復興政策10年間の振り返り

復興政策10年間の振り返り

5章
住まいとまちの復興

14節 災害廃棄物

1.災害廃棄物の発生状況

 東日本大震災においては13道県(北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、静岡、長野)と広範囲で災害廃棄物等が発生した。特に津波被害については、北は青森県から南は千葉県まで太平洋沿岸に広く及んだ。中でも岩手県と宮城県においては、被害が甚大であった。災害廃棄物は一般廃棄物に当たり、その処理責任は市町村にあるが、沿岸市町村の多くで通常の一般廃棄物の処理量の数十年分に相当するものとなった。

図表 5-14-1 被災13道県の被害状況
図表 5-14-1 被災13道県の被害状況
出所)環境省「東日本大震災における災害廃棄物処理概要報告書」(P.2-1)(平成28年3月) 
http://kouikishori.env.go.jp/document_video/pdf/wg_report_01.pdf (令和5年7月31日閲覧)
図表 5-14-2 岩手県及び宮城県の災害廃棄物の状況
図表 5-14-2 岩手県及び宮城県の災害廃棄物の状況
出所)環境省「東日本大震災における災害廃棄物処理概要報告書」(P.2-4)(平成28年3月) 
http://kouikishori.env.go.jp/document_video/pdf/wg_report_01.pdf (令和5年7月31日閲覧)

2.復旧・復興における取組

(1) 災害廃棄物理処理の目標

1) 損壊家屋等の撤去等の指針

 東日本大震災では、津波により動産(家財、自動車等)、不動産(家屋等)の甚大な被害が生じ、津波により遠く運ばれたものも多く、2万人を超える人的な被害と相まって、所有者不明の動産、不動産が大量に発生した。
 これらの所有権の扱い等は、災害廃棄物処理を進める上でも、緊急に整理すべき重大な課題であったことから、法務省等の関係省庁の協力を得て「災害廃棄物の処理等に係る法的問題に関する検討会議」(座長:法務副大臣)が設置され、平成23年3月25日には、「東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針」が取りまとめられ、各都道府県宛に通知された。
 この指針により、今回の被害を踏まえ、作業のための私有地への立ち入りや、建物の撤去、自動車の移動等について一定のルールが示されたことから、その後の災害廃棄物処理の円滑な実施につながった。

図表 5-14-3 「東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針」

 標記は、人の捜索・救出、御遺体の捜索・搬出その他防疫・防火対策の必要性、社会生活の回復等のため、緊急に対処する必要性があるので、その処置についての指針を示すものである。

1.作業のための私有地立入りについて
 作業を行うための私有地への一時的な立入りについては、その所有者等に連絡し、又はその承諾を得なくても差し支えない。ただし、可能な限り所有者等の承諾を得、あるいは作業に立ち会っていただくことが望ましいことから、作業の対象地域・日程等の計画を事前に周知することが望ましい。

2.損壊家屋等の撤去について

(1)建物について

  • ○倒壊してがれき状態になっているものについては、所有者等に連絡し、又はその承諾を得ることなく撤去して差し支えない。
  • ○本来の敷地から流出した建物についても、同様とする。
  • ○敷地内にある建物については、一定の原形をとどめている場合には、所有者等の意向を確認するのが基本であるが、所有者等に連絡が取れない場合や、倒壊等の危険がある場合には、土地家屋調査士等の専門家に判断を求め、建物の価値がないと認められたものについては、解体・撤去して差し支えない。その場合には、現状を写真等で記録しておくことが望ましい。
  • ○建物内の動産の扱いについては、後記(4)による。

(2)自動車について

  • ○外形上から判断して、その効用をなさない状態にあると認められるものは撤去し、仮置場等に移動させて差し支えない。その上で、所有者等が判明する場合には、所有者等に連絡するよう努め、所有者等が引渡しを求める場合は、引き渡す。それ以外の場合は、自動車リサイクル法に従って使用済自動車として処理を行う。
  • ○上記以外の自動車については、仮置場等に移動させた後、所有者等に連絡するよう努め、所有者等が引渡しを求める場合は、引き渡す。それ以外の場合の扱いについては、追って指針を示す。
  • ○上記いずれの場合においても、移動及び処理を行う前に写真等で記録しておくことが望ましい。
  • ○原動機付自転車についても、自動車に準じて処理する。
  • ○自動車内の動産の扱いは後記(4)による。

(3)船舶

  • ○外形上から判断して、その効用をなさない状態にあると認められるものは撤去し、仮置場等に移動させて差し支えない。その上で、所有者等が判明する場合には、所有者等に連絡するよう努め、所有者等が引渡しを求める場合は、引き渡す。それ以外の場合は、廃棄する。
  • ○上記以外の船舶については、仮置場等に移動させた後、所有者等に連絡するよう努め、所有者等が引渡しを求める場合は、引き渡す。それ以外の場合の扱いについては、追って指針を示す。
  • ○移動が困難な船舶については、個別に所有者等と協議して対応する。
  • ○上記いずれの場合においても、移動及び処理を行う前に、写真等で記録しておくことが望ましい。
  • ○船舶内の動産の扱いは後記(4)による。

