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根本復興大臣の会見[平成26年3月11日]

根本復興大臣記者会見録(平成26年3月11日 10:10~10:31 於)記者会見室)

1.発言要旨
 本日は、3月11日、東日本大震災から3周年を迎えました。改めましてお亡くなりになられた方々の御冥福を謹んでお祈りいたします。また、今なお避難生活を送られている方々が約27万人おられます。多大な御苦労をおかけしているところで、心よりお見舞いを申し上げます。
 東日本大震災からの復興は、安倍内閣の最重要課題の一つであり、これまで1年2カ月あまりの間、現場主義、司令塔機能の強化、時間軸に応じた課題への対応を指針として全力で復興の加速化を進めてまいりました。岩手県と宮城県においては、がれきの処理が3月中に完了する予定であり、高台移転については約9割で着工済であるほか、災害公営住宅の整備については約7割で着工済みなど、復興加速化措置により着実に成果を挙げてきたところであります。また、福島については、就任早々、福島特有の課題に対応する福島ふるさと復活プロジェクトを創設し、昨年8月には区域再編見直しを終了、更に昨年末には福島再生加速化交付金を創設するなど、昨年度の12月の新しい指針を含めて、福島復興再生に向けての道具立てを整えました。
今後の東日本大震災からの復興は新たなステージに入っていくところであり、岩手県及び宮城県を中心として住宅再建、まちづくりが本格化し、復興が実感できるようになり、また福島では昨日の原子力災害対策本部において決定したとおり、田村市の避難指示区域が4月に解除されるなど、復興に向けた取組が大きく動き出すところであります。
  避難者の方々にも復興を実感していただけるように、決意を新たに私自ら陣頭指揮をとって、復興庁の司令塔機能を一層発揮し、更なる復興の加速化に全力を尽くしていきたいと思います。
  私からは以上です。

2.質疑応答
(問)今、福島の復興のことについてはお話しいただいたんですが、例えば借上げ住宅の問題にしても、来年3月を目途ということですし、それから被ばくの調査についても、健康管理にしても福島県内にやはり集中しているということで、全国に避難していらっしゃるわけですけれども、子ども・被災者支援法の中身についていろいろな要請があると思うんですが、それの実行についてはどのようにこの1年間、3年目の中でどういうふうに対応されていくおつもりなのかちょっと伺いたいのですが。
(答)子ども・被災者支援法については、昨年3月に施策パッケージを基本方針に先駆けて具体的な対策を取りまとめました。そして、基本方針を整えました。基本方針に則って基本的には必要な施策が必要な地域に行われるように、そして戻りたいと思う方、迷われている方、戻らないと決めている方、様々な皆様がおられますが、それぞれしっかり支援していく。そして、基本方針のそれぞれの施策の、例えば健康管理について環境省が今、精力的に取り組んでおりますし、それぞれの施策をしっかりと進めていきたいと思います。

(問)今のをもう少し具体的にお願いしたいんですが、例えば借上げ住宅の問題、健康被害の問題について、被ばくの調査について、どのように全国の医療機関などと連携してやっていくかという、そういう具体的な施策はないのでしょうか。
(答)健康管理については、今申し上げましたように、環境省において今、鋭意検討しているところであります。

(問)借上げ住宅は。
(答)私は同じ質問には何度も答えませんが、借上げ住宅もそれぞれの自治体で、自治体の判断で延長できるということになっておりますので、それぞれ状況に応じて必要な対応をしていくということであります。

(問)今日で3年が過ぎました。でもこれは一つの区切りのように見えますけれども、やはりこれから更にやっていかなければならないというスタート、節目だと思います。その中で福島県の被災の状況を考えますと、やはりインフラ復旧だけではなかなか復興に結びつかないと思いまして、やはり根本的には原発事故で放出された放射性物質の様々な悪影響というものがやはり根底にあると思います。これから、恐らく福島の事故後しか知らない福島県民の層も増えていくと思います。そういう世代によりよい復興社会を残すために、放射性物質の影響を極力避けていくことが復興につながると思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)今の問題は、丁寧なリスクコミュニケーションが大事だと思います。そして、福島の再生、復興加速化に努めていきたいと思いますが、この震災を乗り越えて、我々の手でやらなければいけないという若い世代も意欲を持った方々も出てきていただいておりますので、福島については、将来を展望すれば、例えば、医療産業の集積、そして農山水林と極めて可能性のある福島県ですから、福島県が魅力ある福島県にするように、将来の希望が持てるような福島県づくりに私も福島県民の一人ですから、大きな希望を持ってしっかりと再生加速をしていきたいと思います。これまで用意した道具立てを活用して、これからの魅力ある新しい福島、こういう視点も大事だと思います。

