。ありがとうございます。
 それでは、議事3と4に関しては、復興庁から続けて御説明をお願いしたいと思います。
○山野統括官 まず、議事3、「「第2期復興・創生期間」以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向けた主な課題等」でございます。
 ただ今、今村先生から、原子力災害被災地域の復興施策について総括ワーキングでの中間取りまとめを御報告いただきました。政府といたしましても、総括ワーキングの御議論も踏まえながら、来年の復興の基本方針の見直しに向けた主な課題を取りまとめ、年内に復興推進会議で決定したいと考えております。
 資料3-2が本文であり、これは政府部内、被災地方公共団体とも調整を行ったものでございます。
 その内容につきましては、先ほど今村先生から御報告いただいた総括ワーキングによる原子力災害被災地域に関する中間取りまとめでございます「原子力災害被災地域の復興施策の現状と課題」や、8月の復興推進委員会で御報告いただいた、総括ワーキングの「地震・津波地域等に係る復興施策の総括」と重なるものが多く、繰り返しになる部分が多々ございますし、時間も限られてございますので、資料3-1の概要資料により簡潔に御説明させていただきます。
 3-1でございますが、まず資料の上段は復興推進会議決定案の位置付け等についてでございます。第2期復興・創生期間の後の次の5年間に向けて、現時点における基本姿勢や各分野の取組、復興を支える仕組みのほか、検討すべき主な課題を明らかにするものでございます。そして、次の5年間の初年度である令和8年度の予算編成に反映させるため、更に具体化を進め、令和7年夏までに基本方針を見直す旨を記載してございます。
 その下が「各分野の主な取組、課題等」でございます。まず左側の「原子力災害被災地域」でございます。先ほど今村先生の御報告と重なるところがございますので、簡単に御説明申し上げます。
 まず、原子力災害被災地域の全体的な概況などについて、地域によって復興の段階が様々であり、それぞれの地域の実情等を踏まえながら施策を具体化していくことを記載しております。
 1点目、事故収束につきましては、燃料デブリの試験的取出しにより得られた知見を生かした取り出し量拡大のための工法の具体化・研究開発、長期的な取組への体制構築などが記載されております。
 続きまして、環境再生に向けた取組に関しては、福島県内の除去土壌等の最終処分について、中間貯蔵開始後30年以内、すなわち2045年までの県外最終処分を完了するため、関係閣僚会議の下で、再生利用先の創出に向けて、国が責任を持って取り組むことなどが記載されているところでございます。
 3つの帰還・移住等の促進、生活再建等に関しては、特定帰還居住区域における取組や、帰還困難区域における森林整備をはじめとする活動の再開等の検討などについて記載されております。
 4つ目がF-REIでございますが、質の高い研究開発の推進や、内外の優秀な研究者を迎えるための生活環境整備などについて記載されているところでございます。
 次の産業集積等、事業者再建につきましては、地域の雇用拡大などに向けた支援、あるいはスタートアップ支援などについて記載されているところでございます。
 次の農林漁業者の再建についてでございますが、営農再開のための取組のほか、帰還困難区域も含めた森林作業のガイドライン策定の取組、あるいは水産業分野での計画的な水揚げ回復等の取組の推進などについて記載されているところでございます。
 左側の一番下、風評払拭・リスクコミュニケーションにつきましては、食品等の規制に関する対応などについて記載されているところでございます。
 右側に参りまして、「地震・津波被災地域」でございます。内容的には、8月の復興推進委員会に御報告をいただきました総括ワーキングによる復興施策の総括に基づき記載しております。
 ハード整備や住まいの再建はほぼ完了、産業やなりわいに関する取組も進展し、成果とし、これまで培ってきたノウハウを被災地方公共団体への継承、あるいは政府全体の施策との連携を促進することとしているところでございます。
 一方で、心のケアや被災した子供に対する支援等については、中長期的な取組が必要であり、これらの課題については政府全体の施策の活用を図るとともに、真に必要な範囲で第2期復興・創生期間の後も復興施策による対応も検討といった内容を記載しておるところでございます。
 大きな3つ目の「教訓・記憶の後世への継承」でございます。これも内容としましては、総括ワーキングによる総括に基づき記載しておるところでございます。今後も、各種機会を捉えて、正確な情報を随時分かりやすく発信すること、国、地方公共団体、民間がそれぞれの役割を果たしながら連携すること、福島県に設置する国営追悼・祈念施設の整備を進めることなどを記載しております。
 それから、「復興を支える仕組み等」でございます。まず財源等につきましては、詳細は調整中でございますが、今の5年間以上に力強く復興施策を推進していくための財源を確保するとした上で、大まかな規模を記載しておりますが、引き続き精査をして、来年夏頃に必要な事業規模及び財源を示す旨を記載しておるところでございます。
 2つ目の自治体支援に関しては、必要な人材確保策に係る支援を継続することや、引き続き実施される復旧・復興事業について、震災復興特別交付税による支援を継続することを記載しております。
 組織につきましては、第2期復興・創生期間の更なる進捗状況を踏まえ、令和7年度に組織の在り方について検討を行い、必要な措置を講じるということが、現行の基本方針に定められておりますので、これを踏まえまして、ここにございますように令和7年夏までに所要の検討を行うこととしているところでございます。
