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今村復興大臣記者会見録[平成28年12月22日]

今村復興大臣閣議後記者会見録(平成28年12月22日(木)10:20~10:40 於)復興庁記者会見室)

1.発言要旨
 おはようございます。私からは予算等々についてお話しさせていただきます。
 まず1点目でありますが、平成29年度復興庁予算案及び平成29年度税制改正の大綱が閣議決定されました。
 被災地においては、これまでの集中的な公共投資等の結果、住宅やインフラなど、ハード面ではかなりの程度、進んできたのではないかと考えています。
 一方で、福島に関しては、先日、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針」が閣議決定されたところですが、原子力災害からの再生という大きな課題に直面しているところであります。
 また、産業・生業の再生に関しては、観光分野では全国的なインバウンド急増の流れからの遅れが見られるほか、被災地、特に三陸沿岸部では、水産関係の工場などハードの復旧は進んだものの、震災による大幅な人口減少に伴う人材不足などの問題が見られるところであります。
 そのため、今回の政府予算案においては、被災地のニーズを踏まえ、東北の観光復興、被災地の人材確保対策、福島県の農林水産業の再生など、生業の再生に向けたソフト面の施策の充実を図るとともに、原子力災害からの再生に向け、特に福島県の相双地域等の復興再生に向けた総合的な支援に注力しています。
 また、使い勝手を良くするために、様々な施策を準備し、パッケージとしてお示しすることで効果を高めてまいります。こういったことを被災地以外にもしっかりアピールして、企業誘致等の力になればというふうに思っております。
 こういったことを踏まえまして、平成29年度復興庁予算案の総額は約1兆8,000億円となっております。このうち、福島の復興再生に向けた主な支援の施策は9,000億円となっています。
 具体的な内容は資料1に掲載しておりますので、詳細は事務方にお問合せをください。
 それから、今回の概算決定を受けて、予算に限らず29年度にどこに力点を置いて取り組むのかということで、私なりの考えを整理した資料を配付しておりますので、資料3を御覧いただければと思います。
 まずは、福島県でありますが、特に相双地域に関してでありますが、福島の復興を成し遂げるためには、この地域に人や企業を呼び込むことが重要と考えております。そのためには、医療、介護、教育といった生活環境の整備や、公共施設等の機能回復や放射性物質、汚染廃棄物の適正な処理といった、帰還環境の整備を通じて人を呼び込む基礎を整えるとともに、企業の新規立地、事業の再開、新規創業の支援を通じ、企業を呼び込んでまいりたいと考えております。
 次に、税制改正につきましては、帰還困難区域内の復興拠点における被災事業者の事業再開や、新規事業者の立地促進に関する税制などを政府大綱にも盛り込んでおります。
 次に、福島県の農林水産業の再生ですが、29年度の新規事業として福島県農林水産業再生総合事業に47億円を措置したところであります。   
 第三者認証GAPの取得や、流通実態調査、ポイントキャンペーンなどの風評払拭にとどまらず、生産から流通販売に至るまで、福島県の農林水産業の再生を総合的に支援してまいります。
 なお、教育旅行を含めて福島県の国内観光振興に特化した、福島県における観光関連復興支援事業に3億円を措置しており、風評払拭に向けた対策などの強化としては50億円規模となります。
 それから次に、被災地、特に三陸沿岸部の人材確保対策であります。29年度予算では若者や専門人材を被災地に呼び込むとともに、企業の人材獲得力の向上等を支援する、被災地の人材確保に資するモデル事業をパッケージでお示ししたところであります。これによって、地域への人材の流れをつくり、個々の企業の人材獲得力や経営力の向上につなげてまいります。
 観光振興については、東北6県の外国人宿泊者数が今年に入ってから全国を上回る伸び率を見せています。全国は8.8%、それに対して東北6県は18.8%ということでありますが、更なるインバウンドの増大に向け、地域からの発案に基づいた取組や、東北の魅力の発信強化等を継続的に実施するほか、交流人口の拡大に向けた官民連携での取組を強化してまいります。
 産業・生業の再生に関しては、これらの取組に加え、被災者のニーズ等を踏まえ、東日本大震災事業者再生支援機構の支援決定期間を1年間延長することといたしました。この期間を活用して事業者の生業の再生を推進してまいります。
 最後に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、復興大臣としても関係閣僚と連携し、被災地での聖火リレーや競技開催、事前キャンプの実施など、復興五輪が実りあるものとなるよう努めてまいります。
 以上が、私が力点を置いている課題に対する現状認識、対応方針であります。
 続けて、2点目でありますが、今回、里山再生モデル事業のモデル地区について、第2回目の選定を行いました。今回は6か所、相馬市と二本松市、伊達市、富岡町、浪江町、飯舘村においてモデル地区を選定しております。
 それぞれのモデル地区の概要は配付資料にお示ししたとおりであります。詳細は会見後、事務方より説明をさせていただきます。