(問)最初の方とも関連すると思うんですが、田村市都路地区で4月に区域が解除されるということで、地区の特に若い方々から、自主避難に立場が、避難を継続する方は、立場が転じてしまうという点において、不安の声をいくつか聞きました。現状で自主避難の方々に対する支援が少ないのではないかという声も多く聞かれるんですけれども、改めて今後の自主避難の方々への支援についてどうお考えなのか。
(答)都路地区については、私は、大事な点は避難指示をした、一律的強制的な避難指示ですから、これを元に戻すというのが本質なんです。いずれにしても都路については、私はこれから都路地区の様々なインフラ整備、生活環境の整備、産業への支援、都路地区の魅力ある地域づくり、これを是非やっていきたいと思います。いずれにしても、それぞれの立場、それぞれの考えを持たれる方がおられますが、それぞれに支援をしていきたいと思います。

(問)それとは別に、福島市、郡山市から新潟にも2,000人近く自主避難の方がいらっしゃるんですけれども、そういった方々への支援について、今後について改めて伺えればと思います。
(答)それはもう繰り返しませんが、子ども・被災者支援法の趣旨を踏まえて、我々様々な対策をそれぞれの省庁を全体的にやっていますから、その施策の中で支援したいということです。

(問)大臣は、除染などについても強く環境省に働きかけてこられたと思うんですが、それでも他の省庁いろいろな問題、動かない場合、勧告権を使うということを考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)安倍内閣は復興加速、経済再生、国の危機管理、これを最重点課題にしています。まず、政権として最重点課題にしている。そして、すべての閣僚が復興大臣のつもりで、復興については復興大臣を司令塔にということでやっておりますから、ここが一番肝心なんですね。私は、勧告権というのは、それは制度的にはあるでしょう。安倍内閣がチームワークで全員参加型で復興に携わっていますから、その意味では、例えば除染、除染は環境省が所管です。ただ、我々の復興という視点があるから、我々の観点から具体的に除染についてのこういう課題にこう答えるべきだ。それは我々も意見を出します。環境省が昨年総点検しましたけれども、我々が具体的、基本的方向も含めて環境省に提示し、それを環境省が受け入れて内容に盛り込んでいる。あるいは、常磐道について来年のゴールデンウィークぐらいまでに短縮して再開通します。これも私が国交大臣に要請しておりました。総理からも要請があり、動かないなら、具体的にどこの何が動かないかという議論をしたほうがいいんです。一般論、抽象論で不十分だとか、それは私はあまり建設的な議論ではないと思います。だから、どこのどういう問題が、隘路があるか。それを1つ1つ解決することだと思います。
 ですから、復興庁の司令塔というのはどういうことかと言うと、1つは例えば住宅再建、まちづくり。各省庁に横断的なテーマに横串を入れる。その横串を入れる仕組みとして、私が陣頭指揮をとって、各省庁と制度の深掘りをして、新たな政策をつくり、仕掛けとしてつくりました。ですから、住宅再建、まちづくりは司令塔機能を具体的に発揮する1つの仕掛けですけれども、あれによって第4弾にわたる加速措置を講じました。
 用地取得にしても、私もいろいろな法律をつくってきたし、法制度の運用も様々な施策をやってきました。その中で、用地取得の抜本改革、あるいは土地区画整理法による仮の仮換地の制度、あるいは土地収用法における緊急使用、ここまで具体的な制度の深掘りをした。これは戦後初めてですよ。新しい法律をつくったような効果があり、ですから私は復興大臣になって思いますけれども、一般的なこういう問題があるということでは前に進まない。具体的にここでこういうネックがある。用地取得についてもここの土地が何十人の相続人があって、何とも動かない。そういう具体的な点を示してくれれば、それも解決しますけどね。私は復興については1つは横串を入れるということと、もう1つはいろいろ現場、市町村によっていろいろな課題、問題が出てくるでしょう。それを復興庁、我々が聞いて吸い上げて各省庁と議論をしていく。これも復興庁の役割だと思います。
 それから、内閣というのは、それぞれの省庁で事務を分担していますから、それぞれの責任をもってやっていってもらわなければいけない。例えば汚染水対策、これは明確に経済産業省の所管です。そこはしっかりやってもらう。それを復興庁が後押しをする。意見も言う。3つぐらいのパターンがあると思います。だから司令塔機能の強化、横串を入れるということが一番大事だと思うし、とにかく抽象的ではない、具体的な問題、課題、隘路、これを解決していくのが復興庁の司令塔としての機能だと思います。
 これからも様々な新しい課題、問題が出てきます。仮設住宅のUターン者、新規に戻ってくる人のために使えないか。そういう話もありました。阪神大震災ではそれは全く認めてなかった。私は常に時間軸ということを申し上げておりますが、復興が進展するにつれて、新たな課題、問題が出てきます。しかも東日本大震災は阪神大震災と何が違うか。500キロにわたる広域におよぶ災害である。過疎地、高齢化、第一次産業、そういう特徴がある。そして、とりわけ阪神大震災はがれき処理が終われば、都市直下型でしたから、どんどん立ち上がる。東日本大震災は、津波被災地ではかさ上げをして区画整理をしなければならない。山を切って高台移転しなければならない。物理的に時間がかかる。だから、それをいかに加速化するか。号令だけかけていても動きません。具体的な制度の運用を改革していく、早めていく。その前提は、何が問題か、問題の本質は何か。問題の本質がわかれば、解決策は生み出せると私は思います。しっかりこれからも頑張ってやっていきたいと思います。

