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竹下復興大臣記者会見録[平成27年6月3日]

竹下復興大臣記者会見録(平成27年6月3日(水)10:45~11:10 於)復興庁)

1.発言要旨
 平成28年度以降の復興事業にかかる自治体負担の対象事業及びその水準等について、御報告をさせていただきます。
 お手元に資料を配付をさせていただいておりますが、本日は、5月12日にお示しをした基本的な考え方を踏まえまして、今回、自治体負担の対象となる事業と負担の水準などについて整理をいたしましたので御報告をいたします。
 負担の程度につきましては、まず、復興の基幹的事業や原発由来の事業については、引き続き自治体負担ゼロといたしております。
 その上で、自治体負担を導入する復興事業については、県と市町村ともに地方負担の5%と大幅に引き下げました。これは事業費の1%から3%程度になるということでございます。
 私といたしましては、与党の第5次提言でも求められ、また被災自治体からも強い要望がございました被災団体の財政状況へ配慮いたしました。
 さらに、通常の災害復旧事業の際、地方自治体の実質的な負担水準が地方負担の5%であることを踏まえまして、これと同水準といたしました。
 つまり、最も財政状況の厳しい市町村に合わせた措置であるという認識をいたしております。
 例えば、市町村が主な実施主体となっております復興交付金効果促進事業につきまして、実質的な負担は事業費の1%という極めて低い水準となっております。
 このような負担水準につきましては、最小限のものとさせていただいたというふうに認識をいたしておりますし、被災自治体におかれましては、どうか安心して復興に取り組んでいただきたい。
 復興は必ずやり遂げるということが大前提でございます。そして、その上でどうやって、より自主的にやっていただけるか、充実に向かってやっていただけるか。さらには、これはほとんど大きな要素ではありませんが、国の財政状況、あるいは他の小さな地方自治体との公平感といったようなものを総合的に判断をして決定をさせていただいたところでございます。
 自治体負担の対象事業及び水準についてでございます。
 「資料1」を御覧をいただきたいと思います。
 平成28年度以降の復興事業にかかる自治体負担の対象事業と水準について、整理をいたしました。
 まず、対象事業については、1ポツを御覧いただきたい。
 道路整備事業、港湾整備事業、社会資本整備総合交付金、復興交付金の効果促進事業などでございます。
 中でも、「(注)」にあるとおり、三陸沿岸道路の整備、旧避難指示区域の福島の12市町村において各市町村が実施する事業などについては、自治体負担を引き続きゼロとするということを決めました。
 なお、全体の事業対象については、2枚目の下に掲げられているところでございます。
 その水準でございますが、2ポツを御覧をいただきたい。
 冒頭に申し上げたことの繰り返しになりますけれども、地方負担の95%を震災復興特別交付税で措置をいたしまして、県と市町村の実質的な負担は、地方負担額の5%としたいと考えております。
 これは、それぞれの事業費の1%から3%程度になるということになります。
 特に、下の「(参考)」を御覧いただきますと、市町村からの懸念の声を強くいただいております復興交付金の効果促進事業を例にとれば、その負担割合は事業費の1%となり、極めて低い水準となります。
 詳しくは、ページ3の参考1、ページ4の参考2を御覧いただきたいと思います。
 続きまして、2ページ目の3ポツを御覧いただきたい。
 今回の機会にあわせて被災自治体からの要望が大きかった見守りや避難指示区域内の警備、応援職員への支援などについては、引き続き全額国費で対応いたします。
 復興のステージに合わせまして、これから更に重要になってくる、こういった分野は、より充実していこうと考えております。
