岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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1イチゴの苗を手入れする千葉氏2温度や湿度、二酸化炭素の量などを管理している松森農場のシステム画面3甘みと酸味のバランスが良いイチゴ4ハウス内では蜂を飼い、自由に飛ばせて受粉している5企画開発したイチゴの麺や酢て確認し、手入れする。栽培技術を磨き、それをシステムにも反映してブラッシュアップを図っている。こうして栽培したイチゴは品質の良さが評価され、取引先は増えていった。現在は、仙台のホテルや洋菓子店を中心に、全量を自社で流通販売している。「イチゴを最もおいしく食べられるのは完熟している時ですが、収穫後に追熟させることはできず、かなり足が早い。そのため完熟する前に収穫して出荷されることが多いのですが、うちはギリギリまで粘ります。なるべく収穫当日に届けるようにしており、非常に好評です」。イチゴ栽培や流通が軌道に乗ると、同社は新たな構想を描くようになる。出荷先の大半を占める仙台での生産だ。「イチゴをよりおいしく食べてもらえるよう、消費地にお客さまがその場で収穫して食べることができる観光農園をつくることを考えました。仙台市内に同様の施設はまだなく、新しい試みでした」。満を持して2018年1月、仙台市内に観光農園の松森農場をオープンさせた。すると連日、大にぎわいを見せる。平日は1日100人、週末は300~400人受け入れられるよう生産調整に努めたものの、オープン前に並んだ人で定員に達し、入場制限したこともたびたびあったという。6月中旬まで営業し、リピーターも多かった。「農業者と都市住民をつなぐ役割も果たせていると思います」と佐仙台に観光農園開業農家と消費者をつなぐ12345130

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