 前回は4か所でありますので、これで合わせて10か所ということになります。いずれも今後の住民の帰還や地域の復興にとって重要な位置づけにある地区であり、これらの地区において里山再生の取組を行うことは、大変意義のあることと考えます。
 今後とも地元の御要望を伺いながら、関係省庁が連携し、除染や森林整備等の事業を着実に行い、里山の再生に取り組めるよう復興庁としても力を尽くしてまいる所存であります。
 それから、3点目でありますが、来週月曜日、26日、宮城県大衡村、利府町、七ヶ浜町、多賀城市、仙台市を訪問する予定であります。トヨタの自動車工場や復興事業により新設されたかまぼこ工場、国際物流拠点である仙台港を訪問するとともに、2020年東京オリンピックのサッカー会場に予定されている宮城スタジアムを視察するほか、災害公営住宅を訪問し、地域の方々からコミュニティ形成等について伺ってまいります。
 以上でございます。
2.質疑応答
(問)帰還困難区域について、改めてお聞きしたいんですけれども、今回300億円計上されまして、先日の指針を見てもそうですけれども、東電に求償せず、国費でやるお考えを改めてお聞きしたいのと、あと、今後29年度以降、帰還困難区域の復興拠点の整備が本格化するかと思うんですけれども、どのように進めていくか、伺わせてください。
(答)これについては前回も質問が出ましたが、新しいステージに向けて少しでも地域の皆さん方の御要望に応えるということで、法律を改正して、それで復興拠点を国費で整備していくということになるわけであります。
(問)どうして東電に求償せず国費投入か、改めてそこをまずお聞きさせてください。
(答)これは、要するに今までのステージと違い、新しい取組をやろうじゃないかということであります。
 なぜ東電に求償しないかということなんでしょうが、そういう考え方も当然あり得ると思いますが、正直言ってやはりその地域を元気にしていくということ、これは非常に大きな政策課題でもありますし、やはり国が取り組んでいかなきゃいけないんじゃないかと。
 もう一つは、この間も言いましたが、東電にどうしてもやはり、東電もかなりぎりぎりであると思いますから、懐具合と言いますか、資金繰りなり何なりで結局遅れていくようなことになるとやはりまずいんじゃないかということも、私個人としては考えておりますから、ここはやはり国費で着々とやっていくのが地域のためになるんじゃないかなというふうに思っております。
(問)今後、各町村がつくった復興計画が上がってくるかと思うんですけれども、どのように復興拠点をつくり、整備を進めていくか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)これは、やはりどうやって地域に、ふるさとに戻ってもらうかという、その視点から取り組むものでありますから、やはり地元の皆さんがこういうことをやって、是非進めていきたいということが出てくると思います。
 それに対して、やはり本当にそれで、よくある地域づくりができるかどうか、そういったやりとりをしながら、どういうことをやっていくか、決めていきたいというふうに思います。
(問)復興・創生期間の2年目になる予算だと思うんですけれども、地元負担についてのお尋ねなんですが、額が今回どれくらいになるのかということと、大臣の受け止めをお聞かせください。
(答)地元負担は、今までやってきた流れを原則にしてやりますから、77億円で、負担の率としては、自治体負担で地方負担の5%、事業費の1%から3%、従来と大体同じというふうに考えています。
(問)大臣としては、どのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)これまでいろいろやりとりもしながらやってきていますから、とにかくあとはお金の額もさることながら、中身を、さっき言った使い勝手とも言いましたが、そういったいろんな意味で、お金をうまく生かして使うということで、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。負担が多いとか、大きいとか小さくしてくれという話は、今のところありません。
(問)帰還困難区域の整備の関係でお伺いしたいんですが、今回、帰還困難区域をどう復興していくかという具体的予算がついたかと思いますけれども、いわゆる復興拠点の切り札、インフラ整備を福島再生加速化交付金の中で行う。そして、今まで除染として求償した部分を一体型として行うのが、復興拠点内環境回復事業ということで、それぞれ807億、309億がついていますけれども、29年度予算ができたばかりでというか、案ができたばかりで聞くのもあれなんですけれども、今後、復興拠点の実際の計画ができ上がって、整備費をうたっていく場合には、インフラ復旧分は加速化交付金に積んでいって、除染に相当するような部分は回復事業に積んでいくというような、予算の組立てになっていくのでしょうか。
(答)その辺は、きちんと分けられればそれでいきますし、よく組み合わせながら、それぞれ分担を決めていきたいと思います。
(問)この東電に本来求償すべき除染を一体型でやるというのは、政府がそう決められたわけですけれども、この平成29年度予算案だと309億円、これが東電が実際免除されるお金です。先日の基本指針では、復興拠点の整備に、東電が最大限の人的派遣を行うと。それを政府が指導すると書いてありますけれども、その人的派遣の規模というのはどのようなものなんでしょうか。この309億円と見合うものなんでしょうか。