(4)動産(自動車及び船舶を除く。)

  • ○貴金属その他の有価物及び金庫等については、一時保管し、所有者等が判明する場合には所有者等に連絡するよう努め、所有者等が引渡しを求める場合は、引き渡す。引き渡すべき所有者等が明らかでない場合には、遺失物法により処理する。
  • ○位牌、アルバム等、所有者等の個人にとって価値があると認められるものについては、作業の過程において発見され、容易に回収することができる場合は、一律に廃棄せず、別途保管し、所有者等に引き渡す機会を設けることが望ましい。
  • ○上記以外の物については、撤去し、廃棄して差し支えない。
出所)環境省HP「平成23年3月東日本大震災における災害廃棄物の処理について>発災後の取組>処理の基本方針」 
http://kouikishori.env.go.jp/archive/h23_shinsai/after_initiatives/basic_policy/ (令和5年7月31日閲覧)

(2) 各県における災害廃棄物処理実行計画

 環境省の積極的な働きかけにより、被災3県においては、災害廃棄物の量・質の把握、処理体制の検討、役割分担の明確化、処理計画の策定と工程管理等を行う場として、国の地方部局、県、市町村、関係団体からなる「災害廃棄物処理対策協議会」を設置することとなった。
 協議会では、様々な情報、課題を共有しつつ、マスタープランを踏まえた各県における具体の処理計画として「災害廃棄物処理実行計画」を策定した。同実行計画は、その後の処理の進捗に応じて、適宜改定が行われ、県内処理及び広域処理を整合させながら進めるためのベースとなった。

図表 5-14-4 東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)

平成23年5月16日
環    境    省

1.はじめに

  • ・ 東日本大震災に係る災害廃棄物について、国ではこれまで、「東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針」、「損壊家屋等の処理の進め方指針(骨子案)」の他、各種通知等を発出するとともに、岩手県、宮城県、福島県に対し、県、市町村、国、関係業界等が参加する災害廃棄物の処理に関する協議会の設置を促してきたところ。
  • ・ こうした中で、災害廃棄物の仮置場への搬入が進みつつあり、これからは、収集された廃棄物の焼却、再生利用、最終処分等の本格化に向けた取組が求められている。そこで本指針は、災害廃棄物の適正かつ効率的な処理を進めるため、主に仮置場に搬入された後の処理に焦点を当てて、処理推進体制、財政措置、処理方法、スケジュール等についてとりまとめたものである。
  • ・ 今後、本処理指針を基本としつつ、地域の実情を踏まえて被災各県が具体的処理方法を定めた災害廃棄物処理の実行計画を作成し、災害廃棄物の適正かつ効率的な処理の推進を図っていくことが期待される。

2.処理推進体制

  • ・ 国、県、市町村は原則として下記の役割を担い、連携しながら災害廃棄物の適正かつ効率的な処理を図る。

    国:市町村又は地方自治法に基づき事務委託を受けた県(以下「県・市町村」という。)による災害廃棄物の処理が適正かつ効率的に行われるよう、処理指針(マスタープラン)の作成の他、財政措置、専門家の派遣、広域かつ効率的な処理に向け、県外の自治体や民間事業者の処理施設に係る情報提供等の支援を実施。

    県 :仮置場の設置や災害廃棄物の処理について、災害廃棄物の処理に関する協議会等を通じ、市町村等との総合調整を行い、具体的処理方法を定めた災害廃棄物処理の実行計画を作成。実行計画の作成に当たっては、処理方法等に関して広くアイデア・プロポーザルを募る。地方自治法に基づき、被災した市町村から事務委託を受けた場合は、市町村に代わり県が処理を実施。

    市町村:県が作成した災害廃棄物処理の実行計画を踏まえ、災害廃棄物の処理を実施。

3.処理に関する財政措置

(1)財政措置

 東日本大震災の甚大かつ広範囲に及ぶ被害に鑑み、国は、県・市町村が実施する災害廃棄物の処理について、特例として災害救助法の負担率を勘案した国庫補助率の嵩上げを実施。また地方負担分については、災害廃棄物処理事業費が多額に及ぶ市町村について、その全額を災害対策債により対処し、その元利償還金の100%を交付税措置。

(2)効率的執行の確保

 県・市町村は、災害廃棄物の処理のための予算執行に当たって、下記の点を踏まえその効率性を確保する。

  • ・ 処理の実行計画の策定や進捗管理等に、廃棄物の処理方法や処理技術等に関する専門家が関与することにより、効率的な処理の実施を確保。
  • ・ 可能な限り地元雇用を考慮した処理とすることを基本としつつ、スピ-ド及び効率性の観点を踏まえて発注。(競争性を確保した契約方式の採用)
  • ・ 市販の物価に関する資料等を踏まえ、震災前の相場等を参考にした適正な予定価格の設定。
  • ・ 効率性の確保のためにも、近隣自治体と共同処理体制を構築することにより、広域処理を推進。

