福島県15市町村の現況

福島県15市町村の現況

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福島県が復興に向けて歩む道のりは12年の時が経ち、さまざまな状況に変化がありました。 浜通り地域等15市町村の現在の復興状況を紹介します。

復興を目指して歩み続ける15市町村は、今、どのような状況にあるのだろうか。各事業者が進める取り組みの背景にある現状を、自治体ごとに紹介する。

※避難指示区域に指定された自治体については、現在の人口に加えて居住者数を記載

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いわき市

現在の人口:322,001人

※2023年8月1日現在

新エネルギー創出に向けた取り組みを進め、農林水産物の安全性と魅力をアピール

福島イノベーション・コースト構想の実現に向け、次世代エネルギー等関連産業の集積を目指す「一般社団法人いわきバッテリーバレー推進機構」などを設立。新産業創出を目指し、産官学の連携による技術開発や人材育成などの取り組みを推し進めている。

また、農林水産業や観光業の再生に向けて、「いわき見える化プロジェクト」を展開し、安全・安心を判断する情報や、“いわきの魅力”を広く知ってもらうための情報を積極的に発信している。

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広野町

現在の人口:4,665人

居住者数:4,221人

※2023年7月31日現在

津波被害のあった駅東側を復興拠点として、住宅団地や産業団地の開発が進む

被災後、町全域が緊急時避難準備区域に指定されて町民が避難したが、2011年9月には解除された。また、町外に移転していた役場機能は2012年3月、元の広野町役場に戻った。

津波被害のあったJR広野駅東側地域を復興拠点と位置付け、2014年より開発整備事業を推進。テナントビル、集合住宅、ホテル、病院などの建設や、道路、上下水道、住宅団地、産業団地などの整備を進めている。

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楢葉町

現在の人口:6,547人

居住者数:4,346人

※2023年7月31日現在

町民と行政が一体となり、人のつながりを活力に、“笑顔とチャレンジがあふれるまち”を目指して

町全体が避難指示解除準備区域となったが、2015年9月に避難指示が解除、復興に向けて新たなスタートを切った。

2018年には、コンパクトタウン内に商業施設・交流施設を整備。2019年4月には屋内体育施設がオープンするなど、復旧・復興の多くが実現。町内居住人口も6割まで回復し、町内には新たな活気とにぎわいが生まれている。

“笑顔とチャレンジがあふれるまちならは”を目指し、地域の良さを生かした町づくりを進めている。

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富岡町

現在の人口:11,615人

居住者数:2,226人

※2023年8月1日現在

地域産業の活性化、農業の再生に向けて、産業団地や施設の整備が進む

2017年4月、北東部の帰還困難区域を除いて避難指示が解除され帰町を開始。2023年4月には帰還困難区域のうち、夜の森地区を中心とする特定復興再生拠点区域の避難指示解除も実現した。居住者は少しずつだが着実に増加している。

災害公営住宅、複合商業施設なども整備された。地域産業の活性化と雇用促進を目指し「富岡産業団地」を整備して企業誘致を進め、すでに供用が開始。

農業関連では、米の乾燥調製施設「カントリーエレベーター」が2022年産米から稼働しており、隣接地に野菜の集出荷施設の整備を進めている。

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川内村

現在の人口:2,314人

居住者数:1,925人

※2023年8月1日現在

住民の約8割がすでに帰還して生活を再開。農林畜産業のさらなる振興を目指す

2016年6月に村内全域の避難指示が解除された。生活環境の回復やインフラ整備などの施策を実施してきた結果、現在では約8割の住民が村での生活を再開しているが、現状は高齢者の割合が多く、若い世代や子どもの帰還は進んでいない。

人口減少と少子高齢化の流れに歯止めをかけるためにも、村の基幹産業である農林畜産業の振興をさらに推し進め、新たな農業・産業づくり、担い手確保に向けた取り組みを行っている。

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大熊町

現在の人口:10,007人

居住者数:1,092人

※2023年8月1日現在

大川原地区復興拠点と特定復興再生拠点区域にて、企業誘致を進める

2019年4月、居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示が解除され、2020年3月には帰還困難区域の一部でも避難指示が解除となった。同月にJR常磐線が全線開通し、大野駅の利用が開始された。

特定復興再生拠点区域は2022年6月30日に解除され、大川原地区復興拠点と、JR大野駅周辺の特定復興再生拠点区域内にて、企業誘致を推進している。

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田村市

現在の人口:33,200人

居住者数:33,866人

※2023年7月1日現在

農林業や商工業の再開が進められ、復興が着実に進展している

2014年4月、都路地区の一部に出された避難指示解除準備区域の避難指示が解除。これにより、市内に出ていた避難指示はすべて解除された。

農林業については2013年より営農が再開されており、2023年3月現在、休耕地893ha のうち531ha(59.5%)で作付けが行われている。

商工業では、クラフトビールを醸造する株式会社ホップジャパンや最先端の設備を活用した野菜工場の株式会社A-Plusが操業を開始している。

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双葉町

現在の人口:5,484人

居住者数:90人

※2023年9月1日現在

特定復興再生拠点区域内への帰還開始を目指し、復興のスタートラインに立った

2020年3月、町域の約5%で初の避難指示解除。町域の約85%に当たる帰還困難区域ではいまだ解除見通しが立たないが、町域の約10%に当たる特定復興再生拠点区域では2022年8月30日に避難指示解除が行われ、住民の帰還・居住が可能となった。