 最後、その他でございますが、次の5年間の基本方針についても、現在の基本方針と同様に3年後に見直しを行うことを記載しておるところでございます。
 復興推進会議の決定の案の概要については以上でございます。
 引き続き、議事4、国会報告でございます。
 令和6年版ということでございますが、これも本報告は150ページと大部にわたりますので、資料4の概要で御報告をさせていただきます。
 まず1ページでございます。
 本報告でございますが、東日本大震災復興基本法に基づきまして、政府として毎年、復興の状況を国会に報告する、いわゆる国会報告でございまして、今回は令和5年10月~令和6年9月の間の状況を中心に取りまとめておるところでございます。
 また、復興の基本方針におきましては、基本方針の実施状況を含む復興の状況についてフォローアップを行い、その結果を国会に報告するとともに適切に公表するとされておりますので、基本方針のフォローアップも兼ねておるところでございます。
 本日の御報告の後、閣議決定を経まして国会に報告し、「令和6年版東日本大震災復興白書」という名称で復興庁のウェブサイトに公表を予定しているところでございます。
 今回の6年版の構成の特徴でございます。2部構成といたしまして、第1部として「特集」を設けているところでございます。これは昨年からでございますけれども、6年版も引き続きこういった構成にしております。
 6年版のトピックスとしましては、特定復興再生拠点区域及び特定帰還居住区域における復興・再生に向けた取組と、F-REIの取組状況の2つのテーマにスポットを当てたところでございます。
 2ページを御覧ください。
 1つ目の特集は、「特定復興再生拠点区域及び特定帰還居住区域における復興・再生に向けた取組」でございます。
 帰還困難区域における避難指示解除の実現を目指す制度とともに、これによる避難指示解除が既に始まり、そこで生活環境や産業・なりわいの再生に向けた様々な取組が行われていることを広く国民の皆様に知っていただくために取り上げることといたしました。
 特定復興再生拠点区域につきましては、御案内のとおり、平成29年5月、福島復興再生特別措置法の改正によりまして、帰還困難区域において、5年を目途に避難指示解除による住民の帰還を目指す制度として創設されたところでございます。
 この制度の下では、6町村が特定復興再生拠点区域再生計画を作成しまして、内閣総理大臣の認定の後、当該計画の下で、除染やインフラ整備等の取組を進められ、昨年11月までに当該区域の全てにおいて避難指示が解除されるに至っております。
 今回の特集では、この6町村の取組状況を紹介してございます。
 3ページをお開きください。
 特定帰還居住区域でございます。
 特定復興再生拠点区域での避難指示解除は、先ほど御説明したとおりでございますけれども、この区域に含まれない区域の住民の方々からも、自宅に戻りたい、元いた場所で生活を再開したいといった帰還を望む切実な声が寄せられてきました。
 そのような声を受けまして、2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が帰還できるよう、住民の方々の意向を個別丁寧に把握しながら、除染等の実施や道路・上下水道等のインフラ整備の取組を進めていくために、令和5年6月に創設されたのが特定帰還居住区域制度でございます。
 この制度の下で、令和6年4月までに、大熊、双葉、浪江、富岡の4町において、特定帰還居住区域復興再生計画が作成されまして、内閣総理大臣の認定の後、順次、除染等が開始されており、引き続き、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を推進していくこととなっております。
 このように、特定復興再生拠点区域では、避難指示解除後も引き続き、買物、医療、介護等の生活環境整備を進め、また、特定帰還居住区域では、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を着実に進めてまいります。
 続きまして、4ページでございます。F-REIの取組状況でございます。
 昨年の国会報告では、その設立経緯にスポットを当てて紹介したところでございますが、令和6年、今年はF-REIが具体的な取組を開始した年でありますので、新たな情報を加えて取り上げることといたしました。
 初めに、研究開発の加速と研究体制の整備として、F-REIの研究開発の基本分野として5分野を紹介するとともに、困難環境下でのロボット・ドローン活用促進といった、令和5年度からスタートしている具体的な研究例を紹介しております。
 次に、F-REIは、研究だけにとどまらず、社会実装を視野に入れた研究を目指していることから、産業化に向けたネットワークの構築やシーズ・ニーズの把握に取り組んでおります。この取組においては、企業・団体、大学、地方公共団体等とのネットワークを構築しながら、地域のシーズやニーズを丁寧に把握できるよう、企業・団体、大学等の参加によるF-REI産学官ネットワーク・セミナーや市町村座談会等を開催してきました。
 また、人材育成の観点からは、F-REIが立地する地域における研究者や技術者を育成するために、東北大学医学系研究科への連携講座の設置に関する協定の締結や、福島県内の大学生・高校生を対象としたセミナー、小学生を対象とした科学実験教室の開催等に取り組んでおるところでございます。
 続きまして、5ページでございます。
 F-REIは、令和4年8月26日の内閣総理大臣が決定した、新産業創出等研究開発基本計画により、福島における新たな産業の創出等に資する研究開発等において中核的な役割を担うものとされております。
