記者会見等
細野復興大臣・内閣府特命担当大臣記者会見録[令和8年10月30日]
令和8年10月30日(金)8:49~9:16 於)中央合同庁舎8号館5階共用会議室B
1. 発言要旨
いよいよ11月の2日に、防災庁発足が迫ってまいりました。防災庁というのは、国民の生命、そして身体、財産を守るという非常に大きな使命を負っておりまして、正に守りの防災庁という大きな役割があるわけです。一方で、世界を見た時に防災というのは非常に関心の高いテーマでございまして、そういったことにしっかりと備えていくという意味では、「危機管理投資」を進め、力強く、持続的な経済成長を実現をし、さらには国内市場で生まれた製品を海外へも展開していくと、こういう面がありまして、それを私は「攻めの防災庁」というふうに位置付けていきたいと思っております。パネルにお示しをしておりますが、日本の成長戦略におきまして、防災技術については、5年間で2.6兆円という官民投資が既に想定をされています。発足を来週に控えた防災庁の中で、それを生かして、しっかりと経済成長にも結び付けていくという発想に立ちたいと思っております。
そして、その防災技術を開発し、実装し、防災産業の振興や海外展開にもつながるように平時としっかりと連携をさせていく。デュアルユースという言葉もありますが、平時と災害時というものを、明確にここから平時、ここから災害ということで分けるのではなくて、平時も使える技術を有事も活用していくという、こういう発想に立つことも必要だと思っております。具体的には、国内外のニーズを踏まえまして、当面、展開できる重視をすべき分野として五つを挙げさせていただきました。
まず、災害用トイレです。これは災害時において、様々な私、今度要請を出しますが、その中でも最優先事項だと思っています。やはりトイレがきちんと用意されることで、その場所の、それが自宅であったとしても、また避難所であったとしても被災者の皆さんの環境というのは全く違うものになるわけです。様々な技術が既にトイレについてもこれまで蓄積をされていますが、それをさらに発展をさせて、国内の被災者の皆さんの環境を変えていきたい。さらには、それを海外へも展開していきたいという、こういう思いがございます。
続いて、防災食ですが、これも大変おいしい防災食がたくさん出てまいりまして、被災者の皆さんの環境というのを大きく変える可能性を秘めていると思います。近く中司大臣と共に、おいしい防災食をこどもたちと食べようということでイベントを開催をいたしますが、防災庁の設置を契機に、防災食そのものをより高付加価値化、さらには海外展開もできるようなものということで、しっかりと後押しをしていきたいと思っております。
続いて、SAR衛星の活用技術でございますが、これは日本の強みでもありまして、既にかなりの衛星が上がって、様々な情報を得ることができる環境になっております。災害の被害状況を含めて、このSAR衛星の技術を使うことによって、様々な分野での活用というのがこれから想定をし得ると思いますので、これももう一つの重点分野というふうに捉えております。
また、復旧・復興段階においては、自動・遠隔施工なども非常に有望だと思っておりまして、本当にここもデュアルユースということで、既に建設現場などでもかなり活用されておりますが、特に災害時においては非常に有望な技術だというふうに思っておりますので、さらに後押しをしていく必要があると思います。
また、林野火災の消火技術につきましては、日本でも林野火災というのはこの数年増えておりまして、具体的な散布の方法であるとか、散布をする物質の研究であるとか、こういったところも進んでおりますが、特にこの分野は、海外でも非常にニーズが高まっているところだと思います。高市総理も総務大臣の時代から、この問題に取り組んでこられているということでございますので、重要な分野の一つとして、しっかりと後押しをしていきたいと思っております。右側に市場規模が書いてありますが、年間の海外市場規模で昨年一年間ということで見ても、上からずっと金額書いておりますが、合計をすると4兆円ということです。さらなる成長が見込めますが、仮に現状にとどまったとしても、5年間で約20兆円というふうに推計されるわけです。これだけの市場がある中で、我が国が技術的にしっかりとレベルを上げ、そしてそれを海外展開して、貢献できる分野というのは非常に大きなものがあるだろうと思っております。
私は、担務として国際防災協力担当大臣というのを併せて拝命をしておりまして、今後、関係省庁とも連携をしながら、来年半ばを目処に「国際防災協力戦略」というものを策定することといたします。その際は、もちろん防災庁としても取り組んでまいりますが、他の省庁ともしっかり連携をしていきたいと思っています。
