岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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品の製作、光造形システムや3Dプリンターを用いた試作品やモデルの製作に取り組んでいる。使用する素材はABS樹脂、ガラスエポキシ樹脂、アクリル樹脂などを中心に、シリコンゴムや木材、アルミなどだ。かつては家電メーカーが主な取引先だったが、次第に日本の家電メーカーが元気を失ったことから、ここ10年ほどは取引先の多様化に取り組んでいる。光造形システムは、製品の幅を広げるために、2006年に導入したものだ。光造形システムとは、3Dデータを元に樹脂に紫外線レーザーなどを当てて立体物を製作するもので、3Dプリンターの一種。取引先の求めに応じて、家電や自動車、事務用品、医療機器などの複雑な形状の試作品やモデルを、光造形システムにより短時間で製作することができる。取引先を広げていた同社に、大きな打撃を与えたのが、2008年のリーマンショックだった。「業績への直接的な影響という点では、東日本大震災よりはるかに大きくこたえました。地震保険の保障額を見直したように、節減できるものはすべて削って乗り越えてきたわけです」。リーマンショックで大幅に悪化した業績が、ようやく回復に向かおうとしていたところに、水を差したのが東日本大震災だった。二つの大きな「災難」を経験し、佐々木氏はいくつかの取り組みの強化を考え、実践に移している。まず始めたのが新分野の開拓だ。現在は臓器のモデル作りなど、医療分野への進出を進めている。実は光造形システムを導入した際に、佐々木氏はすでに医療分野での製品化を思い付いていた。研究や手術のトレーニングのた12フライス盤を使用したプラスチックの切削作業3手作業による研磨作業 4マシニングセンタによる切削作業5シーメット社製の光造形システム「SOUP II 600G」6検査などを行う仕上げ作業7釜石市が開催地となるラグビーW杯にちなんだけん玉8釜石大観音にちなんだ製品子どもたちの命を守る心臓のモデル作り12463576

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