 このため、司令塔機能のさらなる充実を図るべく、各研究機関等との間で新産業創出等研究開発協議会を組織し、研究分野の重複の排除や、各研究開発分野における研究の加速や総合調整を図る観点から、既存施設の統合及び予算の集約などに取り組んでおり、福島県との間での福島ロボットテストフィールドのF-REIへの統合に係る基本合意書を締結いたしました。
 また、世界に冠たる研究機関としての国際展開のため、国際的なネットワークの形成を強化しており、米国のパシフィック・ノースウェスト国立研究所との共同研究等に向けた取組を進めておるところでございます。
 このほか、施設の基本計画を策定したほか、国内外の優秀な人材を浜通りに迎えるための生活環境の充実にも取り組んでおりまして、令和5年度からは官民で生活環境改善の実証事業に取り組む、浜通り復興リビングラボを実施しているところでございます。
 6ページでございます。
 第2部では、復興の現状と取組全般について、前回の国会報告以降の取組を追記しておりまして、データのアップデート等を行っております。
 直近の動向として、震災発生からこれまでの取組の流れや現状・方向性等を総括的に記載するとともに、直近1年間の主な動向について、点線の中に記載した事項を中心に時系列でまとめまして、また、3県の現地復興レポートも掲載しております。
 最後のページ、7ページでございますが、地域・分野ごとの復興の状況につきまして、「地震・津波被災地域」、「原子力災害被災地域」、「復興の姿と震災の記憶・教訓の発信」、「復興を支える仕組みと予算・決算」という4つの柱で幅広く整理しております。個別の説明は割愛しますが、それぞれのテーマについて、発災以降の復旧・復興の進捗が分かるよう、発災以降これまでにわたる現状や取組として、昨年の報告以降の状況や取組を反映して記載したところでございます。
 以上が本報告の概要でございます。
 本報告が「東日本大震災復興白書」として公表されましたら、皆様にお知らせをいたしたく存じます。
 報告は以上でございます。
○今村委員長 山野統括官、御報告ありがとうございました。
 議事3と4ということで、最後の国会報告は簡潔にまとめていただきました。大変ありがとうございます。
 それでは、これからこれまでの報告、説明について御意見を賜りたいと思います。各委員から御意見をいただきたいと思いますが、発言のある方は挙手をお願いします。オンラインから御参加の方は、挙手機能によって御教示いただきたいと思っております。本日も大変時間が限られてございますが、この意見交換は20分ほどを予定したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今回は、山﨑委員、戸塚委員、内堀委員から事前に発言の御希望がございましたので、まず3名から優先的に御発言いただきたいと思います。
 山﨑委員、お願いいたします。
○山﨑委員 山﨑です。
 時間の限られている中、発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 では、手短に2つ申し上げたいと思います。
 1つ目は、今、防災庁の議論の準備が始まっていて、来年早々から有識者会議も議論を始めるという状況で、どういう形の庁ができるのかというのはまだ具体的になっていませんけれども、これまでの日本の防災対策は、事前の防災対策、災害が発生した後の応急対策を中心に、それから復旧・復興と、どうも連携がうまくいかなくて、それぞれの省庁がそれぞれの場面で一生懸命やるという形の防災が続いてきたように思うのですが、これだけ災害が続いて、それぞれの防災対策や復旧や復興の現状を見ると、事前対策があって、応急があって、復旧があって、復興があってと、これは一貫した流れの中で議論をしながら対策を進めていく必要があると強く思います。
 ですから、防災庁の議論の中に、これまで東日本大震災の被災地での復興の経験を積み上げてきてノウハウを持っている復興庁のやってきたこととか、復興庁の知見とかノウハウをぜひ防災庁の議論の中にも資していただいて、連携を強める形で日本の防災の体制をつくり上げていただきたいと強く思います、これが1つ目です。
 2つ目は、もし私の情報不足であったら大変申し訳ないのですけれども、来年の1月で阪神・淡路大震災から30年になります。当時は、復興というのは、道路や橋が復旧して、学校みたいな建物ができて、仮設住宅から住宅を再建して、あるいは復興住宅ができて、仮設住宅に人がいなくなるとある程度復興はできたなという物差しだったのですけれども、その後、心の問題とか、コミュニティの再生とか、いろいろ難しい問題が出てきて、何で復興を測るのかというのが非常に難しい状況になってきました。
 多様な価値観を持っている被災地を見ると、復興を測る物差しも多様であるべきだと私は思っていまして、各地に行ってみると、例えば途絶えていたお祭りが復活したときなどに、地域の人たちが「昔が戻ってきた」とおっしゃっている方がたくさんいらっしゃいます。いろいろな資料を見てみるのだけれども、途絶えていた地区のお祭りが戻ってきた割合がどのくらいあるのかということはちょっと分からないのですよね。
 ですから、もし3県の皆さんにそういう調査があるのならぜひ教えていただきたいということと、もしそういう調査がないのだったら、復興庁として新しい物差しとしてそれを考えていただくのも大事なことかなと思います。
 以上2点です。ありがとうございます。
○今村委員長 ありがとうございます。
 復興庁に関して、防災庁との連携をいただきまして、また、復興の物差しということで、実は総括ワーキングでもお祭りとかつながりの行事の重要性は議論させていただいたところでございます。ありがとうございます。