まだ構想段階でございますけれども、防災と、例えば国防ですね。防衛、これも極めて親和性が高いと思います。特に遠隔技術であるとか、無人化の技術、ドローンの活用なども含めて、協力する余地というのは相当あるだろうと思います。そういったことも含めて、様々な省庁と連携をしながら、防災を一つの産業として育てていくということで、防災庁の発足に先立ちまして、皆様に報告をさせていただきました。私からは以上です。
2. 質疑応答
(答)防災庁の役割というのは、国民の生命・身体・財産を守ることでして、これまでの内閣府防災とはレベルの違う、大きな役割を担っていかなければならないと考えております。つまり端的に言えば、南海トラフを含めた国難級の災害においても、しっかりと国が役割を果たし、国民を守るという強い決意を持っているわけです。それはしっかりとやるということは、改めて皆さんに強調しておきたいと思います。
ただ、どんなに国がその役割を全うしようとしたとしても、どうしても、やはり自助の部分が残るということを皆さんに理解をしていただきたいというのが、国民に対する緊急要請を出す趣旨でございます。逆に言うならば、防災庁ができるから防災庁に頼れば大丈夫だよねというふうに万が一、国民の皆さんが思われるとすれば、それはむしろ国の防災の体制というものを非常に弱くすることにつながってしまうと。同時に、国民だけではなくて、地方公共団体にも要請を出します。それは同じ理由でして、国がやるので自治体はやらなくていいということになると、これは深刻な事態もたらす可能性があるんです。それを生じさせるようなことがないようにということで、要請を出すということです。
御質問にあった何か、例えば戦争のような危機的な状況が生じる情報があるのかとか、また事前の災害の予知、地震の予知などの情報があるのかとか、そういった話が一部で出ているということですが、そういうことではありません。ただ一方で、例えば南海トラフに関して言うと、30年以内に60%から90%の確率で発生するわけです。さらには、首都直下も同様のリスクがあるわけです。常にやはり、それに備えなければならないと。いつ起こってもおかしくないという状況ですから、その意味で事前防災の意義というのは極めて大きいものがあって、国民の皆さんにもそのことを自覚をしていただきたいと、こういう思いでございます。
(問)もう一点、別件で伺います。細野大臣は、28日に官邸で高市総理と面会し、その際に総理から、「熊本地震での避難所環境に課題があった」と改善の指示を受けたとしています。具体的に避難所環境の改善に向け、どのような目標を防災庁として設定し、その達成に向け、どう取り組んでいくのか考えを伺います。また、細野大臣自身は、熊本地震を振り返って、避難所環境のどのような部分に課題を感じていらっしゃるのでしょうか。備品が整うまでのスピード感、TKBBの環境、3か月経った現在の状況など、具体的に教えてください。
(答)これまで内閣府においては、避難生活に関する自治体向けの「取組指針」などを設けておりまして、その中で「スフィア基準」に沿った内容で自治体に様々な取組を求めてまいりました。具体的には、まずは物資の備蓄です。そして、それだけではなくて、災害協定を平時から進めるなどして、発災直後から快適なトイレ・温かい食事・ベッド・入浴の機会、あとは夏・冬それぞれの状況がありますので、暑さ・寒さ対策を意識して、発災時における避難生活環境の改善をするということで、これまでも取り組んでまいりました。ただ、自治体によって、それぞれ財政的な制約もありますし、ノウハウの不足もあるし、また率直に言って、規模によってかなり力にも差があるということもございます。そこで、そういった場合については、都道府県がそれをしっかりとサポートする体制をつくるということも含めて、自治体だけに依存しない体制をつくらなければならないというふうに認識しております。
熊本地震、今年起こりました。過去の教訓を生かして、国としてはプッシュ型で支援をするなど、スピード感を持って対応しようとしたというのはございます。ただ一方で、やはり課題があったのも事実でして、総理からも指摘がありましたが、一つの例としては、備蓄品そのものが十分揃ってなかったと。結果として、数が足りなくて、ベッドなどについては数が足りないので、平等に配れるまでは配るのをやめようということで行き渡らなかったと、結局は。誰にもいかなかったというような例があったということです。
ここもガイドラインにしっかり書こうというふうに思っておりますが、もちろんプッシュ型も含めて、数がしっかりと充足するように努力をするわけですが、ラストワンマイルとよく言われるところで、なかなか最後までは届かないというケースは、特に国難級の災害についてはあり得るわけです。そういう場合については、よりニーズが高い方、例えばお年寄りであるとか、障害のある方とか、いろんな御事情がある方に優先的にベッドを提供するであるとか、食事も提供するであるとか、そういった対応もしていかなければならないというふうに思います。