 また、国は県外の自治体や民間事業者の処理施設に係る受入れと被災自治体の需要をマッチングさせることにより、広域処理の推進を支援する。

4.処理方法

(1)処理の考え方

  • ・ 発生現場において危険物、資源物を分けて集めるなど可能な限り粗分別を行った後に仮置場等へ搬入し、混合状態の廃棄物の量を少なくする。また、仮置場等において混合状態の廃棄物を、重機や破砕・選別設備等で可燃物、不燃物、資源物、危険物等に分別し、それぞれの特性に応じた適切な処理を行うことにより、総処理コストの低減、最終処分量の削減等に資することが重要。
  • ・ 別添1に示すような処理を基本とし、再生利用が可能なものは、極力再生利用する。
  • ・ 再生利用を促進するため、再生利用が可能な廃棄物の種類や発生量等を把握することが必要。
  • ・ コンクリートくずについては、復興の資材等として被災地で活用。木くずについては、広域での活用も検討。これらの廃棄物については、再生利用の需要量(受け入れ可能量)等を踏まえた、時間をかけた処理の検討も必要。
  • ・ リサイクルルートが確立している自動車やテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機等については、分別ができ、技術的に可能な限りリサイクルを実施。
  • ・ 仮置場や運搬車両の選定、収集運搬に関する計画の策定等において、交通渋滞が発生しないよう配慮。

(2)広域処理の必要性

  • ・ 東日本大震災は膨大な量の災害廃棄物が発生しているが、被災地では処理能力が不足していることから、被災地以外の施設を活用した広域処理も必要。
  • ・ 広域処理は費用効率的となる場合があり、処理の選択肢を多くする観点から、促進を図ることが必要。
  • ・ 国は、県外の自治体や民間事業者の処理施設に係る情報提供等を実施。県・市町村は、これを踏まえ広域処理を推進。
  • ・ 焼却炉等の整備に当たっては、近隣自治体との共同処理体制の構築を検討。

(3)種類別処理方法

①可燃物

  • ・ 仮置場での火災防止や衛生管理を徹底する。
  • ・ 破砕後、できるだけセメント焼成や廃棄物発電等の有効利用を行う。

②木くず

  • ・ 木くずについては、木質ボードやボイラー燃料、発電等への利用が期待される。
  • ・ 一方、受入側との間で、受入が可能である木くずの形状や塩分など不純物等に関する条件について事前に調整を行うことが必要。(利用用途を決めないまま木くずを全てチップにすると、引取り業者の確保が困難となる)
  • ・ 降雨により塩分を除去しつつ、需要に応じて利用していくことも一案。その際、腐敗や火災防止の観点から、木くずを木材チップに加工しない状態としておくことが必要。
  • ・ 県外の受け入れ先に船舶や鉄道等で運び、受け入れ先において保管しつつ、塩分除去、不純物除去を行うことも一案。
  • ・ 目視等によりCCA(クロム・銅・砒素系)処理木材と判断されるものは、廃棄物処理施設にて焼却処理を行う。

③不燃物

  • ・ 可燃物や金属くずと一体となったものは、トロンメル(円筒形の回転式ふるい)や振動ふるい、浮沈分離、磁選等により、可燃物や金属くずを取り除いた上で、埋立を行う。

④金属くず

  • ・ 再生利用を基本とし、再生利用を容易にするため、受け入れ先で想定する利用用途に応じ可能な範囲で、鉄と鉄以外のもの(銅など)を区別する。

⑤コンクリートくず

  • ・ コンクリートくずについては、最終処分量の削減のためにも、復興資材等として被災地で活用することが有効。
  • ・ 再生利用の用途を考慮し、アスファルト、コンクリート、石材等に分別することが適当。
  • ・ 受入側との間で、受入が可能であるコンクリートくずの形状や付着物等に関する条件について事前に調整を行い、必要な破砕や粒度調整等を行うことが必要。(利用形態を決めないまま破砕や粒度調整等を行うと、引取り業者の確保が困難となる)
  • ・ 資材としての利用を進めるため、環境部局と土木部局間の連携や民間の知見の活用が必要。

⑥家電、自動車

  • ・ 家電リサイクル法対象品目(テレビ、エアコン、洗濯機・乾燥機、冷蔵庫)については、可能な範囲で分別し、破損や腐食の程度を勘案し、リサイクルが可能(有用な資源の回収が見込める)なものは、家電リサイクル法に基づきリサイクルを行う。
  • ・ 自動車については、自動車リサイクル法に基づき引取業者に引き渡し、リサイクルを行う。

