岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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2017年に、気仙沼市のある職員と出会った。そして「市内にIT企業が集まるコンソーシアムをつくる計画があるので、来てもらえませんか」と打診された。こはらぎ荘の話を聞いた相澤氏はさっそく現地を訪問。すぐに進出を決めた。「私は横須賀市出身なのですが、人口転出が多く、空き家問題も深刻です。これらの問題を解決するための事業や、シェアオフィス事業に取り組んでいるので、気仙沼でも役に立てることがあるのなら、と思いました」。現在、気仙沼オフィスには3人が在籍する。2019年4月には高校新卒者2人が入社する予定で、5人はいずれも気仙沼市出身だ。 「これまでは、人口40万人を目安に進出してきましたが、気仙沼は6万人。今までで最少でしたので、人材が集まるか心配もしたのですが、3人は皆とても優秀です」。そのうちの1人は、同社が気仙沼で開催した「プログラミング講座」の参加者だという。「プログラミング講座」は各地で開いている市民向けのアプリ開発セミナーで、講座開催は開発と並ぶ事業の柱だ。相澤氏は「高校で出前授業もしていて、生徒が開発したアプリが何本も配信されています。在学中に起業した教え子もいるんですよ」とうれしそうに語る。 講座開催は、事業収入や地域貢献だけではなく、同社の採用にもつながっている。社員にはセミナー参加者が多いのだ。「お互いにある程度分かった上で1234宮城県気仙沼向洋高等学校での出前授業。相澤氏と藤田氏がデザインのコツ、目を引くレイアウトなどを教え、生徒たちは真剣な表情でパンフレット作成に取り組んでいる5「地域活性化に貢献したい」と語る相澤氏62018年に新築移転した気仙沼向洋高校の校舎361245社員は全員が地元出身プログラミング講座参加者も40

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