 それでは、オンラインで戸塚委員からいかがでしょうか。御発言をお願いいたします。
○戸塚委員 発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 私の方からも手短に2点伝えできればと思います。
 今、私は岩手にいるものですので、岩手、宮城で言うと、恐らくどういうふうに第2期復興・創生期間を終え、一般施策に移行するかというところが今後の重要な論点になっていくかと思いますし、先ほど御説明いただいた資料にもその辺りが述べられていたかと思うのですけれども、「一般施策への移行」と書いてしまうと、本当に一言なのですけれども、それを具体的にどういうふうにやっていくのかというのは難しい部分ではないかなと思っています。
 心のケアとか切れ目ないことが必要になってくる部分に、やろうと思ってもできないことがないように、ずっと支援を受けている方がそれが切れてしまうことのないように、切れ目のない移行を行うにはどうしたらいいかということを丁寧に進めていく必要があるということを改めてお伝えできればと思ったのがまず1点目です。
 もう一つが、震災の教訓の継承のところです。こちらは、風化させないとか、次世代につなげていくとか、今後起こり得る他地域での災害に備えるというところでもちろん非常に重要なところなのですけれども、こちらも過去のものを継承していくというよりは、特にF-REIなど、今後、日本とか世界中の最新、最先端になっていき得る教育・研究とつなげていくこととか、あるいは観光やインバウンドという大きく成長していき得る産業とつなげていくことなど、今後どういうふうにしていくと継続して、かつそれが発展的に創造的復興につながっていくかというところを十分に検討していきたいなと思っております。
 この2点をお伝えできればと思いました。以上です。
○今村委員長 ありがとうございます。
 一般施策への移行に関しては、本推進委員会でも非常に重要な議論であり、具体化、また、実際に第2期復興・創生期間が終わった後、他地域の状況が本当に震災前に戻った状況での一般的な施策の優先順位であったり、また計画を立てるわけなのですが、そこがなかなか難しいだろうという御意見等は既にいただいているところでございます。
 2つ目、教訓・伝承についてもコメントをありがとうございました。過去だけではない、、現状を見ながら、未来へ参考となるような、未来社会へ貢献できるような教訓をまとめていくということだったと思います。ありがとうございました。
 それでは、内堀委員から御発言をいただきたいと思います。
○内堀委員 今村委員長、ありがとうございます。
 議題3についてお話をします。
 「「第2期復興・創生期間」以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向けた主な課題等」の案の取りまとめに当たり、福島県や市町村の意見を丁寧に聴き取り、反映をしていただきました。これまでの復興推進委員会の委員の皆様、伊藤復興大臣をはじめ、復興庁や関係省庁の皆さんの御尽力に感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 本県においては、原子力災害に伴う特有の困難な課題がいまだ山積しており、また、復興の進捗に伴って生じる新たな課題やニーズへの対応も必要であるなど、第2期復興・創生期間後も中長期にわたり長く厳しい戦いが続きます。そうした中で、特に次の5年間は避難者の帰還等を一層進めなければならない極めて重要な期間であり、これまで以上に力強い取組が不可欠です。
 石破総理からは、先日の本県視察の際、「次の5年間全体の事業規模が今の5年間を十分に超えるものとしないといけない」との御発言がありました。本日示された資料においても、その旨が反映されていると受け止めております。
 今回取りまとめた課題等を踏まえて、来年夏までに復興の基本方針を示すとされていますが、引き続き、現場主義を徹底しながら、県や市町村の意見や思いを丁寧に把握し、最大限尊重していただくとともに、第2期復興・創生期間後も切れ目なく安心感を持って復興への挑戦を続けるために必要となる財源や復興を支える制度をしっかり確保していただくようお願いいたします。
 先日、石破総理から、「この震災を風化させてはいけない、引き続き、復興庁が司令塔となって、全閣僚が復興大臣という決意の下に、今まで以上に被災地に丁寧に寄り添い、内閣として最重要課題である福島復興に最後まで責任を持ちたい」という力強い御発言をいただきました。引き続き、国においては、福島の復興・再生に向け全力で取り組んでいただくようお願いいたします。
 私からは以上であります。
○今村委員長 内堀委員、ありがとうございます。
 先日の石破総理の訪問について、そこでのコメントを御紹介いただきました。ありがとうございます。
 それでは、各委員から御意見をいただきたいと思います。
 まず、藤沢委員、お願いいたします。
○藤沢委員 2点申し上げます。
 まず資料2に関連して、私は福島県が関与しました「ふくしま12市町村移住支援センター」という移住を取り組む組織のセンター長を務めております。そういう立場で12市町村の声を聞く機会も多いのですけれども、最近、令和13年度以降、国の関与が続くのかという非常に不安に思われる声をよく聞きます。そういう中で、資料2の最後の20ページを見せていただくと、下の方に、どなたかの委員の発言だと思うのですけれども、「令和12年に向けての出口戦略が必要となる」という発言がありまして、国として13年度以降、次の5年以降どうなるかがまだ定まっていない時期に、総括ワーキンググループとしてこうしたコメントを残し、またそれが今後の復興施策に反映されることを危惧しまして、委員の一人としては、このワーキング自体に私は入っておりませんので資料に関してはお任せするところではあるのですけれども、13年度以降の福島の復興の在り方についてはかなり熟議をしないといけない点であろうということを一言コメントしておきたいと思います。
