岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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SDGsを指標に未来を描き持続可能な成長を目指す先行企業SDGsとは何か?「SDGs(Sustainable Development Goals)」とは、2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標」のことで、“持続可能な世界”を実現するための2030年までの国際社会の共通目標を掲げている。先進国と途上国が一致して同じ開発目標に取り組むのは初めてのことで、まったく新しいアプローチだといえる。目標は、経済・社会・環境・ガバナンスの諸領域を包括する、17のゴールと169のターゲットで構成され、「21世紀的倫理と21世紀的経済のクロスロードに位置する」(蟹江氏)ものとなっている。「持続可能性」をキーワードに、時代状況に即した企業の在り方や、新たな経済社会の仕組みを模索するさまざまな動きが起きている。特に、国際社会共通の目標となっている「SDGs(持続可能な開発目標)」を指標にした取り組みは、内閣府にSDGs推進本部が設けられ(2016年)、日本経団連がSDGsの達成を視野に企業行動憲章を改定する(2017年)など、メインストリームを形成しつつある。一方、岩手・宮城・福島の被災3県はいまだ復興の道程にあるものの、産業復興で先行する企業の中には、10年後、20年後のあるべき姿を見据えた取り組みを展開している事例も多く見られる。そこで、今回の産業復興事例集では、慶應義塾大学大学院教授、蟹江憲史氏の助言の下、各企業の歩みを2030年に向けた道のりの中に位置付け、目指している目標とSDGsを照らし合わせるという試みを行った。蟹江氏は、「SDGsを外れた経営戦略は長持ちしない。被災した企業こそ、SDGsをヒントに『今、新たに何をすべきか』を考え、未来のあるべき姿を追求してほしい」と、語る。企業のSDGs達成に向けた行動が東北の持続可能な経済社会の構築にどうつながるのか、蟹江氏に解説していただいた。今、22

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