岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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[SDGs]2030年に向けて「地域の課題の解決に貢献したいと思い、オフィスを開設しました。この町には可能性を感じています」。2018年4月に気仙沼市に進出したIT企業のタイムカプセル株式会社の代表取締役、相澤謙一郎氏はこう話す。2013年に創業したタイムカプセルの主力事業はスマートフォンやタブレット向けのアプリ開発。プロ野球やJリーグ、東京六大学野球などのアプリを手掛ける。「会社のミッションとして『スポーツ×ITで地域活性化』を掲げています。地域のスポーツチームを盛り上げることで、町を元気にしたいです」。 2019年2月現在、オフィスは北海道函館市、仙台市、神奈川県横須賀市など全国7カ所で、社員数は約40人。本社は岐阜県岐阜市にあるが、役員は全社で相澤氏のみで、本社機能は外注しているという。各事業所の位置付けは同等で、スタッフはそれぞれ、プログラミングやデザイン、営業など得意分野を担当。大きなプロジェクトの場合、別の拠点の社員も連携し、インターネット電話を使った会議を行うなどして進めているという。独特の組織体制について、相澤氏はこう語る。「小規模な拠点を各地に設けることで、雇用の受け皿になり、地域活性化につながると思うんです。そしてそれは、当社の価値向上にもなると思っています」。気仙沼オフィスは同社が6番目に設けた事業所で、気仙沼市唐桑町の「ITベースこはらぎ荘」の一室にある。こはらぎ荘は廃校した気仙沼市立小原木中学校の校舎を生かしたシェアオフィスで、同社はオープン時に入居した。相澤氏は2011年3月の東日本大震災発生時、岐阜県内で別のIT企業の取締役をしていた。福島県南相馬市から岐阜に避難してきた人と知り合い、2013年の南相馬ITコンソーシアム設立に携わった。この事業などを通じて人脈が広がり、各地の復興関連のイベントに講師やパネリストとして招かれるようになる。地域活性化に貢献すべく各地にオフィス設置東日本大震災後の人の縁で東北に拠点を設ける04タイムカプセル株式会社2030年復興への歩み[売上高(万円)]2,319●5月 タイムカプセル創業2013年8,909●8月 横須賀オフィス開設2014年4,9052015年8,769●3月 仙台オフィス開設●7月 楽天イーグルス公式アプリリリース2016年13,3442017年●2月 気仙沼でプログラミング講座スタート●4月 気仙沼オフィス開設2018年相澤氏は「横浜高校野球部の渡辺元智元監督のようになりたい」と語る。タイムカプセルを全国的な企業に育てるとともに、スティーブ・ジョブズ氏のような人材を輩出したいと夢を描く。全都道府県に進出し教え子が世界的に活躍被災地での再生・被災地への進出海外進出・観光誘致地域振興・スポーツ振興社員の働きがい新分野進出【目指していくゴール】6,00012,00015,00003,0009,000プロスポーツチームなど幅広い分野のアプリを手掛けている※4月~翌年3月まで(13年のみ5月~翌年3月)39

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