 もう1点目が資料3で、今後の復興の基本方針の見直しにおける課題について御説明をいただきました。
 私は、今年の1月1日に発災した能登地震の対応のために石川県が設置しました能登官民連携復興センターという組織、10月にできましたが、そこの責任者も務めております。そういう立場で、復興庁がもちろん法律で直接能登の復興に関われないのは承知しているところではあるのですけれども、東北の復興の経験・教訓を後世に残す役割を持っていると承知しておりますので、そういった意味でぜひ能登の復興という、私も今、能登の地域を毎週回らせていただいていまして、そういう中で、こういった復興庁のような後押しがありませんので、これから10年以上続く復興に向けて非常に不安な声が住民の皆さん、また、被災自治体からも日々聞こえております。
 そうした中で、復興庁がこれまでの東北の復興で大きな経験をしていただいて、当然能登の復興にも貢献し得る内容が多分に含まれておりますので、枠組みとしては教訓を伝えるということになってしまうと思うのですけれども、能登の復興にも関わっていただけるように、ぜひ事業を工夫していただくことが大事だろうと思っております。
 以上です。
○今村委員長 ありがとうございます。
 出口戦略に関して、実は12市町村の皆さんとビジョンに関しても意見交換をさせていただきました。復興がそれぞれ地域によって異なるということでございますので、どういう地域にしたいのか、こちらをぜひ議論をいただき、そこに向かって支援をすべきだろうというところを重点的に意見交換させていただいたところでございます。
 能登に関しては、既に復興庁のメンバーは、ここでの活動を参考にしていただく、支援するということで、様々な協力をさせていただいております。また、能登でも課題が変化しますよね。そこへの対応も非常に参考になるところがあるのではないかなと思います。ありがとうございました。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 関委員、どうぞ。
○関委員 ありがとうございます。
 私の方からも2点あります。1つは農林水産業の分野で、例えば、農業については農地の大区画化、高付加価値生産、スマート農業などに触れられていますけれども、それだけではなくて、ぜひ持続可能な農業を。
 せっかく農業を始めても、燃料費や肥料、薬剤の高騰などで経営が持続可能でない、あるいは環境への負担、環境のエコとか、そういう面からも持続可能ではないということで、そういう心配があっては魅力のある農業とか魅力のある地域にはならないと思いますので、農林水産業の分野では若い世代にもアピールできる、環境にも優しく、経営的にも持続可能な農林水産業、地域内循環なども含めて、そういう視点を今後ももっと取り入れていってほしいと思います。
 2点目は教育の問題で、私も小学生と中学生の子供がいるのですけれども、やはり感じるのは、本当に先生方が大変だということです。せっかく良い学校をつくっていただいたり、良いプログラムをつくっていただいても、それを運用する先生が人手不足で手が回らなかったり、先生御自身が教えるための勉強ができなかったり、疲れていたり、体を壊されたりということでは何もならないと思いますので、ぜひ先生の人員不足の解消とか、先生のケア、力量のある先生を育ているということで、現場の意見をもっと取り入れていただいて、今後の施策に迅速に生かしていただけたらと思っております。ありがとうございます。
○今村委員長 ありがとうございます。2点御意見をいただきました。
 農水産業に限らず持続可能な活動というのは重要なことでございまして、ぜひそちらについては具体的に検討できればと思います。
 教育現場で教員の方への負担が特に被災地域で非常に大きいということはヒアリングでも伺ってございますので、特段の支援をやはり継続しなければいけない。また、先ほどの課題というのも教育現場でも変化すると思いますので、そこの把握をしっかりしていきたいと思っております。ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 浅野でございます。
 発言の機会をいただきましてありがとうございます。私は資料2の報告書について、意見というよりも所感です。
 非常に丁寧というのか、首長さん方の御意見もよく反映された報告書になったなということで、すごく安心をしています。その中のいくつかを挙げますと、まず、復興の進捗を評価する際に市町村の震災前の状況と比較するという、これはともすると、ここは進んでいるよね、ここは進んでないよねという相対評価になりますので、絶対評価でお願いしますというのを文言に置いていただいたというのは、御安心いただけたのではないのかなと思います。
 復興推進委員会に私が参加させていただいたとき、「広域連携」という言葉がなかなか使いづらかったところなのですが、今回も文言としてこうして書いていただけているということで、「広域」と言うと、ともすると、人数も少ないからたくさん集めて1つのものをつくるという感覚になると、復興と距離を置くのかなということで、やはり将来のビジョンがあって、そのビジョンを達成するためにはこういう形で高校をつくろうとか、学校をつくろうとか、給食センターをつくろうというビジョンがしっかりしていると、隣の町にはこれができて、うちにはできないのかということになってしまうので、「広域」という言葉が使われたということは、この使い方には気をつけなければいけないなと思っています。
