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根本復興大臣の会見[平成25年6月25日]

根本復興大臣記者会見録(平成25年6月25日(火)10:30~10:52 於)復興庁記者会見室)

1.発言要旨
 私の方から3件、申し上げたいと思います。
 1件目は、第6回復興交付金の交付可能額通知についてです。
 本日、第6回の復興交付金として、3県及び8道府県の49市町村に対し、事業費約632億円(国費約527億円)の交付可能額の通知を行います。主な内訳として災害公営住宅整備事業として、19市町に対し約235億円を配分します。これについては、累計で約4,700億円を配分し、約1万7千戸の事業費に対応します。これにより、3県では、既に24年度に236戸の供給が開始され、更に、25年度内に約3,800戸、26年度以降に約1万3千戸が供給される予定となっております。また、住宅団地内に売店、診療所等の小規模店舗や保育施設、ふれあいスペースを配置するなど、被災者の多様なニーズにもきめ細かく対応しております。
 次に、防災集団移転促進事業として、8市町に対して約162億円を配分します。これについては、累計で約4,700億円を配分し、約3万2千戸分の事業費に対応しております。これにより、3県の移転先住宅団地において、既に24年度に165戸の供給が開始され、更に、25年度内に約2,000戸、26年度以降に約1万1千戸が供給される予定となっております。また、災害時の被害軽減のための地域の避難所、コミュニティ確保のための集会所の整備など、様々なニーズにも対応しております。
 例えば、災害公営住宅関係の多様なニーズへの対応の例では、生活利便施設として、陸前高田市で、災害公営住宅団地の1階ピロティ部分の一部を小規模店舗等のスペースとして整備しております。これは私が陸前高田市を訪れたときに、こういうことができないかという話をいただいたものですが、我々は柔軟に対応して、多様なニーズに応えられるようにしております。
 それから、例えば生活利便施設整備の例では、防集事業による住民の移転促進と併せて、津波被害を受けた地区の共同墓地の移転整備の支援といった多様なニーズに柔軟に対応しております。
 更に、津波で被災した企業向けの約16ヘクタールの企業用地整備についても対応したところであります。
 次に、効果促進事業の一括配分の使用状況ですが、効果促進事業の一括配分については、前回の配分時に、被災地の要望を踏まえた運用の柔軟化を行いましたが、その後、土地利用計画調査、あるいは高台移転の上水道施設整備等、合わせて約250億円程度、まちづくりに伴う幅広い用途に活用されております。
 以上、今回の申請においても、被災地の個別のニーズに即し、様々な対応を行いました。今回も含め、被災地においては、復興交付金の活用により一刻も早い復興が進むことを期待しております。
 今後の日程等ですが、次回の第7回事業計画の提出受付の時期については、市町村等の今後の状況を踏まえて検討することとしております。今後とも引き続き、復興交付金に関する御要望については、丁寧に伺い、現場主義の立場に立ったきめ細かい対応を行っていきたいと思います。
 2件目は、帰還困難区域内の共同墓地における墓参環境の整備についてです。
 この度、復興庁と環境省では、お盆の時期に向けて、住民の皆さんが安全に墓参りできるように、大熊町の帰還困難区域内にある共同墓地において、除染と通路に散乱した墓石の移動等を行う事業を開始することとしたので報告いたします。これは、住民が安全に墓参りできる環境を整えるため、復興庁と環境省が協働して、除染と倒壊・散乱した墓石の移動・整理を一体として行うものです。これらの墓地は、放射線量が高く、また、帰還困難区域内にあることから、住民が自ら手入れすることができず、多くの墓石が倒壊・散乱したまま放置されておりました。そのため住民が安全に墓参りできるようにしてほしいとの要望が多く寄せられておりました。これを受けて、福島復興再生総局において、福島環境再生事務所の担当者と福島復興局の「地域の希望復活応援事業」担当者が対応策を検討した結果、除草や墓石のふき取り除染と墓石の移動・整理とを一体として施工することにいたしました。これによって、8月のお盆の一時立入りに向けて、できるだけ多くの墓地で住民の方々が安全に墓参りできるよう対応を進めていきたいと思います。
 3件目は、地域復興・企業連携マッチング「結の場」(宮城県石巻市)の事業成果についてお話をいたします。
 宮城復興局では、大手企業等が持つ経営資源を被災地域企業の課題解決に繋ぐ、「地域復興・企業連携マッチング『結の場』」を実施しているところです。過去の災害復興において、このような取組の例はありませんでした。その第1弾として、昨年11月に宮城県石巻市でワークショップを開催いたしました。その後、支援企業と被災地域企業とのマッチングが行われており、具体的には、支援企業から寄せられた78の支援提案を56のプロジェクトに整理し、うち19件についてはマッチングが成立し、実際に活動を開始しております。
 代表的なプロジェクトの例としては、複数の事業者の連携により、共同通販―「石巻からの恩返し」パンフレットに記載がありますが―被災した水産加工事業者8社が共同して新たなBtoC販路の開拓に取り組んでおります。また、社内販売―「企業マルシェ」商品カタログ、アサヒグループホールディングスや三井不動産等の支援により、社内販売やアンケート調査を通じて、消費者ニーズを把握し、商品開発に取り組んでいます。これが代表的事例ですが、これらの事例は被災地域の企業にとって、これまで経験のないチャレンジングなものとなっております。
 「結の場」には、これまでの2回の開催で、合計48の支援企業に御参加いただいており、この場を借りて改めて感謝申し上げますとともに、現在もマッチング成立及び事業開始に向けて調整中のプロジェクトがあることから、引き続き調整作業を進め、被災地経済の復興を加速してまいりたいと思います。
 私からは以上です。

