岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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渡辺 東日本大震災から9年目を迎え、復興・創生期間の終了まで残り2年となった今、被災地の産業復興をどのように成し遂げていくか、その確固たる道筋を付けていくことが重要なテーマとなっています。意欲的な挑戦、創造的な活動で困難を乗り越えてこられた皆さんのお話を伺えることを大変楽しみにしておりました。トップバッターは、岩手県奥州市で独自の発酵技術をもとに地域資源循環型のものづくりを展開されている、ファーメンステーション酒井さん。米から生成したエタノールを化粧品やアロマの材料として使用しているそうですね。酒井 お持ちしましたハンドクリームは、岩手県奥州市の休耕田で有機栽培された非食用米を原料としたオリジナル商品で、虫よけ効果もあるんです。よろしければ匂いを嗅いでいただけますか。渡辺 香りは普通のお酒に近い。エタノールといえば、石油に代わる自動車用燃料として注目されていますが、こんな身近な分野にも活用できるんですね。酒井 オーガニック志向ともマッ地域資源を活用し循環型ビジネスを展開[中央]復興大臣渡辺 博道[左から]長谷川海苔店(宮城県気仙沼市)店主長谷川 行則氏金泉ニット株式会社(福島県葛尾村)代表取締役金岡 秀一氏稲部 文世氏アサヒ電子株式会社(福島県伊達市)代表取締役社長菅野 寿夫氏武田 留衣奈氏株式会社ファーメンステーション(岩手県奥州市)代表取締役酒井 里奈氏チしている点がビジネスにつながるポイントです。付加価値の高い原料として、比較的高めの単価でビジネスを展開しています。当社はご縁があって10年前に岩手県奥州市に工場を設置しましたが、奥州市では米の消費量の減少に伴う休耕田の活用が当時からの課題で、農家の新たな収益源となることを目指しています。また、抽出過程で発生するもろみ粕は、せっけんの材料として利用しています。渡辺 抽出時の副産物にまで着目されたことで独創的な商品開発につながっていったんですね。酒井 はい。奥州市との実証実験3

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