⑦船舶

  • ・ 燃料やバッテリー等を取り除いた上で破砕し、破砕後の金属くずは再生利用する。廃プラスチックや木くずは焼却し、できるだけ廃棄物発電等の有効利用を行う。
  • ・ 石綿が使用されている部品等については、石綿含有廃棄物等としての処理を行う。

⑧危険物、PCB廃棄物、石綿含有廃棄物等

  • ・ 他の廃棄物と区別し、危険物又は特別管理廃棄物としての取扱を行い、各々の性状に応じた処分を行う。

⑨津波堆積物

 性状に応じて以下の処理を検討する。

  • ・ 重金属等有害物質を含むもの、腐敗性のある可燃物、油分を含むもの
  • ・ セメント原料としての利用、焼却又は最終処分場への埋立
  • ・ 上記以外(水底土砂と同程度の性状のもの)
    トロンメル(円筒形の回転式ふるい)、振動ふるい等で異物を除去した後、地盤沈下した場所の埋め戻し材としての利用、土木資材化又は海洋投入※
  • ※ 当該津波堆積物が海洋投入処分が認められている水底土砂と同様に、陸上処分ができず、かつ、一定の判断基準を満たし、海洋環境への著しい影響を及ぼさない場合については、海洋汚染防止法に基づき、環境大臣の許可を得て海洋投入を実施できる。

⑩火災が発生した場所にある廃棄物

  • ・ 火災が発生した場所において、灰と金属くずやコンクリートくずを分けて集めることが適当。
  • ・ 灰や灰と混合した状態の津波堆積物等については、ダイオキシン類の濃度を踏まえ、溶融処理や最終処分場への埋立等を行う。

5.スケジュール

 地域特性や処理の効率性を踏まえ、災害廃棄物の種類毎に、原則として以下の期間内を目途に、別添2に基づき処理を進める。仮置場のスペースによる搬入量の制約や交通渋滞の発生のおそれ等がある場合は、地域の実情に応じ、各自治体で適切に定めること。

(1)仮置場への移動

 生活環境に支障が生じうる災害廃棄物(例えば、現在住民が生活を営んでいる場所の近傍にある災害廃棄物):平成23年8月末までを目途に仮置場へ概ね移動
その他:平成24年3月末までを目途

(2)中間処理・最終処分

腐敗性等がある廃棄物:速やかに処分

木くず、コンクリートくずで再生利用を予定しているもの
:劣化、腐敗等が生じない期間で再生利用の需要を踏まえつつ適切な期間を設定

その他:平成26年3月末までを目途

図表 5-14-4 東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)1
図表 5-14-4 東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)2
出所)環境省「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」(平成23年5月16日)

(3) 復旧・復興

1) 東日本大震災を踏まえた方針

 被災市町村等地方公共団体のみでは対応困難な大規模災害であったことから、国の役割を明確にしつつ、処理推進体制、財政措置、処理方法、スケジュール等についての基本方針を早期に提示することが、復旧・復興を進める上での最大の課題の一つとなった。環境省にとっては、これが最重要課題との認識のもと、内閣府、国土交通省、農林水産省等の協力を得て、環境大臣政務官が主催する「災害廃棄物の処理等の円滑化に関する検討・推進会議」が設置された。「災害廃棄物の処理等の円滑化に関する検討・推進会議」を含め様々な会議体において、課題について検討し、対応方針を定める体制がとられ、災害廃棄物処理に係る指針等の策定が行われた。
 具体的には、

  1. ① 東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針(平成23年3月25日)
    (損壊家屋等の撤去等について、建物が倒壊してがれき状態になっている場合や自動車、船舶、動産が外見上から判断してその効用をなさない状態にある場合には、所有者等に対する連絡・承諾がなくても撤去して差し支えないと、法律的観点から指針を取りまとめたもの。)
  2. ② 東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)(平成23年5月16日)
    (主に仮置場に搬入された後の処理に焦点を当てて、処理推進体制、財政措置、処理方法、スケジュール等についてまとめたもの。)
  3. ③ 東日本大震災津波堆積物処理指針(平成23年7月13日)
    (市町村等が津波堆積物の撤去・処理を実施するに当たっての参考となるよう、基本的な考え方や留意事項等についてまとめたもの。)
  4. ④ 広域処理の推進に関するガイドライン(平成23年8月11日策定、平成24年1月11日最終改訂)
    (放射能汚染への懸念に対応するため、広域処理を行うに当たっての安全性の考え方、確認方法等についてまとめたもの。)

が挙げられる。
 特に平成23年5月16日に示された「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」では、主に仮置場に搬入された後の処理に焦点を当てて、

(1) 処理推進体制
(2) 財政措置
(3) 処理方法
(4) スケジュール

が示された。
 被災3県(岩手県、宮城県、福島県)においては、災害廃棄物の量・質の把握、処理体制の検討、役割分担の明確化、処理計画の策定と工程管理等を行う場として、国の地方部局、県、市町村、関係団体からなる「災害廃棄物処理対策協議会」を設置することとなった。
 協議会では、様々な情報、課題を共有しつつ、マスタープランを踏まえた各県における具体の処理計画として「災害廃棄物処理実行計画」を策定した。実行計画は、その後の処理の進捗に応じて、適宜改定が行われ、県内処理及び広域処理を整合させながら進めるためのベースとなった。