住民帰還に先立ち、働く場の整備が先行して進んでいる。約50haの「中野地区復興産業拠点」では、2023年8月現在20件24社の企業の立地が決定している。

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葛尾村

現在の人口:1,293人

居住者数:467人

※2023年8月1日現在

農林畜産業や製造業などの復興、「スマートコミュニティ」による再生が進展

2016年6月、一部地域を除く避難指示が解除された。養鶏、酪農の再開、胡蝶蘭の栽培など農業の復興が進み、2021年には2カ所の産業団地が完成するなど、産業の復興も進んでいる。

また、エネルギーの地産地消を柱とする「スマートコミュニティ」による地域活性化にも取り組んでいる。2022年6月には、帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域の避難指示が解除され、さらなる復興に向けた取り組みが進められている。

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浪江町

現在の人口:15,352人

居住者数:2,089

※2023年8月1日現在

エネルギー地産地消の町づくりに向けて、水素利活用に関するプロジェクトを推進

2017年3月、町内の避難指示が一部解除。2023年3月には約661haの特定復興再生拠点区域の避難指示が解除された。さらなる帰還困難区域内の再生に向けて、除染とインフラ復旧・整備を推進している。

2023年4月には、東北の復興を目指す福島国際研究教育機構(F-REI)が浪江町に設立され、「創造的復興の中核拠点」を目指す。

水素社会実現およびゼロカーボンシティ達成に向け、エネルギー地産地消の町づくりも進めている。

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南相馬市

現在の人口:56,620人

居住者数:53,710人

※2023年8月1日現在

福島イノベーション・コースト構想による最先端のロボット開発・実証の地

2016年7月、避難指示解除準備区域、居住制限区域の避難指示が解除。

国家プロジェクトの福島イノベーション・コースト構想により、世界に類を見ない一大開発実証拠点「福島ロボットテストフィールド(RTF)」が整備され、ロボット産業の集積が進んでいる。

また、RTFの整備に合わせて、工業団地、貸事務所・貸工場などを整備し、基礎研究、試作品開発、工場生産など、幅広い事業ニーズに対応可能な新産業の集積エリアが完成。

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川俣町

現在の人口:11,225人

居住者数:11,773人

※2023年8月1日現在

復興の象徴「アンスリウム」が山木屋を彩る

川俣町南東部の山木屋地区は居住制限区域・避難指示解除準備区域に設定されていたが、2017年3月に避難指示が解除。

それに先駆けて2014〜2015年に、住民の雇用の場の確保などを目的に「川俣西部工業団地」や「羽田産業団地」の造成を実施した。

アンスリウムは近畿大学の支援の下、山木屋地区を中心に栽培され、2019年8月に本格出荷を開始。その品質の高さから、年々売り上げは増加。現在は日本一の産地となっている。

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飯舘村

現在の人口:4,745人

居住者数:1,529人

※2023年8月1日現在

村民、移住者共に新規事業に挑戦。新たな産業団地の整備で産業雇用創出へ

2017年3月、居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を解除。農用地の基盤整備など営農再開に向けた取り組み、事業所の再開、新規事業者への支援などを展開してきた。

現在では、飲食、宿泊、ものづくり、地域づくり、イベント企画などの多種多様な事業に、村民や移住者、地域おこし協力隊などさまざまな人が「ふるさとの担い手」として村の“開拓”を楽しみながら進めている。

また、村内の産業雇用創出のために新たな産業団地の整備計画が進められており、2025年度までに整備完了を目指している。

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相馬市

現在の人口:33,014人

※2023年7月1日現在

農業・水産業の生産基盤は復旧完了。新たな観光資源を活用して交流人口拡大へ

相馬市の基幹産業である農業・水産業の生産基盤は、復旧が完了した。農業については、農業法人の設立を推進し、担い手育成の支援を展開。水産業では、本格操業の再開に向けて整備してきた施設を活用し、生産流通体制の支援と風評払拭への取り組みを継続する。

また、新たな観光資源となる光陽地区のスポーツ施設、尾浜地区の相馬復興市民市場(浜の駅松川浦)、尾浜こども公園などを活用して、交流人口の拡大を目指す。

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新地町

現在の人口:7,647人

※2023年8月1日現在

住宅街や鉄道を安全な内陸に移設。農業・水産業も復旧が進んでいる

津波で大きな被害を受けたJR新地駅周辺では、2020年に新地駅周辺市街地復興整備事業が完了。平均約4m盛土したエリアでは新しい住宅が建ち並び、また文化交流センターや複合商業施設などさまざまな施設が整備された。

農地の復旧はすでに完了し、作付けが行われている。釣師浜漁港では岸壁嵩上げ工事が行われ、荷さばき施設、漁具倉庫が整備されて、本格操業に向け拡大操業を行っている。