岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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自分たちで蒸留所へと改装。焼酎を保存する樽は只見産の木材を使用したものを用意し、ラベルも町出身の画家に依頼するなど、原料以外も只見にこだわった。2016年12月に“日本一小さな蒸留所”と自称する2階建ての施設が完成。初蒸留を控えた脇坂氏たちは熊本県へと足を運び、米焼酎のトップブランド、球く磨ま焼酎の4つの蔵で教えを乞う。脇坂氏以外の4人にとって、酒造りは未知の分野。脇坂氏にしても焼酎造りは初めての試みで、日本酒造りが中心の福島県では参考にできるデータも少なかったからだ。どんな味の焼酎を目指すのかも決まっていなかった。学んだ蔵は味にこだわるだけでなく、蔵ごとの個性を持っていた。「どうせ挑戦するなら、球磨焼酎に負けない個性を持ったものにしよう」と脇坂氏はイメージを固めていく。自分たちで育てた上質な只見の米に、福島県産の酵母を使用。日本酒の醸造技術を土台に、蒸留技術を加え、華やかな香りを持った「世界一、和食に合う米焼酎」が目標だ。2017年1月には「特産品しょうちゅう製造免許」も無事12345自分たちで古民家をリノベーションした “日本一小さな蒸留所”。只見の米と水に福島県産の酵母を使用した、こだわりの米焼酎が造られており、冬季の仕込み時期には5人の地域雇用を創出している6782018年4月、蒸留所の横にオープンしたテイスティングルーム。バーカウンターで試飲が楽しめるほか、限定ボトルや社員の作るトマトジュースの購入も可能9ワインと蒸留酒の世界的なコンクール「IWSC」にて、「米焼酎ねっか」(左)は2年連続、「ばがねっか」は初出品で、シルバーメダルを受賞した31746825116

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