図表 5-14-5 マスタープランによる災害廃棄物処理の基本的な考え方

災害廃棄物処理の内容
■マスタープランによる基本的な考え方
 環境省では、発災約2ヶ月後の平成23年5月16日に処理指針(マスタープラン)を示した。その基本的な考え方は次のとおりである。

(1)処理の考え方

  • ・ 発生現場で可能な限り粗分別をした上で仮置場に搬入し、混合状態の廃棄物量を低減。仮置場で可燃物、不燃物、資源物等に分別し、特性に応じた適切な処理によるコストの低減、最終処分量の削減。
  • ・ 種類別の処理フローを示し、これを基本としつつ、再生利用可能なものは極力再生利用。

(2)広域処理の必要性

  • ・ 被災地では処理能力が不足しており、被災地以外の施設を活用した広域処理も必要。
  • ・ 国は、県外の自治体や民間事業者の処理施設に関する情報提供等を実施。

(3)種類別処理方法

  • ・ 可燃物は、仮置場での火災防止や衛生管理を徹底。できるだけセメント焼成や廃棄物発電等の有効利用。
  • ・ 木くずは、木質ボードやボイラー燃料、発電等への利用を期待。受入側との条件の事前調整が必要。
  • ・ 不燃物は、各種分別技術により可燃物や金属くずを取り除いた上で埋立。
  • ・ 金属くずは、再生利用を基本とし、利用用途に応じて区別。
  • ・ コンクリートくずは、復興資材等として被災地で活用することが有効。再生利用の用途を考慮して分別。受入側との条件の事前調整が必要。土木部局との連携が必要。
  • ・ 自動車、家電等は、可能な限り個別リサイクル法に基づきリサイクル。
  • ・ 船舶は、燃料、バッテリー等を取り除いた上で破砕し、金属くずは再生利用、廃プラや木くずは焼却しできるだけ発電等の有効利用。
  • ・ 危険物、PCB廃棄物、石綿含有廃棄物等は、他の廃棄物と区別し、危険物又は特別管理廃棄物として処理。
  • ・ 津波堆積物は、有害物質や腐敗性のある可燃物、油分を含むもの(セメント原料、焼却、埋立)を除き、異物を除去した後、埋め戻し材としての利用や土木資材化。
  • ・ 火災発生場所の廃棄物は、灰や灰と混合したものは、ダイオキシン類の濃度を踏まえ、溶融処理や埋立処分。

(4)スケジュール

  • ・ 仮置場への移動について、生活環境に支障が生じうる災害廃棄物は平成23年8月末、その他は平成24年3月末まで、との目標を設定。
  • ・ 中間処理・最終処分については、全体として約3年後の平成26年3月末までの目標を設定。
出所)環境省HP「平成23年3月東日本大震災における災害廃棄物の処理について>災害廃棄物処理の実施>災害廃棄物処理の内容」 
http://kouikishori.env.go.jp/archive/h23_shinsai/implementation/contents/ (令和5年7月31日閲覧)
2) 災害廃棄物の処理
a. 災害廃棄物処理の概要

 環境省より示された処理指針(マスタープラン)に従い、基本的な処理の考え方、広域処理の必要性、災害廃棄物の種類別処理方法、作業スケジュール等が確認された。

図表 5-14-6 災害廃棄物の処理の概要

第5節東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理
1.災害廃棄物の処理
 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法(平成23年法律第99号。以下「災害廃棄物処理特別措置法」という。)に基づき、災害廃棄物の処理に関する基本的な方針、工程表を定め、被災した自治体の災害廃棄物処理について、きめ細やかな進捗管理を実施し、目標としていた平成26年3月末までに、福島県の一部地域を除いて災害廃棄物等の処理を完了しました。平成26年度は、処理の完了していない福島県の一部地域において、引き続き、きめ細かな進捗管理を継続して行いました。

出所)環境省「平成27年版環境白書」第2部第3章第5節 
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h27/html/hj15020305.html#n2_3_5_1 (令和5年7月31日閲覧)
b. 災害廃棄物の収集運搬および仮置場の設置・運営

ア) 収集運搬

 東日本大震災の地震及び津波によって、被災地は一帯(特に沿岸部)が災害廃棄物等に覆い尽くされた。発災直後から、自衛隊が人命救助及び支援物資の運搬のために、災害廃棄物や津波堆積物の撤去・集積作業に着手した。また自治体との災害協定に基づき、地元の建設業者団体等が道路啓開に直ちに取りかかった。
 一方、津波によって災害廃棄物や自動車等が海中に引き込まれ、被災者支援のための大型船の入港の妨げになるなど海上交通を阻害したため、海上啓開作業も急がれた。災害廃棄物等の多くが土砂を多量に含み、様々な性状・形状の廃棄物が混合した状態で堆積されたため、処理に当たっては、その分別が非常に困難であった。
 さらに、災害廃棄物等に行方不明者が覆われていたり、思い出の品・貴重品、あるいは危険物等も混在していたりしたため、撤去・集積作業は慎重さも要求されるものであった。