また、一部、夏だったということもあって、食中毒の懸念があって配れなかったという話もございました。そこの判断は難しいところだと思うんですけれども、非常に栄養バランスが偏った食事を食べ続けるというのは災害関連死を招きますので、食中毒の懸念というのは最小限にするという努力をしながら、食事を提供するというのも考え方としてあると思うんです。そういう非常に、今回のケースに関しては難しい事情もあったと思います。
ただ、災害というのは必ず、それぞれ場所も違えば、状況も違う、季節も違う状況で発生するわけですから、そういった場合に臨機応変にどのように被災者に寄り添うかということに、最後はどうしても人の部分になってくるんです。そこも含めて、そういう人材を育てるということもまた重要かなというふうに思っております。
最後に、間もなく防災庁が発足をします。全国どこでも、発災をした場合に被災者の方々が良好な生活環境を享受できるというのが防災庁の最大の役割の一つだと思っています。例えば、南海トラフのような国難級の災害の場合に、明確に何日までにこれをお届けしますと約束するのは、正直言って、まだこれは難しいです。実際にいろんな今、調整をしていますが、難しいです。ただ、国難級と言われる災害よりも規模が小さい災害については、やはり明確に目標を設けるべきだと思っております。TKBB、トイレ、キッチン、ベッド、バスについては、一定のレベルの災害が発生した場合については、いついつまでにこれをお届けをするという目指すべき目標を設定をして、お示しをしたいと思います。それも防災庁発足をして、できるだけ時間を置かずに発表することとしたいというふうに思います。
今回、熊本でもやはりいくつか、非常に大きな反省点というのがございました。それをしっかりと教訓にして、克服をして、防災庁が誕生したことによって日本の避難所が変わったなという状況を何としてもつくりたいと考えております。
(問)一昨日、細野大臣は、日本維新の会から防災庁設置に向けた提言書を受け取られました。提言書には、統合型水害ハザードマップの全国での作成や、ふるさと防災職員の処遇改善など、多岐にわたる内容が盛り込まれていたと思うんですけれども、提言に対する大臣の御所感と、もし特に目を引いた部分ですとか、すぐに実行したい項目があれば教えてください。
(答)日本維新の会からの提言については、防災調査会の金子会長を中心に非常に精力的な取りまとめをされたということで、中身全部、しっかり読ませていただきましたけれども、これまでいろんな政党から提案を私、この分野にかかわらずいただいたことありますけれども、また関わったこともありますけれども、本当に充実していて、読み応えのある、そして実現を目指すべき提案だなというふうに思いました。かなり具体的でしたし、防災庁として、それをしっかりと反映すべきところというのは非常に多くあったと思います。今、言われた、ふるさと防災職員の処遇改善、これは私も大臣就任直後から必要性を感じてきたところですけれども、これなどもそのとおりだと思います。ふるさと防災職員そのものが発足してからまだ2年なので、期間が非常に限られているんですが、実際、非常に皆さん頑張っておられるし、有能な方が入っていただいて。あと、何より意欲が高い。そういった皆さんの思いを生かすという意味では、これなんかも非常に是非やりたいと思うテーマの一つです。
あとは、災害関連死ゼロというふうに書いておられて、正直言って、今の時点でゼロという目標を防災庁として掲げられるかというと、熊本での対応も含めて、なかなかそこまで言い切れない現状というのはあリます。ただ、やはり目指さなければならない方向性としては、もう本当にそのとおりだと思います。具体的にそれをやる方法もかなり明示をしていただいておりまして、災害ケースマネジメントということなんですけど、これがやはり災害関連死を減らすには鍵を握るんです。つまり、それぞれの被災者の皆さんの状況にしっかりと寄り添って、サポートしていくという仕組みです。これは被災した自治体が担うしかないと、事前の準備も含めて、そう書かれていて、本当にこれはそのとおりだと思います。逆に言うならば、被災した自治体ができるだけ被災後の対応については、しかるべきタイミングから災害ケースマネジメントに注力する体制ができれば、非常にそれは被災者の皆さんにとってもプラスになるというふうに思います。それをやる意味でも、具体的な方法として、避難所の運営については、民間やNPOにできるだけ任せていく、連携をしていくということが書かれています。
また、罹災証明書の発行は、これはあまり地域性がないと。そのとおりなんです。家の損壊状況によって、ほぼ自動的に決まってくるものですから、そこはその自治体の職員ではなくて、他の自治体で訓練を積んだ罹災証明コーディネーターが中心でやるべきだ。これもそのとおりだと思います。ただ、罹災証明コーディネーターの数がものすごくまだ少ないものですから、これを増やさないと実際にはできないと。
