復興政策10年間の振り返り

復興政策10年間の振り返り

7章
原子力災害固有の対応

6節 事業者・農林漁業者の再建

1.福島相双復興官民合同チーム

(1) 概要・経緯

 原子力災害で被災された事業者の事業・なりわいの再建のため、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」改訂(平成27年6月12日閣議決定)に基づき、平成27年8月24日に、国、福島県、民間(福島相双復興推進機構)からなる「福島相双復興官民合同チーム」が創設された。翌年、平成28年12月に福島相双復興推進機構は公益社団法人化した。
 福島復興再生特別措置法一部改正(平成29年5月)にて、福島相双復興推進機構からの要請に応じて、国職員を、その身分を持ったまま同機構に派遣できる旨が規定され、平成29年7月から、同機構に国職員を派遣している。これにより、国・県・民間の職員がより一体的に業務を行うための体制強化が実現した。

(2) 官民合同チームの目的

  • ● 東日本大震災により被災し、東電福島第一原発及び福島第二原子力発電所事故に伴う避難指示等の対象地域となった福島県内12市町村(田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村)の復興・創生
  • ● 「東日本大震災当時、当該地域において事業を営まれていた方々」「浜通り地域等(当該地域並びにいわき市、相馬市及び新地町をいう。)において水産関係の仲買・加工業等を営む方々」の事業再開・継続
  • ● 東日本大震災当時、当該地域に居住されていた方々の生活再建等に寄与することを目的としている。

(3) 取組・支援

 官民合同チームは、被災事業者への個別訪問を通じて、専門家によるコンサルティングや設備投資、人材確保、販路開拓等、個々の事情に応じたきめ細かな支援を実施している。現在、福島県内及び東京都内の6拠点に常駐し、令和5年3月末までに約5,800の事業者を訪問した。また、平成29年4月から農業者に対する個別訪問を開始し、令和5年3月末までに約2,600の農業者を訪問した。平成29年9月からは12市町村へのまちづくりの専門家支援を、平成31年4月からは域外から創業等に取り組む者へのコンサルティング支援を開始している。
 令和3年5月には、12市町村に加え、3市町(いわき市、相馬市、新地町)の水産仲買・加工業者等を支援対象に追加し、令和5年3月末までに99の事業者を訪問し、60の事業者に対して人材確保、販路開拓等の支援を実施した。

2.事業・なりわいの再建に向けた取組

(1) 中小・小規模事業者の事業再開等支援事業

 事業者の帰還、事業・なりわいの再建を通じ、働く場の創出やまち機能の早期回復を図るため、被災12市町村における被災事業者による事業再開や新規投資、販路開拓等の事業展開を行う取組を支援している。具体的には、原子力災害発生時に12市町村内で事業を行っていた中小事業者又は社会福祉法人が、12市町村内において事業再開や新規投資、販路開拓等の事業展開投資を行う場合、及び原子力災害後に休業していた者又は休業していたとみなせる者1で12市町村外(福島県外を含む)において事業再開等を行う場合を補助の対象としており、令和4年度までに1,273件を採択した。

  • 1 「休業していたとみなせる者」とは、直近の売上高が震災前の50%以下又は帰還困難区域等において原子力災害発生時に事業を行っていた者(ただし、12市町村内で既に事業再開している方は含まれない)である。

(2) 創業促進・企業誘致に向けた設備投資等支援事業

 働く場・買い物をする場など、まち機能を早期に回復し、被災事業者によるなりわいの再建等を後押しするため、被災12市町村における創業及び12市町村外からの事業展開等を支援している。具体的には、12市町村において新たに創業する者や域外から12市町村に事業展開を行う者を対象に、創業や事業展開等に際して必要となる設備投資等に係る費用の一部を補助しており、令和4年度までに142件を採択した。

(3) 6次産業化等へ向けた事業者間マッチング等支援事業

 被災12市町村の事業者が抱える販路拡大の課題の解決に向けて、12市町村内外で販路開拓や新たなビジネス創出へ向けた事業者間のマッチング支援をしている。具体的な支援は以下である。
 ● 事業者を個別訪問してヒアリング調査を行い、課題やニーズを的確に把握する。
 ● 調査後、事業者のニーズに対応する専門人材や専門家等のコーディネートを行う。
 ● 各事業者の課題に対応した、販路開拓・ビジネスの創出等を支援する。
 令和4年度までに約240事業者を支援し、約1,200件の新規販路開拓を実現した。

(4) 人材確保支援事業

 被災12市町村の事業者が抱える人材確保の課題解決に向けて、12市町村の事業者が行う人材を確保するための活動を支援している。具体的な支援は以下である。
 ● 事業再開等を希望される事業者等のもとに人材コーディネーターが訪問して、必要とされる人材の要件を丁寧にヒアリングし、ニーズを整理する。
 ● 整理したニーズに基づいて、求人広告媒体を活用し、事業者の伝えたい思いを反映した求人の作成や公開を支援する。
 ● 12市町村内の事業者への就職に引越等の移転を伴う際は、支度金を給付(上限30万円)する。
 令和4年度までに約1,000事業者を支援し、約3,700人の採用を実現した。

(5) つながり創出を通じた地域活性化支援事業

 被災12市町村における被災者の人々とのつながりを創出し、地域の活性化、さらには産業振興やまちづくりにも資するような取組を支援している。
 具体的には、復興に取り組む団体を対象に、地域の合意形成、取組内容の検討、及び専門家の招聘等にかかるソフト面の経費を補助しており、令和4年度までに655件を採択した。

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