図表 5-14-7 道路啓開、海上啓開の状況
図表 5-14-7 道路啓開、海上啓開の状況
出所)環境省東北地方環境事務所「東日本大震災により発生した被災3県における災害廃棄物等の処理の記録」(P.54)(平成26年9月) 
https://tohoku.env.go.jp/content/900190435.pdf (令和5年7月31日閲覧)

イ) 仮置場の設置・運営

 津波被害にあった地域では、建築物や家財等様々なものが流され、また土砂混じりになって、住宅地や道路上、農地等に広く堆積した。緊急的に行われた道路啓開や自衛隊による行方不明者等の捜索によって、災害廃棄物は混合された状態で収集され、一時的に仮置きをするための仮置場に運搬された。大型の構造物、金属等はできるだけ選別し、可燃物、不燃物等に分別して1次仮置場へ運搬するようにした。

c. 災害廃棄物の再生利用

 マスタープランでは、廃棄物の種類に応じて再生利用を積極的に進める方針を掲げており、災害廃棄物(特定廃棄物を除く)については、特に再生利用しやすい金属類など、1次仮置場の段階から、分別して有価で引き取られ、ほぼ100%再生利用が行われた。他にも家屋解体による角材、柱材なども適宜、解体現場から再生利用向けに引き取られるなど、積極的なリサイクルが図られた。

d. 災害廃棄物の広域処理

 全国の廃棄物処理施設で、被災地で処理しきれない災害廃棄物を処理してもらうことを「広域処理」という。
 岩手・宮城の両県では、全力で災害廃棄物の処理を行ったものの、廃棄物の量は岩手県で通常の約9年分、宮城県で通常の約14年分にも達しており、処理施設の不足で思うように進まなかった。被災地の1日も早い復興に向けて、災害廃棄物の早急な処理は不可欠であった。そこで、廃棄物の処理施設に余力のある全国の各自治体と住民の協力のもと、災害廃棄物の処理を行ってもらう広域処理を行った。
 山形県、東京都、青森県はいち早く平成23年度より広域処理を開始。平成24年度にはさらに多くの自治体の協力を得て広域処理を加速させた。平成26年、岩手県、宮城県における災害廃棄物は全量受入れが完了した。

図表 5-14-8 岩手・宮城の両県における災害廃棄物の発生量
図表 5-14-8 岩手・宮城の両県における災害廃棄物の発生量
出所)環境省HP「平成23年3月東日本大震災における災害廃棄物の処理について>災害廃棄物処理の実施>災害廃棄物の広域処理について>広域処理の必要性」 
http://kouikishori.env.go.jp/archive/h23_shinsai/implementation/wide_area_processing/about/ (令和5年7月31日閲覧)
e. 災害廃棄物処理の補助制度

 災害廃棄物等の処理に当たっては、廃棄物処理法第22条の規定に基づく災害等廃棄物処理事業費補助金が活用され、「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」(平成23年法律第40号)により、従来の国庫補助率が嵩上げされるとともに、グリーンニューディール基金の活用により、国の実質負担額は平均95%とされた。さらに、震災復興特別交付税措置により、実質全額が国庫負担されることとされた。

図表 5-14-9 災害等廃棄物処理事業費補助金による補助制度

4.1災害等廃棄物処理事業費補助金による補助制度

(1)補助制度の概要

図表 5-14-9 災害等廃棄物処理事業費補助金による補助制度1
図表 5-14-9 災害等廃棄物処理事業費補助金による補助制度2

(2)東日本大震災後3箇年の補助実績
 東日本大震災に係る災害等廃棄物処理事業費の補助金総額は、平成23年度以降の3箇年で国庫補助対象事業費(国庫補助基本額)約10,916億円に対し、災害等廃棄物処理事業費補助金は約9,576億円、GND基金は約835億円、合計約10,411億円であった。

図表 5-14-9 災害等廃棄物処理事業費補助金による補助制度3
出所)環境省東北地方環境事務所「東日本大震災により発生した被災3県における災害廃棄物等の処理の記録」(P.193~196)(平成26年9月) 
https://tohoku.env.go.jp/content/900190438.pdf (令和5年7月31日閲覧)
f. 災害廃棄物処理の進捗管理