 それと、「交流人口」とか「観光」という言葉は、私は2019年に双葉に関わったときは非常に気を使いましたし、時には御注意を受けました。
 これはうちの個人的なことですけれども、双葉のうちの工場はカフェも持っているのですけれども、今回、2025年、来年、プロが選ぶ観光の食事部門で福島県で唯一選ばれました。観光ということが公式というのか、1万4000社の観光会社の方々の投票によってということで、安易にということではないでしょうけれども、交流人口、関係人口、定住人口は非常にポイントになってくるのと、やはり気をつけなければならないのは戻ってきたいという住民の方々、ここが合わさって初めて復興になるということなので、交流人口という部分です。
 最後にF-REIですけれども、これも福島第一原発の公開であるとか、そういうことも書いてあるのですけれども、やはりあそこでつくったということですね。被災地でつくられていくということですね。ここを最大限に生かした研究を、もちろんそれ以外の研究も必要だと思うのですけれども、あそこでしかできない研究、あそこに工場ができるだけでも世界初、あそこにホテルができるだけでも世界初のことなので、何をやってもあそこは世界初になってくるので、地の利という言い方はちょっと気をつけなければいけないと思いますが、あそこでしかできない、また世界にアピールできることを意識しながら議論を進めていっていただければなと思います。
 以上です。
○今村委員長 浅野委員、ありがとうございました
 改めて、広域連携というのが本当に議論になっていたわけなのですが、簡単ではないと。それぞれの地域のそれぞれが持つビジョンを尊重しながら、役割があって初めて連携になりますし、ニーズの共有化も大切ですよね。今後も議論していきたいと思っております。
 F-REI、また、ホープツーリズムですよね。これは魅力を発信する。福島のこの地で活動すること、また、現状を見ることがいかに重要であるかというところを訴えられればと思っております。ありがとうございました。
 残りが1分ぐらいということなので、1人だけになりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうかね。またお時間がありましたら御発言をいただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、議事5に移りたいと思います。岩手、宮城、福島の順に報告をいただきたいと思います。
 まずは、岩手県からお願いいたします。
○高橋代理 岩手県でございます。
 本日、岩手県議会の臨時会がございまして、代理の私から説明させていただきます。
 東日本大震災津波からの復旧・復興に当たりましては、委員の皆様や復興庁、そして、国内外の皆様から多くの御支援いただき、感謝を申し上げます。
 本日は、「岩手県の復興の現状と中長期的に取り組むべき課題」につきまして報告させていただきます。
 資料5-1の2ページを御覧いただきたいと思います。
 まず、復興の現状であります。本県では、復興を県政の最重要課題といたしまして、「誰一人として取り残さない」という理念の下、復興推進プランに掲げる4本の柱に基づく復興の取組を進めております。一方、下段に記載のとおり、今後においても支援の継続が必要となる中長期的な課題を有しております。本日は、その中で3番以降、赤文字の項目について説明いたします。
 3ページ目を御覧いただきたいと思います。
 初めに、水産業の再生のうち、資源の回復に係る支援についてでございます。先ほどワーキンググループでも、現地調査ということで水産業についてお話がありましたけれども、サケやアワビの漁獲量は震災前と比べて大きく落ち込んでおりまして、いまだ震災前の水準まで回復していない状況でございます。水産業は被災地の基幹産業であり、その基盤となる水産資源の回復に向けて、持続的なサケふ化放流事業や、アワビやヒラメの種苗放流による支援の継続が必要であります。
 4ページ目を御覧いただきたいと思います。
 次に、水産業の再生のうち、「水産業を守る」政策パッケージの活用促進について説明いたします。
 ALPS処理水の海洋放出に伴い、アワビやナマコの価格低下が生じており、特にアワビについては、令和6年11月期の事前入札価格がALPS処理水放出前と比較して約5割に低下している状況でございます。経済産業省などが所管している「水産業を守る」政策パッケージを最大限に活用できるよう、予備費及び令和5年度補正分のアワビをはじめとする他の品目への拡大や、販売促進やPR活動にワカメなど水産物全般や加工品の取組も加えるなど、柔軟な運用が必要であると考えております。
 5ページ目を御覧願います。地方創生施策等の活用について説明いたします。
 被災地では、地域経済の活性化に向けた取組において、国の交付金や補助金を活用した優良事例が生まれております。一方で、本県では移転元地の活用が6割にとどまっており、国の交付金等の重点配分や優先採択により、今後も移転元地の活用やこれを通じた経済活性化を図る必要があると考えております。したがいまして、第2期復興・創生期間後においても、復興庁による伴走支援機能の充実強化が重要となるものと考えております。
 6ページを御覧願います。
 原発事故に伴う放射線影響対策について説明いたします。
 上段、廃棄物処理等について、農林業系副産物の処理の長期化に伴う支援のほか、市町村による一時保管が長期化している除去土壌の処理基準の提示が必要であります。
 下段、農林水産業被害等について、県南部の原木林が放射性物質の影響で使用できず、原木価格の高騰が続いている状況であることから、原木しいたけの産地再生に向けて、原木の購入経費や原木林の再生、原木の供給体制の強化など、支援の継続と検査体制の維持が必要であります。