 また、復興交付金の効果促進事業について、既に配分済みの一括配分を活用して実施する事業につきましては、自治体負担は引き続きゼロといたします。
 自治体ごとのその金額は、ページ5、参考3のとおりでございます。
 今後の進め方でございますが、副大臣・政務官に被災3県に出向いてもらい、再度県や市町村から意見を聞いてきていただきたいと考えております。
 その上で、さらに協議を重ねて、6月中に最終的な決定をさせていただきたいと思います。
 続きまして、今後一般会計で対応する社会資本整備総合交付金の復興枠の考え方についてでございますが、次に「資料2」を御覧をいただきたい。
 社会資本整備総合交付金の復興枠については、5月12日にお示しをした「28年度以降の復興支援の考え方」の中で、一部を一般会計で対応することといたしていました。
 これを踏まえて、道路事業と砂防事業について、一般会計で対応するものの考え方を整理をいたしました。
 道路事業につきましては、岩手、宮城、福島においては、東北自動車道より東側で実施する事業について、引き続き復興特会で対応することといたしました。
 自立につながる復興施策の展開の基本的な考え方でございます。
 最後に、「資料3」を御覧をいただきたい。
 これまで私からは、復興・創生期間においては、自立につながる支援を行っていく必要があると申し上げてまいりました。総理からも、寄り添った上で自立につながる支援をしなさい。さらには、地方創生の考え方のモデルとなるような復興をしていただきたいという指示もいただいておるところでございます。
 復興の新たなステージにおいて生じるさまざまな課題に対応いたしまして、復興支援を充実させるため、「自立」につながる施策展開の基本的考え方について、具体的にお示しをさせていただきたいと思います。
 詳細については、A3の紙の中でまとめておりますが、ポイントを御説明を申し上げます。
 まず、緊急対応から新たなステージへの対応へシフトするという観点から、緊急雇用創出事業終了後の被災者・避難者の見守り、心のケアやコミュニティ再生、避難指示区域内の警備等、被災者支援は充実をしてまいります。復興交付金の活用を一段と促進をしてまいります。
 被災自治体の手元にありながら、まだ使い道の決まっていない約2,100億円の資金の活用などにつきまして、効果促進事業の活用による地域の課題への対応の強化や防集元地の有効活用などに取り組んでまいります。
 次に、まちの賑わいを取り戻すために、ハードの復旧だけではなく、ソフトの支援にも力を入れて取り組んでいきたいと考えております。
 具体的には、グループ補助金の「復旧型」から「チャレンジ型」への充実や専門家やアドバイザーの派遣を通じた事業活動支援等々に取り組んでまいります。
 3点目として、ふるさとを取り戻していただくため、地方創生に向けた支援を一段と強化をして行ってまいります。
 「新しい東北」の実現に資する先導的取組や国の地方創生施策の被災地内での幅広い展開を後押しをしていきたいと考えております。
 今申し上げてまいりましたように、施策の推進を通じまして、復興の新たなステージにおける課題に的確に対応できるようにしていきたいと思います。
 今後とも自治体が安心して復興事業に取り組めるように配慮をするとともに、被災自治体の自立に向けて、より積極的な支援をすることにいたしました。
 これから、関係自治体に説明をして理解を求めていきたいと考えております。
 大事なことは、復興は必ずやり遂げる、皆さん安心してください、必ずやります。しかし、その上で様々なことを併せて総合的に判断をして、一部自治体負担を入れさせていただきましたが、その負担は極めて軽微なものにしなければならない。これは、被災自治体の財政状況の厳しさ等々も十分に配慮をして、一番厳しいところに合わせた水準にとどめておるということでございます。御理解を賜りますよう、懸命にこれからお話をしてまいろうと思っております。
 私からは、以上でございます。

