岩手・宮城・福島の産業復興事例30 2018-2019 想いを受け継ぐ 次代の萌芽~東日本大震災から8年~
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22南三陸ハマーレ歌津地域を盛り上げるために定期的なイベントを数多く開き、地元住民や観光客を楽しませる1地元の多様な人材と連携して新たなイベントをつくり、観光客にPRする2化石産出地と豊かな海産物という歌津の特色を打ち出して集客を図る3被災地での再生・被災地への進出海外進出・観光誘致地域振興・スポーツ振興社員の働きがい新分野進出自動車道の歌津インターチェンジが完成し、仙台市内からのアクセスも良くなった。幸先の良いスタートを切ったハマーレ歌津だが、来客数は減少傾向にある。「地域の人口も減っている現状を考えると、交流人口を増やす試みはますます重要です。従来のイベントを引き続き行うのと同時に、観光客にも楽しんでもらえる新しいイベントや取り組みにも挑戦し、他団体との連携も積極的に行いたいと考えています。漁業協同組合や町おこし団体『海しょくにん』、『南三陸ふっこう青年会』など、南三陸を盛り上げたいという熱い気持ちを持った方々が多くいらっしゃいますから。実際、以前には『海しょくにん』にご協力いただいて芋煮会やマグロの解体を行ったこともあるんです」。オープンから2年近くが経過したハマーレ歌津。千葉氏は「これからが勝負」と話す。「商店街が仮設だった頃と比べると『地域のために買い物、観光しよう』と考える人は減っているようです。本設になったことで、以前ほどの支援は不要だと思われているのかもしれません。だからこそ、人が集まる魅力を打ち出すことが今まで以上に必要となっています。今後は歌津独自の要素を活用してハマーレ歌津をPRしたいと思っています。例えば、歌津は世界的に有名な魚竜化石の産出地で、貝の化石も多く出土するので、子ども向け化石発掘イベントなど面白いかもしれません。また、ワカメやアワビなどの多様な海産物の恵みももっと活用したい。化石と豊かな海という2つの独自の魅力を発信したいですね」。最後に千葉氏は、商店街復活に至る歩み、ハマーレ歌津に懸ける思いを次のように語った。「東日本大震災で失ったものは大きいですが、復興を目指す中で物心両面のご支援やご縁をいただき、被災後に得たものもまた多くあります。ご恩を返せるよう、地元住民に便利な場所をつくるという使命感、そして地元観光に貢献するという責任感を持って、これからも活動していきたいと思います」。12地元産の「南三陸杉」を使用した木造平屋建ての商店街「ハマーレ歌津」。設計は建築家の隈研吾氏3「歌津の魅力を発信したい」と語る千葉氏4商店街内の交流施設「かもめ館」ではウニの殻むきなどの体験イベントが開かれる56かもめ館に展示されている、歌津から沖縄県西表島まで漂流した郵便ポストと、世界最古の歌津魚竜化石7かもめ館の屋上からは伊里前湾を一望することができる化石と豊かな海産物で特色を打ち出す4567109

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