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土屋復興大臣就任記者会見録[令和5年9月14日]

令和5年9月14日(木)10:40~11:10 於)復興庁記者会見室

1.発言要旨

 皆様、おはようございます。

 昨日、岸田総理から辞令を頂きまして、復興大臣及び福島原発事故再生総括担当大臣を命ぜられました土屋品子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 総理からは、全閣僚に対して「東北の復興なくして日本の再生なし」との強い思いの下、被災者に寄り添い、被災者支援、農業、なりわいの再生、災害に強い地域づくりを推進するとともに、被災地、特に福島の復興・再生に向けて、福島国際研究教育機構の整備をはじめ全力を尽くすこと、また廃炉に不可欠なALPS処理水の放出に関わる風評影響への対応に全力を挙げて取り組むことなどの御指示がありました。

 私に対しては、復興大臣として被災地に寄り添いながら、各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹したきめ細かな対応により、福島の本格的な復興・再生、東北復興の総仕上げに全力で取り組むこと、被災者の心のケア等の残された課題や人口減少等の全国の地域に共通する中長期的な課題に取り組むこと、福島の本格的な復興・再生を加速するため、国が前面に立ち、それぞれの地域の実情や特殊性を踏まえながら、帰還等の促進、風評払拭等に向けた取組を進めること、関係大臣と協力し、創造的復興の中核拠点となる福島国際研究教育機構の体制整備を進め、日本の産業競争力の強化や日本・世界に共通する課題の解決に向けて取り組むことなどの御指示をいただきました。

 東日本大震災の発災から12年が経過し、震災からの復興は着実に進んでいる一方で、原子力災害被災地域においては、今後も中長期的な対応が必要となっている等、地域に応じたきめ細かな対応が必要となっております。地震・津波被災地域の残された課題に全力で取り組むとともに、原子力災害被災地域の本格的な復興・再生に向けた取組を一層進めてまいります。

 まず、被災3県の知事になるべく早く就任の御挨拶に伺うべく、日程調整をお願いしております。また、福島県には本日午後訪問する予定でございます。また、被災地の現場の実情をしっかりと把握するため、被災市町村にもできるだけ早く訪問したいと考えております。

 ALPS処理水の風評影響に関しては、ALPS処理水の安全性ととともに、三陸・常磐ものなど地域の魅力を国内外に積極的に発信してまいる所存でございます。

 改めて、総理から御指示いただいたとおり、現場主義に徹底し、被災者の方々に寄り添い、縦割りを排して司令塔の役割を果たしつつ、被災地の復興に全力を尽くしていく所存でございます。被災者の方々をはじめ国民の皆様におかれましてはどうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

 

2.質疑応答

(問)昨日、岸田総理が総理会見の中で、土屋復興大臣については、「女性ならではの視点を最大限に生かして被災地に寄り添った復興政策に腕を振るってもらいたい」というような御発言がありました。御自身がどのようなことを期待されて今回復興大臣に就かれたと受け止められているか、そして、これまでの経験をどのようにこの復興という分野で生かしていきたいのか、改めて教えてください。

(答)総理の「女性ならではの」というのは、それはそれで一つの課題というかテーマであると思っていますが、私自身、小選挙区で戦い抜いてきた議員といたしましては、男・女という感覚は持っておりませんので、そういう意味では復興大臣としてしっかりと働かせていただきたいと考えております。

 しかし、私自身いろいろな経験をしております。また、私も料理研究家ということでいろいろ皆様に新聞等でも書いていただいておりますけれども、栄養士でもありますし、国民の健康というものを中心に活動してまいりましたので、やはり福島、岩手、宮城においても、やはり復興とともに精神的なケアと健康ということに対して、私は一生懸命やりたいなと思っております。よろしいですか。

(問)御自身はこれまでの経験をどのような形で生かしていきたいかというところにも触れていただければと思うんですが。

(答)私は食育を推進してまいりましたので、食育活動を通して、特に地域での女性たちの活動、どういうふうに皆さんが活動しているか、そういうことも知りたいと思います。そして、そういう中で皆さんと何か復興のためにできることを探していきたいなと考えております。

 私もこの東日本大震災が発災した直後、1か月後に私の車にいっぱい食料を積んで現地へ行ったわけでございまして、その時の記憶というのは一生忘れられないような記憶を持っております。ですから、12年がたっていますけれども、その中でやはり皆様が地域で頑張ってこられたことによって少しずつ復興しているわけですけれども、更に必要なものに対して、今回復興大臣としてお手伝い、またリーダーシップをもって結果を出せるかなと、頑張りたいと思っております。

