岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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構は事業再開後の長期間にわたる事業計画に基づいて支援決定を行うが、建設地選定段階では計画の策定ができない。「この状況の中、独立行政法人福祉医療機構には、福島県と震災支援機構への状況確認を踏まえて、融資を前向きに進めていただき、事業計画に対する資金計画が進展しました。その結果、県が補助金の策定に入ってくれました。結局補助金の通知はされたものの、銀行の融資証明書が下りず、2015年度に申請していた補助金は年度末に失効してしまいました」(池田氏)。支援目前までこぎ着けた段階での失効。関係者の失意は想像に難くないが、ここで諦めるわけにはいかなかった。「わらにもすがる思いで、厚労省の補助金の再査定をお願いしました。『国の事業で補助金の再査定なんて前例がない』と言われましたが、以前の査定の金額内であれば何とか再査定してくれることになり、再度チャレンジしたんです。最初の査定段階とは建物の設計計画が変わっていますから、資金に合わせて設計を見直す必要がありましたが、2016年12月に何とか資金計画のめどが立ちました」。震災支援機構の支援が決定したのは、被災から6年が経とうとしていた、2017年1月27日だった。そして2017年12月1日、被災から6年9カ月ぶりに、ヨッシーランドは復旧再開を果たした。「有能なスタッフのおかげで再建できたことに、心から感謝しています。また、応援していただいた方、利用される方、すべての方にも感謝しかありません」と語る、猪又氏。「何としても被災以前の南相馬に戻したい。ヨッシーランドがこの地区の復興の一助になれれば」という強い想いが周囲を動かし、多くの人を動かした結果の再建だった。「感謝しかない」ついに果たした7年目の再建1理事長の猪又義光氏(前列左から2人目)、事務局の池田幸氏(前列左から3人目)をはじめ、ヨッシーランドスタッフの皆さん2歩行や筋力の向上をサポートするトレーニングマシーンも充実3プライバシーに配慮した4人床居室。部屋には鳥や樹木などの名が付いている45お正月や節分など、季節のイベントも充実している6毎年3月11日、かつてヨッシーランドがあった場所で献花を行う猪又理事長31248

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