岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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ました。まずは、外国から来ている従業員も含め、作業に関わる全員に細かい作業工程の資料を配布。行動の注意点や商品の特徴をしっかりと理解し、全員が同じ意識で働けるようにしました。また、微生物や原料を検査していた品質管理部を増員して、品質保証部に改組。品質の管理だけではなく、製造の際には責任者がパトロールするようにして新人でも同じ品質の物ができるような仕組みづくりを進めています」。2016年4月には東京都にも営業所を設置し、さらなる事業の拡大を目指している。「通販事業を通じて三陸の海の幸を全国だけでなく、シンガポールや香港などアジアにも紹介していければと思っています。また、質の高い製品を提供してくれる三陸の一次加工産業会社とも連携し、少しでも地域経済の発展につながるようなビジネスモデルの確立を目指します」。一人ひとりの顧客を大切にすることで業績を伸ばしながら、新しい商品開発にも挑戦する。地域と一緒に歩んでいく挑戦は、これからも続く。い」と、代表取締役の小野昭男氏は考察する。「お客さまからの意見を反映した新商品を開発できるように心掛けました。弊社の商品には感想や意見を書き込めるハガキを同封しているのですが、返信してくださるお客さまの意見にはすべて目を通すようにしています。当然辛口の意見もありますが、商品開発においてこれ以上のヒントはありません。お返事も必ずするようにして、お客さまとの関係を深められるように心掛けています」。また、小野食品の強みである取引先の多様さも通販事業へ生かされていると言う。「弊社のもう一つの主力ビジネスは介護施設や学校への給食事業です。通信販売のメインターゲットも60代~70代の方なので、『どんな味付けが好まれるのか』や『この魚で今度はこんな料理が食べたい』といった、その分野で得た意見や知識を活用することができるんです。これを生かせば、さまざまなニーズに対応することができます。今後はターゲットの幅を広げ、若い一人暮らしの男性や、介護をしている40代~50代の女性向けの商品も開発していく予定です」。2016年には大槌町で新工場も稼働を始め、さらなる顧客の拡大にも対応できそうだ。2013年掲載時に課題として挙げていた「社員の『暗黙知(知恵・コツ)』の共有」も大きく改善していると言う。「『作業の見える化』を徹底させ「作業の見える化」の徹底と品質保証の厳正な管理多様なニーズへの対応と海外への進出が今後の目標11小野食品株式会社「三陸おのや」の商品。魚の煮付けといった定番に加え、ホタテのアヒージョなど洋風料理も人気を集めている[SDGs]2030年に向けて2030年復興への歩み1,4402010年6892011年1,308●12月 ISO22000の認証2012年1,729●2月 売上金額が被災前の水準に戻る2013年2,0262014年1,9802015年2,269●3月 大槌工場稼働開始●4月 東京営業所業務開始2016年2,629●3月 三陸おのやが 「ネットショップ大賞」受賞2017年三陸の海の幸を生かした食品を製造することで、地場産業である水産加工業の雇用を創出し、産業の継続・発展に寄与。また海の資源を利用することを意識し、漁業従業者と連携を図る。通販・直販事業を強化し地域の産業を活性化前回の取材被災地での再生・被災地への進出海外進出・観光誘致地域振興・スポーツ振興社員の働きがい新分野進出1,2002,4001,8003,0000600[売上高(百万円)]【目指していくゴール】※4月~翌年3月まで69

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