(問)今の回答にちょっと関連するんですけれども、土屋先生の選挙区も埼玉ですし、経歴的には震災だとか被災地だとかとこれまであまり関わりが比較的少ないのかなという印象は持っているんですけれども、これまでの関わりがどういったものがあったのかというのをお伺いしたいのと。今、その1か月後に行かれた際に一生忘れられないというふうにおっしゃっていましたけれども、何か心に残るエピソードといいますか、これから重責を果たされる上で何か支えになるような御経験がありましたら教えてください。

(答)私は、ミニテニスというスポーツ団体があるんですけれども、これは全国組織なんですけれども、今現在、顧問をしておりますが。その当時、ミニテニスの仙台の支部がありまして、そこが被災したということで、私もその関係ですぐにでも食料を届けてあげたいという思いで、1か月後に仙台に入りました。

 それから、私たちの仲間の国会議員の地域でお母さまが被災したということを伺いまして、事務所も流されたということを伺いまして、気仙沼まで参りまして、そしてすごい現状を見ました。船がビルの中に突っ込んでいる状況とか、もう街中は泥だらけ、本当にすごい状況を見て、これは大変なことが起こったなということを感じたわけです。本当にささやかな応援だったと思いますけれども、私としては本当にそれは一生忘れられない思い出。

 それから原発の事故ですから、私もやっぱり地域で原発の状況がまだ把握がはっきりされていないような状況の中で、東北縦貫をずっと行きました。東北の道路が洗濯板みたいな道路になっていて、やっと一般人が通してもらえる時が1か月後だったんですね。すぐにも行きたかったんですけれども無理だったので、1か月後に入れるようになってからすぐ行きましたけれども。その時、私、実はチェルノブイリの子供たちを支援していまして、仲間がいまして、ガイガーカウンターを持っていたんです。それも専門家が使う大きなガイガーカウンターを持っていまして、それを積んで道路を走りながら、箇所箇所で全部測って記録して、そして向かいました。二本松の辺りが大変に高い数字でございまして、この原発事故の恐ろしさ、それからすごさというのを肌で感じたという経験がございます。

 その後、環境委員会に所属していましたので、原発の現場視察もいたしました。それから除染の状況も、最初の頃ですけれども視察させていただきました。それからALPS処理水のタンクが水がたまってしまっているという状況に関しましても、その後また環境委員会に結構長くいましたので視察させていただいたり、折に触れ、東北の地域の現状というのを見せていただきました。

 それと同時に、埼玉県は意外や福島の方が元々親戚に多くてたくさん住んでおりまして、この東日本大震災が起きた時に、私が住んでいる春日部市の家の本当にすぐ近くに東電のアパートがありました。東電のアパートはそういえば今誰も住んでいないよね、だけど取り壊すという話があるけれどもまだきれいだよねということで、東電に働きかけまして、あのアパートを、被災者で埼玉に住んでもいいという方が一時的にでも借りられないかしらということで働きかけをしまして。それで結果的には、住めるように少し中を直しましょうということで、福島の方たちが移住してまいりました。

 一時的だったつもりなんでしょうけれども、地域の皆さんが非常に親しく、そして暖かく地域の自治会なんかのいろんな集まりにも呼んであげていたら、埼玉住みやすいね、雪も降らないからということで定着された方も何人もおりまして、そういう方たちとも自治会の集まりでお話をさせていただいたりしております。

 そういう意味では、埼玉は遠い地域ではありますが、気持ち的には福島は非常に身近なところでありまして。例えばお祭りで、福島の海産物とかそれから果物なんかもみんなで応援しようよということで販売したりしております。それから県人会があちこちにあります。そういう方たちとも出席をしております。粗々、頭に浮かぶことを出させていただきました。

(問)ALPS処理水の対策について伺います。先ほどの引継式の中で、前大臣からも特にやってほしいよというふうに、そういうふうに引継ぎなされたかと思うんですけれども、既に残念ながら実害が出ている事例もございまして、ここで復興庁の発信力というのが問われてくるのかなというふうに思うんですけれども。具体的にどのようにして存在感を高めていくか、対策に取り組んでいかれるか、改めて考えをお聞かせください。

(答)このALPS処理水の処分が完了するまでは、全責任を持って取り組むこととしておりますけれども、これは復興庁だけではなくて、全省庁が縦割りを排して、ALPS処理水の安全性について、日本国内だけでなく世界に発信していかなければならないので、折に触れ私も大臣として各大臣にもお願いして、いろんなチャンスで風評被害を払拭するために、安全な水であるということを広く広めていただこうと思っています。

