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根本復興大臣の会見[平成26年4月22日]

根本復興大臣記者会見録(平成26年4月22日(火)09:30~09:48 於)記者会見室)

1.発言要旨
  それでは、私の方から3点お話をいたします。
まず、「被災地での55の挑戦~企業による復興事業事例集~」の公表についてであります。
復興庁は本年度も、被災地の企業が震災によって直面した課題について、創意工夫により、その克服に取り組んだ55の事例を取りまとめました。前回の事例集は、震災からの復旧に向けてご尽力された企業の方々を讃え、今後の生産復旧の参考にしていただくことを主眼に作成しました。
今回の事例集は、復旧から産業の復興に向けて、本格的に動き出した企業の活動を中心に、今後、地域経済を再生していくために、被災地の中小企業にとってどのような事業が効果的か、また、どういった事業を国として応援すべきかを主眼に置き、「新しい東北の創造」の一環として作成しました。これからご紹介する3つの事例は、地域の産業の復興を牽引し、地域経済の再生に大きく寄与することが期待される案件です。それでは、配布資料をご覧ください。
1つ目は、福島県南相馬市の南相馬機械工業振興協議会です。この協議会は、南相馬市の第三セクターである㈱ゆめサポート南相馬が呼びかけて、地元機械金属加工業者33社が集まり、技術力の底上げを目的に設立しました。この協議会の参加企業など数社が、「足こぎ車いす」をより安全で快適に使えるよう商品改良することに成功しました。地場企業が持っている技術を持ち寄り、共同で商品開発に取組んだ結果として、各種の商品開発力の底上げにも効果がありました。
2つ目は、岩手県釜石市の石村工業㈱です。この会社は、かつて製鉄所の設備メンテナンスを行っていましたが、製鉄所の高炉停止を契機に商品開発に力を入れた会社です。漁業者のニーズをとらえて、これまで2日がかりで作っていた塩漬ワカメの工程を、わずか1時間に短縮できる機械などを開発し、震災後も順調に売上を伸ばしています。被災地の主力産業である水産加工業の生産性や付加価値の向上が至上命題となっている中、その解決に寄与し、被災地における基幹産業の再生に貢献している点が特徴です。
3つ目は、宮城県女川町の水産加工業者である㈱マルキンです。この会社は、有名レストランシェフの協力を得て「黄金牡蠣」と呼ばれる独自ブランドを構築しました。さらに、ギンザケを生でおいしく食べられるように最新鋭の凍結機を導入することで、解凍時の細胞破壊を防ぎ、質の高いギンザケを提供することに成功し、ギンザケの生食のブランド化を目指しています。先端設備の導入や、直接、顧客への販売など、水産加工業が今後発展していく上での一つの方向性を示している点が特徴です。
この事例集では、各企業などが活用した施策や相談した産業支援機関など、新たな取組みを進める際に活用した具体的な支援内容も記載しておりますので、広く参考にしていただけることを期待しております。復興庁は、今回の55の事例において共通して見られた課題や解決の方法をもとに、産業の復興にとってより効果的な施策を検討し、各種施策へ反映してまいります。
次に、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会についてであります。
本日、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に関する第1回閣僚会議が開催されました。
会議の場において、私から、東京オリンピック・パラリンピックは力強く復興している我が国の姿を世界に発信する絶好の機会であり、東北の復興を明確な国家目標と位置づけ、復興の加速化に引き続き全力で取り組んでいくこと、東京オリンピック・パラリンピックが東京だけのイベントではなく、被災地にも夢と希望を与えるものであり、関連イベントについて、被災地との関わりの深いものとすること、について発言しました。なお、先週の金曜日に舛添・東京都知事と面会し、東京オリンピック・パラリンピックを東日本大震災の復興につなげていくことが重要である、との認識で一致したところであります。復興庁としても、被災地の復興を後押しする東京オリンピック・パラリンピックとなるよう、引き続き、関係機関と連携してまいりたいと思います。
最後に、陸上自衛隊仙台駐屯地の訪問についてであります。
明日23日に仙台駐屯地を訪問し、東日本大震災において多大な貢献を行った自衛隊活動の概要の聴取及び仙台駐屯地所在隊員に激励を行う予定です。東日本大震災に際して、隊員、その家族が被災しているにもかかわらず、厳しい環境の下、過去にない規模で迅速かつ献身的な救援活動、行方不明者捜索活動への対応に対して、あらためて感謝を申し上げる所存です。また、陸上自衛隊ヘリに搭乗し、今後の復興施策に役立てるため、被災地の上空から防災集団移転事業や災害公営住宅の着工状況、道路や港湾施設の復旧・復興の進捗状況などを確認する予定です。私からは以上です。

