57）

中間支援組織・ネットワーク

東日本大震災における状況と課題

　東日本大震災においては、被害が甚大であったため、被災地外のNPO等、企業など様々な主体が被災地での活動に取り組んだ。社会福祉協議会だけでこれら多様な主体の受け入れや調整を行うのは限界があり、NPO等の「支援仲介」「ネットワークキング」「コーディネーション（調整）」等を行う中間支援組織の役割が重要になった。

東日本大震災における取組

県域レベルでの中間支援組織の設立（課題①）

　被災３県では、県域レベルでの中間支援組織として、いわて連携復興センター、みやぎ連携復興センター、ふくしま連携復興センターが設立され、NPO等と行政機関との間で被災者支援に関する情報の集約・共有と活動調整が行われた。例えば、いわて連携復興センターは、県内外の連携の場づくり、３県相互の情報共有を行う３県連携復興センター会議の開催などに取り組んだ。なかでも震災直後からほぼ１週間毎に開催された岩手県連携復興会議では、被災者支援制度の内容やセンターでの被災者の相談内容について岩手県と互いに情報を共有し、被災者支援の進め方について協議がなされた（事例57-１）。

NPO等と行政機関とのネットワーク形成（課題①）

　2011年３月末、災害救援活動を行う団体によって設立された東日本大震災支援全国ネットワーク（JCN）では、募金や物資の受付など被災者支援情報を集約したウェブサイトの構築や支援者向けの活動ガイドラインの作成を行った。設立翌月からはNPO等と各省庁との定例連絡会議を開催し、セクターを超えて行政機関との情報共有や連携を行った⁽¹⁾。
　県域での応急期における非営利組織同士のネットワークづくりとして、宮城県では、公益社団法人３.11みらいサポート（旧：石巻災害復興支援協議会）が被災者支援に関わるNPO等が円滑に活動できるよう定期的に様々な会議を開催し、調整や連携のサポートを行った（事例57-２）。

多様な市民活動団体の協働によるまちづくり（課題②）

　仙台市では、阪神・淡路大震災を契機に、市民活動サポートセンターが設立された。同センターは全国初の「官設NPO営」のサポートセンターであり、東日本大震災時には、被災地の市民活動やボランティア団体の情報を収集し、チラシ・ポスター・ニューズレター等で情報発信やNPO等へ資金助成を行い、現在では市民活動の専門機関となっている⁽²⁾。

組織運営と財政基盤の確立支援（課題②）

　社会福祉法人中央共同募金会は、発災直後の３月15日に「災害ボランティア･NPO活動サポート募金」を創設し、災害ボランティアセンターの運営や復興期のNPO等の協働事業への助成など総額42億円の助成を行った⁽³⁾。
　日本NPOセンターでは、被災３県で被災者の生活再建を支援する現地NPOのために「東日本大震災現地NPO応援基金」を設立し、2011年３月から、NPO等のスタッフの育成や支援者拡大の仕組みづくり、情報ネットワークの構築などについて助成活動を行っている⁽⁴⁾。
　ジャパン･プラットフォーム（JPF）は、東日本大震災への支援活動を迅速かつ効果的に実施する目的で、2011年４月に「共に生きる」ファンドを設立し、資金助成のみならず、活動計画の策定や事業運営管理に関する助言も行った⁽⁵⁾。

→関連項目：54）ボランティア・NPO等の人材の確保と平時からの連携