 2.質疑応答
(問)復興交付金について、昨年度ぐらいまでは復興交付金の使い勝手についてよくないという声も自治体からありましたが、今回は申請段階から交付基準を緩和したということですが、今年度になってから自治体側からどういった意見といいますか反応が寄せられていますでしょうか。
(答)先ほど今回の事例について紹介いたしました。さまざまな事例を今回対応事例として紹介してありますが、我々は復興交付金の使い勝手をいかに使いやすくするか、被災地現場の皆様の要望に即して使い勝手をよくするように努力してきました。その成果が、どういう要請があって、どういう対応をしたかというのは紹介したとおりで、これが、我々が今の具体的な要望にどう応えたかということで、今、復興交付金はできるだけ幅広く使えるように取り組んでおります。

(問)感想とか、感謝とかそういったものはないのですか。
(答)それは私も個別に市町村長から、これを認めてもらってありがたいという反応は随分聞いております。例えば、先ほど紹介しましたが、陸前高田市の例、私も実はこの場所は見てきましたが、そのときも災害公営住宅をつくるけれども、ここに店舗が欲しいという要望が来て、今回紹介しておりますが、そこは使えるように対応しております。
 この復興交付金は、いろいろな補助制度を私は見ていますが、これだけ使い勝手のいい交付金というのは今までにないと思います。これだけ多様なニーズに、一つの大きな事業制度で応えられるという補助制度は今までに例のない制度だと思います。

(問)墓参環境の整備について、復興庁が直接実施する事業になるのかというところと、委託なら委託で、業者を介して除染―除染は環境省ですけれども―行うのでしょうか。
(答)除染は環境省で、これは墓石が散乱し危険な状態で、これをもとに戻すとか、あるいは除草、複合的な取組ですから、これは環境省が担当している除染事業、それから我々の「地域の希望復活応援事業」は、国が直接行うものですけれども、それを複合的に組み合わせて行うということです。

(問)ニーズが非常に高いとは思うのですけれども、お盆の、一斉立入りで行うと思うのですが、これを機にお盆の滞在期間を伸ばすとか、特別な取組は考えていますか。
(答)それは、これからそれぞれの市町村からさまざまな要望があると思いますが、その点についてはよく相談しながら我々も柔軟に対応していきたいと思います。

(問)関連して、墓参環境の整備は需要が高そうですけれども、今回は大熊町が対象ということですが、要望があればほかの自治体にも広げていく、そういうお考えはありますか。
(答)これは、私も福島で協議会を行ったときにもこういう話が出ていました。今回、大熊町からの要望がありましたので、大熊町からの要望に対応するということです。ほかの市町村からの要望があればこういう形で対応していきたいと思います。