2.質疑応答
(問)今回、三陸道ですとか社総交事業、東北道の東側ですか、いわゆる例外扱いの形にしたわけですが、こういった原則とちょっと違う基準を設けた理由というのをお伺いしたいのが1点。
 もう一点は、今後の交渉事なのでなかなか言えないとは思いますが、これからの意見交換会でこうした例外を新たに設ける余地はあるのかどうか、その2点をお願いします。
(答)まず、三陸道についてでございますが、私も田舎者でございまして、我々のところで今、山陰道というふうにやっておるんですが、本当に基幹になる道路というのは、地域の悲願です。その悲願という非常に強い思いを地域の皆さん方からいただいておるというのが、まず第1点。それから、与党の加速化本部の第5次提言の中でも、こうした非常に熱望されている事業については十分に配慮をしなさいという指摘をいただいていること等々を配慮をいたしまして、三陸道については引き続き国庫負担でやるということを決めました。そして、被災地、特に沿岸部がその被災が大きいわけでありますので、東日本、東北自動車道の東側で予定をされております事業につきまして、特別の配慮をさせていただいたということでございます。
 それから、今後の交渉のあり方でございますが、おっしゃったように交渉でございますので、今こうこうこうなりますよと見えておるわけではありませんが、丁寧に被災自治体の皆さん方の意見を副大臣・政務官に聞いてきていただきまして、また事務的にも、もう既にさまざまな対話を始めておりますが、そうした声を聞いた上で判断をさせていただきたい。こう考えて、全くゼロではないですが、「あります」と言える状況ではありません。
(問)自治体負担の話について、最初に、大臣のほうからそういった方針が示されてから今日に至るまで、なかなか具体的な数字を示されるまでに時間がかかったということで、なかなか自治体の間には、その長い間に不満が広がったという側面もあると思います。もう少し早く数字を示すことはできなかったのかと、いろいろな考え方があると思うのですけれども、大臣のお考えをお願いいたします。
(答)正直言いまして、被災地の自治体の皆さん方にどれぐらい負担するんだろうという不安な心理が起きたことは、これは私も物事の進め方がまずかったかなと、正直言って反省をしなきゃならぬこともあると思います。ただ、一般的な水準から見ると、一桁違う数字を何とか出したいという思いが最初からありましたので、それをつくり上げる、それを、まず政府内をきちんと説得をしてつくり上げていく。さらには、事業の線引きについても後ろ指を指されないような形にしなければならない。
 もう一つは、自治体の財政能力というものを見極めなければならない。更には、全国の過疎地の自治体との公平感ということにまで配慮しなければならない。
 政治的に総合的に判断するのに、申し訳ございませんが、時間がかかったということでございます。御理解をいただきたいと思います。
(問)今後、後半5年間の復興を進めていく上で、国と被災地の信頼関係が重要になると思うんですが、今回の案を今月中にまとめるに当たって、そういう関係を損なわずに理解を得られるとお考えでしょうか。
(答)それは自信を持っています。我々それだけ密接に地元とコンタクトをとっておりますし、役所もそうでありますが、政務の諸君、私も含めまして密接にコンタクトをとっておりますので、必ずこれまで築いてきた信頼感の上に進めていけるものと確信しております。
(問)2点お伺いしたいんですが、まず1点は、大臣は今回の自治体負担の導入について、少しでもお金を払ったほうが自覚が出る、自立への気概を示せという御説明があったと思う。実際示された地区の割合と、あと負担の導入について、恐らくそう高額の自治体負担が発生するわけではなくて、国の財政規律の上で大きな数字は多分ない。そう考えた場合に、自治体の自立というよりも、この5年間で蓄積した、地理的にも性格的にもこの要因が薄い事業を再整理したというのが今回の試みじゃなかったのかと思うんですけれども、そこについていかがでしょうか。
(答)そういう側面が全くないと言うつもりはありません。先ほどからお話ししておりますように、国の財政状況を全く考えなかったわけではありません。それから、しかし、それはそれほど大きな要素ではありませんでした。以前からお話ししておりますように、人間の本質として、少しでもまず自分が負担する。自らが乗り出すという思いでやる事業と、全て与えられてやる事業、どっちがより本気になるか。これは人間の本質だと思いますので、私は今まで自治体の皆さん方がいい加減な気持ちでやっているとは思いません。必死でやっているんです。彼らも必死でやっているんです。しかし、もっともっとさらに魂をたたき込んでやっていただくという思いも込めて、自治体負担を一部導入させていただいた。
 それから、その中で復興に関連する事業の濃い薄いというのは、確かに1つの、1つの判断材料ではありましたが、それも全てではありません。お話ししましたように、地方の財政の状況、あるいは復興の進み具合、さらには他地域との公平感、もっといいますと、首長の皆さん方の熱望といいますか、要望といいますか、そういったものをまさに総合的に判断をして決めさせていただいたということに尽きると思っております。
(問)もう一点なんですが、これから自治体にこの説明をして、これを意見交換するんですが、この負担率の話自体も大きなテーマなんですけれども、多分自治体側が言われるのは、自治体負担の部分の考え方はキーだと。ところが、今後5年間の復興で大きなウエートを占める国費の部分があろうと思います。本体として。では、その国費の事業費を国はちゃんと負担をしてくれるのか、財源確保できるのか。なら、どうやって確保するんだという質問が多分出ると思いますが、これについてはどのように思いますか。
(答)国費の部分というか、全て国でやらせていただく基幹的な事業、原発由来については、今まさに精査をいたしております。そう遠くない将来に復興庁として。この数字は、今お話ししております数字は、各県から、3県から出された、これぐらい必要ですよという数字をもとに弾いたものでありまして、それと並行して、今復興庁として、国として、更にそれを精査をして、どういう形になるかということを今積み上げておる最中でございます。そして、その上でこれぐらい必要ですというものは、そう遠くない将来に固めなければならない。といいますのも、6月の末には事業規模も含めて、財源も含め、そして財源のあり方、復興の進め方を含めた政府の方針を決定をしなければならないという制限がありますので、そこに向かってあらゆる作業を集中をしていきたい。
 財源について、今こうこうこういう予算があります。こうこうこういうものがありますということをお話しできる状況に残念ながらまだありませんが、まずその大前提として、復興庁としてどれぐらい、本当にどれぐらい必要なんだというものを全て精査して積み上げることはできませんが、極めて近いところまで徹底的に精査をして積み上げた上で、財務省とぎりぎりの交渉になると、こう思っております。だけど、必ず確保します。

(以    上)

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