岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
44/155

の出資を引き受けてくれることになった(ベルグアースの出資比率は40%)他、JA全農は役員を派遣し支援することを決めた。ベルグ福島は、2haの敷地に、日本最大級の閉鎖型育苗施設や大屋根型の育苗ハウスなど、10連棟の建物を建てる一方、社員の募集も開始した。当初は、ベルグ福島の認知度の低さから採用がなかなか決まらず、苦労したという。それでも、見学会開催や、社員や取引先の口コミを通じて、徐々に認知してもらえるようになり、稼働当初に約15人の社員を採用することができた。そして、2015年12月にベルグ福島が本格稼働を開始し、翌年3月、ついに苗の出荷が始まった。話は前後するが、ここで、接ぎ木苗について説明しておこう。接ぎ木苗とは、苗の下の部分(台だい木ぎ)に丈夫で病気に強い植物を、苗の上の部分(穂ほぎ木)においしい果実を多く収穫できる植物を用い、この二つの植物をつなぎ合わせて(接ぎ木して)作った苗のこと。接ぎ木苗は、双方の植物の長所を併せ持ち、病害や連作障害に強く、収量を上げてくれる。ベルグアースは、この接ぎ木技術に加え、老化した根を切って若い根を再生させる断根技術を駆使し、さらに高品質の断根接ぎ木苗を生産しているのだ。ベルグ福島では、トマト、キュウリ、スイカ、メロンなどの苗を生産し、ベルググループの東日本の二次育苗施設に送るほか、自社で二次育苗を行い、地元の農業に愛着を持つ人たちが集まってくれた12温度、湿度、光量などを完全にコントロールする「閉鎖型苗生産システム」を14基備える345根の張りが良く病気に強い「台木」に、おいしい果実を多く収穫できる「穂木」を接ぎ木することで、双方の長所を持った苗ができる。極めて細かい手作業6接ぎ木された苗は、ハウス設備内で育成され、出荷される。農家のオーダーに応じた、多種多様な品種が管理栽培されている31462544

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る