2.質疑応答
(問)靖国神社の関連ですけれども、例大祭の期間中ですが、大臣はこの期間中どのような対応をされるおつもりか、お聞かせください。
(答)私は、毎度申し上げておりますが、その時々の自然な気持ちに沿って参拝しており、今後も自然な気持ちで対応していきたいと思います。
(問)この期間中に参拝されるか、されないか明言はされないのでしょうか?
(答)私の自然な気持ちでやってますから、ということに尽きますね。
(問)それから、閣僚の中にも新藤総務大臣が参拝されまして、日米首脳会談を控えた状況での影響が懸念されるという声も一部にあるのですが、そのあたりのご見解を。
(答)それぞれの閣僚が、個人個人の素直な思いで参拝したのだろうと思います。そういうことだと思います。
(問)先ほどの発表の中に、オリンピック・パラリンピックの関係がありましたが、それに関してお伺いします。大臣の方から関連イベントについて、被災地との関わりのあるものについてお話しされましたけれども、大臣の中では関連イベントというのは、どういったものを想定されていらっしゃるか、お伺いできますでしょうか。
(答)私は、関連イベント、少し広く言えば、聖火リレーあるいは被災地の子どもの観戦招待や諸外国チームによる事前合宿、スポーツ・文化イベントということなどについて、被災地と関わりの深いものとなるよう配慮してもらいたいと思います。この関連イベントは、スポーツ・文化関係を含めて、これからいろいろなものが出ると思います。例えば、大会と連携した和食等の日本の魅力の発信。これは農水省、外務省で試みることにしています。あるいは文化プログラムは、文科省、外務省。それぞれの省庁で、これからいろいろ出てきますから、そのイベントを、頭を柔らかくして、ブレーンストーミングやったり、どんどん被災地でやってもらいたいと思います。
(問)今週、アメリカのオバマ大統領が来日するということですけれども、アメリカには震災以降、かなりいろいろ世話になった部分が「トモダチ作戦」はじめ、あると思います。以前、たぶん、安倍首相が訪米された際に、お礼の言葉などは言っているのだと思いますけれども、あらためて、オバマ大統領が震災後初めて日本に来ると思いますが震災復興の状況もしくは原発事故の状況などについて、政府として説明する予定はありますでしょうか。
(答)首脳会談含めての対応ですから、私は内容承知しておりませんが、アメリカについては、震災のときに「トモダチ作戦」を含めて、非常に多大な支援をいただきました。私もその点では大変感謝しております。そして、今の復興の状況を含めて伝えていく必要があると、私は思っております。
(問)恐らく明日になると思いますけれども、議員立法で提出した復興特区法の改正案が成立する運びとなると思いますけれども、あらためてこの意義についてお尋ねいたします。
(答)用地取得の促進については、これまでも財産管理制度の迅速化措置、あるいは土地収用についての、戦後ここまでやったことのない制度の深堀りをやってきました。その意味では、用地取得については抜本改革をやってきました。
今回の法案については、更にこれを法律上きちんと書く、あるいは我々がやろうとしていることなら踏襲する。具体的には、例えば事業認定の期間を3カ月を2カ月にすると、これは事業でやってきました。それを法律上、特区法の中で明らかにする。
さらに、我々がやってきたことで、土地収用の収用裁決を申請したら、その時点で事業を着工できるという規定、緊急収用という規定がある。今まで土地収用法で、あまりこれを適用した事例は少ないんだけど、復興は急ぐので、これをどんどんやりましょうということで、緊急収用を積極的に活用する。これを我々はやってきました。
 緊急収用については、6カ月以内ということになっているので、所有者不明土地あたりは、私はそれほど収用委員会でも時間がかかるとは思わないけど、逆に6カ月以内ということになって、6カ月後にまた原状回復と言われると、それは大変だということで、適用を考えるところも出てくるのではないかなと。だから6カ月を法律上1年に延ばす。これは意味があることなのですね。緊急収用を活用させる観点から。
ただ、一方で、そうすると、収用委員会の採決が逆に遅くなっても困るから、収用委員会の採決の促進努力義務。私はもともと、収用法で収用委員会の採決が、都道府県によってずいぶん差があるものだと思っていた。私は収用委員会、特に岩手県、宮城県、この被災地において収用委員会をもっとできるだけ早く裁決してもらいたいと。そういうことは私も申し上げてきました。これを法律上、努力義務として。これは、我々のやってきた抜本改革のそれぞれの事項について、私が申し上げたようなところで後押しになるので、今回の立法というのは全体の復興加速化措置の抜本改革の、私が申し上げた点についての強化が図られるので、これは用地取得の加速に一層活用されるということを期待したいと思います。
  それからもう一つ、防災集団移転事業。これは、収用対象事業を今まで50戸以上とされていた。防災集団移転事業が都市計画の一連の土地ということで対応されるので、50戸以上は適用されますよとなっていました。これについても、我々もいろいろなヒアリングをしてきましたが、50戸未満で具体的に収用をしてもらいたいというところの案件は、出てこなかった。ただ、これから特に防災集団移転事業は、もう用地取得は75%まで出来てますから。去年の9月で48%だったから。
ただ、これから、ここじゃないと用地が確保できない、というところが出てくることも観念的にはあり得るので、今回、5戸以上としたわけですが、それも促進するという観点からは意義があると思います。
ただ、強いて言うと、防災集団移転事業の良さは、用地取得が困難な土地があれば、それを少し避ければ事業が進むので、実はそこの柔軟性があるのが防災集団移転事業で、何が何でも収用をかけるということ、それは一つの備えとしてあったほうがいいんだけど、本来的には用地取得困難地を避けて、しかもそれは、一定の事業費未満のところは届出だけで計画変更できるようにできる、非常に柔軟な制度なので、防災集団移転事業については、そういう特徴もある。それを活用しながら、どうしてもこの土地しかないというところについては、収用をかける道が開かれたということで、幅広い備えができた、ということに意義があると思います。

 

(以    上)

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