 先月の25日に風評対策タスクフォースを開催しておりまして、復興大臣から関係省庁に対して、風評対策について関係省庁が一丸となって取り組むというような指示がされたところです。これは前大臣がされたと思います。

 具体的には、科学的根拠に基づいた正確な情報を国内外に分かりやすく発信するということが大事だと思います。それから、大消費地等、これからしっかりとやっていかなければならないと思いますけれども、イベントフェアや海外市場へのトップセールス等に取り組みたいと思っています。三陸・常磐ものをはじめとする地元産品や地域の魅力を更に効果的に発信してまいりたいと思います。

 私は大臣になる前に、日本・カナダ議員連盟というのがありまして、1年置きにお互いに議員が交流しておりまして、そしてこの議員連盟は非常に真面目に議論をします。今回も安全保障の問題とか子供・子育て、少子化の問題等議論を行いました。その中で私は、ちょうどこのALPS処理水を放出する時期と重なりましたので、カナダの国会議員に10名ぐらい参加していただいたんですけれども、そこで日本の現状とALPS処理水の安全性について訴えまして、カナダの議員の皆様もいろんなところで是非声を大にして安全ということを言っていただきたいということをお願いしてまいりました。

 ですから、国会議員全員がそういうチャンスがある時に、必ず今の処理水の問題についてはメッセージを発信するということが大事だと考えております。

(問)もう一点よろしいでしょうか。先ほどの御発言の中で、宮城・岩手県についても心のケア、健康について取り組みたいというふうに言及をされていました。両県について現時点で何か認識されている課題であるとか取り組みたい課題について、もう少し詳しく教えてください。

(答)心のケアというのは非常に難しい問題だと思いますが、中長期的に一人一人の心に寄り添いながらケアをしていかなければならないことなんだろうと思いますけれども、まずは地域に人が戻っていないという意味では、人口減少の中で一人暮らしの方もいると思うんですね。そういう方たちのケア、コミュニティーの形成というのが非常に大切かなと思っています。

 それから、産業を創出しないと生活していて大変な状況だと思いますので、造成宅地や移転地域の活用もまだまだ進んでいない状況だと思いますし、それから中核産業である水産加工業の販路開拓なども課題が残っていると考えておりますので、その辺また現状をチェックというか、私もまだ行っておりませんので、これからの課題だと思っております。

(問)このたびはおめでとうございます。よろしくお願いいたします。

 2点ありまして、1点は、先ほど御発言でもありました心のケアですとか、あと健康といったことを非常にこれまでやられてきたということでしたけれども、復興政策に関しては、何か御自身の強みを生かした新たな政策みたいなものをもし考えておられるのであれば教えていただきたいと思います。

(答)復興大臣になってまだ今日で1日目ということなので、今後いろんな状況をしっかりと把握した上で答えていきたいかなと思いますけれども、一番大事なのは現場主義だと思いますので、できるだけ多くの人にお会いして、いろんなお話を伺うことによって、何が今問題点なのかということが分かってくるんじゃないかと思いますので、今日のところはこのぐらいにさせていただきたいと思います。

(問)ありがとうございます。すみません、もう一点ありまして、帰還困難区域への対応についてお伺いしたいと思うんですけれども。現在、これから帰還意向がある方の帰還が本格化していくと思うんですが、中では戻らないことを決めた方の土地・家屋の問題がまだ残されているかと思います。その点について何かお考えがあればお願いしたいと思います。

(答)帰還の意向のない方々の所有する土地や家屋など、残された土地・家屋等の扱いについては、引き続き大変重要な課題でありますので、地元自治体とも協議を重ねつつ検討を進めてまいりたいと思います。簡単にそうですねという問題ではないと思いますので、しっかりと自治体と協議をしながら進めてまいりたいと思います。

(問)2つあるんですけれども、1つずつですみませんが、まず復興庁の組織についてなんですけれども、これまで12年余り、復興庁ができてまだ11年ですけれども、この組織について、大臣は外から見ていてどういうような印象を持っていたのか、あるいは復興庁に対しての何か課題みたいなもの、組織についての課題について何か考えたことはあるかどうかというのを一つお伺いしたいんです。