 「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」(平成23年5月16日)で災害廃棄物等の処理スケジュールが示され、また「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」(平成23年8月18日公布・施行)第3条(国の責務)により、国は、災害廃棄物の処理が迅速かつ適切に行われるよう、主体的に、市町村及び都道府県に対し必要な支援を行うとともに、災害廃棄物の処理に関する基本的な方針、災害廃棄物の処理の内容及び実施時期等を明らかにした工程表を定め、これに基づき必要な措置を計画的かつ広域的に講ずる責務を有することが定められた。マスタープラン並びに工程表において、平成26年3月末までに中間処理・最終処分を終了させるという目標が設定され、環境省が県を通じて市町村別に処理の進捗状況を取りまとめ、災害廃棄物等処理の進捗管理を行った。
 当初は、被災県の担当部局から毎週、通常災害において被災状況の報告に使用する様式に、仮置場への搬入済量・仮置場からの廃棄物種類別の搬出済量の項目を追加した様式により報告を受け、とりまとめを行ったが、処理の進行、処理状況の変化に伴い、平成23年10月中旬より、廃棄物の種類別搬出済量から種類別の中間処理量・最終処分量に調査項目を変更するとともに、2次仮置場の状況・広域処理量の項目を追加した。
 また、平成24年7月末現在の処理状況のとりまとめから、月1回の報告となり、津波堆積物の推計量・搬入済量・処理状況の項目を追加した。
 災害廃棄物等の発生量が膨大であったことから、広域処理が必要となり、国民の関心も高かったことから、廃棄物の種類ごとの処理量の動向についてきめ細やかな進捗管理を実施し、処理が停滞している自治体等には、環境省が随時ヒアリング調査を行い、状況把握とアドバイスを行った。
 また、各県に配置された環境省の各県内支援チームは、廃棄物処理に関する情報収集に努めるとともに、自治体や処理区の定例会議に出席し、処理困難物等の課題がある自治体に対するヒアリングやアドバイスを行った 。

g. 災害廃棄物処理に関する総務省政策評価

 東日本大震災からの1日も早い復旧・復興のために、災害廃棄物の早期処理完了は不可欠であり、平成26年3月末までの処理完了を目指して、施策を実施。その結果、岩手県と宮城県を含む12道県については目標通り、災害廃棄物の処理を完了し、さらに災害廃棄物の約82%、津波堆積物の約99%を再生資材として公共事業等にて利用した。
 平成26年3月末までに処理完了が困難であった福島県の一部地域について、平成25年8月末に処理の進捗状況等を総点検し、今後の見通しを公表した。この見通しに基づき、きめ細かな進捗管理をしつつ、地方公共団体等と連携して国の代行処理等による支援を通じ、できるだけ早期の処理完了を目指して施策を行い、現在、処理は概ね終了している。

図表 5-14-10 平成27年度実施施策に係る政策評価書:東日本大震災への対応(災害廃棄物の処理)

平成27年度実施施策に係る政策評価書
施策名:目標4-7東日本大震災への対応(災害廃棄物の処理)
施策の概要:東日本大震災により発生した災害廃棄物の安全かつ迅速な処理を推進する。
(中略)
評価結果
目標達成度合いの測定結果:
(各行政機関共通区分)③相当程度進展あり
(判断根拠)

  • ○岩手県と宮城県を含む12道県において、災害廃棄物の処理は目標通り平成26年3月末までに完了。
  • ○福島県についても平成27年3月末までに、一部の損壊家屋の解体と国による可燃物の代行処理を除き、概ね処理を完了。

施策の分析:

  • ○東日本大震災からの1日も早い復旧・復興のために、災害廃棄物の早期処理完了は不可欠であり、平成26年3月末までの処理完了を目指して、施策を実施(岩手県と宮城県沿岸部に31基の仮設焼却炉と22箇所の仮設破砕選別施設を設置。18都府県で約62万トンの災害廃棄物の広域処理を実施。)。その結果、岩手県と宮城県を含む12道県については目標通り、災害廃棄物の処理を完了し、さらに災害廃棄物の約82%、津波堆積物の約99%を再生資材として公共事業等にて利用した。
  • ○平成26年3月末までに処理完了が困難であった福島県の一部地域について、平成25年8月末に処理の進捗状況等を総点検し、今後の見通しを公表した。この見通しに基づき、きめ細かな進捗管理を実施しつつ、市町と連携して国の代行処理等による支援を通じ、できるだけ早期の処理完了を目指して、施策を実施している。
出所)環境省「平成27年度実施施策に係る政策評価書「目標4-7東日本大震災への対応(災害廃棄物の処理)」」 
https://www.env.go.jp/guide/seisaku/h27_jigo/jigo_sheet/4_7.pdf (令和5年7月31日閲覧)
3) 事業実施に当たって発生した課題・対応等
a. 災害廃棄物処理に当たっての現場での課題