いくつか例を挙げましたけれども、その他の部分も含めて、非常に現実的で、説得力のある提案だったと思いますので、日本維新の会の皆さんの提案というのをしっかりと実現をしたいなという思いを強く持っております。
(問)今の質問の関連なんですけれども、日本維新の会の提言の中に、地方機関の防災局に関することも含まれていたと思います。これもかなり具体的といいますか、大臣もご覧になられていると思うんですけれども、防災局とともに防災支局というものを設けて、全国7ブロックに設置すべきといったような提案だったということです。今現在、有識者会議等で議論されているというところだと思うんですけれども、与党である日本維新の会のこの点に関する提言への大臣の受け止めと、今後の防災庁としての対応にどのように反映させていくかというところを伺えればと思います。
(答)私も地方に防災庁が置くべき防災局について、ブロックごとに7か所という提案をいただいたことは、非常に目に止まりました。説得力のある提案だというふうにも思いました。これまで、特に南海トラフ地震や千島海溝、あとは日本海溝地震に備えて、2か所というのが一つのアイデアとして出ていたのは承知をしております。
ただ、現実的にその二つの災害だけを考えた時に2か所、どこにすれば、確実に防災局の役割を果たせるかというと、なかなか難しいですよね。さらには、事前防災の取組ということで言うならば、それは2か所では明らかに取組が薄いということになります。
ですから、有識者会議のほうには、私のほうからお願いして、箇所数ありきでやるのではなくて、忌憚なく自由に意見いただきたいということをお伝えをしています。その中で今回、出てきた提案ですので、与党の提案ですので、これは重いですから。それも踏まえて、有識者会議のほうでもいろんな御議論をいただきたいと思いますし、来年のしかるべき時に箇所数などについても判断をしていきたいというふうに思っております。
(問)度々の、改めての質問となり恐縮なんですけども、いよいよ来週月曜日、防災庁が発足します。発足を目前に控える中で、改めてなんですけども、大臣は発足日に合わせて緊急要請を出されると思いますが、発出先など、どういったものを出されるかお伺いします。また、緊急要請を発する狙いと、大臣が御期待されることも併せて伺います。
(答)まず緊急要請の発出先ですけれども、国民に対するもの、そして地方公共団体に対するもの、そして政府の関係省庁に対するものという三つの種類のものを考えております。国民に対する緊急要請と地方自治体に対する緊急要請は、防災庁ができることで、それぞれの取組をむしろ加速をしてもらいたいという思いを込めて出します。防災庁は、国民の生命と財産、身体を守るという大きな役割を担うし、その部分でこれまで以上に国が前に出るという体制をつくるわけです。何度も強調して申し上げますが、そこは強い決意を持って臨みます。
ただ、国がどんなに力を入れてやったとしても、国民の皆さんに自助の部分で行動を起こしていただかなければ命は守れないという現実がありますので、そこをぜひ皆さんに御理解いただいて、共に行動をしていただきたいという思いですね。
地方自治体においては、あえて都道府県に出します。都道府県に出す意図というのは、市町村にはそれぞれ、正直言ってかなり力の差もありますし、状況も違うと。また、南海トラフなどを考えると、非常に規模の小さい自治体に甚大な被害が及ぶ可能性があるわけです。その時に市町村の役場が機能しなかった場合は、住民の命を守れませんので、その時には都道府県にしっかりとした役割を果たしていただくことも含めて、市町村の取組状況の確認も含めて、都道府県に出すというのはそういう意図です。
もちろん一番権限として強いのは、関係省庁に対する緊急要請ということです。それは勧告権というのがありますので、防災庁のトップは私ではありません。長は、内閣総理大臣です。その意味で、内閣に直結をし、総理をトップとする防災庁というのは各省庁に対して、これは私の権限ですけれども、勧告権を持つという非常に大きな特徴でもあるし、権限も持つわけです。それを持つ防災庁から出る緊急要請というのは、各省に対しては非常に強い要請だというふうに受け取っていただきたいというふうに思います。
具体的には、各省庁のBCP(事業継続計画)そのものについてもしっかりと確認をする必要があると思いますし、それぞれ様々な業界や分野というのを持っていますので、それについての取組についてもしっかり確認をするものを考えております。
詳細については、2日に皆さんにお知らせをしたいというふうに思いますので、そこで御確認をいただきたいというふうに思います。
(以 上)