(答)それはまだ、具体的な数字はまだこれからです。
(問)東電に求償して、その除染費用を払ってもらうというのは、ただ単に経済的な負担だけじゃなくて、自分たちが起こした環境汚染について、やはり東電が向き合う行為の一つだと思いますので、これが、政府の理屈は分かりますけれども、責任が減免されるようなことがあったら、やはりそれはゆがんだ復興になると思いますので、その人的部分の規模をあえてお示しになることがいいのかと思います。あと、大臣が常々強調される風評被害対策ですけれども、今回の農林水産業関係47億、観光を含めれば50億ですけれども、これについて改めて、今の御所感を。
(答)もうこれだけ、御案内のように非常に安全な作物をつくっておられるわけですから、あとはそれをしっかりアピールして、そしてできるだけ農家の皆さんたちの努力が正当に評価される、そういった仕組みをつくっていきたい。そういう意味で、流通の段階でどういうことになっているのか含めて、今、かなり厳しく調査をしていますから、そういったことを含めて総合的に対策を立てていきたいというふうに思っています。
(問)最後に1点、お伺いしたいんですが、双葉郡の教育復興について、27億円の予算案ということですけれども、今まではどちらかというと、ふたば未来学園の整備のほうに力が込められていたわけですけれども、来年度予算案では、県立小高統合高校の教育環境整備も含まれておりますけれども、これは地域に高等教育機関があるとないと全然違う話で、この小高統合高校の教育環境整備には、今、大臣はどのようなお考えでしょうか。
(答)これは是非力を入れていきたいと思います。やはり地域の未来を担うのは若い人、子どもたちですからね。その子どもたちがこの学校に行って、頑張ろうじゃないかという機運が生まれるように、これは全力を挙げて、いろんな内容の充実に努めていきたいというふうに思います。
(問)福島の帰還に向けた環境整備を進める中で、自主避難者の方というのは全国にいらっしゃって、来年3月に住宅の無償提供も打切りになりますけれども、その辺も帰還を呼びかける取組に対して、そういう自主避難という方がいまだにいらっしゃって、更に延長を求める声なんかも出ているんですけれども、その辺の対策、取組といいますか、対応についてはどういうふうにお考えかということをお聞きできますでしょうか。
(答)これは災害救助法でもって対応しているわけですね。もうある程度こういうことで環境整備が進んできているということでありますから、できるだけ早くふるさとに帰ってきてもらいたいなというふうに思っております。そのために、今後もいろんな形で呼びかけをしていきたい。
 どうしても、中には個々の事情があるでしょうけれども、そういった方については、丁寧に対応しながら、しかし基本的には是非ふるさとに帰ってきてくださいよということで進めていきたいと思います。これは福島県が中心になってやることだとは思いますが、我々もいろいろな形でサポートはしていきたいというふうに思います。
(問)被災地の人材確保対策についてなんですけれども、特に三陸沿岸地域のということで、今回、新規で取り組まれるということだと思うんですけれども、どんなことを御期待されるかという大臣の御所感を伺わせてください。
(答)いろんなやり方はあると思いますが、一つには、外国人技能労働者の関係、その法律改正をやってきていますし、そういったこと。それからあと、現地のいろんな、学生さん、インターンみたいなことをやってもらって、実際、仕事の喜びといいますか、そういったものを感じてもらうようなこと、これが量的な面ではそういったことで、できるだけ魅力のある、そしてそういう確保していきたいというふうに思っていますが、もう一つは、やはりこれはある意味では構造的な問題もあるわけですね、人口減少という。それに対応する中では、やはりいろんな企業の、会社の合従連衡といいますか、アライアンスを、そういったこともやはり考えながら、できるだけ近代化もしながら、機械化もしながら、人材難に対応していくということも考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。
(問)今年、間もなく1年が終わりますけれども、2016年を振り返られて、御所感をお願いいたします。
(答)ちょっと早いかもしれませんが、閣議もどうも今日で終わりというようなことでありますから、皆さん方とこうやってお会いするのも、ひょっとすると最後になるかもしれませんが、大変、皆さんにお世話になりました。ありがとうございました。
 私も慣れない中でありますが、いろんな部下職員の皆さん、あるいは自治体の皆さん等々に御指導を受けて今日までやれたわけであります。
 やはり、本当に大変な災害だったんだなということを、改めて感じるし、そして非常にうまくいっているところ、そしてまだまだこれからの課題があるところ、非常にまだら模様になってきているなということを感じておりまして、今後、順調なところを、更にこれをきちっと固めていく。そして、いま一つのところは、その懸案を一つずつ解決していく。そして、これからいよいよという、特に福島の関係の話は、大変な課題になってくるかと思いますが、風評、風化というこの二つの大きな難題に、全力を挙げてこれからも取り組んでいきたいというふうに思っております。

(以    上)

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