 それで何を聞きたいかというと、これから例えば南海トラフとか関東直下型の地震が起きるという時に、今の復興庁のミッションというのは、東日本大震災の復興、それから原発事故からの再生・復興というのが大きなミッションなんでしょうけれども、ほかの災害について、もちろん一義的には官邸とか内閣府防災のほうで対応するのでしょうけれども、復興庁が現在のままでいいのかどうか、組織の在り方についてまず伺いたいのが1点目です。お願いします。

(答)外から見ていてですかね。復興庁は復興のために各省庁から職員が来て、そして一丸となってやっているという認識がありました。その時に、やはり寄せ集めじゃないかというような批判もあったかもしれませんけれども、11年の中で皆さん本当に頑張ってこられたというのが私の印象でございます。

 それで、今、復興庁に限らず、やっぱり縦割り行政というのがこの何十年かの我が国の課題だったと思うんですね。そういう意味では、昔に比べてかなり縦割り行政も払拭されてきていると思うんですけれども、復興庁こそが正に様々な省庁と連携をとっていかなければならない所だと思っておりまして、今後も復興大臣としての今の所管をしっかりと進めていくこと、その中で横軸をしっかりと刺していって、そして私もリーダーシップをとって先頭を切って頑張っていきたいなというのが今の思いでございます。

(問)かつて「防災復興庁」みたいな、内閣府防災と統合して復興庁が一般的な災害にも対応できるようなという意見もあったんですけれども、こういった考え方には大臣はどういうようなお考えですか。

(答)私は、今の現状を見ますと、人数からしても、この東日本の復興、これだけでも大きなテーマでありまして、この様々な問題を解決していくことがまず第一ではないかと思いますので、復興庁としてそれをしっかりと進めていって、災害関係は別の省がしっかりと受け止められると思いますので、これを合体するよりも、まずは東日本のために、これは復興のためにつくった庁でございますので、しっかりと目的に対して突き進んでいくことが大事だと思っております。

(問)もう一つなんですけれども、先ほど言った帰還困難区域が福島に残っておりますね。

(答)はい。

(問)制度的に、今回、特定帰還居住区域という制度が始まって、その前は特定復興再生拠点区域という、復興拠点と言っていますけれども、それでもやはり大半の帰還困難区域が残っていると。ここについては、今のところもう人は住まないという前提なので、除染はしないということになるのですけれども、地元の自治体や住民から、やはり全域除染してほしいという声が強くあります。一方で、人が住まないのになぜ除染をする必要があるのかとか、それから、かなりその費用、それから人繰りの問題とか労力が必要になってくるので、そこについてはかなり慎重な意見もまだあると思いますが、人が住まなくなっている人が住まない帰還困難区域について、大臣はこれからどうすべきだというお考えでしょうか。

(答)今の段階では、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除して、復興再生に責任を持って取り組んでいくというつもりでございますので、この決意は揺るぎないということで、これは総理もそのようにはっきりと述べておられますので、私もその方向に向けて頑張っていきたいと思います。

 具体的にと言われますと、私は現場にこれから入りますので、まだ今日のところは答えは出せないかなと思いますが、やっぱり地方自治体との関係は非常に大きいと思います。

(問)御就任おめでとうございます。

(答)ありがとうございます。

(問)できるだけ早く現地に入ってというところではありましたけれども、今日福島のほうに行かれるということですが、今後のところ、岩手、宮城のほうに入られる予定というのは、現時点では何もまだ固まっていないということでしょうか。

(答)私は今日にでも行きたいんですけれども、知事さんの予定が残念ながらまだはっきりしておりませんが、できるだけ早く行きたいと思います。

(問)福島のことでいうと、いろいろ課題はあって、岩手、宮城とは違うということで先ほどありましたけれども、心のケア、コミュニティー形成が大切だということでしたけれども、そのあたりはまずは現状のチェックをしてからというところで、今のところではこういったところが課題だとか、こういうふうに取り組んでいきたいとかということは特段言及できないでしょうか。

(答)いろいろ知識としては頂いていますが、やっぱり私自身が、ポイントで見るのではなくて、総合的に見させていただいて、地域ごとの判断というのも大事だと思うので、今の段階で軽々にお答えできないということで御理解いただきたいと思います。

(問)発災直後、仙台のほうに1か月後に行かれて、また、埼玉と福島の近さというところも先ほどありましたけれども、ちなみに岩手は行かれたこと、何か印象に残っているところはあったりしますか。

(答)岩手。行ってないか。でも、東日本の震災の後じゃなくて、その前には旅行に行っていると思います。スキーが大好きなんです。ですからスキー場には行っております。


(以  上)

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