(問)災害公営住宅について、双葉町から埼玉県の加須市内に災害公営住宅をつくってほしいという要望があるようですが、災害公営住宅の県外への建設について復興庁としてはどのように考えておられますか。
(答)災害公営住宅は、今回の東日本大震災で災害公営住宅として制度設計がされております。今の双葉町の町民の皆様の要望については、双葉町あるいは福島県、必要に応じて埼玉県から話を聞いて、そして対応できるものは対応するという方針で臨みたいと思います。

(問)設置することは可能だということですか。
(事務局)今後それも含めて、福島県、双葉町と議論をしたいと思います。

(問)安倍政権の発足から半年になりますけれども、復興庁として前の民主党政権時代と比べて、どのような点で具体的に成果が出せたとお感じになっているのか。また、一方、現在の復興庁としての課題は何であると考えていらっしゃるのか、大臣のお考えをお伺いしたいのですけれども。
(答)私は就任してすぐに施策の総点検と再構築に取り組みました。どこに問題があるか、どんな課題があるか。大局的な観点からの総点検をさせていただきました。そして、具体的に何点か申し上げたいと思いますが、まず取り組んだのは体制の整備と新たな予算。福島復興再生総局の設置、福島においては、東京・福島の2本社制。そして、25兆円フレーム。新たな地域の課題に対応する新たな加速策。例えば、住宅再建支援、企業立地補助金の拡充。福島については、福島復活プロジェクトの3本の矢、新たな課題を見出して、それに対する加速策を実施しました。
 それと具体的なテーマについて、タスクフォース方式、「住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォース」、あるいは「除染・復興加速のためのタスクフォース」は、私が中心となって関係府省の局長を束ねて、そしてそこで具体的な制度の改革、改善を引っ張っていく。この横串を入れて、縦割りを打破するということには、私は非常に効果のあるやり方だったと思います。
 もう一つは現場主義に立つ。復興はいろいろな問題が出てきますから、現場の持つ課題を一つ一つ解決していかなければなりません。例えば、防災集団移転事業の跡地を買うときに、農地の転用許可が必要でした。これは不合理ではないかという要望もいただいて、農地の転用は不要という対応にしましたが、具体的な現場の課題について一つ一つ解決していく。この現場主義でやってまいりました。
 それから、新しい可能性と創造の地としての東北、新しい東北をつくり上げる、これもやってまいりました。やはり大事なのは、復興庁の司令塔機能の強化だと思います。これからもだんだん復興のペースが上がってくると、新たな課題が出てきますから、新たな課題が出てきたときに、どう引っ張っていくかということが必要だと思います。復興は息の長い取組ですが、着実に復興加速策を展開していきたいと思います。

(問)今直面している特に大きな課題は何でしょうか。
(答)住宅再建・まちづくりと福島県の原子力災害からの本格的な復興です。大きなテーマで言えば、住宅再建・まちづくりと産業の再生というテーマ、福島県については原子力災害からの早期の対応―1日でも早くふるさとを取り戻すということだと思います。

(問)今、課題の話が出ましたが、今月27日に子ども・被災者支援法の施行1年ということになるわけですけれども、これに関しては課題と感じていないかというのが1点とそれに関連してこの1年間、庁内で一回も会議が開催されてないと思うのですけれども、今後も支援地域の検討を原災本部の方に出している間、特に検討する項目がないとの理解でいいのかというのが1点。それから、先日来、水野参事官の問題で、この問題に関して関心が高まっているのですが、担当不在の状態はいつまで続いても構わないと考えているのか。職位の低い人たちがいろいろな集会にいらしていることに対して非難が強いのですけれどもその点について、3点お答えいただければと思います。
(答)子ども・被災者支援法については大きな課題だと考えております。既に、原子力災害による被災者支援パッケージも取りまとめて施策を前に進めていますから、きちんとこれからも対応していきたいと思います。いずれにしても適切に対応してまいります。今、体制の問題についてもありましたが、我々はしっかりと適切に対応していきたいと思っています。

(以    上) 

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