岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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持って来店したお客さまがいらしたときはうれしかったですね。渡辺 気仙沼地域全体の復興も含め、まだまだご苦労は多いかと思いますが、おいしいのりをこれからも多くの消費者に届けてください。渡辺 続いて福島県内で活動する企業です。伊達市を拠点に活躍するアサヒ電子さんは、2015年の取材時は、大手家電メーカーの協力会社から自社開発中心のものづくり会社へ転換を図り、苦境を乗り越えたとのことでしたが、その後の活動はいかがですか?菅野 東日本大震災後、再生可能エネルギーの重要性が再認識される中で、太陽光発電モニタリングシステムを開発して業績を回復することができました。しかし、その後の太陽光発電を取り巻く環境の激変によってビジネスが失速。現在は生産中止の状態ですが、事業を通じて蓄積したクラウド技術を活用した取り組みは継続してい援機構の存在を教えられ、担当者のアドバイスで利息の支払いを中断。最終的には一部の債務を買い取っていただき、その後5年間は債務と利息の支払いが猶予されたことで、店舗再建への道が開けました。ただ、仲間の中には、被災したのが自前の店舗ではなかったため十分なサポートを受けられず、再開を断念した人もいたのは残念でした。渡辺 再建に際してこだわった点などはありますか。長谷川 被災後は営業業態を卸売りから小売りにシフトしました。お客さまに品質が良くおいしいのりを提供したいと自ら探し回り、宮城県東松島産ののりを使った「寒流逸品」というオリジナル商品も開発しました。お持ちしたのりをぜひ試食してみてください。渡辺 確かに風味が違いますね。ご飯が食べたくなる。歯切れが良く、かむほどに深いうまみと香りが広がります。長谷川 地元紙に広告を出したところ、仮設店舗にその切り抜きをます。社内に事業発展のサイクルが根付き、諦めない企業文化が育ってきたことは大きな財産だと思っています。さまざまな企業・機関と連携しながら新技術・新製品開発への挑戦が続き、現在はロボット・AI技術の活用にも注力しています。その一例がドローンです。渡辺 ドローンの活躍の場は世界的に広がり、用途も無限の可能性を秘めていますよね。菅野 今回お持ちしたのは、純国産のドローンです。弊社ではその動きをつかさどるフライトコントローラーの電子基板を手掛けています。GPSから信号を受けて自分の位置を確認し、プロペラをどのように回転させれば目的の位置へ到達できるかを判断する“頭脳”の役割を果たす部分で、純国産での量産は弊社が初めてです。国内で産業用ドローンの最先端を走る株式会社エンルートと提携し、農業や測量等にご利用いただける高品質なフライトコントローラーを提供していきます。渡辺 その他にも新領域への挑戦「被災後に出会った東松島産ののりにほれて 作った商品です。そのおいしさをより多くの人々に伝えていきたい」(長谷川氏)企業・機関と連携し新領域へも挑戦5

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