岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
58/155

養分に富んだ三陸の海で捕れる海産物は現地の料理人に高く評価され、日本食ブームも輸出を後押ししてくれました。その結果、2年目はホタテの加工品5t、その後、大量のカキの輸出にも成功しました」。海外で支持されたのは、商品の品質だけではない。顧客のニーズに合った商品を提供することで、信頼を築いていった。「レストランであれば、料理人が手を加えやすいように味付けのない商品に、輸出先の国で使用してはいけない素材があれば、その国に合わせた素材で調味料を作るなどの工夫をしました」。「日高見の国」として、各企業の持つさまざまな商品を提示できることも、営業面のメリットになっている。グループとして扱う商品は30~40種類にも及ぶ。また、末永海産は自治体による「石巻市水産加工業再生支援事業」を利用して工場を建て直した。高性能な設備を導入したことで衛生水準も上がり、品質の高いものを生産できるようになったという。生食用カキで、全国で初めて国際的な食品衛生方式である「HACCP」の認定を受け、輸出における信用度を高めた。輸出に際しては、経済産業省の「JAPANブランド育成支援事業」を2013年から2015年までの3年間、2016年には復興庁の「輸出拡大モデル事業」を活用。香港、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナムへと展開している。「震災前までは、どの企業も海外への販路を持っていなかったのですが、グループ全体で、1年目に1ホヤ、カキ、ホタテなどの商品を扱う234第26回全国水産加工品総合品質審査会で末永海産の「牡蠣の潮煮」が農林水産大臣賞を受賞したほか、さまざまな賞を受賞5海外展示会の様子6海外のあいさつが書かれた自作のメモ1254358

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る