 7ページを御覧願います。
 前ページに続きまして、原発事故に伴う放射線影響対策について説明いたします。
 上段、賠償の関係について、東京電力と交渉を行っておりますが、特に市町村等に対して支払いに応じない費用があることから、十分な賠償について国の指導等の措置を講ずる必要があります。
 下段、放射性物質検査等への対応について、農林水産物の放射性物質濃度検査や定期的な空間放射線量測定を行うための支援の継続が必要であるほか、有害鳥獣による被害対策として、野生鳥獣肉の出荷制限について、国のガイドラインに定める解除基準の見直しが必要であります。
 8ページを御覧願います。震災の伝承・発信についての説明でございます。
 先ほど戸塚委員からもご発言がございましたけれども、年月の経過により震災の記憶や経験がない世代が増加しており、県内の意識調査においても、回答者の約5割が震災の風化が進んでいる、やや進んでいると回答しております。また、震災伝承活動に取り組む団体の9割が活動の継続に不安を抱えており、国には震災を伝承していくための取組となるモデルを構築していただくとともに、風化防止に向けた継続的な取組や被災地と連携した情報発信を強化する必要があります。
 以上で岩手県からの報告を終了いたします。
○今村委員長 ありがとうございました。
 続きまして、宮城県からお願いいたします。
○末永代理 今村委員長をはじめ、委員の皆様、復興庁をはじめ、各省庁の皆様には、被災地の復興に御尽力をいただきまして、改めて感謝申し上げます。
 本日は、原発関連の課題を中心にお話をさせていただきまして、後半は復興に向けた本県の取組について御紹介させていただければと存じます。資料は5-2を御覧ください。
 初めに、資料の2ページ、原発事故に伴う処理水の海洋放出についてであります。今年は9月に台湾が禁輸措置を緩和したほか、10月から中国が海洋モニタリングへ参加するなどの動きが見られたものの、禁輸措置の全面的な撤廃には至っておらず、ナマコ、ホタテなどの価格に下落が見られるなど、依然として水産事業者などに影響が生じている状況でございます。
 県としては、今後も事業者に対する中長期的な支援の継続、迅速かつ適切な賠償、風評被害を生じさせないための国内外における理解の醸成が非常に重要と考えております。
 3ページ、放射能に汚染された廃棄物の処理についてであります。県内には放射能に汚染された廃棄物がいまだに農家の軒先等に大量に保管されており、処理の推進が課題となっております。放射性物質に対する地域の根強い不安から、指定廃棄物の長期管理施設設置に向けた議論が進んでおらず、県では8,000ベクレル以下の農林業系廃棄物の処理を優先して進めておりますが、引き続き財政的・技術的支援が必要であります。
 また、指定廃棄物については、安全な保管・管理の徹底や集約が必要となっており、減衰し処理可能となった物の処理先の確保等についても、国の積極的な役割が必要であると考えております。
 4ページ、除去土壌等の処分についてであります。除染により発生した除去土壌等の処分については、除去土壌の処分基準がないことから、県内7市町で現在も保管を継続しております。除去土壌の最終処分に向けた協議を進めるためにも、国には、県民全体が納得できる処分基準の速やかな策定をお願いするとともに、国民の理解醸成のため、処分の必要性や安全性についての情報発信等の取組を充実していただきたいと考えております。
 5ページ、災害援護資金についてであります。災害援護資金については、今年度から順次、借受人から市町への償還期限を迎えておりますが、高齢化や生活困窮等を理由とする未償還案件が多数発生している状況です。借受人の生活再建と債権回収の両立を図るためには償還期限の延長が必要であり、市町の支払猶予をもって国及び県の履行延期の特約が適用されるよう、早期に必要な政令改正を行っていただきたいと考えております。
 続きまして、復興に向けた取組として、学生などの若者の力を活用した取組を御紹介させていただきます。
 6ページ、若者による伝承活動の推進についてであります。時間の経過とともに震災を知らない世代が増加していることから、若い世代が震災や防災について学ぶ機会を増やす取組を行っています。最近では、親子向けのイベントや学校への語り部派遣によるPR活動のほか、学生を対象にみやぎ東日本大震災津波伝承館のボランティア解説員を募集し、認定された解説員に来館者へ展示解説をしてもらうことも行っております。今後も、次世代の担い手の育成と若者世代の防災意識の向上のため、取組を進めてまいります。
 7ページ、学生を巻き込んだコミュニティの活性化であります。高齢化等により担い手不足等の問題を抱える地域の自治会に学生を取り込み、自治会活動の活性化を目指す取組を昨年度からスタートいたしました。これまで4つの市町において、自治会が行うお祭りや防災訓練等の行事に県内の学生が参画してきましたが、今後はさらに活動地域を増やし、学生と自治会が協力できる体制づくりを目指して事業を進めてまいります。
 宮城県からは以上です。
○今村委員長 ありがとうございました。
 それでは、最後に福島県から報告をお願いいたします。
○内堀委員 今日は、福島の復興・再生に向けた現状と課題についてお話をします。
 資料5-3、1ページの赤い字の部分を御覧ください。
 東京電力福島第一及び第二原子力発電所の廃炉に向けた取組が安全かつ着実に進められることは福島県復興の大前提であり、国が前面に立ち、総力を挙げて取り組む必要があります。廃炉と汚染水・処理水対策は、政府一丸となって万全な対策を徹底的に講じ、最後まで全責任を全うしていただくことが必要です。