 東日本大震災の被災自治体の多くは被災前、災害廃棄物処理計画を策定しておらず、仮置場候補地が事前に検討されていなかった。
 市町村はあらかじめ仮置場候補地をリストアップしておくことが必要である。候補地は公有地を原則とし、仮設住宅や自衛隊の宿営地等との競合を避けるため、空地の利用方法について発災前から関係部局(建設部局や港湾部局、公園部局等)と調整を行っておくことが重要である。リストアップした候補地については、都道府県や他市町村との連携のため関係者間で情報共有することが望ましい。また地域ブロック等の広域での議論も有効と考えられる。

b. 災害廃棄物処理に関する法制度の整備、特例措置等

 災害廃棄物等の処理を円滑に進めるため、環境省から損壊家屋等の撤去等や災害廃棄物の処理に関する指針等が発出され、自治体の災害廃棄物処理実行計画策定に当たり基礎となった。

図表 5-14-11 災害廃棄物等の処理に係る指針等

(3)災害廃棄物等の処理に係る指針等

 災害廃棄物等の処理を円滑に進めるため、環境省から発出された指針等は以下のとおり。(中略)

  • 〇東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針(平成23年3月25日)
  • ※損壊家屋等の撤去等について、建物が倒壊して災害廃棄物等状態になっている場合や自動車、船舶、動産が外見上から判断してその効用をなさない状態にある場合には、所有者等に対する連絡・承諾がなくても撤去して差し支えないと、法律的観点から指針をとりまとめたもの。
  • 〇損壊家屋等の処理の進め方指針(骨子案)(平成23年3月29日)
  • ※損壊家屋等の迅速かつ円滑な処理のため、各段階における対応策を示した。
図表 5-14-11 災害廃棄物等の処理に係る指針等
出所)環境省東北地方環境事務所「東日本大震災により発生した被災3県における災害廃棄物等の処理の記録」(P.29)(平成26年9月)
https://tohoku.env.go.jp/content/900190434.pdf (令和5年7月31日閲覧)
図表 5-14-12 発災後の取組:制度的な支援

発災後の取組
■制度的な支援(通知)
(1)政府全体の体制
 今回の災害に必要な特例措置については、事前の備えはなく、事後の対応として必要な特例措置や通知を逐次手当てすることとなった。
 廃棄物処理法に係る主な特例措置は以下のとおり。

  • ・ 産廃処理施設で災害廃棄物を受け入れる場合の届出期間を緩和(省令、平成23年3月)
  • ・ 災害廃棄物を安定型処分場で処理する場合の手続を簡素化(省令、平成23年5月)
  • ・ 災害廃棄物の処理を受託する者に再委託を認める特例(政令、平成23年7月)

 これらの他、石綿廃棄物、PCB廃棄物、家電、自動車、パソコン等の処理について、品目毎にガイドラインや留意点などを順次通知するとともに(平成23年3月~)、冷凍水産物の海洋投入を可能にする海洋汚染防止法の緊急告示を行う(平成23年4月、6月)など、必要な措置を行った。

出所)環境省HP「平成23年3月東日本大震災における災害廃棄物の処理について>発災後の取組>制度的な支援(通知)」
http://kouikishori.env.go.jp/archive/h23_shinsai/after_initiatives/institutional_support/ (令和5年7月31日閲覧)

(4) 教訓・ノウハウ

1) 災害廃棄物処理に当たっての現場で得られた教訓

 今後の大規模災害への備えとして、

  1. ① 事前の計画立案と備え
  2. ② 早期に廃棄物処理に着手するための初動体制の整備
  3. ③ 都道府県、市町村、民間事業者との連携・協力の強化(人的・技術的支援、資機材・燃料等の確保、廃棄物の受入先の確保等)
  4. ④ 大規模災害を対象とした技術的な検討
  5. ⑤ 空地の有効活用に向けた事前の備え(仮置場候補地の検討、関係部局との連携、災害時の空地利用に関するルールの作成等)
  6. ⑥ 仮置場の適正管理(仮設処理施設を設置した場合の環境対策、仮置場における火災予防等)
  7. ⑦ 最終処分しなければならない災害廃棄物(飛灰、不燃残渣、漁網等)に関する最終処分容量の確保、再生利用先の確保
  8. ⑧ 処理にかかる手続の簡素化(受入先自治体との手続、民間事業者との契約手続、処理施設の設置手続等の簡素化)
  9. ⑨ 人的ネットワークの構築、人材育成
  10. ⑩ 都道府県及び市町村による事前の広報手段や内容の検討

が教訓として挙げられる。

2) 東日本大震災での教訓を踏まえた法制度改正

 平時の備えから大規模災害発生時の対応まで、切れ目なく災害廃棄物対策を実施・強化するため、廃棄物処理についての制度と災害対策についての制度の両方を改正する法律(廃棄物処理法及び災害対策基本法の一部を改正する法律)が平成27年に公布、施行された。

図表 5-14-13 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律の概要
図表 5-14-13 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律の概要
出所)内閣府「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律(平成27年法律第58号)概要」 
https://www.bousai.go.jp/taisaku/kihonhou/pdf/h27_01_gaiyou.pdf (令和5年7月31日閲覧)

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