岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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011年3月11日の東日本大震災から8年が経過した。2011年8月には、約70件、負債総額約5,000億円を記録した東日本大震災関連倒産は、現在では大きく減少している。2015年には被災3県の製造品出荷額等が、おおむね被災前の水準まで回復したと報じられるなど、企業活動の復旧・復興が進んでいることがうかがえる。 しかし、復旧・復興の進展の陰で、さまざまな要因から倒産に追い込まれたり、事業継続を断念して廃業したりした企業も少なくない。被災3県の現在の倒産率は全国平均よりも低いが、5年間猶予された補助金等の返済の本格化、復興需要の収束などを考え合わせると、今後の動きが懸念される。 こうした状況を踏まえて、東北の企業活動を長年にわたって調査してきた株式会社帝国データバンクの担当者と共に、被災3県での企業の「失敗事例」を分析し、これからの企業活動に提供できる教訓を導き出したい。2失敗事例に学ぶ事業存続の分岐点仙台支店 支店長坂下和久氏(左)仙台支店情報部 部長補佐紺野啓二氏協力株式会社帝国データバンク※帝国データバンク調べ(法的整理のみ)※帝国データバンク調べ(法的整理のみ)●東日本大震災関連倒産の年次推移●倒産発生率0200,000400,000600,000800,0001,000,00002004001,000百万円件600800件数負債総額2011年3月~翌2月2012年3月~翌2月2013年3月~翌2月2014年3月~翌2月2015年3月~翌2月2016年3月~翌2月2017年3月~翌2月4813,595863,4435132011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年00.20.40.60.81.0%全国秋田岩手宮城0.240.460.360.360.570.440.690.450.370.84福島被災3県の倒産発生率は全国平均および近隣の秋田県を下回り、被災対応も含めた金融支援の効果が強いことがうかがわれる145

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