 また、除去土壌等の県外最終処分は、法律に定められた国の責務であり、約束の2045年3月まで残された期間はあと20年と限られていることから、責任を持って取り組んでいただく必要があります。
 2ページをお願いします。
 避難地域の復興においては、帰還困難区域の再生のほか、生活環境整備や移住・定住の促進等を進めることが必要であるとともに、これを支える人的支援の継続も重要です。特に、福島再生加速化交付金や福島生活環境整備・帰還再生加速事業については、現行スキームの下で事業を継続する必要があります。また、被災者の生活再建のステージに応じた支援が必要であり、被災者の実情を踏まえた柔軟な取組が重要です。
 3ページ目をお願いします。
 帰還困難区域の復興・再生に向けては、特定復興再生拠点区域の整備に取り組む必要があり、また、特定帰還居住区域については、住民の個別の事情や地元自治体の意向を考慮しながら、除染等の取組を進めることが重要です。帰還や復興まちづくり等に向けては、道路や砂防施設、河川が不可欠であり、インフラの整備・修繕が重要です。国は、帰還困難区域全てを避難指示解除し、復興・再生に最後まで責任を持って取り組む必要があります。
 4ページをお願いします。
 福島イノベーション・コースト構想を推進するためには、産業集積や「復興知」などの構想を支える人材育成に資する取組が重要です。また、福島ロボットテストフィールドについては、F-REIの研究開発等の機能が付加されることにより、更なる発展・活用がなされることが重要です。さらに、産業発展の青写真について、改定に向けて議論を進めることが必要です。F-REIについては、地域に根差し、関係機関との連携を図りながら、長期・安定的に運営していくことが重要です。
 5ページをお願いします。
 浜通り地域等の復興を図るためには、産業集積及び働く場の確保が重要です。企業立地補助金については、市町村の意見や地域の実情を踏まえた運用とする必要があります。福島新エネ社会構想の実現に向けて、再エネのさらなる導入拡大などが重要です。
 農林水産業については、生産から流通・消費に至る総合的な対策が重要です。特に水産業については、生産回復が大きく立ち後れている現状を踏まえた取組が必要です。
 6ページをお願いします。
 風評対策に取り組んできてもなお、いまだ震災前との差が埋まることがない状況は、根強く風評が残っていることの表れであり、一方で、年数の経過とともに風化も進んでいるなど、このような現状に危機感を抱いております。風評・風化を取り巻く環境は時間の経過とともにますます厳しくなっていることから、対策をより一層強化する必要があります。
 このため、産地競争力を回復するための「福島ならでは」のブランドの確立や、観光業への支援など、幅広い業種に対する風評対策を講じることが必要です。加えて、輸入規制撤廃に向けた働きかけや輸出促進の支援など、原子力災害が完全に収束するまで、国を挙げて風評払拭及び風化防止対策に取り組むことが重要です。
 7ページをお願いします。
 先ほども申し上げましたが、重要なことでありますので改めてお話しします。
 今後の基本方針の見直しに向けては、国の社会的責任を認識いただいた上で、県・市町村の意見を丁寧に把握し、最大限尊重しながら進めていただくとともに、特に次の5年間は、これまで以上に力強い取組が不可欠であることから、十分な財源と枠組み、復興を支える制度を確保いただくようお願いします。
 今後とも、現場主義を徹底し、福島の復興・創生に向けた取組を一体的・中長期的に推進することが不可欠であります。
 私からは以上であります。
○今村委員長 ありがとうございました。
 3県から重要な現状を報告いただきました。ありがとうございます。
 本日、議題1から5を通じて、特に資料3-1に今までの取組と現在も残っている課題をまとめていただきました。皆様と共有できたかと思います。
 まだ多くの課題はございますが、今後、目標を定めて柔軟な取組が大切かと思ってございます。
 それでは、本日の復興推進委員会の議事は以上となりますけれども、復興庁から事務的な連絡などがありましたらお願いしたいと思います。
○山野統括官 簡単に。
 お手元に1枚もののチラシがございます。来年の4月13日から2025年大阪・関西万博が開催されますが、復興庁ではここにございますように「つむぎ、つづける。Build Back Better」をコンセプトにしまして展示等をする予定にしてございます。東ゲートゾーンに、新設の夢洲駅の近くでございますけれども、デジタルモニュメント「奇跡の一本松」を会期中展示することと、EXPOメッセ会場では5月19日~5月24日に展示を特別にやろうと考えてございます。ぜひとも皆さん御来場いただきまして、実感をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。
○今村委員長 ありがとうございます。
 来年5月ということで、こちらは世界にぜひ取組を発信して、特に教訓等、また様々な思いをつなぐ場になればと思ってございます。
 本日も活発に御議論をいただきまして感謝を申し上げます。本日の御意見を踏まえまして復興に取り組んでいきたいと思っております。
 本日の議事要旨は速やかに公表させていただきます。議事録を確認していただき、最後にまとめていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、第46回復興推進委員会を終了したいと思います。御協力いただきまして大変ありがとうございました。

 (以上)

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