(問)チームワークでやっていけば、勧告権を使わなくても、議論して課題の解決はできるということでよろしいでしょうか。
(答)できます。勧告権は「伝家の宝刀」だと思いますよ。それをバックにしているから。私は勧告権を使うまでもなく、今まで各省庁とやってきましたから。
 一番典型で言えば、去年1月に就任して早々相馬市に行きました。陳情を受けた。津波被災地から高台に移転する。津波被災地の土地を市町村が買って、移転してもらうんですけど、農地を買おうと思ったら、転用許可が必要と言われた。私が陳情を受けた。仙台市長からも陳情を受けた。農水省と話しました。農林水産大臣も同じ陳情を受けていました。極めて早く、2週間で、転用許可が不要という結論を出しました。これによってどういう効果があったか。あの当時、津波被災地の農地の買取り、1市町村で、確か1.67ヘクタールに過ぎなかった。昨年12月には16市町村で170ヘクタールの農地の買取りが進んだ。だから、津波被災地の再生は迅速化した。大事なのはこういうことなんです。これは何も勧告権で言ったわけじゃない。我々が話をして、農水省と復興庁がしっかりと取り組んでやった。そこは政権のガバナンスということだと思います。政治というのは国を統治すること。政権のガバナンスがきいているかどうか。しっかりと統治できる力を持っているかどうか。私はそれが本質だと思います。

(問)週末に安倍首相が福島県内の原発事故の避難者向けの災害公営住宅を5000戸確保するというお話がありましけれども、用地を確保すると。いわき市などでは、なかなか用地が見つからないで困っているという話も聞くんですけれども、どのような形で用地確保を進めていかれるかということに関してお話をお伺いできますか。
(答)5,000戸については、昨年6月にまとめた3,700戸、これに年内に用地に目途を付けますけど。そして、残りの1,190戸については総理も目途をつけるとおっしゃっていたように、残りの1,190戸については、一定の用地確保も含めて一定の方針を出したいと思います。そして目途をつける。これは福島県や市町村と十分話をして、地域的な問題ですから、一定の方針を示していきたいと思います。

 
  (以    上)

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